DEVILMAN REBORN ~LOST DESTINY~ 作:カナト
もう、展開としては今までに類を見ないほどの胸糞展開が複数ありますが、最後までお付き合いいただけると幸いです。
よろしくお願いいたします。
転生の真実
魔戒島からの帰還を経て、俺が真っ先に向かったのは三者連合のアジトだった。
了さん……この世界を回帰させた張本人、大魔神サタンに確かめなければならないことがあるからだ。
白藤が言っていたことが真実なのだとしたら、俺は自分と本当の意味で向き合わなければならなくなる。
代表室のドアを叩き、中から返事が来る前に開ける。
「面会はアポを取ってからにしてほしいものだが……。帰還早々に不機嫌そうだな、アキト」
「了さん……大事な話がある」
了さんは俺の鬼気迫る表情から事の深刻さを察してくれたようで、話を聞く前に「まぁ、座りなさい」とソファーに座るように促してきてはサイコジェニーに紅茶を用意するように伝える。
対面で座り、落ち着きがない俺とは対照的に冷静に話を始めた。
「報告は聞いている。特異点ダンテの件はご苦労だった。君と甲牙くんには、しばらく身体を休めてもらうつもりだ」
「ありがとう、了さん。でも、俺のことは良い。まずはこれを見てくれ」
俺はデビルマンのベルトを出して了さんに見せる。
ヴァイスロックは装着されたままだ。
ベルトを受け取ってヴァイスロックを見れば、了さんは目を見開いた。
「これは……ヴァイスロックか。邪悪な力が注ぎ込まれた禁忌の物だ。これをどこで?」
「白藤が無理矢理装着させたんだ。俺じゃ外そうとしてもビクともしない……」
「これを付けたまま、変身したのか?」
「……ああ。白藤に自分の身体で確かめろって言われて……抵抗することができなかった」
拳を握っては震えてしまい、あの時の感覚が蘇る。
怒り、悲しみ、憎しみ。
あらゆる感情が俺の身体をむしばみ、支配していった。
そして、俺の中に潜んでいる獣が姿を現した。
「俺の中にはっ……確かに何かが居る。白藤は、俺を構成しているのは悪魔だと言った。了さん……俺は一体、何なんですか!?」
俺は話した、魔戒島で白藤が自分に語ったことを。
あいつが自分こそが不動明の真の転生者だと言ったこと。
俺が悪魔の力を宿して生まれたことは異常であるということ。
俺が不動明の残りカスから生まれた存在だと言うこと。
了さんは目を閉じてしばらく沈黙した後、開眼しては意を決して口を開いた。
「確かに、君の中には生まれた時から悪魔の力が宿っていたことに間違いはない。デビルマンは本来、悪魔の力を後天的に引き継ぐ者。しかし、君の場合は例外としてその前から不完全ながら悪魔の力を宿す形になってしまった。それは、明の魂を転生させるためには仕方のないことだった」
「……どういうことですか?」
「この世界では異なるが本来のデビルマンとは悪魔の鎧を装着して力を発揮する者ではなく、身体が悪魔の身体に変化して力を発揮する者だった。つまり、身体は悪魔のものに変異してしまう。だから、明は合体した悪魔とは切っても切れない回路ができてしまったんだ。勇者アモンという悪魔の力とね……」
「それじゃあ、俺を構成している悪魔の力っていうのは!?」
考えもしなかった。
デビルマンになるということは、人間の心を持って悪魔の力を引き継ぐということだ。
それならば、勇者アモンと合体してデビルマンとなった不動明の魂を構成している中に、悪魔のものが混じっていてもおかしくはない。
「白藤の場合はどうかはわからない。しかし、君の場合は断言して言えることがある。アキト……君への言葉を1つ訂正しよう。君は不動明の転生者であることに変わりはない。だが、明だけじゃない。君の魂を構成している悪魔は、明が力を受け継いだ悪魔と同じ。前世界のデーモンの勇者と呼ばれた戦士、アモンの転生者でもあるんだ」
不動明と勇者アモン、人間と悪魔、2つの魂が混じって転生した存在。
それが俺、内海明人。
「じゃあ……俺が今まで戦ってきた、この世界の勇者アモンは何なんですか!?俺がアモンの転生者でもあるなら、あいつは一体っ…‼」
「落ち着け、アキト。取り乱す気持ちはわかるが、俺も全てを知っているわけではない。バイオレンスジャックという存在の前例がある。もしかしたら、アモンも特別な存在なのかもしれない。俺たちが計り知れない何かによって生み出された……な」
了さんは神妙な面持ちになり、腰を丸めて唸ってはヴァイスロックを睨みつける。
「アモンのこともそうだが、今はヴァイスロックだ。これが危険な代物なのは、君も身をもって理解したはずだ」
「まぁ……それは、流石に」
「これを外す手段は、今はわからない。だから、今後君が変身することは禁止する。少なくとも、制御できるようになるまではな」
「それじゃあ、いざって時にゼロの力が必要になったら―――—」
「忘れるな、アキト。俺たちが求めているのは、デビルマン・ゼロである内海明人だ。邪悪に飲まれた悪魔じゃない」
そう言って、了さんはゼロのベルトを返そうとしない。
「デビルマン・ゼロはしばらく休業だ。これからは三者連合全体で動かなければいけなくなる。君の力を必要とするほどの大事は、そうそうあるものじゃない」
「……了さん、えも、俺は……」
「今は大切な人との時間を大切にすることだ。一刻も早く帰ってあげた方が、美佐樹ちゃんも安心すると思うぞ?」
「……わかりました」
美佐樹の名前を出されると弱い。
本当なら、今頃帰っている予定だったのを遅くなるとメールしておいたが、不機嫌になっているだろうことは目に見えている。
「俺が本当の意味で悪魔人間だって言ったら……美佐樹は、どう思うでしょうね」
「彼女なら、それでも君を受け入れてくれるに決まっている。美佐樹ちゃんは強い子だからね」
美佐樹は確かに強い心を持っている。
反面、俺の心は弱い。
迷ってばっかりで、最悪な想像しかできない。
不動明の転生者としての俺と、勇者アモンとしての転生者としての俺。
どっちが本来の内海明人なのか。
自分で自分がわからなくなる。
「ヴァイスロックのことは、俺たちがどうにかする。アキト、今は休んだ方が良い。身体の意味でも、心の意味でもね」
俺は黙って頷き、ソファーから立ち上がって扉に向かう。
<明人様、紅茶が入りましたが?>
「悪い、ジェニー。今は飲みたい気分じゃない」
ぶっきらぼうにそう言えば、俺は代表室を出ていった。
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了は明人を見送った後で溜め息をつき、サイコジェニーから紅茶を受け取って口を付ける。
<サタン様、何故本当のことをお教えにならなかったのですか?>
「……何のことだ?ジェニー」
<勇者アモンのことです。あなたは、この世界を回帰させた存在。そして、前世界にも存在していた者。2つの魂を持つ者が、同時に世界に存在するのは摂理に反することでは?>
「その通り。それはバイオレンスジャックも注意していた所だ。今まで白藤隆一とアキトが接触しても何も起こらなかったことも、大体の察しはついている」
紅茶を一気飲みした後、ジェニーにカップを渡してガラス張りの窓から空を見る。
「真に明の転生者となる者……か。それを決めるのは、誰でもない。明自身だ。そして、彼は既に答えを出しているはずだ」
<では、白藤隆一は一体……何を持って不動明の転生者であるなどと……>
貼りついた笑顔のまま考えるサイコジェニーを後目に、了が問いかける。
「ジェニー。君はマジンカイザー……兜甲牙のことをどう思う?」
<どうとは……。デーモンの力を持たずして我々と同等以上の力を持っていることから、異質な存在だとは思いますが……>
「そう、異質だ。前の世界では存在しなかった光子力エネルギーが悪魔に対抗するための力として働いているのは、この世界だけだった。そして、それを認識した時から俺は自分の行動にある仮説を立てた」
了は思い出す、これまでの世界の回帰を。
何十回、何百回、何千回と繰り返してきた黙示録の運命。
その中で何度変化を与えようとも、結局は神の掌の上で踊らされていたに過ぎなかった。
そして、この特異点の力によって神の干渉に抗う世界で起きている変化。
変化は歪みを生み、大魔神サタンすらも全く想定していなかったことを起こす。
「俺が回帰を繰り返したことによって、次元に歪みが生じたのかもしれない。そして、今までの悪魔と人間の戦う世界ではありえなかったことが起きている。それが、この世界なのだとしたら……別次元の存在がこの世界に集約されているということもあり得る」
<……と、おっしゃいますと?>
ジェニーが聞き返せば、了は振り向いて答えた。
「本来は出会うはずのない存在同士が出会うことで、この世界は神に抗う力を手に入れようとしているんじゃないかと、俺は思う」
<世界が、神に抗う力を求めているということですか>
「俺にはそう思えてならないんだよ」
神に抗うために集結する者たち。
それも内海明人を中心に、運命は大きく変わっている。
この変化を止めるわけにはいかない。
手元のヴァイスロックを睨みつけ、了は心の中で呟く。
(彼らの邪魔はさせない。俺にできることは、神の手から彼らを守ることだけなのだから)
サラッと重要な真実を言った気がしますけど、大抵の読者様は気づかれていたことと思います。
デビルマンの転生者なんですから、人間と悪魔の魂が混じっていてもしょうがないですよね。
(それと勇者アモンの話は別だろ)
とりあえず、この真実が後々重要になってくるぅ……のかな?笑
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