DEVILMAN REBORN ~LOST DESTINY~ 作:カナト
正直、胸糞悪いし、作者も書いててフラストレーション全開です。
人間、デーモン、デビルマン。
今でも、この3種族による紛争は至る所で起きている。
それによって失われる命は後を絶たない。
三者連合では何度も会議が繰り返され、犠牲を出さない方法を模索している。
しかし、組織の中でも考えがまとまることはない。
今日も了を始めた首脳陣は苦悩の表情を浮かべたまま、会議をお開きにした。
幹部たちが席を立って会議室を出る中、了は1人座ったまま腕を組んで唸る。
もはや、最近はこれがルーティンとなっているようで、考えをまとめるために静寂の空間を求めているようだ。
「飛鳥くん、少し良いか?」
思わぬ人物から声をかけられ、了は咄嗟に席を立って相手に身体を向ける。
「兜博士……。申し訳ありません、もう研究所に戻っていらっしゃるとばかり」
兜博士は幹部の1人ではあるが、普段は会議に参加するような人物ではない。
しかし、今日はずっと静観していたが会議に参加していた。
「うむ、少し気がかりなことがあってな。混乱を生まないように議題には出さなかったが、今世間では奇妙なことが起きておる」
「奇妙なこと……と、おっしゃいますと?」
了が目を細めて聞き返せば、兜博士はノートパソコンを開いてある映像を見せる。
映っているのは夜の路地裏の監視映像。
そこには複数の人間が映っている。
談笑しているグループの中で突然、前触れも無く変化が起きる。
1人の女が腹を抱えてうずくまり、肌の色が緑色に変わってはカマキリ型のデーモンに変化する。
そして、周りに居た人間を両腕の鎌で切り裂いてしまっては混乱したようにその場から逃げてしまった。
映像はそれで終わり、了は衝撃を受けたように目を見開いた。
「これを見た君の率直な意見を聞きたい。今の現象は何だと思う?」
「通常、デーモンは理性を失った人間に憑依します。しかし、今の女性からはその状態を確認できなかった。正常な状態の人間の身体を乗っ取ることができるデーモンなら、強大な力を持った存在です。しかし、今のは下級デーモンの部類……。不可解な部分が多々あります」
「大魔神サタンである君でもそうか……。今、調査員を向かわせてこのデーモンの調査に当たらせている。結果が分かり次第、君に報告しよう」
「わかりました。お任せします、兜博士。……これは!?」
もう1度パソコンの映像を確認すれば、了は一瞬映ったある違和感で一時停止する。
「どうした?飛鳥くん」
「……不可解な理由がわかりました。しかし、もっと大きな謎が増えてしまった」
デーモンの腰の部分を指させば、ベルトが巻かれているのが視認できる。
「これはデビルマンに変身するために必要なベルトだ‼これはデーモンではない、デビルマンだ‼しかし、その姿はデーモンそのもの‼」
「デビルマンとは本来デーモンの力を鎧として外装を纏い、人間の心を持ったままその力を使う戦士。それがデーモンの姿をしているとなれば……」
了の中で新しい仮説が生まれる。
「デビルマン・ゼロ……内海明人が暴走した時、彼は巨大な鳥の怪物へとその姿を変えました。あれが本来の破壊皇ゼロの姿だとすれば、今のデーモンの姿もまた、デビルマンの暴走の一種なのかもしれません」
「デビルマンの暴走か……。そうとなれば、ことは急を要するな」
「はい……このことが世界に公表されれば、今の均衡状態が崩れるかもしれません」
デビルマンは悪魔の力を持った人間である。
心は人間のままであるという認識の下、人間とデビルマンの均衡は保たれている。
今はまだデビルマンを人間として受け入れるか、悪魔として排斥するかの主張はどちらにも傾いてはいない。
それがデビルマンが暴走して人を傷つける危険があると知られれば、悪魔として排斥しようとする者たちの動きを加速させてしまう。
「このことは、今は君と儂だけの胸に留めておこう。君はこれまで通り、今の均衡を保つために皆をまとめてくれ」
「わかりました。慎重にお願いします、兜博士」
「ああ、わかっておる」
兜博士は会議室を後にし、その場には了が1人残る。
(デビルマンのベルトが暴走する……。デーモンの力と適合する者が装着すれば、力は安定して暴走するはずがない。アキトのように精神的な問題でもあったのか?いや、あるいは……適合者との調和が安定していなかったのか)
了の中であらゆる考えが巡る中、ある存在が頭を過ぎった。
「白藤隆一……なのか?」
安直な考えかもしれないが、デビルマンが関係するのであれば、デビルマン軍団の勢力を増やすために適合者を探し出すのに不自然な点はない。
白藤の姿が脳裏を過ぎると共に、彼から親友の気配を感じたことを思い出す。
(明……おまえは本当に、白藤隆一の中に取り込まれてしまったのか。俺はまた、おまえと戦わなければならないのか)
前世界でのデビルマンとデーモンの悲しき最終決戦を思い出し、表情が暗くなる。
やはり、彼の中で未だに気持ちの整理がついてはいないのだ。
その憂いが、この先の戦いで影響を与えなければ良いのだが……。
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魔戒島での戦いから日本での日常に戻り、俺はマジンカイザーとしての戦いの日々に戻る前にダンテと聖域の女たちの保護を兼ねて生活できる場所を探していた。
サタンにダンテと聖域のことを話せば、一言「君に一任する」と返されただけだったからな。
街の中を歩き、沙織たちのショッピングに付き合いながらダンテと共に遠目で彼女たちの楽しそうな顔を確認している。
「すまない、甲牙。俺たちのことで、またおまえに迷惑を……」
「そう言うなって、好きでやってんだ。それに、俺が来て逆に良かったんじゃねぇか?これだけの量の荷物持ちは、1人じゃキツイだろ……」
足元にある買い物袋の山を見ては溜め息が出てしまい、ダンテも目を逸らしては再度弱弱しい声で「すまない…」と口にする。
「それで?聖域を出てから、おまえのやりたいことは見つかったのか?」
「……難しいな。俺はまだ王としての在り方がわかっていない。それを知るためにも、今は多くのことを学びたいと思っている。人間のこと、デーモンのこと、デビルマンのこと……そして、この世界のことを」
「何だか、難しく考えてねぇか?今は好きに生きても良いだろ。王がどうとかは知らねぇが、今は思う通りに生きてみろよ」
肩を軽く小突いて言えば、ダンテは薄く笑みを浮かべてフッと笑う。
「甲牙が羨ましいな。俺はまだ迷ってばかりだ……それで立ち止ることもあるかもしれない。しかし、おまえはいつも前を向いて行動している。迷いを感じないその生き方は、尊敬に値する」
「……なぁ、それって遠回しに俺のことをバカにしてねぇか?俺だって悩むことだってあるっつーんだよ」
両腕を上に向かって伸ばしながら言って女子たちを見れば、沙織がダンテに「ほら!ダンテも来なさいよ!」と彼を呼んで手を振っていた。
「ほら、王様。沙織お嬢様が呼んでるぜ?行ってやれよ。俺は荷物を見てるからさ」
「あ、ああ。しかし……」
「俺は大丈夫だ。ちょっと休憩させてくれよ」
苦笑いしながら言えば、ダンテは沙織たちの下に向かう。
ダンテたちを見て、不思議と口角が上がってしまう。
こうして見ると、人と悪魔の区別なんてつかねぇよなぁ……。
ダンテが女子たちの着せ替え人形状態になっているのを見ていると、微笑ましく思えてしまう。
こういう感情が生まれるくらいには、俺も丸くなったってことかもな。
今、この街を歩いている人たちの中にもデーモンやデビルマンが混じっているかもしれない。
前は神経質になっていたが、今は危害さえ生み出さなきゃ人間と変わらない存在だと思える。
「マジンカイザーは人類の希望……。だけど、もう人類だけの希望じゃいられねぇんだよな」
三者連合に協力し、全ての種族が共に生きられる世界を目指す。
そして、その世界の平和を守るためにマジンカイザーが居る。
これから戦いは激しいものになるかもしれない。
それでも、俺は戦い続ける。
みんなを守ることができる、真の英雄になるために。
「きゃぁあああああああ‼‼」
突然、悲鳴が聞こえてくれば、その声がした方に視線を向けて目を見開く。
『ブグォオオオオ‼』
目の前に居るのは巨大なカマキリ型のデーモンであり、口に複数人の人間を含んでは血をまき散らしながらムシャムシャと食べている。
人々はその光景に恐怖して逃げ惑う。
「あいつ……ふざけんな‼」
駆けだしながらブレスレットをしている左腕を天にかざして「マジンゴー‼」と叫び、カイザの鎧を装着する。
カイザーブレードを出して斬りかかれば、それを両腕の鎌で受け止められる。
「っ!?こいつ、カイザーブレードに耐えたのか!?」
下級デーモンであれば、防御されたとしてもそれを薙ぎ払って切り伏せることができる。
こいつは並みのデーモンじゃねぇ‼
1度距離を取り、口部のスロットを開いては両方の鎌をめがけて2つの竜巻を放つ。
「ルストトルネード‼」
竜巻を受けた鎌はすぐに風化し、デーモンは無防備になる。
そして、両腕を開いた時におかしな物が目に入った。
「あれは……デビルマンのベルトか!?」
それなら、目の前に居るカマキリ野郎はデビルマンだってことかよ!?
いや、デビルマンなら明人のように悪魔の力を鎧として具現化するはずだ。
だったら、こいつは一体何なんだ。
動揺している間に、カマキリは使えない両腕ではなく長い首を伸縮させながら人間を襲おうとする。
「しまった‼」
1人の逃げ遅れた子どもを目がけて口を開きながら近づく悪魔。
それを止めるためには、俺は動くのが遅すぎた。
「止めろぉおお‼」
その叫びに答えるように、光沢のあるグレーの残像が超速で子どもを抱えて助け出す。
「すまない、マジンカイザー……。遅くなった」
「デビルマン・ゼノン‼」
ダンテの変身したデビルマンの姿、それがデビルマン・ゼノン。
そう、あれが本来あるべきデビルマンの姿だ。
ゼノンと並び立ち、デーモンを見る。
「……あのデーモンは泣いている」
ゼノンが辛そうにそう言えば、俺は彼に顔を向ける。
「どう言う事だ?」
「聞こえてくるんだ。あのデーモンから、2つの声が。1つは悪魔の声、もう1つは人間の声……だと思う。2つの魂は苦しんでいる。『誰か助けて』と、『こんなことはしたくない』と」
「なら……あいつは、好きで暴れているわけじゃねぇってことかよ!?」
静かに頷くゼノンに対し、俺の中で動揺が加速する。
今、こうしている間にも目の前の悪魔は自身と戦いながらも人々を傷つけている。
カイザーブレードを握る手が強くなり、切り捨てることをためらってしまう。
「マジンカイザー、俺はあの者を苦しみから解放したい。一体、どうすれば……」
「……」
前の俺なら、迷わずに悪魔ならば斬っていた。
だけど、今は斬ることをためらってしまっている。
俺は……どうすれば……。
斬るべき、斬ってはいけない。
2つの意見がせめぎ合い、動けない。
ゼノンは暴れる悪魔を止めようと飛び掛かり、動きを抑える。
「止めろ‼おまえは、こんなことをしたいわけじゃないはずだ‼」
『グブルゥウウウ‼グブァアアアアアアア‼』
必死に訴えるゼノンの声は届かず、悪魔は暴れ続ける。
それをただ見ていることしかできない俺に、悪魔から逃げていく人々とは反対に近づいてくる者が居た。
「どうしました?人類の希望、マジンカイザー。何故、目の前に脅威があると言うのに立ち尽くしているのです?」
振り返れば、黒を基調とした服を着ている男が後ろで手を組んで立っていた。
「何をしてんだよ!?ここは危ない、逃げろ‼」
「危険だというのなら、あなたは早急にその危険分子を排除すべきなのでは?」
「っ!?」
男は歩みを進め、俺の前に出てゼノンと悪魔を見てフッと笑う。
「やはり、悪魔は醜い。このような存在を野放しにしても良いのですか?人類の希望」
「おまえ……一体、何なん―――」
「今は私のことよりも、目の前にある決断を優先すべきではないのですか?人類に害を与える脅威に制裁を与えるのか、このまま黙って人々が殺されていくのを見ているのかを」
悪魔を押さえるゼノンが、俺に目を向ける。
「頼む、マジンカイザー‼もう、抑えるのも限界————うぁああああ‼」
助けを求めるゼノンは振り払われ、悪魔がまた暴れてしまう。
俺には、あの悪魔を苦しみから助け出す方法は1つしか思いつかない。
しかし、それは今の俺には辛い決断でもある。
それでも……やるしかない。
カイザーブレードを両手で構え、悪魔に刃を向ける。
「悪い……。だけど、おまえを助ける方法は今はこれしかねぇんだ‼」
カイザースクランダーを展開して上空に飛び、そのまま急降下してカイザーブレードを振り下ろした。
「うぉおおおおお‼」
悪魔を一刀両断し、左右に分かれた身体は痙攣を起こしてはすぐに動かなくなった。
返り血を浴び、俺はそのまま立ち尽くしてしまう。
ダンテが変身を解除し、目を見開いて俺を見る。
「マジン…カイザー……。甲牙……どうして」
「悪い……ダンテ。俺には……こうする以外に方法が思いつかなかった。……こうするしか、なかったんだ‼‼」
何してんだよ……俺は。
結局、何も変わってねぇじゃねぇか。
変われたと思っていたのは、俺の勘違いだった。
呆然と立ち尽くす俺とダンテに、パンパンパンっと拍手しながら男は歩み寄ってくる。
「流石は人類の希望、マジンカイザー。しかし、あなたの心はまだ未熟なようだ」
「……何だと?」
変身を解除して男を睨みつけるが、奴は動じずに周りの惨状を見る。
「見なさい、この辺り一帯の被害を。少なくとも、あなたが迅速に悪魔を排除できていれば、今よりも被害も犠牲も最小限に抑えられたはずです。あなたの心に迷いがあったから、このような結果を生んでしまったのですよ?」
「それは違う‼これは甲牙の責任じゃない‼俺が甲牙に無茶な願いを言ったから――——」
「悪魔の意見は聞いていない。口を挟まないでもらえるかな?」
男から冷徹な目を向けられ、ダンテは衝撃で口をつぐんでしまう。
俺はダンテの前に立ち、男と対面しながら鋭い目を向ける。
「おまえ……いきなり、現れやがって言いたい放題言いやがって。一体、何者だ!?」
男はジャケットの懐から名刺を取り出し、俺に提示する。
「申し遅れました。私は対悪魔研究チーム『ホーリースパーク』の代表をしております。雷沼虎之助というものです。以後、お見知りおきを。現・人類の希望、兜甲牙さん」
満面の笑みを向けながら手を差しだして握手を求める雷沼。
しかし、俺はその手を取る気にはなれなかった。
雷沼虎之助。
彼は敵か味方か(言ってみたいだけで、大体察しはついてしまう)
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