※この作品はR-18です。

DEVILMAN REBORN ~LOST DESTINY~   作:カナト

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英雄と反撃の章
妖鳥への証明


 三者連合本部の地下牢獄。

 

 1人の男が廊下を進み、ある部屋の前に立ち止まってはドアを開ける。

 そこは面会室であり、男はその中に居るある女と会うことになっている。

 1つの事実を確認し、己の中の真実を突きつけるために。

 ドアを開ければ、既に待ち人は机を挟んで椅子に座っていた。

 

 艶のある赤髪をし、両手を鎖で縛られた女……柊木ツバサ。

 

 そして、男の存在に気づいてはフッと笑う。

 

「やっと、お出ましか……内海明人」

 

 男……俺の名を呼び、丸めていた背筋を伸ばして見上げてくる。

 

 俺は彼女の前に座り、目線を合わせる。

 

「……気分はどうだ、柊木ツバサ?」

 

「心配しているようなもの言いだな。……しかし、悪くはない」

 

 彼女も俺と視線を合わせ、その目つきは段々と鋭くなる。

 

「どう言うことだ?私の中のシレーヌが、おまえに全く反応しない」

 

「それはシレーヌとアモンの因縁を断ち切ったからだ。もう、おまえのシレーヌの魂と共鳴することはない」

 

 この前の教会での戦いの事実を突きつければ、ツバサは椅子から立ち上がっては俺に顔を息がかかるくらいの距離まで近づけてくる。

 

「忘れたのか、明人。おまえは、私を犯したんだぞ?感じたはずだ、あの時、この柊木ツバサを‼アモンとシレーヌの繋がりを通じて、私との愛を…‼」

 

「だとしても、俺はおまえのものじゃない。そして、おまえも俺のものじゃない。いい加減、おまえも解放されたらどうだ?」

 

 自身との繋がりを主張してくる彼女に対して、俺は強い意思でこう返した。

 

「俺が愛しているのは、おまえじゃない……加藤美佐樹、彼女1人だ」

 

「っ!?」

 

 美佐樹の名前を出せば、怒りの形相になるツバサ。

 そして、シレーヌの力を解放しようとするが、鎖が赤く輝いては彼女の身体に激痛が走る。

 

「ぐぁあああああああああ‼‼」

 

 床に倒れて身もだえるツバサに、敢えて駆け寄らない。

 

「いい加減、おまえも前を向いてくれ。おまえは妖鳥シレーヌじゃない。柊木ツバサだろ‼」

 

 見下ろしながら、あくまでも彼女は彼女自身だと言い続ける。

 

 俺が自分のことを受け入れることができたように、ツバサも運命に縛られずに生きてほしいんだ。

 

 しかし、痛みが引き、身体を起こして俺を見上げる目は、まだ憎悪を抱いている。

 

「後悔することになるぞ!?あの女は弱い‼弱い女と共に居れば、おまえは苦しむことになる‼私を選べ、そうすれば、おまえはもっと高見に昇ることができる‼だから―――」

 

「取り消せ」

 

 低い声で、ツバサの言葉を遮った。

 そして、怒りの目を向ける。

 

「美佐樹は弱くない。むしろ、今のおまえよりもずっと強い‼彼女の本当の力に気づいていないおまえを、俺が認めると思うなよ‼」

 

 俺とツバサの考えは相容れない。

 強い力を求めるツバサと、守るための力を求める俺とでは、理解し合えるはずも無いんだ。

 どちらかが、変わらなければ。

 

 そして、悪魔の力を持つ者同士は、1つの手段でしか歩み寄ることができない。

 

「そうか……。ならば、私と戦え‼私の強さを、力を、血を血で洗う戦いの中で示してやる‼」

 

 予期していた提案だ。

 ここに来る前に、了さんにも、もしもの時のために許可は取ってある。

 

 因果を断ち切ったからと言って、この女がそれで納得するとは思っていない。

 

 だからこそ、悪魔の力を持つ者同士、それぞれの想いを力に込めてぶつかり合うしかないんだ。

 

 俺の中の未練は、もう既に断ち切っている。

 

 それをこの女の望む形で、証明するだけだ。

 

 

 ー----

 

 

 連合本部の広い屋上に移動し、ツバサの拘束を解いて自由にする。

 俺はゼロドライバーを腰に巻き、変身の体制に入る。

 

「嬉しいぞ、明人……。やはり、おまえと戦えると思うだけでも、我が魂は高揚する‼」

「悪いけど、ツバサ。俺は真逆だ。1度だって、戦えることを嬉しいなんて思ったことはねぇぜ。俺が戦うのは、自己満足のためじゃない……大切なものを守るため、それだけだ‼」

 

 初めから本気で行くため、そして、ツバサの幻想を壊すために、ヴァイスロックを装着してインパルスジャックの鍵を刺す。

 

 俺からは紫と緑の混じったオーラが、ツバサからは桃色のオーラが放たれる。

 

「「デビルッ‼」」

 

 俺たちは同時に変身し、それぞれにデビルマンの姿に変化する。

 

 デビルマン・ヴァイスゼロとデビルマン・シレーヌ。

 

 俺はインパルスジャックを床に刺し、拳を握る。

 

「来い、柊木ツバサ‼おまえの力への幻想を、覆してやる‼」

「うぅぅううう‼明人ぉおおおおお‼‼‼」

 

 俺とデビルマン・シレーヌは広げた翼をはためかせ、飛翔すれば急接近して握った拳を激突させる。

 そして、それによって生じた衝撃でシレーヌが吹き飛んでは体制を維持する。

 

「っ‼…その拳、アモンの力を感じる……。やはり、おまえはアモンの転生者‼私と同じ、戦士の記憶を引き継ぐものなのだ‼」

「だからと言って、俺とアモンは違う存在だ。そんなこともわからないのか、ツバサ‼」

 

 人間としての名で呼べば、彼女は頭を押さえて奥歯を噛みしめる。

 

「私は…デビルマン・シレーヌ…‼妖鳥の戦士シレーヌだぁ‼」

 

 あくまでも、自分は戦士であると主張するツバサ。

 翼を大きく動かし、両手を飛ばす。

 

「ダブル・ブーストクロー‼」

 

 両腕の鋭い爪が迫る中、俺は防御の姿勢に入らずに漆黒の羽根を展開する。

 

 そして、羽根を束ねて無数の拳を作り出し、それをシレーヌに向かって飛ばす。

 

「殲滅の衝撃(アサルトブレイク・インパクト)‼」

 

 2本の爪と数多(あまた)の拳では、物量的に差が生まれる。

 

 そして、その1つ1つの拳はヴァイスゼロの拳と同じ威力を持っている。

 

「これはっ…‼ぐぁああああああああああああああ‼‼」

 

 2本の爪は拳に弾かれ、両腕の無いツバサは無防備に拳を受け続ける。

 しかし、それでも彼女の闘志は消えない。

 

「明人ぉおお‼……私をぉ、受け入れろぉおおおお‼‼‼」

 

 両腕を戻し、拳の雨の中で俺に向かってくる。

 まだ、俺の中のアモンとしての繋がりにすがりつこうとしているのか。

 

 だったら、望み通り相手をしてやる。

 

 自身の中の獣の部分を呼び覚まし、鎧の形状が変わる。

 

「うるぉおおおおおおおお‼‼‼」

 

 内なる獣を解放し、魔獣のそれへと変身する。

 

 デビルマン・ヴァイスゼロ 魔獣(ビースト)モード。

 

 自分の中の獣を受け入れ、その力を解放した姿だ。

 

 ゼロの鎧の力だけでなく、内側から獣の力が広がっていく。

 

 だけど、もう衝動に飲まれることはない。

 

 いつぞやの森の中での戦闘を思い出しているのか、シレーヌの表情が赤く染まる。

 

「あぁ‼そうだぁ‼おまえのその姿こそ、私の求めていたおまえの―――」

「黙れ」

 

 言葉を遮り、一瞬で距離を詰めれば顔面を掴み、床に身体を叩きつける。

 

「ぐふっ‼良いぞ、その力ぁ‼もっと、私にアモンの力を見せろぉ‼」

「これはアモンの力じゃない。デビルマン・ヴァイスゼロ……俺自身の力だ。もう2度と、前世の衝動に飲まれることはない」

「嘘だぁ‼私を見ろ、明人ぉ‼おまえが愛する者は、シレーヌとの繋がりを持った私のはずだ、そうだろ!?」

「そう言うなら、自分の心に問いかけてみろ‼俺の中のアモンを、おまえは感じとることができるのか!?」

 

 森の中での感覚を思いだしたのか、ツバサは全身を震わせる。

 そして、俺と目を合わせては自身の豊満な胸に手を当てる。

 

「こ、こんなことが……バカなっ…‼」

「もう……因果は切れたんだ。おまえも、シレーヌの運命から解放されてくれ」

 

 現実を突きつけられようとも、その闘志が消えていないのは目を見ればわかる。

 

「うぅうぅうっ‼うるさぁああああああい‼‼‼」

 

 頭部の触覚から光線を放ち、それを回避して距離を取る。

 

「私は強い‼だから、おまえは私を選ぶべきなのだ‼私と来い、明人ぉ‼おまえは、選ばれし者なのだぞ!?」

「そうだとしても、俺は今の世界を守るために戦う。強者との戦いを望むおまえとは、根本的に考え方が違うんだ」

 

 もはや、言葉で何を言っても無駄だった。

 力で証明しようとしても、ツバサはその現実を受け入れようとしない。

 

 だったら、もう取れる手段は1つしかない。

 

「今度こそ、おまえを解放してやる……強さという呪縛からなぁ‼」

「私の強さを受け入れ……共に歩め‼それがおまえの運命なのだ、内海明人ぉ~‼」

 

 全身の紫と緑のオーラを前方に集中させ、再度仕掛ける。

 

「殲滅の破壊光線(アサルトブレイク・ビーム)‼‼‼」

 

 

 光線を発射すれば、それに対して防御の体制を取るツバサ。

 しかし、既に負傷している彼女に防ぎきれる攻撃ではなかった。

 

「ぎぃぁあああああああああああああああああああ‼‼」

 

 光線を受け、断末魔の声を上げる。

 しかし、その執念は苦痛をも超える。

 

「あぁぁきぃぃとぉおおおおお‼‼」

 

 床に踏ん張りながら、前に歩き出しては手を伸ばすツバサ。

 

 光線が収まり、攻撃を止めればそのままの状態で立ち尽くす。

 全身に火傷を負いながらも、その目はまだ死んでいない。

 

 流石は誇り高き戦士、シレーヌの力と記憶を受け継いでいる者。

 膝をつくことを許さない。

 

 それなら、引導(いんどう)を渡すだけだ。

 

 オーラを拳に集中させて歩みよれば、屋上の入り口から1人の男がパッと姿を現しては俺とツバサの前に割って入る。

 

「や、やめてください‼この人を、これ以上傷つけないで‼」

 

 眼鏡をかけている、細い体型の青年だった。

 彼が前に出れば、ツバサは正気を取り戻しては奥歯をギリっと鳴らす。

 

「またおまえか、東大寺(とうだいじ)‼何度も何度もしつこい‼私と明人の邪魔をするなぁ‼」

「ダメです、ツバサさん‼あなたはまだ、安静にしていないといけないんですよ!?」

 

 緊張の糸が切れたのか、ツバサの変身が解除されては全裸のまま床に倒れそうになるが、その前に東大寺が抱える。

 

「は、離せっ…‼弱い男が、私に触れるな…‼」

「そう言っても、もう動けないでしょ。大丈夫です、僕が医務室まで運びますから」

 

 自身を上着をかけ、彼女を背負う彼は、俺に視線を向けてくる。

 

「あなたが……内海明人、ですか」

 

 問われれば、変身を解除して人間としての姿を見せる。

 

「そうだけど、あんたは?」

「僕は東大寺翔琉(とうだいじ かける)です。今日は、ここで失礼します。また、会いましょう」

 

 そう言って、東大寺はツバサを運びながら屋上から出て行ってしまった。

 

 1人残されて立ち尽くしている俺は、今の2人からアモンとシレーヌとは別の繋がりを感じた。

 これも特異点としての力が強まっている証拠なのかはわからない。

 

 だけど、さっきの彼の目からはある感情が伝わってきた。

 それは前世で、不動明とアモンが共通のデーモンから感じていたものだ。

 

 嫉妬。

 

 まさか、あの東大寺って男は……。

 

 1つの疑念が残りながらも、俺は時間を空けて屋上を後にした。

 

 また、彼とも会うことがあるだろう。

 その時に、真意を確かめれば良い。




はい、遂にスタートしました、英雄と反撃の章‼
最初は明人くんsideからの物語となります。

前の章の最後に出てきた、東大寺くん‼
彼もまた、物語を盛り上げてくれる重要な存在です。

未だに明人への執念を抱いているツバサ。
そんな彼女との因縁は中々切れるものではなかった。

ツバサを気遣う東大寺くんは、彼女を強さへの執着から解放することができるのか。

あー、じれってー。
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