DEVILMAN REBORN ~LOST DESTINY~ 作:カナト
真の力を解放したあしゅら男爵である、デビルマン・アシュラ。
それと相対するのは、雷沼が変身した金色の戦士、セイクリッドセイヴァー。
セイヴァーはアシュラの後ろに居るデビルマンの群れを見ては、腰に刺している紫のランスを抜く。
「ふむ……まず最初に、雑魚にはご退場願おう」
ランスを頭上に掲げ、空に向かって光線を放つ。
雷雲が奴の頭上に集まり、青い稲妻がランスに落ちてはそのエネルギーを吸収する。
「天の裁きを受けるが良い……サンダーブレェエイク‼」
ランスの先から雷撃を薙ぎ払うように振るって放てば、アシュラの背後に居るデビルマンたちを焼き尽くした。
『『『ぎぁはぁああああ‼‼』』』
デビルマンの断末魔の声を聴き、セイヴァーは不敵に笑う。
「フッフッフ……これが、悪魔を葬る天の鉄槌だ」
アシュラは自身の背後を見ては、奴を怒りに顔を歪ませながら睨みつける。
『おのれぇ……やってくれたなぁ‼マジンカイザーの前に、貴様から葬ってくれる‼』
上段の両手の杖を回転させれば、数個の光輪を生成してセイヴァーに向かって飛ばす。
接近してくる光輪に対して回避行動をせずに静かに歩みを進め、奴は鎧でそれを全て受け止めてアシュラの前に立つ。
そして、その腹部に拳を打ち込んだ。
『ぶぐぅううう‼‼』
強烈な一撃を喰らい、後ろに下がるアシュラ。
その胸中では、焦りが生まれる。
(何なのだ、今の攻撃は!?しかし…‼)
セイヴァーは仁王立ちで右手の人差し指をアシュラに向けて2回ほど軽く曲げる。
「この程度ではないだろう?早く次の手を見せろ。容易く終わってしまっては、このセイクリッドセイヴァーのアピールにならないじゃないか」
『貴様ぁ……このアシュラをこけにしおってぇえええ‼許さん‼』
電撃をまとった双剣をセイクリッドセイヴァーに向かって振るうが、それを奴は防御もせずにそのまま鎧で受け止める。
「おまえのデータは既に把握している。この程度の力では、このセイクリッドセイヴァーの装甲に傷1つ付けることはできんよ」
セイヴァーはアシュラの中段の両手首を掴み、強く引っ張っては引き千切って左右に捨てる。
『うぎゃぁあああああああ‼』
千切られた部分から血が噴出して苦しむアシュラ。
それを冷静に見ながら、ランスの先端をアシュラに刺してドクンっドクンっと脈打ってはエネルギーが流れ込む。
「デビルマン・アシュラ……その力、我が糧としよう。光栄に思うが良い」
そう言ってはランスを引き抜き、アシュラの顔面を蹴って遠ざける。
『ぐがはぁああああああ‼』
仰向けに倒れるアシュラに対して、セイヴァーはランスに力を集中させて金色に輝かせる。
「そろそろ、余興もここまでだ。救世のため裁きを下そう」
ランスを横に構え、左手をかざす。
「シャドーレイランス……フルドライブ‼」
金色の稲妻が走り、セイヴァーはアシュラに向かってランスを振り下ろした。
稲妻は竜の形になり、その口が開いてはアシュラを飲み込んだ。
全身から雷撃を受け、断末魔の声が響く。
『ぎぃあがふぎゃぁああああああああああああああああああああああ‼‼』
そして、止めとして、セイクリッドセイヴァーはランスを投げてアシュラに突き刺そうとすれば、奴は下段の両手を開いて壁を展開する。
ランスと壁が激突しては、アシュラのそれはガラスのように粉々に砕け散っては胴体を貫通させる。
そして、内部から雷撃を放ち、引き抜いて背後を見せた。
「叫びと共に祝福しろ、神聖なる救世主の誕生を」
最後に頭上に右手を上げて指を鳴らせば、アシュラは爆散した。
『がぁはぁああああああ‼‼……おのれぇえええ‼デビルマン・アシュラ……ここに死すぅうううう‼‼』
叫びと共に消えて行ったアシュラを、俺は見ていることしかできなかった。
終始、圧倒されていた。
俺は2人の戦いに入ることもできなかった。
あのアシュラが、マジンカイザー以外の敵に圧倒的な敗北をしたんだ。
セイヴァーは俺に歩みより「立てるかい?」と言って手を伸ばしてきた。
その手を取った瞬間、スルっと奴の手が離れてしまう。
「フフッ……すまない、手が滑った」
ランスを地面に刺し、変身を解除しては目を細めながら俺を見下ろす。
「あの程度の敵に負けるとは、それでも人類の希望ですか?マジンカイザー」
「っ…‼」
言い返せない。
マジンパワーを解放すれば、アシュラにも勝てただろう。
しかし、それができなかった。
それは何故か……。
俺の中で、戦うことに対して迷いがあったからだ。
「マジンカイザー……いや、兜甲牙くん。君は戦いから身を引いた方が良い」
「んな!?何を言ってやがる!?」
まさかの提案に反発しようとするが、雷沼の冷静な一言が俺の心をへし折った。
「今の君からは、当初のような力を感じない。悪魔であれば躊躇いなく殺し、人間であれば全ての者を救おうとする。それが、本来の人類の希望というものではないのかね?……人類の希望と言われながら、君は何を守ろうとしている?」
人類の希望と言う言葉を抱えている矛盾。
俺は人間だけでなく、悪魔も苦しんでいることを知った。
だからこそ、もう人類だけの希望ではいられない。
「私ならば、このセイクリッドセイヴァーならば、真の人類の希望になることができる。悪魔を倒し、真の平和を勝ち取ると約束しよう……。君ではなく、この私がね」
雷沼は背中を向けて立ち去って行く。
「今の君には、人類の希望と言う言葉は相応しくない。今後は、その使命は私が引き受けよう」
俺は奴の言葉を、何1つ否定することができなかった。
雷沼の……いや、セイクリッドセイヴァーの力を目の当たりにして言葉が出なかったんだ。
この戦士の力なら、本当に人類を救うことができるんじゃないかと思ってしまった。
少なくとも、今の俺よりは確実に。
「時代の変わり目……か」
変身を解除すれば、力が一気に抜けてしまう。
空の雷雲から、雨が降り出してくる。
雨に打たれながら、俺は自身の存在意義について疑問を持ち始めた。
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セイクリッドセイヴァーとデビルマン・アシュラの戦いを、異次元から見下ろしていた白藤。
彼はセイヴァーの姿を見ては目を鋭くさせて睨みつける。
「セイクリッドセイヴァー……か。また気に入らない戦士が現れたということか」
手に持っている神のシナリオを開き、フッと笑みを浮かべて手をかざす。
そのページは、アモンとシレーヌの争いが描かれている。
「アモンとシレーヌ……。運命の引力は、前世界の記憶を辿ろうとする。そして、それは俺と加藤美佐樹も例外ではない……」
精神世界に干渉し、白藤の中で確信が生まれた。
内海明人が前世界のアモンとしての意識を覚醒させたことにより、不動明としてではなくアモンとしての転生者の引力を発生させている。
そして、それと相対して自分の中の明としての転生者の引力が強くなっている。
(このまま、奴がアモンとしての意識に飲まれれば、俺の計画通りに事が進むだろう。そのために必要な物は、因果の引力を持つもう1人の存在……シレーヌ)
彼の中である策略が浮かび、悪い笑みを浮かべる。
そして、思念を飛ばして複数のデビルマンを呼び寄せる。
「内海明人……おまえは、いつまで自分の意識を保つことができるかな?」
新しい戦士の誕生と、白藤の新たなる暗躍。
いやー、不穏な予感しかしない(笑)
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