DEVILMAN REBORN ~LOST DESTINY~ 作:カナト
ここが、どこなのかはわかっている。
自分の意志で飲み込まれた場所だ。
周りは暗黒で包まれており、その場に意識が飲まれそうになる。
しかし、耐える。
俺は今、奴に主導権を渡すために変身したわけじゃない。
自分を取り戻すために、ここに来たんだ。
自分から暗黒の世界に足を踏み入れたは良いが、違和感がある。
いつものように、無数の屍が転がっていない。
そして、視界の先に獣の姿も見えない。
「どこに居る!?俺を苦しめたいなら、いつものように姿を現せ‼」
今日こそは、あいつをぶん殴るつもりでここに来たんだ。
俺の声には答えず、足を進めればその先に居たのは―――。
「美佐樹!?」
全裸の美佐樹が、薄く笑みを浮かべて俺に向かって軽く両手を広げている。
「明人……来て」
小さく呟く彼女に駆け寄ろうとすれば、その前に後ろから誰かに両手を回されて止められる。
「行くな、明人。おまえは私を選んだはずだ。思い出せ、私を抱いた時の胸の高鳴りを」
ツバサが姿を現し、後ろから俺を強く抱きしめてくる。
「止めろ、離せ‼俺が本当に愛する女が、目の前に居るんだ‼」
引きはがして美佐樹に向かって手を伸ばすが、その距離が縮まることはない。
これは獣が見せている幻覚だ。
そんなことはわかっている。
それでも、美佐樹を求めずにはいられなかった。
しかし、彼女は俺に光の消えた目を向ける。
そして、その傍らに現れたのは、白藤隆一だ。
「君に運命を変えることはできない。自分の姿をよく見てみろ」
奴に指をさされて自身の両腕を見れば、獣の姿に変わっているのを自覚する。
そして、ツバサはシレーヌの姿に。
「獣の魂を持つ者は獣同士、人間の魂を持つ者は人間同士で愛し合うのが、世界の理だ。……そうだろ?美佐樹」
彼女の腰に手を回して引き寄せ、顔を自分の方に向かせて唇を重ねる。
「んっ……んっちゅ、んっ……んむっちゅ」
俺の目の前でキスをする白藤と美佐樹。
舌を絡め、彼女の口の中に入れてかき乱していく。
「止めろ……離せ‼美佐樹を……俺の女を離せぇえええええ‼‼」
シレーヌを振り切り、2人に向かって手を伸ばせば自身の手を再度見て動きが止まる。
剛毛の生えた巨大な手、鋭い爪、身体から溢れる力。
このまま、美佐樹の手を掴んだらどうなる?
彼女の身体を傷つけてしまうことになるんじゃないのか?
今の、獣の俺のままならば…‼
その一瞬の心の隙を付け込まれたのか、一瞬で景色が変わる。
そこは自然豊かな森の中であり、2人の悪魔が見つめ合っている。
アモンとシレーヌだ。
この記憶は知っている。
2人は強く互いを抱きしめ合い、熱い口づけを交わす。
そして、愛し合う2人の姿を見て、胸の鼓動が速くなる。
これは……俺の心が、シレーヌとの繋がりに偏ろうとしているのか?
いや、違う。
俺は……俺の心は、アモンじゃない。
俺が求めているのは――――。
自分の気持ちを落ちつかせようとすれば、また場面が変わる。
俺と美佐樹が済んでいるマンションの玄関だ。
何を企んでいる…?俺の中の獣は、何を……。
目的もわからずに部屋に足を踏み入れれば、寝室の方から女の淫らな声が聞こえてくる。
「あぁんっ‼はんっ‼んっ‼あっ‼はぁ~んっ‼」
信じたくない。しかし、確かに耳に届いている。
誰の声なのかは、もう本能が察している。
寝室に足を向かわせ、恐る恐るドアを重々しくあければ、そこに広がる光景に目を疑った。
「あっ‼あぁ‼んっ‼んぁ‼はぁんっ‼良いっ、良いわぁ~‼」
全裸の美佐樹が股を開き、俺以外の男の上に乗って肉棒を膣で受け止めては腰を動かしている。
豊満な胸を大きく揺らし、頬を紅潮させながら感じている。
「美佐樹、どうだ?あの偽物よりも強く感じるだろう?」
「あぁんっ‼感じるっ‼奥の奥まで、あなたをっ……感じるのぉ~‼」
俺の存在に気づかず、男と……白藤隆一と繋がることに悦びを得ている美佐樹。
体位を変えて後ろに回り、両胸を鷲掴みにして揉み回す白藤。
「君と俺は、元からこうなる運命だったのさ。さぁ、言ってみろ?誰の、何が、欲しいのかな?」
膣口に亀頭を擦りつけながら、その言葉を言わせようとする。
美佐樹はそれに対して、恥じらうように口にする。
「欲しいっ……欲しいのぉ。あなたの……隆一の、オチンチンを、あたしの中にぃ…‼」
それを受け、奴は尻を掴んでは不敵な笑みを浮かべながら一気に根本まで挿入した。
「はぁ~~~~~~んっ‼」
上半身を仰け反らせながら受け止め、四つん這いの体制で白藤の動きに合わせて喘ぐ。
「あの偽物のモノではっ、満足っ、できなかったんだろ?どうだぁ?俺のモノはぁ!?」
「あぁんっ‼言わせっ…ないでぇ…‼んぁ~‼」
言葉にすることを拒む美佐樹に対して、奴は尻から1度両手を話しては勢いよく叩いた。
「いゃはぁ~~~~~っ‼」
尻を叩かれては顔を真っ赤にして上半身が痙攣する。
そして、そのまま根本まで一気に突っ込んでその体制のままになる。
「ひゃぁあ~~~~‼そこっ、そこで止めちゃダメぇ~~‼」
「美佐樹は奥を突かれるのが好きみたいだからなぁ。ほら、言えよ?どっちが……君を、満たしているのかを‼」
もう1度反動を付けて腰を打ち付ければ、美佐樹は涙を流しながら白状する。
「言うっ、言いますぅ‼隆一のが良いっ‼隆一のオチンチンが良いのぉ~‼明人のよりもっ……感じちゃうぅ~~‼もっと、気持ち良くさせてぇ~‼」
白藤を求め、だらしなく舌を出しながら懇願する彼女。
両足は爪先立ちになり、尻を突き出しては白藤の獣欲を受け止め続ける。
「やはり、君と俺は結ばれる運命だった。運命には、誰も、逆らうことはできない‼」
「あぁんっ‼受け入れるっ……受け止めるぅ‼あたしはっ……隆一が、明人よりも好きぃ~‼」
もはや、立ち尽くしていることしかできなかった。
俺は、2人の乱れる姿を見ていることしかできない。
「これがっ‼運命のっ‼あんっ‼繋がり、なのねぇ‼良いっ‼感じるっ‼明人よりも、強くっ…‼感じちゃう~‼」
白藤を求めて、喘ぎ続ける美佐樹。
運命を受け入れた彼女の高揚する顔。
それが、俺の魂に刻まれる。
「はぁんっ‼むんっ‼あんっ‼あぁ‼はんっ‼あぁ~んっ‼」
見ていることしかできない俺を見て、美佐樹は悦楽を得ながら言う。
「明人っ‼ごめんねっ‼あたしっ‼あんっ‼気持ち良いのっ‼凄く、隆一くんのオチンチンがっ‼……明くんのオチンチンが気持ちいいのぉ~‼」
美佐樹の姿が、段々と美樹さんのものに重なり、白藤の姿が別の男に変化していく。
「美樹っ‼美樹っ‼美樹ぃ‼」
「明くんっ‼あんっ‼明くんっ‼明く~んっ‼」
あれが、2人の望んだ愛の形。
不動明と牧村美樹の求め合う姿を、俺は縛られたまま見ていることしかできない。
美佐樹の意識は、完全に美樹さんのものと同調している。
「あんっ!!いくっ!!もうっ…身体がっ…ダメぇ~!!」
「良いだろう!俺の愛を、存分に受けとれぇ!!」
白藤は後ろから両手引いて激しく腰を振り、彼女も絶頂まで導く。
「あっあっあっあっあっあっあんっ!いくぅ!イきますぅ!!あたしの中に、いっぱい出してぇ~!!!」
最後に腰に反動をつけて亀頭を子宮口に打ち付ければ、美佐樹は目を見開いて身体を震わせた。
「あぁんっ!いくぅ~~~~~!!!!」
子宮の中に白藤の精液が流し込まれ、肉棒を抜けば膣口から漏れ出てくる。
ベッドの上に倒れる美佐樹の表情は見えない。
白藤はまだ脱力感があら彼女の身体を労ることなく、仰向けにさせれば、まだ反り立ったままの肉棒を彼女の顔に向けては頭を掴んで咥えさせる。
「んんっ、んっんっんっんっんっんっ」
尿道に残った精液を吸い出すように、口を使って奉仕している。
それを見下ろし、白藤は不適な笑みを浮かべる。
「どうだぁ?俺の勝ちだぁ、内海明人ぉ!!おまえは結局、運命には抗えないのだぁ!!ハハハハハッ、アハハハハハハァ!!」
高笑いをしながら、勝利という言葉を口にする。
これが、運命の共鳴の先にある結末なのか。
俺がシレーヌとの共鳴で、獣に意識を乗っ取られたように。
運命の力は、前世の人格を呼び起こす。
それなら、俺の前世を呼び起こされたのがシレーヌとの接触によるものならば…‼
『こんなものは、悪い夢だ。惑わされるな、内海明人』
その声は俺の頭に直接響き、世界に強い光が差し込む。
そして、その光は俺を縛る鎖を焼き斬った。
身体が自由になり、2人に駆け寄ろうとすれば、その前に姿は消えた。
「……今のは幻……だよな」
『その通りだ。そして、あれはおまえの心の弱さの表れでもある』
俺の言葉を肯定しながら、光が集まって人の形を成していく。
『この世界への未来はおまえに託すと言ったはずだが、既に今わの際の力にも使いどころはあったらしい。こうして、おまえと直接会うことが叶ったのだからな。……明人』
俺に語り掛けるその声を、知っている。
そして、その姿は偽りのものではなく、本来の青年の姿をしている。
「あんたは……どうして?俺とあんたが……会うなんてことは、無いはずだ‼」
目の前に現れた存在を受け入れることができずにいると、向こうから近づいて俺の肩に手を置いてくる。
「こうして、俺はおまえの目の前に居る。おまえを獣の運命から解き放つために、アモンが繋いだ奇跡だ」
その目の力強さに圧倒され、もはや人間の姿をしていてもその存在に気圧されてしまう。
俺の姿が、獣から人間に戻っていく。
「おまえの心が獣に飲み込まれそうになった時に備え、ジャックナイフに俺の残された力を注いでおいたのだ。運命を断ち切る力を……明人、おまえに授けるために」
「運命を……断ち切る力…?いや、その前に……あんたが、俺の思っている人物なんだとしたら、その……」
上手く言葉が出てこない。
実際に目にするはずの無い存在と対面した時、人はここまで動揺するものなのか。
それを察してか、男は薄く笑む。
「信じられないか?自分の目の前に、前世の自分が現れるのは」
「……それじゃあ、本当にあんたが……不動……明?」
本来、実現するはずのない出会いだ。
俺の目の前に、ある意味ずっと探し求めていた存在が居る。
不動明が、目の前に…‼
明は俺から離れ、指を鳴らせば世界が黒から白に変わる。
「アモンの欠片が、おまえを苦しめるだろうことはわかっていた。俺も似たような経験があり、1度アモンに身体を乗っ取られたことがあったからな」
その時の記憶は、俺にもある。
美樹さんを失った明の心の隙を突き、勇者アモンが表に現れた時だ。
「明……その時、あんたはどうやって…自分を取り戻したんだ?」
前世の自分に問うのは妙な気分だったが、それを彼は聞き入れた。
「俺の愛する者はもう居ない。しかし、戦う理由があった。大切な者たちを失った悲しみを抱えながらも戦う覚悟、捨てなかった人間の心。それが、俺を獣から引き戻してくれた」
しかしと明は俺を指をさして続ける。
「おまえは、愛する者を失う運命を変えた。その力に、俺やアモンの転生者という因果は関係ない。おまえは、おまえだ。内海明人という、新世界の運命を変える戦士なのだ‼」
明の言葉が胸に刺さり、心のモヤが晴れそうになる。
しかし、事はそう上手くは行かない。
『止めろぉ……おまえは、俺だぁ‼俺の転生者として、俺にその身体を渡せぇ‼』
世界が揺れ、黒いエネルギー体が集まっては巨大な獣の形を成していく。
「アモンの欠片だ……。そして、おまえの中の衝動の権化でもある」
明が見上げながら冷静に言う。
あんなものとどうやって戦えば良い?
「この世界で……俺は変身できない」
「それは、おまえの心の強さ次第だ。おまえの中のアモンの力を否定し続ければ、それは拒絶となって変身することはできないだろう」
「あの獣を受け入れろって言うのか!?」
「獣……しかし、それもまたおまえの一部だ。おまえは、自分で自分を否定し続けるつもりか?」
明の言葉で、俺の意識がそもそも間違っていたことに気づく。
俺は、自分を否定していた。
否定すればするほど、獣の衝動から逃げれば逃げるほど、奴は俺を飲み込もうとした。
そして、さっきの幻が俺にさらに現実逃避を助長するものだったのなら…‼
俺は覚悟を決め、右手を前に出して念じる。
「来い……ゼロドライバー」
白い光が集まり、ヴァイスロックが装着されたままのゼロドライバーが現れる。
これで良い、ヴァイスロックを付けることに意味がある。
それを腰に巻き、両手を交差させ、声の限りに叫んだ。
「デビルっ‼‼‼‼」
強い光を放ち、ヴァイスゼロへの変身を完了する。
しかし、心は冷静だ。
俺の姿を見て、明はフッと笑う。
「答えは出たようだな、明人」
「ああ。……俺はもう逃げない。今、本当の意味で自分を受け入れる‼」
翼を広げ、巨大な闇の獣を見上げる。
これから自身との対話を試みる俺に、明は一本のジャックナイフを渡してきた。
「これを使え、己の中の闇を解放する鍵になる。自分の中の闇を、己の力にしろ」
「……わかった、やってみる」
ジャックナイフを右手で逆手に構えながら、両翼をはためかせて獣に向かって飛翔する。
「勝負だ……もう1人の俺‼」
自分との戦い。
それは、自分自身との対話。
俺は今、自分を超える‼
明人と不動明との対面。
これはヴァイスゼロが最終フォームであることを示唆しているようにも見える(笑)
つか、本当だったら前世の自分との対面なんて、終盤でする話ですよねwww。
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