※この作品はR-18です。

DEVILMAN REBORN ~LOST DESTINY~   作:カナト

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妖鳥襲来

 あの美佐樹との初夜以来、俺の中で何かが変わった。

 戦う理由を自覚してから、あらゆることに対する恐れが消えた。

 不安が消えた。

 

 了さんからの連絡で、今日も俺はデーモンを狩る。

 戦うことで得られる快感に、理性が飛ぶことは無くなった。

 俺の心が、魂が、獣の本能に飲み込まれることはもう無いだろう。

 

 夜の公園で、猫の姿をしたデーモンを追い込んでいると、腹から出血して涙を流しながら敵は俺を睨んでくる。

 

「貴様は何だ……。人間の精神を持っているように見えるが、我らデーモンに似た……いや、それ以上に冷酷な殺意!!貴様は一体、何なんだぁあ!?」

「おまえのように、人間をむさぼり食うデーモンを狩る者だった。だが、今は大切な者を守るために戦う者……俺は、デビルマンだ!!」

 

 俺はデーモンの首を掴み、容赦なく握り潰した。

 それと同時に、どこからか拍手が聞こえてきた。

 

「その力、アモンかそれ以上の能力と見たぞ。内海明人、アンノウンのデビルマン」

 

 その声はどこか不気味で、悪寒を感じさせる。

 

「誰だ!?姿を現せ!!」

 

 俺の声に答えるように、赤毛のショートカットで茶色いコートを着た女が姿を現した。

 その女に妙なデジャブを覚えて頭痛がする。

 久しぶりの現象だ。

 

「あんたも、デーモン……なのか?」

「そう思う?」

 

 挑発するような、余裕の笑みを浮かべる女。

 

 この女……只物じゃない。

 デーモンならば、雑魚じゃないのは確かだ。

 

 そして……何だ、この感覚は?

 俺はこの女を知っているような気がする。

 いや、違う。

 不動明の記憶がフラッシュバックし、1人の美しい女悪魔が浮かび上がる。

 

「おまえの力の正体……。まさか……!?」

 

 女は服を一瞬で脱いで全裸になれば、彼女は「デビルっ!」の掛け声で変身する。

 身体が巨大化し、頭部の兜は白い翼に変わり、両手と両足に黄色く鋭い鉤爪を装着する。

 

「私の名前は如月翼(きさらぎ つばさ)。またの名を、デビルマン・シレーヌと名乗らせてもらおうかしら」

「デビルマン……シレーヌ!?」

 

 シレーヌ。

 その名を聞いて、鳥肌が立ってしまった。

 不動明がデビルマンとして初めて敗北したデーモンだ。

 あの美しき妖鳥の力を手に入れたデビルマンだと。

 

「女のデビルマンが何の用だ!?」

「問答無用!!悪魔と悪魔が対面すれば、それは戦いの合図よ!あなたの実力、確かめさせてもらうわ!!」

 

 デビルマン・シレーヌは高く跳ぶと、俺に向かって飛び蹴りをしてくるがそれを両腕で防ぐ。

 両腕に痺れを超え、痛みが走る。

 

 何て力だ!?アモンの拳と同等の威力だな。

 ならば、こちらにも手はある!!

 

 俺はベルトの中央のラインを傾ける。

 すると、両腕が黒く染まり、腕から3枚の刃が出てきた。

 

「俺と戦うつもりなら、女だろうと容赦はしねぇ!!」

「面白い!!おまえの力を私に見せてみろ!!」

 

 シレーヌは頭部の翼を広げ、俺も背中から翼を出して空を飛ぶ。

 

 そして、空中で雄たけびをあげながら激突した。

 

「うぉおおお!!!」

「はぁあああ!!!」

 

 2人の拳が衝突したとき、周りの雲が風圧で千切れ、半月が顔を出した。

 

 シレーヌは頭の両翼を前に羽ばたかせ、強風を起こす。

 

「ぐぅあああ!!」

 

 両腕を交差させて吹き飛ばされそうになるのに耐えるが、目を開けることができない。

 その隙を突き、シレーヌは両手の爪を立てて迫る。

 

「シレーヌの鉤爪をくらえ!!」

 

 胴体を爪でえぐられ、ダメージで急降下して地面に落下する。

 しかし、そこで倒れる俺ではない。

 

 黒き翼をはためかせ、無数の鋭い羽根を飛ばす。

 

「ブラックフェザーナイフ!!」

 

 羽根を目くらましにし、急降下から立て直して上空に飛んで距離を詰めれば腕の刃で腹部を切り付ける。

 

「破壊者の斬撃(クラッシャー・スラッシュ)」

「おのれ、小癪な真似を!!」

 

 腹から流れる血を見れば、不敵な笑みを浮かべる。

 

「フフっ……まさか、このような日が来るとはな……。この力を手に入れて、初めてのことだ。もっと……もっと私を追いつめてみせろ!!」

 

 シレーヌの目が変わった。

 右腕の付け根から火が逆噴射し、爪を立てて飛ばしてきた。

 

「ブーストクロー!!」

 

 正面から飛んでくる右腕を避けるが、後ろから追撃してくる。

 時間が経つごとに加速して勢いが増し、距離を詰められる。

 

 直撃しそうになった瞬間、俺は両手に全神経を集中させて受け止める。

 後ろに押され、防御していなければ身体に風穴を開けられていた。

 

 右腕を投げ捨てれば、指からの噴射によってシレーヌの下に戻って行く。

 そして、口から超音波を発せられ、視界が歪んでいく。

 

「これは!?———うわぁああ‼」

 

 五感を狂わされ、身動きが取れなくなる。

 動きを止めたことが状況を悪化し、シレーヌは一瞬で距離を詰めて腹部に蹴りを受けて地面に叩き落される。

 

「悪魔の力を使いこなせていないのね。おまえはただ、力に振り回されているに過ぎない」

 

 手刀を構えてオーラを集中させ、シレーヌは俺の胸部に突き刺そうとする。

 身体に力が入らず、回避する術もない。

 万事休すかと思われたその時、横から黒い影が出てきてはシレーヌを吹き飛ばした。

 

「ぐっ‼」

 

 シレーヌは俺から離れ、代わりに目の前には見たこともない……いや、違う、俺はこの黒い女戦士を見たことがある。

 

「あなた、立てる?」

「あ、ああ……。あんたは?」

 

 黒い獣人のような女に差し出された手を取って立てば、再び頭の中にフラッシュバックが起きてしまう。

 それはもう1つの次元での戦いの記憶。

 ぼやけているが、確かに存在した血の歴史だ。

 そして、彼女の名は―――。

 

「彼女の名は不動ジュン。またの名を、デビルマン・レディーだ」

 

 遠くから声が聞こえてみれば、そこに居たのは了さんだった。

 彼は俺を見て薄く笑みを浮かべた後、歩み寄ってはシレーヌに鋭い目を向ける。

 

「デーモン族最強の女戦士の1人、シレーヌ。その力を手にする者が居るとは思わなかったが、まさかアキトを追いつめるほどの力を持っているとはな」

「この感じ……。誰かは知らないけど、あなたも相当強いと見るわ」

 

 舌なめずりをして目をギラギラさせるシレーヌだが、俺とレディーを見ては翼をはためかせて宙を飛んで月を背景に俺たちを見下ろす。

 

「流石に3対1はフェアじゃないと思うの。だから、今日の所は引いて上げるわ」

 

 シレーヌは俺に視線を向けると、鉤爪の先を突き立てる。

 

「おまえとの戦い、決着はまたの機会に取っておこう。内海明人」

 

 そう言い残し、月夜の中に消えて行った。

 

 俺は変身を解除し、新たなる敵に向けて憂鬱な顔を浮かべてしまった。

 

 アモン……シレーヌ……一体、俺はどれだけ強敵に目を付けられれば良いんだよ。

 

「アキト、今は体制を立て直そう。彼女のことも紹介したいしな」

 

 後ろから了さんに声をかけられ、静かに頷いてジュンの方を見る。

 彼女は変身を解除すると全裸になってしまい、了さんが急いで着ているコートをかけた。

 

「不動ジュンさん……だったな。ありがとう。あんたのおかげで助かった」

「礼なんて要らないわ。これから一緒に戦う仲間になるのだから、そう言うのは無しでいきましょう?」

「そういうもんなのか…。わかった」

 

 その後、3人で了さんの車でマンションに戻った。

 

 デビルマン・シレーヌとの接触、そしてデビルマンレディーとの合流。

 

 時間の針は、世界が予期せぬ方向に進んで行こうとしていた。




シレーヌは美しき戦闘狂。
デビルマンレディーは新しいキーマン。
物語は別次元に動きは始める。
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