DEVILMAN REBORN ~LOST DESTINY~ 作:カナト
聖域の結界が崩れた。
下を見れば、別のデビルマンの群れが聖域の中に流れ込んでいく。
「させるかぁああ‼」
『それはこっちのセリフだ‼』
横から声が聞こえれば、雷が直撃して横に吹き飛ばされる。
「んぐぅうう‼」
この攻撃、覚えがある。
耐えきって相手を見れば、マスクの下で目を細めて睨みつける。
「おまえは……あの時のっ…‼」
「デビルマン・ゴッドだ。嬉しいぜ、デビルマン・ゼロ。覚えていてくれたとはなぁ‼」
学園襲撃事件で白藤に協力していたデビルマンだ。
白藤と同じく、忘れたことは無かった。
拳を握り、込み上げる怒りを抑える。
そして、すぐに急降下して聖域に向かおうとするが、ゴッドがそれを許さない。
雷撃を放って前方を塞ぎ、俺の邪魔をする。
「悪魔を持つ者同士が出会ったのなら、それは殺し合いの始まりだ。俺と遊べよ、デビルマン・ゼロ‼」
「そんな時間は……ない‼」
ゴッドの突き出してくる拳を防ぎ、逆に俺のオーラをまとった拳を食らわせた。
「んぶぐっ‼……良いねぇ、こうじゃねぇと。レクスの楽しみを奪っちまうようで悪いが、俺がおまえを潰してやるぜぇええ‼」
時間が無いって時に邪魔が入る。
レクス……白藤が後に控えているなら、余計にゴッドとの戦いを長引かせるわけにはいかない。
すぐに終わらせる…‼
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デビルマン・ダークネスとの死闘はそこらの悪魔との戦いとは違う。
文字通り、命の削り合いだ。
『グハハハッ‼また力を付けたようだな、マジンカイザー‼ジレンを通じて感じるぞ、貴様の溢れ出る力を‼』
「あんたは何も変わらないようだな……ダークネス‼」
ショルダースライサーからカイザーブレードに持ち替え、ダークネスの冥刀ジレンと渡り合う。
ダークネスが地面にジレンを突き刺し、地面から地獄の亡者たちが溢れ出てくる。
「ルストトルネード‼」
それを俺は容赦なくスロットから放たれる竜巻で風化させる。
そして、俺からカイザーブレードを振るいながらも左手にオーラを集中させる。
ダークネスとの決着は望むところだが、今はそれに拘っている時間はない。
出し惜しみしていたら、圧されてしまう。
ジレンと衝突させながら、覚悟を決める。
「すぐに決めさせてもらうぜ……ダークネス‼」
マジントリガーに意識を集中させ、黄金のオーラをまとう。
魔神パワー解放だ。
『待っていたぞ、貴様の全力の力をっ…‼』
ダークネスからも赤黒いオーラを放ちながら力を高めていく。
「おまえを倒し、明人の助けに行かないといけねぇんだ……出し惜しみ無しでいくぜ」
『貴様との血で血を洗う戦い……このような機会にめぐり合わせてくださった闇の帝王に敬意を込める』
黄金のオーラと赤黒いオーラが交わった時、俺たちは同時に地面を駆けてお互いに向かって愛剣を振るった。
「デビルマン・ダークネス‼」
『マジンカイザー‼』
「『勝負‼』」」
お互いにあまりの威力に剣が手から離れてしまう。
しかし、互い考えることは同じだった。
俺が右拳で殴ろうとすればダークネスが左手で止め、奴が振るう右拳も俺が左手で受け止めた。
「おまえを止める……俺の光で‼」
『貴様を討ち滅ぼしてくれよう……我が暗黒の闇によって‼』
ダークネスのマスクの目が赤く輝き、俺も両目に意識を集中させる。
『くらぇええ‼』
「光子力ビーム‼」
互いの光と闇の力が近距離で拮抗し、その中間から光と闇が混じっていく。
そして、互いの中に光と闇が目を通じて流れ込む。
「ぐぁああああああ‼」
『ぐるぅううううう‼』
光の中に闇が、闇の中に光が。
互いを拒絶することなく、混じりこむ。
マスクの下で痛みに耐えながら目を開けば、ダークネスの姿が何重にも重なって見える。
「今のは……これは…‼」
ありえない。
最初に感じたのは否定。
ダークネスの鎧とは別に、赤黒い鎧が視界に映る。
その姿はマジンカイザーと似ている……いや、同じだ。
『ぐるぅうう……‼やめろ……我には……俺には、光など要らぬ…‼』
呻きながら何かに語り掛けるダークネス。
『力だ……力だけだ……俺に必要なのは、圧倒的な力‼それは、心を持っていては手に入らぬもの…‼故に我は……我はぁああ‼』
ダークネスの鎧にヒビが入り、赤い光が中から差し込んでくる。
「まさか……ダークネス、おまえの正体は…!?」
頭の中で、カイザの声が響く。
『この感覚……忘れられるはずが無い。私と同じく次元の中をさまよっているかと思っていたが、ハデスの力を持つ者の手に落ちていたのか』
カイザと俺は、ダークネスに対して同じ人物を重ね合わせる。
「カイザ……ダークネスは……おまえの兄貴……なのか?」
『そうとしか考えられない。……あの鎧がハデスの力によって作られた仮初の姿なのだとしたら、あの下にあるのは我が兄……サーガしか考えられない‼』
サーガ。
魔神カイザの双子の兄にして、同等の力を持つ存在だ。
ダークネスは苦しみながら、雄叫びをあげる。
『うぉおおおおおお‼‼』
魔神カイザとサーガ。
あの古の記憶の戦いが、また繰り返されようとしているのか。
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もはや、守るための戦いだけではなかった。
これは決別のための戦い。
俺がケイ…デビルマン・ザンを倒すことで、1つの因縁に決着をつける。
そう簡単なことじゃないことはわかっている。
3日間の明人、甲牙との特訓でわかるようになってきた。
彼らが正しき心を持ったが故に手に入れた力であるなら、目の前にいるデビルマン・ザンの力は邪悪なる魂を持つ者の禍々しいものだ。
それに対抗できる力が、今の俺にあるのだろうか。
魔王の力は邪悪なるものではないのか。
俺にあの2人のように、力を正しく使いこなすことができるのか。
戦いの中で、自身に対して数々の疑問が生まれてくる。
しかし、デビルマン・ザンは容赦なく俺に攻撃を仕掛けてくる。
両手から放電して乱れ撃ちをしてこれば、それを紙一重で回避しながら接近する。
「これでもくらえ‼」
マスクに拳を当てるが、ザンは微動だにしない。
『そんなものか?……前の方がもっと痛かったぜ‼』
電気をまとった右腕を振るって薙ぎ払われれば、レンガの家まで吹っ飛び壁にめり込む。
「ぐはあああ‼」
ザンは一瞬で俺の前に立ち、頭を持ち上げれば電気を流しながらもう片方の手で腹部を何度も殴ってくる。
「ぐっ!えぐっ!がふぁ!あぐっ!がはぁあああ‼」
『どうした、ダンテ!?おまえの力はこんなものではないだろう!?』
力の差が大きく、以前とは圧倒的に違う。
ザン自身が恐ろしいほどに強くなっている。
『おらぁ‼』
投げ飛ばされて、俺は地面に倒れる。
全身に痺れと激痛が走るが、それでも俺は立ちあがる。
「ダンテ!?」
「来るな‼」
後ろで避難誘導をしていた沙織が近寄ろうするが、一喝して止まらせる。
息は切れ、全身の至る所から血が出ている。
それでも、俺の闘志は消えない。
目はまだ、死んでいない。
ザンは歩み寄りながら、手の平をかざして俺に向けて電気を放つ。
「ぐふぁああああ‼」
『さぁ、おまえの本気を見せてみろ!?今度こそ、魔王の力とやらをねじ伏せてやる‼』
魔王の力を出せば、俺はまた暴走するかもしれない。
しかし、このままでは敗れてしまう。
それはこの前の沙織に起きた悲劇を彷彿とさせる。
「がはぁああああああ‼‼」
ザンを止める。
そのために力が欲しい。
俺が求めるのは、守るための力だ。
怒りに任せて敵を根絶する力じゃない‼
『どうする!?このままだと死んでしまうぞ!?おまえのあの時の力を見せろよ、ダンテぇええ‼』
聞こえているなら、答えろ。
魔王の力は、壊すことしかできないのか?
「ダンテぇえええ‼」
俺は引き下がらない。
外道の魔の手に屈したりはしない。
今、俺が屈すれば、沙織やアイラ、聖域の住民がまた苦しい想いをしてしまう。
そんなことは許さない‼
『ならば、どうする?貴様は覇の道を選び、邪魔な者を滅ぼそうとした。しかし、貴様のその想いは王の道である。貴様は何を求め、王の道を志すのだ?』
頭の中に声が響いた。
夢の中で何度も聴いた声だ。
「俺は……みんなを守る道を求める。そのためなら、俺は戦う……。力がなくても、この想いは変わらない‼」
声の問いに答えれば、ザンが首を傾げる。
『あぁ?電気を受けすぎて、頭がショートしたかぁ?終わりが見えてきたなぁ、ダンテ‼』
その声を無視し、俺は叫び続ける。
「俺の後ろには、守るべき民が居る‼王とは民を守る者だ‼それが例え魔の王であろうとも、民を守り、平和に導くのが王の使命だ‼だからぁ…‼」
溢れ出てくる感情と言葉が、俺の記憶とリンクしていく。
それは今の俺ではない。
遥か昔、仲間を守るために神に反逆する道を選んだ1人の王の記憶。
そして、悪魔の無念の想いを胸に憎しみを抱いて戦った前世の自分の記憶も。
「俺は王……魔王‼ダンテだぁああああああ‼‼」
叫びに呼応するように、刺青の黒が地面に広がり、円形の魔法陣を描く。
そして、そこから天に向けて黒い光が伸びていく。
「うぉおおおお‼‼……来い‼ゼノン‼」
自身の名を叫べば、魔法陣より漆黒の翼竜が召喚される。
その姿は完全なる魔王の姿をした俺そのもの。
そして、翼竜はオーラの集合体となって俺の元に降り立って覆うように包み込む。
魔王ダンテと魔王ゼノンの魂が融合し、今――――1つになった。
魔法陣と光の柱、翼竜のオーラが消えると同じくして、俺の姿も変わる。
『な、何だ……その姿は!?』
ザンは目の前で起きた変化に戸惑いを覚えている。
「ダンテ……あなた……」
後ろから沙織の声が聞こえ、顔を横に向ける。
「大丈夫だ、沙織……。俺は、おまえの知るダンテのままだ」
身体から力が溢れ出てくる。
しかし、頭は冷静だ。
その姿は竜人の形をした灰色の鎧に包まれており、兜から銀色の長髪が伸びている。
『おまえは……一体、何なんだ!?ダンテ!?』
俺が何者か……か。
「俺は王。……民を守る者、民を平和に導く者、そのために君臨するのが王だ。魔王ダンテ、そして、今の俺は……デビルマン・ゼノンだ‼」
過去と現在。
2つの魔王の力を持ち、俺は今、守るために力を振るう。
「俺の民を傷つけた罪は重い。おまえを討たせてもらうぞ、ザン」
『面白い……受けて立ってやるよ、デビルマン・ゼノン‼』
『喰らいやがれ‼』という叫びと共に放電するザン。
それに対して、両肩の鉤爪のついた翼手が広がって防げば、電気はザンに向かって戻って行く。
『何っ……!?ぐはぁあああ‼‼』
「ご自慢の電気を、その身で味わえ」
右手を銃の形にしてザンに向ければ、人差し指にエネルギーが集中する。
そして、青い雷が放たれる。
「アーク・サンダー‼」
雷は距離が長くなればなるほど大きくなっていき、ザンの全身に直撃する。
『ぎぁはぁああああ‼‼』
雷を浴びて苦しむザン。
しかし、このままでは終わらない。
『ダンテぇええええ‼』
雷を浴びながらも突進してくるザンに対して、翼手を広げて構える。
「来いよ、ケイ……ケリをつけてやる‼」
両手と翼手の4つの手で中央に力を集中させれば、緑色の巨大なエネルギー弾が生まれる。
「アークブレイク・エクスプロージョン‼‼」
エネルギー弾を放てば、それを避けずにザンは迎え撃とうと両手で受け止める。
しかし、すぐに耐えきれなくなり後ろに押し返される。
『こ、これはぁああ!?』
「悪を消滅させるための王の技だ。魔王ダンテの名の下に、おまえを断罪する‼」
右手を上に向ければザンを持ち上げるようにしてエネルギー弾は空に向かって飛んでいく。
『このままで……このままで済むと思うなよ、ダンテ‼おまえは必ずっ…‼必ず、俺の手でぇええええ‼』
その叫び声にまともに向き合うつもりにもなれず、呟きと共に開いていた手を天に掲げると共に強く閉じた。
「地獄でやってろ」
それと同時に、エネルギー弾は空で爆発した。
『ぎゃはぁああああああああああ‼‼』
断末魔の声をあげ、ザンは消滅した。
最後に爆炎の中で無数の人型の何かの断末魔が見えた気がした。
「ダンテ……」
ケイとの戦いを終え、沙織は竜人の姿をした俺に歩み寄る。
「ダンテ……なのよね?」
「ああ、俺だ。詳しくは説明できないが……今は、おまえを傷つけることはないと思う。だから、今は……」
敵はケイだけじゃない。
今の凄まじい戦闘に参加しなかっただけで、周りには畜生のデビルマンがまだはびこっている。
「この外道どもを片づける‼」
それが今、力を手に入れた俺の役目だ。
前世の自分(ゼノン)を鎧とし、現在の自分(ダンテ)が力を振るう。
2つの魔王の力を持つ第3の主人公の活躍を今後ともご期待ください。
そして、甲牙編の方ですが、おそらく気づかれていた方が多いかと思います。
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