DEVILMAN REBORN ~LOST DESTINY~ 作:カナト
ツバサは傷だらけの身体で森に入り、誰も居ない洞窟に身を隠して傷を癒していた。
ボロボロの身体は、アモンとの戦闘で負った痛みの証。
それほどまでに、シレーヌとアモンの戦いは壮絶なものだった。
そして、その戦いはツバサを確かな結論に導いた。
あの勇者アモンは、シレーヌの知るアモンとは似て非なる存在であると。
「アモン……あの力は一体…」
戦いの中で感じた違和感。
勇者アモンの戦い方は、闘争本能に任せた荒々しいものだった。
力の化身としての存在を見せつけるような激しい戦いを見せていた。
しかし、彼女が戦ったアモンはそれとは違う。
力ではなく、技で攻める戦い方をしていた。
あれはシレーヌの知る勇者アモンの戦い方ではない。
アモンに対する疑惑が深まる中、彼女の前で突然黒い炎が燃え盛る。
「おやおや、これはまた派手にやられたようだな。ツバサ」
「レクス!?」
白藤隆一が炎の中から姿を現し、全裸のツバサを見てはいたたまれなくなったのか黒いローブを投げ渡した。
「勇者アモンと戦い、その程度の怪我で済んだのは運が良かったと思った方が良い」
「……そのようだ。アモンの力は絶大だった。だけど、奴との戦いでは……何も感じなかった」
そう言う彼女は虚しさを吐露する。
「あの勇者アモンとの戦いだというのに、心の高鳴りは何もなかった。やはり、私を熱くさせる男は、この世界には1人しか居ない……」
「内海明人か?」
「その通り」
白藤の問いツバサは頷き、自身の脚を曲げて抱える。
「私の本能が、明人を求めている。そして、感じる……。彼も私を求めているのを。だけど、その前には邪魔者が居る」
その名は加藤美佐樹。
アモンとシレーヌの愛の障害となる存在。
(できることなら、あの女を殺してしまいたい…‼しかし……)
白藤がそれを許さないことはわかっている。
彼もまた、あの女を必要としているのだから。
そして、自分が殺してしまったのならば、明人も自分を許しはしないだろうことも。
ツバサの内なる怒りを察したのだろう、白藤はフッと笑って神のシナリオを懐から取り出す。
「魂に刻まれた運命から逃れることは、誰にもできはしない。運命の糸は、常に共鳴している。その共鳴を強くさせれば、明人の中の悪魔としての本能が目を覚ます」
「嫌な顔をしているな。また悪だくみか?」
「悪だくみなんて人聞きが悪い。俺はあるべき者を、あるべき場所に戻そうとしているだけさ。ツバサ、君のためにもね?」
そう言う白藤の顔は悪い笑みになっており、釣られてツバサも笑ってしまった。
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了さんにガーラさんの元に行くことを伝えれば、今の街中よりは安全だろうということで
許可してくれた。
俺が居なくても、冬夜や甲牙、ダンテたちが居るから大丈夫だという判断だ。
久しぶりに森に運ぶ。
懐かしさを覚えると同時に、安心感を得るのは何でだろうな。
変身できない今、街から森への移動は乗り物でもない限りかなり時間を喰うことになる。
アクセル全開にし、両手でハンドルを握ってバイクで荒野を走る。
「ねぇ、バイクなんて何時買ったの!?」
「買ったんじゃなくてもらったんだ。了さんから、もう使わないからって強引に押し付けられた‼」
デビルマンに変身できるから、そんなに乗ってなかったけどな。
どう考えてもあの時の感じは、ただ要らなくなった物を俺に押し付けたかっただけだったような気がする。
要らないって言っても強引だったし。
「振り落とされんなよ、美佐樹」
「そう言うなら、安全運転してよー‼」
美佐樹は腰に両手を回してしがみ付き、離れないように強く抱きしめてくる。
エンジンを吹かせながら荒野を突っ切り、すぐに森に到着した。
ガーラさんの集落に足を運べば、空から彼が降りてきて出迎えてくれた。
<久しいな、明人、美佐樹。急な来訪には驚いたが、会えたことを嬉しく思う>
「ああ。また世話になるぜ、ガーラさん」
「ご無沙汰してます」
それぞれに挨拶を済ませれば、美佐樹の周りに子どもたちが集まっては遊び相手として引っ張られて行き、俺はガーラさんと2人で家の中に通される。
<アモンとサタン様から事前に話は聞いておる。おまえは悩みが尽きない男だな、明人よ>
「……悪いな。今の俺は、ただの足手まといでしかないみたいだ」
元・魔将軍として信頼されているのか、了さんはガーラさんに対しては口が軽いみたいだな。
「俺は……もう、何度目かもわからねぇけど、自分で自分がわからなくなった。人間なのか、悪魔なのか、その答えを見出せないでいる……」
<確かに、今のおまえからは前に会った時とは違う力を感じる。そのままデビルマンになれば、力に飲まれるのも無理はないだろう。力に対して、心が追いついていないと見える>
「しょうがないだろ。俺は……いきなり、悪魔の生まれ変わりだって言われても、そんなすぐに受け入れられねぇよ……」
しかし、俺の意志とは関係なく、その魂に刻まれた記憶は流れるように呼び起こされる。
自分が悪魔だと自覚しろと言うように。
俺が動揺する心を吐露すれば、ガーラさんは目を閉じて呟くように言った。
<これもまた、人間とデーモンの架け橋となる者の試練なのやもしれんな>
「……どういう意味だよ?」
軽く首を傾げて問いただせば、腕を組んで彼は言った。
<おまえたちは今、答えの見えない困難な状況の中で戦っている。人間と悪魔の力を持つ者たちの共存。それを実現させるためには、人間もデーモンも、心がまだ備わっていないのだ。おまえもまた、その心を培う必要があると見える>
「心……」
ガーラさんの言葉を復唱すれば、その大きな手を頭に置いてきた。
<おまえが何の生まれ変わりなのか、それは些細なことだ。大切なのは、おまえの心だ、明人>
彼と目を合わせれば、強い眼差しでこう言われた。
<生きていく上で重要なのは、何をしたいかではない。誰かのために何ができるか……私はそう思う>
誰かのために……何ができるか。
今、俺は自分のことで精いっぱいだった。
だけど、俺は誰のために、今、何ができる?
2つの前世なんて関係なく、純粋な俺の気持ちは。
「……ガーラさん。俺は―――」
自分の中の変わらない答えを口に出そうとした瞬間、急に地面が揺れた。
「これは…!?」
<まさか、このような時に…‼>
俺とガーラさんは最悪を予感し、急いで外に出る。
集落の中で、悪魔の鎧を装着した者たちが出現しては子どもたちに襲いかかっていた。
「そんな……どうして、デビルマン軍団が!?」
<考えるのは後だ。明人よ、おまえは子どもたちを頼む‼>
「わかってる‼」
俺はデビルマンにはなれない。
戦えるのは、ここに居るのはガーラさんだけだ。
『レクスの命令だ。ガキは全て生け捕りにしろ‼』
「させねぇよ‼」
バッタ型のデビルマンに跳び蹴りを喰らわせて離れさせ、泣きじゃくるデーモンの子どもが泣きついてくる。
<うぇええええんっ‼明人兄ちゃ~ん‼>
「遅れて悪かった、恐かったよな。森の中に逃げて隠れるんだ、良いな?」
庇いながら逃げるように誘導する。
敵のデビルマンから子どもたちを避難させながら、歯痒さを覚える。
今、俺が変身できれば…‼
その悔しさが心に影を落としていることに、その時は気づかなかった。
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デビルマン軍団が姿を現した時、すぐに動けたのは意外にも美佐樹だった。
彼女はすぐに子どもたちを逃げるように促し、自分は最後の1人が逃げ遅れないように最後尾で後ろに注意を向けながら走った。
彼女には戦う力はない。
しかし、勇敢さは悪魔にも負けないくらい、心は誰よりも強い。
後ろからデビルマンたちが迫ってくる中で、美佐樹は気づけば、何かに誘導されるように暗い洞窟の中に誘導されていた。
「ここは……みんな!?どこに居るの!?」
大声を出せど、反響するのは自分の声のみ。
そのまま歩を進めれば、奥の方から女の不敵な笑い声が聞こえてくる。
「やっと、この時が来たぞ……加藤美佐樹‼」
自身の名前を呼ぶ女の声からは、怒りを感じた。
そして、その姿を現した。
「あなたは……まさか!?」
頭部から白い翼を生やした、美しい女戦士。
「我が名はデビルマン・シレーヌ。おまえから、真の運命を奪い返す女の名だ」
2人の女は邂逅を果たした。
1人の男を巡る愛と歪みという歯車が、静かに動こうとしていた。
遂に邂逅を果たした美佐樹とシレーヌ。
そして、集落を襲ったデビルマン軍団の狙いは如何に。
あ~、ここからは胸糞展開~。
早く書き上げてしまいたい~。
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