DEVILMAN REBORN ~LOST DESTINY~ 作:カナト
身体が熱くなる。
目の前に居る女に、自身の高鳴る獣欲をぶつけていく。
こんなことは初めてだ。
そして、俺本人は不快感で吐きそうになっている。
しかし、身体は奴と……シレーヌと繋がることで悦びを感じてしまっている。
それだけでなく、俺の視界も歪んで行き、1つの変化を感じる。
シレーヌの顔が、柊木ツバサに変わって行く。
聞こえてくる声が、アモンを呼ぶ声が、変わって行く。
『「あぁ‼明人ぉ‼もっと…‼あんっ‼もっと、私を感じさせてくれぇ‼」』
身体が妖鳥のものから、ツバサ本人の裸体へと変わっていく。
それは俺も同じであり、鎧が薄れていき、裸の状態になる。
身体はそれでもなお、溢れてくる獣欲を発散させるためにツバサに向かって腰を振り続ける。
「あんっ‼はぁんっ‼あっ‼あぁ~んっ‼」
ツバサは俺の背中に手を回したまま、両足を腰で交差させてホールドしてくる。
止めろ‼俺はこんなことはしたくない‼
衝動に飲み込まれるつもりはない‼
意識ではどれだけ否定しようとも、性交は止まらない。
そして、無意識に感じてしまう。
獣の意識を通じてシレーヌを……その中に居るツバサを‼
「あぁんっ‼あんっ‼んっ‼はぁ‼あぁ~‼んぁはぁ~っ‼」
その度に、美佐樹の笑顔がちらついて罪悪感を募らせる。
「やめろぉおおおおおおお‼‼‼」
自分の意志で声を発することができた。
しかし、それと同時に、ツバサの膣内に射精してしまった。
「はぁあああぁ~~~~~っ‼‼」
彼女もそれで絶頂に達したのか、身体を仰け反らせて精液を受け止める。
俺たちは互いに抱き合う体制を保ったまま、射精が収まるのを待っていた。
そして、身体の自由を取り戻せばすぐにツバサから離れる。
「違う‼こんなのは……俺の意志じゃない‼」
否定しながら立ち上がれば、自分の身体が人間のものに変わっていることを確認する。
動揺を隠せない俺を見上げ、ツバサはフフフッと笑っては膣内から溢れ出てきた精液を人差し指ですくって舐める。
「おまえの意志がどうかは関係ない。事実として、おまえは悪魔の本能で私を抱いた。その激しい胸の高鳴りを、あの人間の娘、加藤美佐樹ではなく、デビルマン・シレーヌである、この如月ツバサに打ち付けたのさ‼」
そう言って両腕を広げ、俺に抱き着いてくる。
「気持ち良かったぞ、明人。前世からの繋がりの影響だろう。おまえと私の身体は相性が良いみたいだ……流石は、アモンとシレーヌの魂の共鳴。私たちは、結ばれるべきして結ばれたのだ」
「……ふざけるな」
静かに怒りを向けるが、ツバサはそれに動じない。
「自分に正直になって言ってみろ。加藤美佐樹とこの私、どちらの女がおまえをより満足させたのかを」
ツバサは未だに反り返った形状を維持している肉棒を触ってくる。
「ふっ……答えは聴くまでもないようだ。おまえの身体は、まだ私を求めていると見える」
「っ‼…そんなこと、あるわけないだろ!?」
彼女の手を離し、ゼロドライバーに手をかけようとして寸前で止まる。
「フッフッフ……どうした?変身しないのか?」
変身することをためらってしまう。
また、シレーヌとの共鳴で身体が言う事をきかなくなるんじゃないか。
その恐怖が、再度変身することを拒んでしまう。
睨みつけることしかできない俺の前で、ツバサは再度デビルマン・シレーヌに変身して空を飛ぶ。
「今日と言う日を、私は魂に刻むだろう。愛しているぞ?内海明人。悪魔として本当の意味で目覚める日を、私は楽しみにしている」
「やめろ‼俺は内海明人……悪魔じゃない、デビルマンだ‼」
吠えることしかできない俺を見下ろし、シレーヌは自身の腹を摩ってフフっと笑って月に向かって飛び立っていった。
1人残された俺は、腰に巻いていたゼロドライバーを荒く投げ捨てて仰向けに倒れた。
ヴァイスゼロの力は強大だった。
そして、その強大さは悪魔としての俺の衝動とリンクしている。
その衝動に飲まれてしまえば、もう自分の身体を制御することはできなくなる。
人間として、そして悪魔としての転生者である、俺の新しい力。
しかし、それは望んでいたものではなかった。
「俺は……どうすれば良いんだ…‼」
地面を強く叩けど、その答えが出るはずも無かった。
ただ1つ、確かなことがある。
俺はシレーヌと……如月ツバサと繋がりを持ってしまった。
こんな俺を好きでいてくれた美佐樹の心を、裏切ったんだ。
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明人とシレーヌの交わりを、空中から見下ろしていた者が1人。
紅の鎧を装着せし悪魔、勇者アモン。
シレーヌがアモンの名を呼び、その声に獣が答える様子に、フッと笑って仮面越しに冷徹な目を向ける。
「何をしている……明人」
それは何に対する怒りなのか。
少なくとも、シレーヌを犯されたという被害者意識からの怒りではない。
鎧の背後に収めているジャックナイフを抜き、その刃に明人を映す。
それはバイオレンスジャックが次元の狭間に投げ捨てた、かつての彼の武器だったものだ。
「……もう少し、おまえの力を借りることになりそうだぜ?バイオレンスジャック……いや、不動明」
ジャックナイフを強く握り、月にかざす。
そして、別の所から厄介な存在が現れたことを感じ取り、ツバサをはためかせて現場に向かう。
そこに居たのは、美佐樹と白藤隆一だった。
2人は言葉を交わしている。
「見たんだろ?内海明人が獣となり、シレーヌと愛し合う姿を。あれを見てもなお、君は明人を愛しているというつもりかい?あんな、裏切り者に」
「違う‼明人は……明人はぁ‼」
言葉で否定しようとしても、ショックから立ち直れない彼女は思うように言葉を発することができない。
それを見透かして、白藤は言葉を続ける。
「運命の共鳴が、あの2人を結ばせたんだ。そして、それは明人とツバサだけじゃない。君と……俺もね?」
彼は歩みより、美佐樹を抱き寄せようとする。
そして、精神世界で及んだ行為を再度繰り返そうとしている。
「君は牧村美樹の転生者、つまり、彼女と同じ運命を背負いし女だ。そして、俺は不動明の転生者だ。俺たちは結ばれる運命なんだよ」
瞳から光が消え、美佐樹は立ち尽くして拒むこともできない。
もはや、彼を拒む気力も無かった。
白藤が不敵な笑みを浮かべ、彼女の背中に手を回そうとした瞬間、一本の短剣が2人の間に飛んできて地面に刺さる。
それはジャックナイフ。
その鉈のような形状に見覚えがあり、白藤の表情が動揺で歪む。
「これは……まさか!?」
周囲を警戒して美佐樹から離れれば、彼女の前にアモンは降り立った。
『裏切り者……か。その言葉が一番相応しいのは、この俺だ』
紅の勇者を見て、白藤の顔に怒りが浮かぶ。
「勇者アモン…‼またしても、俺の邪魔をするつもりか?」
『生憎だな。俺は明人のこともそうだが、貴様も同等に気に入らんのだ』
両腕を組んで仁王立ちになり、背後に居る彼女に語り掛ける。
『正気を保て、加藤美佐樹。今、おまえの心が折れれば、この男とデビルマン・シレーヌの思う壺だ』
全てを見透かしたように言い、白藤は目を細めて懐から神のシナリオを取り出す。
「アモン……おまえの運命は、このシナリオに刻まれていない。おまえは、本当に勇者アモンなのか?」
その存在に疑問を持たれるアモンだが、それをフンっと笑い飛ばす。
『それは当然だ。貴様も気づいているのだろう?俺が、この世界の勇者アモンでは無いと言う事を』
勇者の言葉に白藤は目を見開き、額から冷や汗を流す。
「……そうか、おまえは!?前世界には存在しなかった…‼だからこそ、このシナリオにはっ…‼」
想定外の存在を前に、白藤は変身して戦うではなく、背後に炎のゲートを開いての退避を選んだ。
「おまえは本当に、俺の計画の邪魔になる存在のようだな、アモン。次に会った時こそ、おまえを潰す」
『貴様如きにできるかな?明人もこの俺も、貴様の手に負える相手かはわからんぞ』
最後までアモンのことを睨みつけたまま、彼はゲートの中に入っては姿を消した。
その時に、口に笑みを浮かべていたのを勇者は見逃さなかった。
2人の間に入れなかった美佐樹。
アモンは彼女の方に振り返り、目を合わせる。
『内海明人のことは……気にするな。あれは、おまえの知る明人ではない』
「……はい」
美佐樹は力無く頷き、目に光が戻ることは無かった。
そして、アモンに付き添われるがまま、集落に戻って行く。
その時には、もう夜の闇が月に照らされていた。
しかし、その光が彼女を癒すことは無かった。
ここからが、本当の試練の始まり‼
ちょっと?いや、大分?シリアスな展開が続きます。
お覚悟をして、お付き合いください‼
それにしてもタイミング良いなぁ~、勇者アモン。
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