DEVILMAN REBORN ~LOST DESTINY~ 作:カナト
兜甲牙と弓さやかが瞬間移動した後。
デビルマン・ダークネスとセイクリッドセイヴァーの戦いは続いていた。
暗黒の大剣とシャドーレイランスがぶつかり合う。
「何故、兜甲牙を助けた!?このことを、ドクター・ヘルは知っているのか!?」
『助けたわけではない。闘争を求める自分の本能に従ったまで』
怒りを向ける雷沼に対して、ダークネスは冷静に己の意志をぶつける。
『マジンカイザーは我が宿命の敵。奴と決着をつけるは、俺の役目だ』
「そんな貴様の勝手な理屈で、私の計画を邪魔するとは…‼許さんぞ、ダークネス‼」
シャドーレイランスを通じて、大剣からダークネスのエネルギーを吸収する。
そして、距離をあけてはランスを天に掲げては振り下ろす。
「シャドーレイランス、フルドライブ‼」
ランスの先より、黄金の龍が放たれてはダークネスを呑み込もうとする。
しかし、それは大剣の横に薙ぎ払う一太刀によって消滅する。
『笑止‼その程度の力で、俺を打ち倒せると思うたか!?』
「いいや、今のは小手調べさ。逆に嬉しいよ、これで私は全力を試すことができるのだからねぇ‼」
シャドーレイランスを地面に刺し、格闘戦の構えをとる雷沼。
「先程のマジンカイザーとの戦いによって、光子力エネルギーの蓄積は十分。本来であれば、おまえたち悪魔の力を吸収し、逐一光子力エネルギーに変換しなければいけないのだが、手間が省けたのは好都合だ」
セイクリッドセイヴァーは、両手の甲に嵌めている紅のクリスタルを光らせては拳を合わせる。
「セイクリッド・プラズマ‼」
紅の稲妻を発生させ、周囲に放出する。
警戒を向けるダークネスに対して、雷沼は加速しながら接近する。
「厳密には、私の力は光子力ではなくてね。神が自らを脅かす可能性を秘めた、光子力のデータを基に生み出されたエネルギー……・
それが、雷沼の修正者としての力であった。
光子力の力を扱い、人類を神の意志に誘導するために宿るものであった。
「神の力に、
セイクリッドセイヴァーは、その言葉を呟いた時にはダークネスの背後に回っていた。
『何っ―――』
「聖剣‼セイクリッドセイヴァー‼」
彼が右手を伸ばして手刀の構え取れば、稲妻を帯びたエネルギーソードが生成されて上段から振り下ろされる。
『ぐぬぅうんっ‼』
大剣で防ぐダークネスであるが、そのエネルギーの差にヒビが入ってはパリーンっと砕け散る。
「これが、真の救世主の力だ‼」
そして、左手からもエネルギーソードを生成しては武人の腹部に突き刺そうとする。
しかし、それはカキーンっと別の武器で弾かれる。
『冥刀ジレンを抜かせるとは……少しは楽しめる相手と見た』
腰にさしていた冥回の刀を抜いては両手で構え直す。
「奥の手を出したところで、結果は変わらない。暗黒の将軍よ、おまえは神聖なる救世主であるセイクリッドセイヴァーに敗北する運命なのだ‼おまえの弟、魔神カイザのようになぁ‼」
『ぬんっ!?……何を言っている!?』
雷沼は1度距離を取り、ダークネスを指さす。
「おまえは私の研究によって、デビルマン軍団の暗黒の将軍として生み出された。しかし、その力の本流は悪魔の力ではないのだ。魔神カイザの復活を予期した神が、その対を成す存在として復活させるように私を導いた。おまえの真の名は、魔人サーガ。神に成りそこねし、哀れな戦士‼」
『俺が……魔神カイザの兄……サーガ…!?うっ‼』
ダークネスは一歩後退り、頭を押さえる。
そして、頭の中から封印されし記憶が逆流する。
神話の時代に起きた、魔神カイザとの戦いの記憶が。
『ぐぅらぁあああああああああああああ‼‼‼』
漆黒の鎧の隙間から、黄金の光が放たれる。
ダークネスの中に眠る光が、表面化しようとしているのだ。
しかし、それを抑えこもうとする鎧の力と拮抗しては苦しみ続けることになる。
『カイザ…俺は……おまえを…‼』
芽生える感情は、嫉妬と対抗心。
互いに切磋琢磨した、双子の戦士の戦いの記憶。
全ては、弟との決着をつけるため。
そして、魔神を越える戦士となることを望んだがために起きた悲劇。
「どちらにしろ、おまえにもう残された道は1つのみ。神のシナリオを妨害した罪は重い。貴様に、裁きを下す‼」
セイクリッドセイヴァーは、両手を組んではエネルギーを集中させては天に掲げる。
『消えろ、魔神ならざる魔人よ‼セイクリッド――――」
雷沼が技を繰り出そうとした瞬間――――。
『待つのじゃ、虎之助よ‼』
彼を呼び止めたのは、デビルマン・ヘル。
影からゲートを開き、姿を現す。
「親父……何のつもりだ?おまえまで、私の邪魔をするというのか!?」
『緊急事態じゃ。デビルマン軍団が、動きを見せたぞ』
ダークネスへの怒りに飲まれていた感情が、一気に冷めていく。
救世主としての使命が、彼を引き戻したのだ。
「デビルマン軍団が…?それでは、まさか、あの男が―――」
武人はその隙を見逃さなかった。
『ぐぬぬっ……余計なことをしてくれた。戦いをっ、楽しめんとは…‼ここは一時退くしかあるまい』
自らのゲートを開き、撤退するダークネス。
もはや、雷沼にはそんなことを気にしている余裕はなかった。
「デビルマン軍団が動くとなれば、三者連合も動くのは時間の問題……。バカな、このような事態は神のシナリオには無かったはずだ。余計なことをしてくれる…‼」
ーーーーー
場所は市街地。
そこでは、人々やデーモン族が日常を送っていた。
しかし、その中で全ての者を対象として、頭の中に映像が流れ込む。
そこはどこかの城の広間。
そして、その玉座には1人の男が座っている。
『束の間の平和は楽しめたか?愚かな者たちよ』
その愚かな者の中には、人間も悪魔も区別はない。
『俺はこの星の新たなる支配者、デビルマン軍団の長、白藤隆一』
自身の名を口にした男は、不敵な笑みを浮かべる。
『我々デビルマンは、人も悪魔も越えた存在。おまえたちは我々の管理によってこそ、生きることが許される。我らの道を阻むものには死を与えよう。人類よ、そしてデーモンどもよ。地球がおまえたちのものではないこと、このデビルマンが証明してくれる…‼』
デビルマン至上主義を掲げ、玉座から立ち上がっては高らかに宣言する。
『これより1ヶ月後、我らは地上に侵攻する‼我らの管理を受け入れ、生き残るか。我らに歯向かい、犬死するか。おまえたちに選べる道は2つに1つ‼運命の時を、心して待つが良い』
もう1人の修正者が、遂にその重たい腰を上げた。
この宣言によって、世界は新たな混乱に見舞われることになるのであった。
それに対する存在たちもまた、それぞれの覚悟を決めることになる。