DEVILMAN REBORN ~LOST DESTINY~ 作:カナト
明人が白藤との戦いを終わらせた後、了は現場に出向いて被害状況を確認して頭を悩ませたが、他の機関と連携して事の鎮静化を図っていた。
(全く、アキトには驚かされてばかりだな……。しかし、あの鍵は強力な武器になる。運命を断ち切る力。あれが、試練を乗り越えた彼の新しい力なのだとすれば…)
空を見上げ、今朝聞こえた友の声を思い出す。
「君がまた、アキトを導いてくれたのか?明…」
誰にも聞かれないように小声で呟けば、教会で倒れているツバサに近づいて彼女の状態を確かめる。
明人の話ではインパルスジャックで斬ったということだが、身体は綺麗な状態を保っていた。
彼の言葉通りならば、因果のみを斬ったと言う事なのだろう。
「彼女は重要参考人だ。本部に運び、丁重に扱うように」
連合の職員に命じれば、「はっ!」と敬礼して彼らはツバサをタンカーで運んで行った。
(シレーヌの力があれば、我々の戦力として頼もしい限りだが……。そこは、じっくりと言葉を交わしていく必要がありそうだ)
運ばれていくツバサを見送ると、自分だけでなく彼女に目が釘付けになっている男に気づいて声をかける。
「彼女のことが気になるのか?東大寺くん」
「あ、いえ‼……申し訳ありません、代表の護衛として同行させていただいているというのに」
「大丈夫だ。確かに、彼女は綺麗な女性だからね。目を奪われるのは仕方ないことだ」
フッと少し笑って少し茶化すように言えば、東大寺は首を横に振って救急車に入って行く彼女をもう1度見る。
「……変な感覚なんですが、僕の中の何かが、彼女の何かに反応しているような気がするんです。すいません、上手く言葉にはできないのですが」
「君の中の何か……」
了は両腕を組んで少し唸れば、彼の巻いているベルトを見て思い出した。
「そうか、確か君の使う悪魔の力は……」
その悪魔の存在を思い出して納得がいき、東大寺も頷く。
「僕のデビルマンの力は――――カイムです」
カイム。
それはシレーヌを愛していたデーモンの名だ。
彼の意志が、ベルトを通じて東大寺の心に影響を与えているのかもしれない。
カイムもまた、アモンと同じように因果がシレーヌと繋がっているのかもしれない。
そして、了は大魔神サタンとして前世界の事象を全て記憶している。
(これは、断ち切らなくても良い因果なのかもしれないな)
あくまで本人たちの意志に任せる姿勢は貫くつもりだが、彼がそれを望むならば悪くはないと考える。
少し微笑ましい空想をしていると突然、代表用のスマホの電話が鳴る。
このスマホが鳴る時は、緊急事態の時だけだと想定されている。
了はすぐにコートのポケットから取り出して出る。
「もしもし、私だ。どうした?」
「飛鳥代表、大変です‼レベル5の地下監禁施設が破られ…‼大天使ミカエルが、脱走しました‼」
その報告を受け、彼は目を見開いて一瞬思考が止まる。
「何……だと…!?」
地下監禁施設は警備をどこよりも厳重にしていた。
万が一にも、中から破れるはずが無い。
「誰かが裏切ったのか!?施設の状況はどうなっている!?」
電話相手の職員に怒鳴るように聞けば、震えた声で返答を受ける。
「そ、それが……施設は凄惨な有様になっておりまして……。本部に異常はないのですが、外部からの襲撃を、地下施設のみが受けた状態です」
それは大規模な敵勢力の襲撃ではなく、ミカエルの解放だけを目的としていたことを暗に示していると直感した。
「すぐに戻る‼奴が動きを見せるまで、最低レベルの警戒態勢を維持するんだ。良いな‼」
ここで大規模な臨戦態勢を取れば、国民の不安を煽ることになる。
それでは、ミカエル、あるいは彼を解放した何者かの思う壺だ。
車を走らせながら、了は頭を巡らせる。
(誰だ?一体、誰が……ミカエルを!?)
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了が報告を受ける1時間前。
「流石は三者連合。真面に攻め入ろうとすれば、多大な犠牲が出ていただろう。連合側にね」
三者連合の本部の地下施設に、1人の男が足を運んでいた。
何食わぬ顔で警備の横を通り抜け、誰にも怪しまれずに施設に入り込んだ。
それほどまでの信頼を得ている人物だった。
そして彼は今、求める者が居る部屋の扉の前で止まって微笑みを浮かべる。
礼儀として扉をノックすれば、彼が来ることがわかっていたかのように天使は「どうぞ」と返事をする。
それを聞き、男は懐から黄金の仮面を取り出して装着する。
「セイヴァー、アームド」
コードを認証し、金色の鬼神の鎧を装着する。
シャドーレイランスを取り出し、厳重なロックがかかった扉を容易く突き破った。
警報が鳴り、大量の警備員が集まる足音が聞こえてくる。
それでも、神聖なる救世主はマスクの下で余裕の笑みを浮かべる。
「迎えに来たよ、ミカエル」
「予定通りだな、セイクリッドセイヴァー……雷沼虎之助」
軽く槍を振るえば、ミカエルから拘束を解放する。
「運命が書き換えられようとしている。これは、神の意志に反する行為だ」
「わかっている。だからこそ、私はあなたを解放しに来た」
セイクリッドセイヴァーの姿を改めて見て、大天使は笑みを浮かべる。
「神聖なる救世主。新たなる人類の希望か。皮肉な話だな、
「それが運命だ。この世界は、私が救う。私こそが、世界を導く救世主なのだから」
彼の決意表明を聴き、ミカエルはフッと笑い右手を虚空にかざせば亜空間へ繋がるゲートを開く。
「では、早々に退散するとしよう。こんな所を見られては、君のイメージを損なうことになる」
「それは助かる。真に人類を救済する者のイメージはクリーンでなくてはいけないのでね」
囚われの大天使と、神聖なる救世主はゲートの中に入って姿を消した。
警備員が着いた時には、既に誰も居なかったのだ。
そして、誰も気づかなかった。
一体、誰がミカエルを解放したのかも。
一体、誰がこの地下施設に入り込むことができたのかも。
全ては、神の使徒の計画通り。
人類の救済を目的とする、新たなる修正者の手によって。
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地獄の城では、王の間に一冊の本が天井からゆっくりと降りてくる。
それは神のシナリオ。
本は白藤と共に散ったわけではなかった。
神の力が宿った本は、そう容易には消えることは無いのだ。
『目覚めよ、神の子よ。おまえの運命は、ここで終えるものではないのだ。その結末は、許されていない』
玉座の前に、1つの実態のないエネルギー体が現れる。
それは白い人型をしているが、何者でもない姿をしている。
エネルギー体が神のシナリオに手をかざせば、本が光だしてノイズが走る。
『結末を……書き換る』
シナリオのノイズが収まれば、エネルギー体の身体が黒い炎で燃え上がる。
エネルギーに骨格ができ、それを肉が被う。
そして、男の姿を成していき、黒い髪が生える。
「……何だ、久しぶりの死で懐かしい気分に浸っていたかったのだが、神はそれすらも許してはくれないらしい」
黒炎の中で、白藤隆一は復活した。
「言っただろ?俺は選ばれし者なんだ。神に選ばれた者は、死すらも超越した存在になるのさ」
神のシナリオを手に取り、変更された未来を確認する。
獣となる未来を超えた明人と、白藤ではなく彼を選んだ美佐樹の切り裂いた運命を。
「やはり、理解できない。愛、絆、繋がり、希望……。全てが不愉快だ」
周囲を黒炎で燃やし、その中心に立つ白藤。
「このままでは終わらせないよ?君たちには、甘美なる、底知れぬ絶望と言うものを味わってもらう」
白藤の負のオーラを察知し、神のシナリオから1つの仮面が生み出されては彼の手元に渡る。
その名も、『アポカリプス・アイ』。
「今回のデータで、運命が生み出した新たなる力か……。フフっ、これは面白い」
レクスドライバーを付け、マスクを装着する白藤。
「デビルっ……アポカリプス・ライド‼」
黒炎が広がり、彼を中心に溶岩が溢れ出ては彼を飲み込む。
溶岩は鎧の形を成していき、全身に刺々しいプロテクターを装着し、広げた両翼のような仮面は素顔を隠すように兜の上からアイマスク状になって変わる。
「デビルマン・アポカリプスレクス……降臨だ。クフフフフッ……アハハハハハハハハっ‼」
背中のマントを翻し、優雅にお辞儀をするアポカリプスレクス。
「やぁ、観客の諸君、ここまでの劇はいかがだったかな?この愛憎入り乱れる人形劇を楽しんでくれていたのなら、幸いだよ。この人形劇の結末が、君たちの願う通りに進むのか、神の信者たちの計画通りに運ぶのか、それとも俺の思う新世界が実現するのか。それを決めるのは……。フッ、『愛』か、反吐が出る‼」
彼の姿がフェードアウトしていく。
人間、デーモン、デビルマン、天使。
それぞれの想いが入り乱れ、新たなる物語が紡がれていく。
その先にある未来は、希望溢れる未来か、新たなる運命の黙示録か。
物語の結末は、今だ訪れる兆しが見えない。
明人たち特異点と、白藤たち修正者との戦いは、次のステージに進む。
ミカエルの脱走と、セイクリッドセイヴァーの手引き。
白藤が明人に敗れることすらも、神の定めし結末だったのか。
つか、パワーアップして帰ってくんなよ、白藤ぃ~‼(復活させたおまえが言うなwww)
あぁ~、胸糞悪い‼
これにて、歪みと悪意の章は無事?終了です‼
お付き合いいただきありがとうございました‼
今回は明人メインの話でしたが、次は2人目の主人公がメインになります。
ご期待ください。
感想、評価、お気に入り登録、いつもありがとうございます‼
もうほぼ確定していますが、外伝のご要望などがあれば、メッセージでどうぞ。
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