DEVILMAN REBORN ~LOST DESTINY~ 作:カナト
場所は避難区域。
1つの飛行機が、その近くで着陸した。
「それじゃ、久しぶりに家族水入らずで楽しんできなさい。予定日に迎えに来るわ」
「ありがとう、ジュンさん。行ってきます」
操縦していたのはジュンであり、美佐樹が降りると離陸していく。
(ここが、避難区域……。お母さん、お父さん、孝ちゃん……元気にしてるかな)
手紙でやり取りをしていたが、それも1か月に1、2回しかできなかった。
実際に顔を合わせるのは、あの了に変装したミカエルの告発報道以来になる。
避難区域の入り口を通れば、その先には思い描いていた3人の姿があった。
「お父さん!お母さん!孝ちゃん!」
少し速足になりながら駆けよれば、みんな笑顔で迎えてくれた。
「こうして、久しぶりに顔を見たら……やっと安心できた気分だ」
「お帰りなさい、美佐樹」
「姉ちゃん、元気してたか?」
安心したという一言に、目に涙を浮かべては人差し指で拭う美佐樹。
「うん、元気だよ…。ただいま、みんな!」
満面の笑みを向けながら返せば、それだけで家族は同じように笑みを浮かべてくれた。
「さぁ、積もる話もあるだろう…。前よりは狭いが、我が家に行こうじゃないか」
「うん…。はあぁ~、それにしても遠すぎるって、ここ。飛行機で3時間座りっぱなしだよ?」
「まさに都心からは大分離れた場所だから、しょうがないわよ。でも、それなりに楽しくやっているわ」
美佐樹が文句を言っては、母がそれを宥める。
そして、彼女の後ろを歩いている孝太郎が鼻に違和感を覚えてはすんっすんっと匂いを嗅ぐ。
「姉ちゃん、何か変な臭いがするぞ?……イカ焼きでも食ってきた?」
何気ない弟の一言に、ギクッ!と両肩を震わせる美佐樹。
「ちょ、ちょっとねぇ~?最近、イカ料理にハマってたから。イカ焼き以外にも、いかめしとか、いろいろと……」
「ふ~ん。……姉ちゃん、イカ嫌いじゃなかったっけ?克服したの?」
「そ、そうなの!大人になれば、味覚が変わるってホントね!」
何とか誤魔化したが、彼女はお腹を擦りながら頬を紅潮させる。
(お風呂、ちゃんと入ってこれば良かった……。あれだけ出したのに、まだお腹が…子宮が、たぷたぷする…♡)
昨夜、1日中交尾した時の精液が、未だに子宮内に残っているのがわかる。
流石に両親も、美佐樹が明人と毎夜に激しく愛し合っているとは思ってもいない。
何だったら、健全なお付き合いをしていると信じて疑わないはずだ。
これは美佐樹にとって、ただの帰省ではない。
彼との身体の関係を隠し、一緒に居ても大丈夫だと改めて信頼を勝ち取るためのミッションなのである。
ーーーーー
カポーンっ。
「ふうぅぅ~~~~。生き返るぅ~~~~」
避難所の風呂に浸かり、息を漏らす美佐樹。
伸ばした足を浴槽の端に乗せ、鼻歌を歌うレベルで入浴の気持ち良さに浸っている。
(ただ家族の顔を見ただけなのに……こんなにも安心するなんて、不思議…。何か、力が抜けたような感じ……。気を張ってたのかな、少しだけ)
明人が側に居て、家族と同じくらい大切な恋人だとは思っていて、一緒に居て安心するのは変わりない。
だけど、この安心感はそれとは違う。
(ここも……あたしの居場所なんだなぁ)
恋人の前で居る自分と、家族の前で居る自分。
どちらも本当の美佐樹ではあるが、それでも心持が大分違った。
そして、湯舟の中で力が抜けそうになっているのを感じ取り、逆上せる前に上がった。
戸を開ければ、そこにはタオルと着替えを持ってきた母の姿があった。
「あら、もう上がったの?まだ10分経ってないわよ。前は1時間くらい入ってたのに……」
「えっ……そうだったっけ?疲れで逆上せそうだったから、その前に上がっただけ」
美佐樹がタオルを受け取って「ありがとう」と言いながら頭を拭いていると、母は「えっ」と言っては身体が固まった。
「ちょっと、美佐樹……どうしたの、その身体中の
「斑点…?」
自分の身体を見れば、彼女は「げっ」と思わず顔を引きつらせて言葉を失う。
見れば、脚や股の間、乳房に赤い痕があった。
(これ、絶対にキスマークじゃあぁ~~ん!?)
言うまでもなく、昨夜にできたものである。
「ほ、ほら、向こうって熱くて……季節外れの蚊がブンブンと飛んでたのよ。あぁ~、もう、気づかない内に刺されちゃったかなぁ~」
「そ、そうなの……。だったら、あとで薬をあげるわね」
目を逸らしながらも誤魔化し、そそくさと服を着ては浴室を後にした。
(危ない危ない。何とか誤魔化せたけど……。こんなことが3日間も続くのぉ~!?)
美佐樹のミッションはまだ、始まったばかりである。
ーーーーー
美佐樹が風呂に入っている時、孝太郎は久しぶりの姉の帰宅後の暴走にうんざりしていた。
帰ってきてからの小一時間、明人との
彼と何をしただの、時々甘えてくる姿が可愛いだの、一緒に外出した時にバイクに乗ったら、その背中がカッコよかっただの……話しだしたらキリがない。
「姉ちゃんも明人兄ちゃんの女になったんだもんなぁ……。それにしても、話が長すぎるんだよ。勘弁してほしいって、ホントに……」
頬杖をつきながらテーブルをチラッと見ると、そこには美佐樹のスマホが置いてあった。
母に風呂に入るように言われた後で、置いて行ってしまったのだろう。
それを見つけた孝太郎は、目をキラーンっ!と光らせた。
「家の中とはいえ不用心だなぁ~。こういうところが雑なのは変わんないのな」
惚気話を聞かされた腹いせに、スマホを見てやろうと手を伸ばす。
「パスワードはぁ……あぁ~、変わってない。相変わらず誕生日に固定してるよ。もうちょっと考えないと、悪用されるぜぇ~?」
ニッシッシと悪い笑みを浮かべつつ、ネットを開くと検索履歴を確認する。
「・・・ん?」
そこに書かれていた検索ワードには、意味のわからない内容が並んでいた。
『妊娠しやすい体位』
『お互いに気持ち良くなるセックスの方法』
『おっぱいを使った奉仕プレイ10選』
『巨根 玩具』
『パートナーがケダモノになる精力剤 通販』
これだけ見て、孝太郎の頭の中で宇宙が広がった。
彼も中学1年生である。
そういうことに興味を持つ年頃だ。
そして、姉の知らなかった一面を知り、スッと頭が冷静になる。
この時、人は本当に驚いたら声が出ず、周りが静かに感じるほどに落ちつくのだと、彼は
「姉ちゃん……大人の女に、成ったんだなぁ」
スマホを閉じては、画面を下にしてテーブルの上に置いてやる。
「明人兄ちゃん……あんな姉ちゃんだけど、任せたよ、うん」
この場には居ない、いずれ義兄となることがほぼ確定した明人に、彼は尊敬と同情の念を込めては心の中で敬礼したのだった。
ーーーーー
美佐樹は風呂から上がった後、リビングで孝太郎と目が合うと顔を逸らされた。
「ん?孝ちゃん、どうしたの?」
「い、いやぁ~…別にぃ~?」
聞いたとて、返ってくる答えは曖昧なものだった。
自分の姿を見ると、ほぼほぼ下着と変わらない、身体のスタイルがくっきり出ているほどの薄着である。
そこでニヤッとからかうような笑みを浮かべては「ははぁ~ん」と言って歩み寄る。
「これこれ、孝太郎くん?もしかして、やぁ~っと、お姉ちゃんの魅力に気づいたかなぁ~?この年頃の男の子を悩殺しちゃうほどのナイスバディ!まぁまぁ、気持ちはわからなくもない、うんうん」
頭の後ろで手を組みながら調子に乗っていると、孝太郎はチラッと美佐樹を見た後でハハっと乾いた笑みを浮かべる。
「まぁ、姉ちゃんも女だもんな……そうだよな」
「……何?その含みのある言い方?」
明らかに今までと対応が違う。
前までなら、顔を真っ赤にしながら「からかうな!」と怒ってきていた。
(1年会わない間に、孝ちゃんも成長したのかなぁ…。嬉しいような、悲しいような)
思春期の男の子の気持ちはわからんと思いつつも、父と同じテーブルに着く。
「少しは疲れは取れたのか?向こうは大変だったんだろう」
「まぁね。でも、明人が気を遣って、あまり外に出てないから。それでも、外出したい時は前もって予定を空けてもらって、デートはできるから気分転換にはなってるかな」
明人の名前を出せば、父はフッと笑う。
「そう言えば、この前、明人の友人がここに訪ねてきたんだ。私たちの知らない明人の話が聞けて、とても新鮮だったよ」
「友人…?誰のこと?」
「兜甲牙。私たちを悪魔特捜隊から助けてくれた、あの青年だ」
「あぁ~……」
兜甲牙。
1度は明人と戦ったことがある、人類の希望と呼ばれた戦士だ。
一時期行方不明になっていたけど、今は復帰して人間と悪魔、双方の救助活動などに積極的に参加しているとニュースで聞いた。
明人からも、たまに話が出るから気になってはいた。
「昔の彼からは想像もできなかったが、今は私たち以外にも明人には繋がりができた。喜ばしいことだ」
そう言って、テーブルの上に置いてあるビールに口をつける父。
「その分、あたしとの時間が減っているのは……ちょっと不満」
美佐樹は突っ伏しながら、心の内を吐露する。
「一緒に住んでいるんだ。過ごす時間は、おまえの方がずっと長い。友人と過ごす時間ぐらい、許してあげなさい」
「それはそうだけど……。それだと、妊活が…」
ボソッと呟いたつもりが、父は目を丸くする。
「に、妊活…!?」
小声で呟いたつもりが、その耳にはハッキリと聞こえてしまったらしい。
「いや、違っ…‼何言ってるの、お父さぁ~ん?あたしたち、まだ高校生だよ?どう聞き違えたら妊活なんて言葉が出るの?気が早いってぇ~、アハハハっ」
笑いながら言って誤魔化せば、父もビールを一気飲みしては「そ、そうだな…」と同意する。
「まぁ、おまえの言う通り、まだ高校生なんだ。付き合うのも、同棲するのも許そう。しかし、節度を守ってだな……。明人も男なんだ、2人きりになれば、いつ獣になるかわからん……」
「あぁ~、確かに寝てる時に、後ろからおっぱい揉まれたり、起きたらもう突っ込まれてる時もあ―――」
父は思わず、口に含んだビールを「ブウゥー‼」と噴き出した。
「「んんん!?」」
父だけでなく、母、孝太郎も耳を疑っては聞き返してしまった。
家族のオーバーな反応に、美佐樹は咄嗟に正気に戻っては台詞の軌道修正をする。
「――ったら大変だもんねぇ‼そうそう、友達の彼氏が性欲が強くて、そういうことがあったって言っててさぁ~。本当に、今時の男の子ってしょうがないよねぇ~」
彼女はもはや、口を開きたくなかった。
明人との話になると、エッチなワードばかり出てくる。
もはや、自分でも無自覚に言っている分、性質が悪い。
「ま、まぁ、明人のことだ。おまえのことは大切にしてくれていることだろう。私も、おまえたちが健全な付き合いをしているなら、何も文句は言うまい」
「当たり前じゃない。大切に扱われ過ぎて、こっちから上手く誘ってあげないと激しくしてくれないんだから…はあぁ」
「激しく!?何を激しくするって言うの、美佐樹!?」
父より先に、母が反応しては両肩を掴んで血相を変えた顔で迫ってくる。
「も、もも、もしかして、さっきの痕‼蚊に刺されたとか言っていたけど、やっぱり…‼」
「い、いや、やだなぁ~、お母さん‼妄想が飛躍し過ぎだって‼」
「いいえ、わかるわ!だって、私もお父さんが奥手すぎて、何度誘惑したかわかったものじゃないもの‼」
美佐樹と孝太郎は今、同時に顔が引きつった。
((お、親の性事情とか聴きたくない…‼))
もはや、母の中では確信に変わっている。
これ以上追及されたら、完全にボロが出るのは明白だった。
「あ、あたし、もう疲れたから寝るね!みんな、おやすみ!」
美佐樹はそそくさと個室に向かって行った。
ーーーーー
バタンッとドアを閉め、「はああぁ~~~」っと深い溜め息をつく。
「危なかったぁ~~~。まだっ……まだ!大丈夫な!はず!」
完全にアウトだとわかっているが、それでも自分に言い聞かせている。
そして、何故かこのタイミングで電話がかかって来た。
明人だ。
「……もしもし、明人?どうしたの?」
『あっ…いや、別に用事ってわけじゃねぇけど……。無事にそっちに着いたかなって』
「大丈夫、あたしは無事だよ」
と言いつつ、精神的にはダメージが大きい。
そして、少しの沈黙が流れると、彼女はこの電話の意図がわかった。
「もしかして、もう寂しくなっちゃった?」
『えっ…それは……』
「もぉ~、昨日あんなにエッチしたのに、もう我慢できなくなっちゃったのぉ~?」
『それはっ……だからっ……』
歯切れが悪い所から、図星であることを察する美佐樹。
「大人しく、良い子で待っててね?帰ったら、何からしようか……やっぱり、パイズリで1回抜いてほしい?それとも、あたしのおっぱい使って自分でやっちゃう?」
『お、おい、そんなこと電話で聞いてくるなよ。周りで誰が聞いてるかもわかんねぇんだぜ?』
「大丈夫だよ、今は1人だし。…はああぁ~、あたしも早く、明人に会いたくなってきちゃった」
昨日のことは何のためにあったのか、既に寂しさを感じ始めている。
そして、腹を擦れば頬を染めてしまう。
「やっぱり、夜になると違和感が凄いの……。ここに……子宮に明人のオチンチンが入っていないと、落ち着かないみたい。あと……熱い精液も♡」
『帰ってきたら、またいっぱい抱いてやるから安心しろよ。お互い、辛抱しようぜ?』
「うん……。早く明人のオチンチンで、あたしのマンコを子宮まで犯して欲しい…。おっぱいもね、切ないの……自分で揉むより、あなたに揉みしだかれないと……」
そう言っては、自分の乳房を揉んでみるが感度が違う。
「明人ぉ…早く帰って、あなたと1つになりたぁい♡」
『美佐樹……そんなこと言われたら、俺―――』
明人が息を荒くしながら何かを言おうとした矢先のことだった。
バタンっ‼と強く扉が開いたのだ。
「おまえたち、やっぱりそう言うことだったのかぁー‼‼‼」
父の怒声が響き、美佐樹は思わず反射的に電話を切ってしまった。
「美佐樹!やっぱりじゃない!お母さんの想った通りよ‼」
「姉ちゃん……変わっちまったな。完全に女に成っちまったんだな」
母は予想が当たったことに興奮しており、孝太郎はもはや達観した目をしていた。
「あ、いや、これはぁ……」
「もはや、言い逃れはできんぞ、美佐樹ぃ~‼」
もはや、怒りを越えて鬼の形相になっている父。
(ああぁ~、もう、こうなったらぁ~‼)
美佐樹はもはや、理性がぶっ飛んでは顔が真っ赤にしながら告白した。
「そうだよ、明人とエッチしてるわよ!毎日!悪い!?」
もはや、開き直ってしまったのであった。