DEVILMAN REBORN ~LOST DESTINY~ 作:カナト
世間の混乱とか、そんなものを気にする余裕は無かった。
気づいた時には、俺はミネルバの静止も振り切ってカイザーパイルダーでホーリースパーク本部に向かっていた。
警備などを押しのけ、すぐに足を止めずに記者会見が行われている広場に向かう。
「どういうことなんだ、さやか!?どうして…‼」
そして、記者会見の途中にも関わらず、乱入した人類の救世主を語る魔神に、記者たちは恐怖と共に報道する。
「ご覧ください、みなさん‼我々を騙してきた、兜家の悪魔が姿を現しました‼」
「これは、雷沼氏によって真実を公表されたことによる暴走行為でしょうか!?」
記者たちの憶測が、報道を通じて世界中に拡散されていく。
「違うっ…違う‼俺は悪魔じゃない、人間だ‼」
否定するが、その言葉に信憑性は無かった。
アルテミスAを
「さやか……どうして、俺を見てくれないんだ…?いや、それよりも、どうして雷沼と一緒に…!?」
「それは天才の残した愚物であっても、薄々勘づくことはできるのでは?」
彼女に歩み寄ろうとすれば、その前にセイクリッドセイヴァーが立ち塞がる。
「雷沼…虎之助ぇ…‼」
「彼女は私の大切なパートナーだ。共に世界を悪魔の手から救済するために、これからは私と共に歩んでいく。偽りの救世主には、ご退場いただこう」
信じられるはずがなかった。
何かの間違いだと。
しかし、周りの人間が俺に向ける目は疑心に満ち溢れていた。
今まで、向けられたことのない視線。
疑い、怒り、憎しみ。
様々な負の感情が入り混じった目を向けられていた。
今まで、俺は人々を守るために戦っていた。
それなのに、その守ってきた者たちから向けられるものは非難の姿勢だった。
「俺は……違う‼みんな、俺を信じてくれ‼俺は悪魔じゃないんだ‼みんなを騙そうとしていたなんて、あるわけないだろ!?」
真実を訴えようとするが、それも意味を成さないほどに兜甲牙に向ける目は悪意に染まっていた。
そして、そんな哀れな俺を見ながら、セイクリッドセイヴァーは先端が
「わかっただろう?君はもう、人類の希望ではない……人類の敵なのだよ」
人類の敵。
その一言が、俺のこれまでの全てを崩壊させた。
「うぅうぅ~~~っ‼……雷沼ぁあああああああああ‼」
左腕を天に向かって突き上げながら、涙ながらに叫ぶ。
「マジン…ゴー‼‼‼」
マジンカイザーを装着しながら、カイザーブレードを出しては上段から振り下ろす。
ガキィーンっ‼
カイザーブレードと、セイクリッドセイヴァーのシャドーレイランスがぶつかっては
「許さないっ…絶対に、許さねぇえええ‼」
俺は無意識にマジントリガーを機動させ、黄金のオーラを纏う。
「その怒り、その憎しみ‼人類の希望と呼ばれていた男とは思えない醜さだなぁ、兜甲牙‼」
拮抗していたが、鍔ぜり合う時間が長引くほどに力が抜けていく感覚に襲われる。
そして、パァーンっとカイザーブレードが薙ぎ払われては
力を奪われるような感覚から、接近戦は不利だと判断する。
両目に意識を集中させ、目から光線を放つ。
「光子力ビーム‼」
しかし、それすらもシャドーレイランスで弾っ…いや、吸収されている!?
「君の行動パターンは読みやすい。何度もその戦闘を観察させてもらったからねぇ。光子力ビームが通じなければ、次に君が取る戦法は―――」
ビームが吸収されるなら、拳を叩きつける。
左腕の拳を向け、オーラの拳を回転させながら飛ばす。
「ターボスマッシャーパァーンチ‼」
しかし、その拳すらもシャドーレイランスの一突きで吸収される。
そして、奴はエネルギーを集中させては柄の引き金を引いて放った。
「シャドーレイランス…フルドライブ‼」
ランスから金色の稲妻が放たれ、それが竜の形になっては俺に迫った。
「んぐっ‼あがぁはあああああああああああああっ‼」
竜によって呑み込まれ、全身に雷撃を受けては断末魔の声を上げてしまう。
しかし、この時にカイザが語り掛けた。
『友よ、我が力を解放するのだ‼』
その言葉に、身体が反応しては全方位から受ける雷撃を吸収してはエネルギーに変える。
魔神パワーの1つ、【吸収】だ。
「はぁ…はぁ……はっ、人類の希望って言いながら、出す技はただのいい電気マッサージじゃねぇか」
「減らず口を」
セイクリッドセイヴァー。
こいつは、今まで戦ってきた敵のどれとも違う。
今までは、悪魔という光子力とは対になる存在とのぶつかり合いだった。
しかし、こいつは違う‼
マジンカイザーが光子力を利用して戦うのに対して、対抗するかのように無力化してくる。
これが天才の戦い方なのか。
魔神パワーが無ければ、今の一撃で倒れていただろう。
あと何度、魔神パワーを解放できるかはわからない。
それでも、こいつを否定するには……勝つには、魔神パワーを使うしかない…‼
俺たちの戦いの際中に、記者たちは恐怖から退散しては逃げまどう。
その中で残るのは、俺とセイクリッドセイヴァー、そしてさやかのみだ。
「ギャラリーが居なくなるとは、悲しいねぇ。これから、真の救世主が偽りの救世主を打ち倒す、記念すべき瞬間が訪れるというのに」
「何が偽りだ‼おまえの全てが、嘘に塗れた金メッキだろうが‼」
言葉を交わしていても、互いの主張は相容れない。
殺すしかないんだ。
相手が、人間だとしても…‼
「金メッキ…?クッフッフ、面白いことを言う。私が金メッキであるならば、君は錆《さ》びた黄金だ。力不足を痛感しながら、なおも英雄の椅子にしがみ付きたいか?哀れなものだ」
「うぅぅ…黙れぇー‼」
全てが耳障りだった。
雷沼の口を封じるために、さらに魔神パワーを解放する。
「魔神パワー解放‼【変態】、【強化】、【高次予測】‼」
マスクの口の部分が開いては「ぐぉおおおお‼」と咆哮をあげる。
そして、マントの形状が巨大な紅の翼に変化しては両腕の形状が右はバズーカ状に、左腕は巨大なものに変化すう。
変態した力は、強化によって能力を底上げする。
そして、セイクリッドセイヴァーの未来の動きを予測する。
「禍々しい……これのどこが英雄だぁ?自分の姿を鏡で見てみろ。おまえは、正真正銘の悪魔だよ‼」
なおも続く挑発に乗り、突撃をかける。
「るぁあああああああああ‼」
巨大化した拳の腕から左右に鉄の刃を展開して放つ。
「メタルスラッシュ・カッター‼」
オーラではない、実体を持った拳すらもシャドーレイランスで受け止める雷沼。
「んぐっ‼流石に4つの魔神パワーを解放した悪魔の力は、簡単には吸収できないか…‼」
メタルスラッシュ・カッターを弾いている隙に、右腕のバズーカ砲を放つ。
「カイザーバーストォ‼」
黄金の高威力の光弾を直撃させ、土煙が舞う。
しかし、奴は片手で煙を払ってはフッと笑う。
「それで全力か、偽りの希望よ?」
「んなっ…‼」
無傷。
奴の鎧に、傷1つ付けることができていない‼
「金メッキと言いながら、それを剝がすこともできぬとは……口だけでは、何もできまい」
その声が聞こえた時には、奴は俺の隣に立っていて裏拳を顔面に喰らわせてきた。
「ぐぎぁあああああああ‼」
受け身を取ることもできず、床に倒れてしまう。
何故だ、高次予測を使っているはずなのに、あいつの動きが見えなかった‼
【変態】【強化】を組み合わせた技も通用せず、【高次予測】でも動きを追うことができない。
魔神の力が、通用しない!?
「……これで終わりか?それでは、私も本気を出させてもらうとしよう」
そう言って、ゆっくりと歩み寄るセイクリッドセイヴァーに「待ってください」とさやかが静止を呼び止めた。
「もう、良いでしょう?彼もこれで、あなたが名実ともに人類の希望であることを認めたはずです。止めを刺す必要はないのでは?」
「甘いぞ、弓さやか。兜の血筋は、根絶やしにしなければならない。特に光子力の申し子とも言える、この男は危険過ぎる。ここで、因縁は絶たなければならない」
因縁…。
その言葉に、俺はハンっと鼻で笑う。
「因縁……そりゃ、そうだよな。俺は兜十蔵の孫で、おまえはドクター・ヘルの息子。互いに目障りで仕方がねぇだろうよ」
「っ!?貴様、何故そのことを!?」
虚を突いた一言に、雷沼から動揺が見える。
「おまえが俺たちを悪魔に仕立て上げようとするのなら、俺もおまえが悪魔だって言ってやるよ‼何が人類の希望だ‼てめぇの親父だって、悪魔の力に染まった科学者だろうが‼」
「黙れぇ‼全ては、おまえの祖父…兜十蔵が悪いのだ‼だからこそ、私は全てを利用してでも復讐する‼兜の血筋すらも利用し、その上で根絶やしにしてやる‼」
セイクリッドセイヴァーのマスクの下で、雷沼が怒りの形相に顔を歪ませているのがわかる。
そして、シャドーレイランスの先を向けては稲妻を轟かせる。
「消えろ……光子力に呪われた血族…兜の申し子よ‼」
俺に向かって稲妻が放たれた瞬間、その前にさやかが「甲牙‼」と名を叫んでは前に立って盾になった。
「きゃぁああああああ‼」
何が起きた?
どうして、さやかが俺を…?
「さやか‼」
俺は動揺から変身が解けてしまい、同じく今の一撃でアルテミスAの変身が解けたさやかを抱き上げる。
「何で…‼さやかは、俺を…?」
「……当たり前、じゃない。さやかは、あなたの……甲牙の、味方よ?」
突然の彼女の行動に、俺だけでなく雷沼も思考停止しては攻撃を止める。
「何をしている、さやか!?おまえは私の光子力を受け、女神としての力を…‼」
アルテミスの鎧が剥がれたさやかは、俺に真っ直ぐとした意志を込めた目を向ける。
「甲牙……大丈夫。光の道は、続いているわ。今は、闇の中に居ても……内なる光に、導かれて…‼」
「どういうことだ…?さやか、一体何を…?」
彼女の言葉の真意を探ろうとするも、雷沼はそんな時間を与えることは無かった。
「兜甲牙……弓さやか…‼やはり、兜の血族に穢された者は、我が光子力を持ってしても浄化できないほどに根深い呪いを受けるのか。それでは、仕方がない…‼」
シャドーレイランスを天に向け、再度稲妻を轟かせる。
そして、俺たちに向かって放った。
「サンダーブレーイクっ‼」
しかし、その雷撃が直撃しようとした瞬間――――。
暗黒のゲートが開き、武人は姿を現してはその大剣で雷撃を弾いた。
『戦いの気配を感じ取ってみれば、このような場に出るとは……面白い』
「おまえは……どうして!?」
漆黒の鎧を
デビルマン・ダークネスが、姿を俺たちの前に立ったのだ。
俺の声に反応し、ダークネスは見下ろしながら問いかける。
『何をしている?マジンカイザー。おまえの力は、こんなものではないだろう?』
奴はセイクリッドセイヴァーから庇うように立っては、大剣を地面に刺しては相対する。
「デビルマン・ダークネス……。親父の手駒が、何の真似だ?助太刀に来たとでも言うつもりか?」
『否。マジンカイザー…兜甲牙は、俺が決着をつけるべき宿敵‼貴様のような者に、その命を奪われるのは見過ごせん』
そう言って、ダークネスは俺に横目を向ける。
「行け、マジンカイザー。おまえとの戦いが、このような形で終わることを俺は許さん。決着の場は、いずれ」
「ダークネス……」
異様な光景だ。
光子力を持つ鬼神は俺の命を狙い、暗黒の武人は逆に助けようとしている。
「行きましょう、甲牙!さやかが、あなたをあるべき場所に導いてあげる」
「あるべき場所?……さやか、それは一体―――‼」
問いかけるが、その周りには黄金の粒子が展開されており、俺とさやかの身体に集まっていく。
「光子力テレポート‼」
その言葉と共に、俺たちの身体は光子力の粒子となっては消えていった。
裏切り展開かと思ったら、いろいろと謎展開‼
まさかのダークネス参戦……からのテレポート!?
絶望的な状況の中で、甲牙たちの反撃への準備が始まろうとしていた。