※この作品はR-18です。

DEVILMAN REBORN ~LOST DESTINY~   作:カナト

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断ち切るものは

 場所は地獄。

 デビルマン軍団のアジトである魔界城の外れで、デビルマン・ダークネスは身を震わせていた。

 

『わかる……わかるぞ…‼マジンカイザー…兜甲牙‼』

 

 宿敵が新たなる力を手に入れ、さらに強くなったことを感じとる。

 場所は現世と地獄と違っていても、戦士としての直感が彼に語り掛ける。

 

 そして、自身の愛刀である冥刀ジレンを抜刀しては上段から振り下ろす。

 すると、断ち切られた空気が後から間を埋めるように急速に集まる。

 

『この一太刀をもってしても、あの男にも、兜甲牙にも届かぬ……か』

 

 ダークネスは今、決断を強いられている。

 そして、甲牙が復活したことを感じ取っては、迷いは晴れた。

 

《ここに居ったか、ダークネスよ‼》

 

 そんな彼に、下半身の虎を走らせて近づくはゴーゴン大公だ。

 

《デビルマン・ヘルが、マジンカイザーによって討ち取られたぞ‼》

『……知っておるわ。だからこそ、血が湧きたってしょうがない』

 

 ダークネスは歯を見せて笑い、クックックと声を出す。

 

『もはや、暗黒の中で己に問いかけるのも飽きてきたところよ……。おまえが戦士としての頂に立つのであれば、俺も真の姿を取り戻す時か…カイザ‼』

 

 セイクリッドセイヴァーとの戦いで、己の封じられていた記憶の扉にヒビが入った。

 そして、それは時間が経つごとに崩壊しては、数々の記憶が思い起こされた。

 だからこそ、ダークネスは考えていた。

 このままデビルマン軍団の将軍で居るか、戦いを求める1人の修羅となるか。

 

 そして、修羅となるために彼が取るべき行動は―――。

 

 ジレンを逆手に持っては、刃を握って自身の腹部に突き立てる。

 

『いざ……仮初(かりそめ)の将軍から、1人の戦士へと戻らん‼』

 

 グサッ‼

 

 刃は腹部を刺し、そのまま横に切るダークネス。

 それは切腹‼

 

 切られた腹からは、暗黒の瘴気が放たれては鎧が朽ちては灰と化していく。

 

《な、何をしているダークネス!?貴様、血迷ったか!?》

『否っ…‼これは正気ゆえの自刃なりっ‼俺は今、暗黒の将軍という器から、解放されるのだぁ‼』

 

 暗黒の外装が崩れ去り、下からは別の鎧が姿を現す。

 それは漆のような光沢がある漆黒の鎧であり、兜からはクワガタのような2本角が生えている。

 

『我を縛り付ける枷(かせ)が外れた……。実に晴れやかな気分だ』

 

 将軍の身を捨て、1人の武人として生きることを決めた姿。

 

《なんだ、その姿は…‼ダークネス、貴様はぁ!?》

『否‼今の俺はもう、デビルマン・ダークネスなどという仮初の器に非ず。我が真の名は……』

 

 ジレンを両手で握れば、刃から漆黒のオーラを放ってはそれが黒鋼に変化して刀身となる。

 身の丈を遥かに超える大剣だ。

 冥皇刀(めいおうとう)ジレン。

 新しき我が愛刀。

 

『我はサーガ……武神(ぶじん)サーガ‼神を断つ剣なり‼』

 

 自らを剣を称するダークネス改め、武神サーガ。

 彼の目指す武人の頂は、己が弟…魔神カイザ。

 そして、その力を持つ人間…兜甲牙だ。

 

《神を断つ…だと!?そのようなこと、許されるはずがない‼貴様、我らデビルマン軍団を敵に回すつもりか!?》

 

 サーガの闘争本能は、既に常軌を逸していた。

 魔神と呼ばれる戦士の片割れは、既に1つの欲望にのみ目を向けていた。

 宿敵…マジンカイザーとの決着。

 

 それだけが、己が生きる理由となるほどに。

 

『我が剣の道を邪魔するのであれば、貴様とて容赦はせんぞ……ゴーゴン大公』

《それはこちらの台詞‼今ここで、貴様を止めてみせようぞ‼》

 

 しかし、ゴーゴン大公が鞘から剣を抜いた時には遅かった。

 

 スパァ――――――ンっ‼

 

 サーガはジレンを横に振り払い、一閃が黒く煌(きら)めいた。

 

『冥皇刀・一文字切り…‼』

 

 距離はあった。

 間合いの外のはずだった。

 それでも、ゴーゴン大公の動きは止まった。

 

《ま、まさか…‼これほど……とは…‼》

 

 バキンっ‼

 

 剣の刃が二つに折れては、キィーっと奴の身体が横に傾く。

 

《見事…なり…‼》

 

 ボトンっ‼

 

 ゴーゴン大公の上半身と下半身が分かれ、人の身と虎の身体が分断された。

 

『これは俺からの決別の意だ……。闇の帝王よ』

 

 ジレンを鞘に収め、魔界城から離れて行くサーガ。

 暗黒の外装を脱ぎ捨て、自由の身となった武神が地獄を歩み進める。

 

 彼はもう、行く手を阻む者を容赦なく切り捨てることだろう。

 ただ、強き者と戦い、斬ることにのみ愉悦を感じる修羅。

 それが武神サーガという戦士の歩む道となる。

 

『待っていろ、マジンカイザー。雌雄を決する時は、そう遠くない…‼』

 

 魔神と武神。

 守護神と修羅。

 人と魔。

 

 2つの熱き魂がぶつかり合う日が、隠されし神話の決着がつく日となろう。

 

 

 ーーーーー

 

 

 人気のない樹海……その奥に広がる洞窟。

 そこに雷沼虎之介は、1人で項垂れていた。

 

「マジンカイザー…兜甲牙ぁ…‼」

 

 恨めし気に、自らに敗北の烙印を押した魔神の名を口にする。

 

 時間が経とうとも、消えることがない屈辱。

 

 自らの英雄としての在り方を否定され、自らの予測を遥かに越えた存在。

 決して許すことができないほどの怒りが、未だに彼の中で燃え盛っている。

 

「必ず殺す…‼私の手でぇ…‼」

 

 怒りのままに恨み言を漏らせば、どこからか「今のままでは無理だな」という声が聞こえた。

 その声に反応して振り向いた先には、不敵な笑みを浮かべる男が1人。

 白藤隆一だ。

 

「白藤…隆一…!?」

「久しぶりだな、雷沼虎之介……。相変わらずの英雄思想か」

 

 彼の一言で、2人が知己の間柄なのがわかる。

 

「人類の救世主から、堕ちたものだな。マジンカイザーに敗北し、身を隠しているのは……あの男に挑まれ、今度は消滅することを恐れたからか?おまえの父、ドクター・ヘルのように」

 

 挑発的な物言いをすれば、白藤は怒りのままに「アームド‼」と掛け声をあげて黄金の鬼神となる。

 

「おまえをここで殺せば、俺は英雄に返り咲けるだろう…‼」

「不可能だろうな。今のおまえでは、何も成すことはできん」

 

 白藤もまた、仮面を取り出しては顔を隠す。

 そして、変身のコードを唱えた。

 

「デビルっ…アポカリプス‼」

 

 仮面から青黒いオーラが霧のように広がり、それが白藤の全身を覆っては変身を完了する。

 黒みがかった青色の重装に身を包んだ、魔人たちの王がそこに立つ。

 

 デビルマン・アポカリプスレクス。

 

 白藤が神によって与えられた、新しき魔人としての姿である。

 

「俺は闇の帝王としての力だけでなく、神の力をも手に入れた……。おまえが挑んでいるのは、神と言っても過言ではない」

「貴様が神を語るなー‼」

 

 シャドーレイランスを突き出しながら駆ける、セイクリッドセイヴァー。

 しかし、それに対して黙示録の王は動揺すら見せない。

 

 手の甲に嵌められた紫のクリスタルを光らせ、手の平から紫のエネルギー球を生成して放つ。

 

「シャドーレイランス…フルドライブ‼」

 

 黄金の稲妻をまとった突撃と、エネルギー球が衝突する。

 そして、それは拮抗することなく爆発し、セイクリッドセイヴァーを後ろに吹き飛ばした。

 

「これは……神の力…!?貴様はまさか、本当に…‼」

「地獄の神…ハデスの力はもう、俺と一体化している。もはや、俺に勝つ気があるのであれば、神になるしかない」

 

 地獄の力と神の力を掛け合わせた白藤は、もはや最強のデビルマンと呼べる存在となった。

 

「修正者の役割は、まだ終わっていない……。それどころか、おまえはもうお払い箱かもしれないがな」

「貴様…何を言っている!?」

 

 雷沼には、彼の言葉を理解できなかった。

 しかし、その言葉の意味はすぐに分かる事となった。

 

「特異点に敗北するとは……神から力を授かった身の上で、恥を知れ」

 

 それは雷沼の声ではなかった。

 白藤と雷沼の間に、地獄の門とは違う神々しい白い空間が開かれる。

 

 そして、そこから姿を現した者は―――貴族のような衣装に身を包んだ、金色の髪をした仮面の男。

 仮面は黒いアイマスクであるが、無表情で感情が見えない。

 

「まさか、おまえは…‼」

「神の用意した、新しい修正者…だそうだ」

 

 白藤は変身を解き、男に視線を向ける。

 

「違う。私はおまえたちよりも先に生み出されし神の僕(しもべ)。この世界の浄化を図るために、特異点という異物を排除する」

 

 無機質な言い方で、使命を口にする男。

 その名は―――。

 

「我が名はマンセマット。私の使命は、先導者の特異点を排除することである」

 

 修正者はそれぞれ、特異点と相反する力をぶつけることで消滅を測る。

 そのため、特定の特異点を目標として定めている。

 

「その特異点……誰なのかはわかっているのか?」

「当然だ。俺は何度も、繰り返される世界にて、その先導者の特異点を葬ってきた」

 

 マンセマットには、繰り返された前世界のデータが残っている。

 そして、奴はその名を口にした。

 

「その特異点の名は、何度世界が変わろうとも同じ名前を授かっていた」

 

 特異点としての運命の力が、そうさせるのかはわからない。

 しかし、その先導者の特異点の名を耳にした時、その場に居た白藤は耳を疑った。

 

「その名は―――アイラ…アイラ・ムー」

 

 それは白藤が殺した、魔戒島の予言者の名であった。

 

「まさか!?そうであれば、おまえはもうお役御免だろう!?」

「ありえない。神は全てを見通している。だからこそ、私はこの世界に来たのだからな」

 

 マンセマットの否定に、白藤は動揺が隠せなかった。

 

「アイラ・ムーは生きている。そして、その特異点の力は……2つに分かれているようだな」

 

 魔戒島での戦い。

 その結末の意味合いが変わろうとしていた。

 

 マンセマット。

 この3人目の修正者が現れたことで、王を志す男の覚悟が試されることになるのだ。




マジンカイザー編が終わり、次のダンテ編への布石。

武神サーガとマジンカイザーの決着や、これからの戦いにご期待ください。
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