DEVILMAN REBORN ~LOST DESTINY~ 作:カナト
人の居ない山奥に降ろされ、アモンは翼をしまい俺の前に立って言った。
『変身しろ、明人。今のおまえの全力を、俺に見せてみろ』
「おまえ、自分が何を言っているのかわかってるのか!?」
ゼロドライバーを渡され、強要してくる。
しかし、昨日の自分がフラッシュバックしてそれを躊躇わせる。
『恐いのか?』
「当たり前だろ。俺は……もう、獣になるつもりはない」
自我が侵食された時の感覚は、嫌でも頭にこびりついている。
自分が自分で無くなっていくのを、止めることができない。
白藤の言葉が現実になったんだと思った。
このまま変身を繰り返せば、俺は獣の意識に完全に飲まれて戻れなくなる気がした。
ゼロドライバーから目を逸らせば、アモンは『臆病者め』と言ってベルトを俺の胸に押し付けてきた。
『良いか?よく聞け。自惚れないように釘を刺しておいてやる。そのヴァイスロックによって、デビルマンとしての力は強くなっただろう。それも他を圧倒するほどに。しかし、それはおまえが強くなったわけじゃない』
「そんなことはわかっている‼俺が……ヴァイスロックの闇に、俺自身に宿る獣に振り回されているってことはな」
拳を握って震わせ、ヴァイスロックを睨みつける。
「こんな物が無ければ……俺だって…‼」
変身できると言おうとした瞬間、アモンは「何もわかっていないな」と言って遮った。
『ヴァイスロックは、きっかけに過ぎん。問題はおまえ自身にあることを知れ』
そして、無造作から胸に軽く平手打ちを食らわせてくれば、俺の身体は後ろに吹き飛ばされた。
岩山に背中を打つ前に、両足で地面を踏みしめて耐える。
「何をするんだ!?」
『今の一撃で気づかないか?おまえ自身の身体の変化に』
俺自身の変化…?
確かに、今、身体に違和感があった。
生身の状態で、どうして俺はアモンの一撃に耐えることができた?
例え力を抑えていたとしても、デビルマンの鎧を装着していなければ耐えることなんてできない。
「俺の身体は……悪魔に成りかけているってことなのか?」
両手を見れば、一瞬獣のものに変わったような錯覚に襲われる。
『正確には、本来のデビルマンの形になろうとしていると言えるかもしれんな。悪魔の身体を持ちながら、人間の心を持つ存在として』
「本来のデビルマン……か」
身体が悪魔のものに変化している。
いや、俺自身の本来の姿に戻ろうとしているという言葉が正しいのか。
アモンは俺を指さし、言葉を投げかける。
『まずは、おまえ自身に宿る獣と向き合え。そのための手段はただ1つ。だからこそ、おまえをここに連れてきたのだ』
俺自身の獣と向き合う。
その相手をするのは、同じ存在が相応しいってことか。
ゼロドライバーを凝視したまま、アモンに問う。
「……アモン、全力で行くぞ」
『フンッ、手加減できるなどとは思わないことだ。おまえが俺に勝つなど、ありえんことだ』
「それは心強いぜ。……全力で、渡り合える相手が欲しかったところだ‼」
ベルトを腰に巻き、ヴァイスロックが反応する。
青紫のオーラが漏れ出し、俺の身体を包む。
『「デビル‼」』
内なる獣と同時に掛け声を上げ、ヴァイスゼロへの変身を完了させた。
「うるぉおおおおおおおおおおおお‼‼」
大声で吠え、アモンに向かって臨戦態勢で構える。
「勝負だ、アモン‼」
『かかってこい。おまえの力を見せてみろ、明人‼』
俺はアモンに向かって駆けだし、奴も臨戦態勢を取って構える。
そして、互いに両手を突き出して激突させた。
「はぁああああああ‼」
雄叫びをあげながら力押しをしようとするが、アモンはそれを「温いわ‼」と言って覇気で逆に押し返しては俺を下がらせる。
『その程度か!?ならば、おまえの望みを果たすことはできんぞ!?』
「そんなわけ……ねぇだろ‼」
翼を広げて羽根を展開し、無数の羽根がアモンを襲う。
それをアモンは片手に紅いエネルギー弾を練って放つことで相殺させる。
そして、そこから俺に迫って両手と両足で連撃を繰り出そうとする。
その全てを羽根のバリアで防御し、隙を突いて俺はアモンに跳び蹴りを仕掛ける。
しかし、それを狙っていたかのように足首を掴まれ「甘い‼」と言う言葉と同時に振り回して投げ飛ばされる。
そして、奴も翼を広げて空中で迫り、首を掴んで地面に叩きつけてきた。
「ぐがぁああああ‼‼」
『まだだ‼もっと、本能を解放しろ‼力を求めろ‼そして、それが何のための力なのかを思い出せ‼おまえの根源を、欲望の起源を‼』
力。
根源。
欲望の起源。
ヴァイスゼロの力を使おうとも、アモンにはまだ届かない。
力を求めれば、それに比例して獣の本能に飲まれそうになる。
『戦わせろ‼……俺は……その存在が、気に入らん‼』
獣がまた、表に出ようとしている。
その時、俺はあることを思い出す。
そして、獣と対話を図るためのある方法に気づく。
一か八かの賭けだ。
そして、アモンを信じなければ、そもそも成り立たないことだ。
首を掴んでくるアモンの手を握り、目を合わせて訴える。
「アモン……あいつが、おまえと戦いたがっている…‼おまえも、そうなんじゃないのか?」
『……クフッ、そう言う事か。良いだろう、面白そうだ。……出てこい‼おまえと俺、どちらが強いのかを証明してやろう‼野獣アモンよ‼』
俺は獣の本能に精神を預ける。
抗わず、飲まれていく。
あとのことは任せるぞ、アモン。
俺は……獣と渡り合ってみせる。
獣の本能が表に出ては、アモンを振り払っては身体を起こし、背中を仰け反らせて吠える。
『ぐるぅぉおおおおおおおおおおおおおお‼‼』
猫背の体制になり、獣が姿を現した。
それを、アモンは仁王立ちのまま見据える。
『中々、だな。しかし、いい気分ではない……。貴様と俺、どちらが上か。アモン対アモンとして、1つ、手合わせ願おうか!?』
臨戦態勢に入れば、獣は吠えながら怒りを向けてアモンに襲いかかった。
『アモンは俺だぁ……おまえじゃない‼‼』
『これは、それを決めるための戦いだ‼』
2人のアモンは、互いの存在を証明するために拳を合わせた。
紅の鎧の勇者アモンと、青紫色の獣と化した野獣アモン。
同じ名前を持つ2つの悪魔の戦いは、その山の地形を変えるほどに激しいものとなる。
しかし、優位に立っていたのは勇者アモンの方だった。
闇雲に本能のままに襲いかかる野獣アモンに対し、勇者アモンはそれをいなすように回避しながらカウンター攻撃を仕掛けてダメージを蓄積させていく。
もはや、力と技の戦いだった。
『その程度か、アモン‼もっと、おまえの力を見せてみろ‼』
『黙れぇええええええ‼』
野獣は翼をはためかせて勇者に掴みかかり、地面に押し倒しては噛みつこうとするが、それをアモンは頭を掴んで抑え込み、腹部にエネルギー弾を連射して離れさせる。
『ぎぁあがぁああああああ‼‼』
『衝動のままに暴れるとは情けない。こんなものでは、明人のデビルマンの力の方がおまえよりも強かったぞ?』
『うるさい‼おまえは……アモンではなぁあああい‼』
全身から禍々しいオーラを発し、彼を中心にエネルギーの爆発が起きる。
それは地面をえぐり、その周辺にある物全てを消滅させる。
並みの実力の者であれば、瀕死に追い込まれていたことだろう。
しかし、その笑い声は響いた。
『ガァハハハハハ‼今のはいい攻撃だったぞ、アモン。しかし、その程度では、俺には届かん』
立ち込める砂煙の中から、鎧に傷1つ付いていない勇者アモンが現れる。
唖然としている野獣に歩みより、頭を掴んで目を合わせる。
『やはり、おまえの精神力は弱い。だから、人間に力を奪われたのだ。この程度で勇者アモンを名乗られては、その名が汚れるわ』
頭を持ち上げ、もう片方の手で腹部に紅いエネルギーをまとった拳を何度も叩きつける。
『ぐがっ‼あがっ‼ばぐっ‼んがっ‼がはっ‼あぐっ‼げぁがぁはっ‼』
殴り飽きては、最後に下段からえぐるように腹部に拳をめり込ませて突き上げては地面に叩きつけた。
『ぐぎゃぁがあああああああああああああ‼‼』
悲鳴をあげながら倒れながらも、野獣はなおも勇者を睨みつける。
『バカなっ…‼こんな……はずがぁ…‼‼』
そんな獣に、アモンは仮面越しに冷徹な目を向けた。
『おまえは俺とは違う。ただ衝動と本能に身を任せた戦い方では、本当の強者……勇者とは呼べん』
拳を握り、獣の目の前で寸止めする。
『裏切り者として……全てを捨てた、愛する者を守るために。本当の愛と言うものを知った俺の前では、過去のおまえなど敵ではない』
その言葉が意味するものを、野獣が気づくことは無かった。
しかし、勇者アモンの力は、獣が知る者とは似ても似つかないものだった。
それだけを思い知らされ、獣の意識は再び闇へと消えた。
動きを止めた野獣に対して、アモンは後ろに隠していたジャックナイフを取り出して逆手に構える。
そして、野獣の身体に勢いよく振り下ろし、ヴァイスロックに突き立てた。
『さぁ……自分と向き合ってこい。明人……そして、不動明』
やべぇ、勇者アモンが強すぎるwww
ヴァイスゼロ(獣ver)でも太刀打ちできないとか、最強クラスが過ぎるwww
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