※この作品はR-18です。

DEVILMAN REBORN ~LOST DESTINY~   作:カナト

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闇の獣☆

 全てが頭の中で繋がった時には、既に遅かった。

 今回もそうだ。

 俺は白藤の計画を止めることができなかった。

 

 炎が燃え広がる宮殿の中を進む中で、黒炎に飲まれて焼け死んだ女たちに胸を痛めながら、マテリアの前で倒れているアイラと、それを見下ろす白藤が視界に入った。

 

「白藤…‼」

「内海明人……3日ぶりか?」

 

 不敵な笑みを浮かべて問いかける奴に対して、俺の怒りが込み上げる。

 

「ずっと……ずっと、この日を待っていた。おまえを……おまえを殴れる、この時をっ…‼」

 

 床を蹴り、漆黒の翼を羽ばたかせながら急接近し、右拳を突き出せば黒炎の壁で防御される。

 しかし、こんなものは既に意味はない。

 

「破壊の衝撃(ディストラクション・インパクト)‼」

 

 破壊のオーラは壁を砕き、白藤に拳が届くと思っていた。

 しかし、その一瞬のタイムラグで変身は完了しており、左手で拳を受け止めていた。

 黒炎の覇者、デビルマン・レクス。

 

「何故だ、白藤!?何故……アイラを、聖域の人たちに手を出した!?」

「そんなこと、一々気にする奴だったか、おまえはぁ‼」

 

 力で押し切ろうとしたが、すぐに振り払われて距離を取られる。

 

「おまえの存在を擁護する者、その全てを俺はおまえから奪う。奪えないのであれば、消滅させる‼ただ、それだけだ。だから、おまえを認めるアイラを殺した」

「ただ、それだけだと……。そんな、そんなくだらない理由のためにっ…‼」

 

 怒りと共に力が込み上げ、オーラを増幅させる。

 

「破壊の光線(ディストラクション・ビーム)‼」

「ヘルフレイム・ブラスト」

 

 光線は黒炎によって相殺され、周囲が炎のフィールドとなる。

 

「前はその力を警戒していたが、いざ対峙してみれば……。今の俺にはとっては、取るに足らない力だったようだな」

「嘗めるな‼」

 

 両腕の刃を腕を軸に回転させ、レクスに突っ込む。

 

「破壊の竜巻(ディストラクション・トルネード)‼」

「生温い‼」

 

 竜巻を放って黒炎を消そうとするが、炎は消滅するがすぐに再度燃える。

 

「言っただろ……それとも、理解できなかったのか?おまえの力じゃ、俺には通じないんだよ。もっと言えば、内海明人……おまえが俺に勝てるはずがないんだ」

「そんなはず……あるかよ!?」

 

 技は全て相殺されるということは、実力は同じはずだ。

 それなのに、ゼロフォームで戦っているのに何故白藤に届かない!?

 

 俺はデビルマン・レクスに迫り、両腕の拳で連打するが、その全てが紙一重の最低限の動きで回避されてしまう。

 

「地獄の炎を使うまでもない。おまえ程度……この一撃で十分だ」

 

 連打によって腹がガラ空きになった隙をつかれ、拳による強烈な一撃を受けては後ろに吹っ飛んで倒れる。

 ゼロフォームを維持できる時間は、残り1分を切っている。

 

 最後の一撃……これにかけるしかない。

 

 全身の力を右拳に集中させ、全ての気力を込める。

 そして、レクスに向かって放つ。

 

「破壊の嵐衝撃(ディストラクション・ストームインパクト)‼‼」

 

 右腕を軸に巨大なエネルギーの光弾を放てば、嵐が吹き荒れては周囲の黒炎を消滅させてはレクスに襲いかかる。

 

「……面白い、それがおまえの全力か。ならば、あえて受けてやる‼」

 

 左手を前に出せば、光弾を受け止めるレクス。

 その場から微動だにせず、退屈そうに溜め息をついては―――光弾を握り潰した。

 

「やはり、残りカスの力はこの程度……か。真の転生者である俺の前には、その力は塵と同じだ」

 

 俺の最強の一撃が……通じない。

 

 ゼロフォームは解除されてしまい、純白の鎧に戻ってしまう。

 

「その姿で俺に挑むかぁ?ゼロの力を解放できないおまえに、何ができる?」

「俺の力は……ゼロの力だけじゃない‼」

 

 両腕の刃を展開して3枚の刃で斬りかかるが、レクスはもはや回避もせずに鎧の強度で受け止める。

 

「醜いねぇ、内海明人。今のおまえを見れば、加藤美佐樹は何を思うだろうなぁ?」

「おまえが……美佐樹を語るな‼」

 

 マスクを殴るが、それでも怯まないレクスはそのままの状態でクックックと笑う。

 

「そうだ、それで良い。もっと怒りを表に出せ。おまえの本性をさらけ出せ‼おまえの……悪魔の本性をなぁ‼」

 

 悪魔。

 違う、俺は……。

 

「俺は、悪魔じゃない。……デビルマンだ‼」

「いいや、おまえはただの悪魔だよ。悪魔の力と不動明の残りカスが融合した魂。それがおまえだ‼」

 

 地面から4本の炎の鎖が出現しては、両手と両足を縛って宙に浮かせる。

 

「ぐっ‼がはあああああ‼‼」

 

 全身に黒炎が燃え広がり、抵抗ができない。

 鎧が耐え切れず、変身が解除されてしまう。

 

「アハハハハハッ‼苦しいか、痛いか!?おまえをもっと苦痛にゆがめてやるよ」

 

 黒炎を1度止め、俺に歩み寄るレクス。

 マスク越しに俺と視線を合わせ、冷酷な目を向ける。

 

「おまえは不動明が切り離した、心の弱さだ。前世界で牧村美樹を失った後、不動明は怒りと憎しみで生きてきた。優しさも人としての温かさも捨て、戦いの鬼となったのさ。おまえはその切り離された弱さから生まれた存在だ。だから、真の転生者として覚醒した俺には勝てないのだ‼」

 

 俺が弱さを具現化した存在……だと?

 

「俺は不動明の強さとして転生し、奴の力を得た。だからこそ、完全なる転生者として生まれ変わったのだ。そして、おまえを構成しているのは不動明の弱さの部分だけではない……」

 

 頭を鷲掴みにし、瞳の奥を覗き込んでくるレクス。

 

「おかしいとは思わなかったか?おまえはデビルマンになる前から、常人離れした力を持って生きてきた。そのせいで化け物だと周囲に恐れられ、疎まれてきたんだろ?しかし、それは他のデビルマンには無い傾向だ。悪魔の力を後天的に継承するデビルマンの力とは別に、おまえには潜在的な力があった……。魔王ダンテを見て、密かにその可能性に気づき始めていたんじゃないのか?」

 

 ダンテは魔王の力を受け継ぎ、今、デビルマンとして覚醒した。

 そして、俺も人間を超える力を持って生まれ、デビルマンの力を手に入れた。

 それは特異点の力だと思っていた。

 しかし、それはデビルマンに目覚めてからわかったこと。

 理由を後付けして納得しようとしていただけなのだとしたら……。

 

 レクスは俺自身の最大の疑問を解明した。

 

「おまえは純粋な人間として転生したわけじゃない。おまえの魂を構成しているのは、悪魔の力なんだよ。内海明人‼」

 

 俺が……悪魔……?

 

「最高だな!?不動明の魂の一部と、悪魔の魂が混じった存在‼確かにおまえは悪魔人間、デビルマンだ‼生まれた時からなぁ~‼」

 

 現実を直視することができず、震えた声が出てくる。

 

「う……嘘だ……。俺は……人間として生まれてっ…‼」

「ああ、そうだ。おまえは人間、内海明人として生を受けた。しかし、その魂には悪魔が住み着き、おまえの身体に異常なほどの力を与えていた。ダンテのように表面化したわけではないが、それでも人に恐怖を与えていたはずだ‼」

 

 俺の中に、ゼロとは別の悪魔の力が……。

 ずっと、魂の陰を潜めて身体の中で共存していた。

 

「嘘だ……違い……そんなことはないっ…‼全て、おまえのでたらめだ‼」

「でたらめかどうかは、おまえ自身の身体で確かめてみるんだなぁ」

 

 レクスは漆黒の南京錠を取り出し、ゼロのベルトの中央に装着する。

 

 その瞬間、ベルトを中心に身体全体に激痛が走った。

 

「ぐるぅぅううう……うがぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」

 

 ベルトから青紫色のオーラが広がり、俺の全体を包み込む。

 ゼロの白い光とは真逆の力が流れ込んでくる。

 

 そして、俺の意識を何かが飲み込んでいった。

 

 

 -----

 

 

 目の前に広がるのは、黒い空間

 その中に俺は立っている。

 

 空間の中に悲鳴が飛び交い、声が聞こえてくる。

 

『憎い……憎い、憎い‼』

『許さない‼この世の全てを許しはしない‼』

『全て壊してやる……俺を否定する全てをぉおお‼』

 

 足を進めれば、その先に居たのは黒い獣。

 

「ふんっ!ふんっ!ふんっ!ふんっ!」

 

 獣は女をひたすら犯している。

 女の両足は力なく上下に弾んでおり、上半身も揺れている。

 

 獣が犯しているのは血塗れの女だった。

 

 そして、俺の足元に女の生首が転がってきた。

 

「あぁぁ……あぁああ……うわぁあああああああ‼‼」

 

 その首は美佐樹のものだった。

 光を失った目を俺に向け、空虚な顔を浮かべている。

 

「おまえか……おまえが……美佐樹をぉ…‼」

 

 頭を持ち上げ、獣を睨みつければ、女の身体と繋がったまま悪魔はこちらを向く。

 

「っ‼」

 

 死体の上半身は血塗れであり、いたるところの臓器が露出している。

 獣は美佐樹の死体を犯しているだけではなかった。

 下半身は繋がったままで、上半身をくらっていたのだ。

 

<俺は、おまえだ>

 

 血で汚れた口でニヤッと笑う獣。

 

「やめろ……違うっ‼……やめろおぉおおおおおおお‼‼‼」

 

 これが、もう1人の内海明人。

 悪魔の獣。

 

 

 -----

 

 

 白藤の目の前で起きた変化は収まり、明人の姿は変化する。

 白でも黒でもない、青紫色の刺々しい獣の鎧に身を包んだデビルマン・ゼロの姿。

 

 身体からは禍々しいオーラが漏れ出ており、それを感じてレクスはマスクの下で不敵に笑う。

 

「これが……ヴァイスロックの力によって現れた悪魔の姿、デビルマン・ヴァイスゼロ‼その実力、試させてもらおうか‼」

 

 黒炎をヴァイスゼロの周囲に展開して襲いかかる。

 しかし、ヴァイスゼロはそれをその場から一歩も動かずに巨大な翼をはためかせることで消し去り、頭を傾けてレクスに顔を向ける。

 

<コ・・・ワ・・・ス>

 

 その呟きの後、レクスの背後に回れば右腕を薙ぎ払うだけで彼の身体は吹き飛び、壁に身体をめり込ませる。

 

「ぶぐふっ‼……ほほぅ……これは、面白い‼」

 

 地面から無数の炎の鎖を出してはヴァイスゼロの動きを拘束しようとするが、彼に触れる前に鎖は消滅してしまう。

 近づこうとする前に、翼から羽根が飛んではそれに触れた瞬間に消えるのだ。

 

 そして、翼を広げれば紫色の光子が展開され、無数のビームがレクスに向かって飛んでいく。

 

 黒炎の壁で防ごうとするが、それは容易く砕かれては直撃するレクス。

 

「がぁ!ぐぁ!はぁ!あぐっ!がはぁああ‼」

 

 耐え切れずに後ろに下がりながらも、クックックと笑いが絶えない。

 

「これなら、どうだ……ヘルファイヤ・アトミック‼」

 

 巨大な黒炎の塊を放ち、ヴァイスゼロに迫る。

 直撃する瞬間に爆発し、手ごたえがあるとレクスは思った。

 

 しかし、爆発が収まってもヴァイスゼロは無傷だった。

 無数の羽根を展開しており、それで防いだのだ。

 

<キ・・・エ・・・ロ>

 

 感情ない淡々とした声で呟けば、羽根が集まって巨大な手となり、レクスに迫っては掴んで圧をかける。

 

「ぐふぅうう‼‼……どうだ、感じているか、内海明人!?これが、おまえの本性だ‼おまえは紛れもなく……悪魔だぁあああ‼‼」

 

 その声でヴァイスゼロの心が乱されることは無かった。

 彼は右手を前に出しては、ゆっくりと握り潰す動作をする。

 

「ぐがはぁああああ‼‼」

 

 圧倒的な力で握り潰される前に、帝王の鎧に限界が来ては変身解除してしまう。

 

<ハ・・・カ・・・イ>

 

 生身の身体だろうと、容赦なく握り潰そうとするヴァイスゼロ。

 その行動からは、一切の躊躇いも同様も見られない。

 心を感じない。

 ただ、目の前の敵を壊そうとするのみ。

 

 それが闇の獣。

 デビルマン・ヴァイスゼロ。




いやー、嬉しくない強化イベントですね。

明人くんの新たなる真実と、それを利用する新しい力。
デビルマン・ヴァイスゼロ。
前の怒りによる暴走ではなく、内側から来る闇からの暴走。

あー、書いてて胸糞悪い‼

感想、評価、お気に入り登録、いつもありがとうございます。
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