DEVILMAN REBORN ~LOST DESTINY~ 作:カナト
預言の日の朝を迎えた外道のアジト。
その屋上では、ヒミコが作ったゲートから悪魔の鎧を装着した多くの者たちが現れてくる。
その最後に現れる2人の規格外のオーラを発する2体のデビルマンに対し、ゴーゴン大公が首を垂れる。
『レクス様、暗黒代将軍。よくぞ参られました。このゴーゴン、この日をどれほど待ちわびたことでしょう』
「挨拶は良い、ゴーゴン大公。俺たちはここに観光に来たわけじゃない。……野良犬にしつけをしに来たんだ」
デビルマン・ダークネスを側近とし、白藤は不敵な笑みを浮かべながら島全土を見下ろす。
「これは驚いたな……こんな黒い森は初めて見る。一体、誰がこんなことをやってのけたんだ?」
「ダンテだ」
その問いに答えたのはゴーゴン大公ではなく、奥から現れたケイだった。
彼のオーラは以前とは見違えるほどに大きくなっている。
「おまえたちがゴーゴン大公の言っていた助っ人か。俺がダンテを殺す邪魔だけはするなよ」
「威勢がいいな。嫌いじゃないが……身の程はわきまえてもらいたいなぁ」
白藤がオーラを全身から解放しながら圧をかけ、ケイはそれに怯んで一歩下がってしまう。
(何だ、この男のプレッシャーは…!?ダンテのように物理的にじゃない……精神的に、この俺が膝を折らされそうになっている!?)
『御戯れを、帝王様。このような場所でお力を使えば、彼奴らに気づかれましょう』
「俺は気づいてほしいんだよ、ダークネス。すぐにでも戦いたいんだ……あの男とな」
闘争心を剥き出しにする白藤を前に、デビルマン・ゴッドはキャハハハと笑う。
『興奮してるな、レクス。俺たちが来る意味があったのかねぇ、こりゃ。後に控えさせているケルベロスだって、出番があるのか分かったもんじゃない。あんたが来たら尚更だ、ダークネス』
『我はこの地に精通している。参戦するのは当然のこと……そして、それだけではない』
ダークネスは聖域の方角を見据え、クフフッと笑う。
『感じるぞ、この力……。また相まみえることができるとは嬉しいぞ、マジンカイザー』
因縁のある宿敵の名を口にし、胸を熱くさせるデビルマン・ダークネス。
白藤とダークネスだけでなく、他のデビルマンも胸の高鳴りが抑えられそうにないようだ。
戦いこそが悪魔の本能。
血で血を洗う宴を、今か今かと待ちわびている。
「さぁ、皆のもの。俺が許す……暴れろ」
今、魔戒島に悪魔の瘴気が充満しだす。
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戦いの朝を迎え、聖域内ではアイラが守りの結界を展開しては襲撃に備え、その周りを武器を持った女戦士たちが護衛する。
ダンテも沙織も聖域内に留まり、悪魔との戦いに備えている。
3日間で心身ともに鍛えることはできたが、それでも魔王の力を使えるまでには至っていない。
主戦力となるのは、デビルマン・ゼロとマジンカイザーのみとなるだろう。
早くから聖域の外に出て、いつでも変身できるように備えておく。
「消耗戦を挑まれたら一溜まりもねぇな、おい」
「それでも、俺たちがやるしかない。……何、俺たちの場合は少数精鋭で暴れまわる方が向いている。味方を巻き込まなくて言い分、手加減なしで力を振るえるってことだ」
「っひ、多勢に無勢もひっくり返せるってわけか」
「そう言う事だ」
荒廃して枯れた森が戦場となる。
悪魔の戦いにしては、雰囲気が合っていると見るか。
空がこれから始まる激戦を予期し、太陽にその光景を見せないように雲が隠す。
辺りが薄く暗さを帯び始めた頃、遠くの方から煙が上がった。
それと同時に、悪魔どもの雄叫びが聞こえてきた。
近づいてくるのは、悪魔の鎧を装着した者たちの群れ。
「あれは…!?」
「……デビルマン軍団がお出ましか」
アイラの話を聞いて、白藤が来るのであればそんな気はしていた。
「甲牙、あいつらを人間と思うなよ?デーモンよりも厄介だ。躊躇っていたら、こっちがやられる」
「んなこたぁわかってる。あちらさんもそうだと思うが、俺たちだって腹くくってんだ……。さぁ、暴れるぜ‼」
俺たちは地面を駆けて群れに突撃し、同時に変身する。
「デビルっ‼」
「マジン……ゴー‼」
白い悪魔の鎧と蒼い魔神の鎧をそれぞれ装着し、それぞれに初撃の技をお見舞いした。
俺は全身から白いオーラの光線を放ち、マジンカイザーは胸部から熱線を浴びせた。
「
「ファイヤーブラスター‼」
広範囲の攻撃を受け、デビルマン軍団の先頭一面は悲鳴と共に鎧共々消滅していった。
「「ぎゃぁああああああ‼‼」」
「「あがふぁあああああ‼‼」」
これで怯むようなら、まだ人間の心は残っていると思って見逃すかもしれなかったが、そんなことは無かった。
雄叫びをあげながら、俺たち2人をめがけて襲いかかってくる。
「ここから先は行かせない」
「おまえら全員、俺たちが相手してやるぜ‼」
俺は両腕から一刻の刃を3枚展開し、マジンカイザーは両肩から短剣を取り出しては双剣を構える。
「オラオラオラァ‼暴れるぜぇえ‼」
ショルダースライサーを振り回し、目の前に迫る数体のデビルマンを切り刻むマジンカイザー。
「
俺も両腕の刃で斬りながら、漆黒の翼を広げて無数の羽根を飛ばす。
「
俺たちは互いの技を出しては群れの数を減らしていき、視認できる限りでは半分まで破壊した。
しかし、ここで違和感を感じてくる。
これほどまでに圧されていて、どうして白藤は姿を現さない?
まさか、これも奴のシナリオの範疇だって言うのか?
何だ……この、あいつの手の平の上で踊らされているような感覚は。
胸騒ぎがする。
「マジンカイザー‼こいつらをさっさと倒して、聖域に戻るぞ!?」
「あ!?いきなり、どうしたんだ!?」
「嫌な感じがする……このままじゃいけない。このままじゃ終わらないって‼」
その感覚は、すぐに的中した。
ドガーンッ‼
聖域の結界に向けて、俺たちとは別の方向から黒い炎が放たれた。
「まさか…!?」
別働隊を用意していたのか。
俺たちが大軍を相手にすると予測して。
「……ふざけるなぁあああ‼‼」
怒りで破壊のオーラが全身から漏れ出てしまい、無意識にゼロフォームに変身してしまう。
「一瞬で蹴散らす…‼下がれ、カイザー‼」
カイザーが俺の背後に回れば、俺は破壊のオーラを黒い光に変えて全方位に放出する。
「
その光に飲まれたデビルマンたちは跡形もなく消滅していき、目の前にはもう敵の姿はない。
「はぁ……はぁ……カイザー、すぐに聖域に…‼」
『そうはさせんぞぉ、破壊の猛者よ‼』
背後から声が聞こえて来れば、それをマジンカイザーが間に入ってショルダースライサーを重ねて敵の振るった長刀を阻んでくれた。
そして、マジンカイザーは苦しい声を出して相手を見据える。
「まさか……こんな所で会うことになるなんてなぁ。久しぶりじゃねぇか、デビルマン・ダークネス‼」
『会いたかったぞ……マジンカイザー‼』
刀を振り払って間合いを取り、俺に顔を向ける。
「こいつは俺が相手をする。聖域に行ってくれ、ゼロ」
2人で相手している時間はない。
ここはマジンカイザーに任せるしかないか。
「頼むぞ、カイザー。信じてるからな」
「おお。さっさとこいつを片づけて、すぐに助けにいくぜ」
俺は翼をはためかせ、すぐに聖域に向かった。
結界は既に崩壊しかけており、一刻の猶予も無かった。
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聖域を守るために張られた結界。
しかし、その力も1度放たれた黒い炎の前にはガラスのように崩壊する寸前だった。
聖域の内側では、辺りで燃えている黒い炎を前に女たちが怯えている。
宮殿の前で念じることで結界を維持しようとするアイラであるが、その額からは汗がにじみ出ている。
「アイラ!?」
「大丈夫です、ダンテ。今は明人様たちが救援に来ることを信じて待つしかありません。あなたも耐えてください」
今、力があるのはアイラのみだ。
俺が魔王の力を使いこなすことができれば、明人や甲牙と共に戦えるはずなのに。
キングボンバの石像を見ては、思わず睨みつけてしまう。
おい、おまえは島の守り神なんだろ?だったら、今の危機を救ってくれよ。
「ダンテ、ここに居たってアイラ様の助けにならない。私たちはいざという時のために――—」
沙織の言葉を遮るように、パリーンっと大きな声が響いた。
そして、正門を突き破って人ならざる者たちの奇声が聞こえてきた。
『キヒィエァ‼女が選び放題って噂の国はここかぁ~!?』
『レクスの話じゃ、女は好きにして良いって話だぁ‼』
『存分に可愛がらせてもらうぜ、ひゃっはー‼』
悪魔の鎧を装着した者たち、デビルマン。
ケイと同じ、禍々しいオーラを放つ存在。
明人とは似ても似つかない、悪の獣たちだ。
「皆、宮殿の中へ‼速く‼」
アイラの声で急いで宮殿に逃げる女たちであるが、それでもデビルマンたちの方が動きが速かった。
すぐに数十人の女が捕まり、獣の餌食となってしまう。
「きゃぁああああ‼」
「やめてぇええええええ‼」
「助けてぇええええええ‼」
涙を流しながら悲痛な声をあげる女たち。
それを見過ごすことは、俺にはできなかった。
「この地を去れっ…‼外道どもがぁああ‼」
怒りと共に刺青の黒が全身に広がり、目の前で女を犯そうとする牛型のデビルマンに拳を叩きこんで吹き飛ばす。
「ダンテ、何してるの!?あなたも中に‼」
「俺は少しでも時間を稼ぐ。俺に今できるのは……これくらいだ‼」
デビルマンの手から女たちを解放していくが、それでも手が足りない。
「はぁああ‼」
『ぐあへぁあああ‼』
隣から獣のうめき声が聞こえれば、沙織がトカゲ型のデビルマンの腕を斬って女を魔の手から解放していた。
「沙織!?」
「あなただけを危険な目にはさらせない‼私だって、聖域を守る戦士。アイラ様の加護を受けた、この剣なら悪しき者も斬れた‼足手まといにはならないわ‼」
確かにデビルマンの腕を今、斬り捨てた。
しかし、明人の話では人間の武器は悪魔には通用しないはずだ。
アイラの力が、それを可能にしたのか。
アイラの結界は宮殿の周辺まで限定され、守りを固めている。
俺たちにできることは、女たちが宮殿内に逃げ切る時間を稼ぐことだけだ。
「早く戻ってきてくれ……。頼む、明人、甲牙」
2人の助けを求めている中で、聞き覚えのある声が耳に届いた。
「見つけたぞ……ダンテ。今日こそ、おまえを…‼」
恨みを声に乗せ、俺に近づいてくる男。
その姿を忘れるはずが無かった。
沙織も奴を見て、目を見開く。
「おまえは……ケイ!?」
「沙織、おまえには用はない……。ダンテ、おまえだ。あいつらの仇を……取らせてもらうぜぇえええ‼‼」
身体が悪魔の鎧を装着して大きくなり、俺を見下ろすケイ……いや、デビルマン・ザン。
「おまえは俺が止める……今度こそ、俺がぁ…‼」
俺の中、確かな闘争心と怒りが込み上げてきた。
内側から力が溢れ出てくる。
魔王の力が、暴れたがっている気がした。
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