DEVILMAN REBORN ~LOST DESTINY~ 作:カナト
晴れやかな朝日が窓から差し込み、それが俺の両目の目蓋に当たり、目が覚める。
時計を見ると、時間は6時12分。
よし、まだ寝れる。
もう1度寝ようとすると、部屋の外からダッダッダッと誰かが走ってくる音が聞こえ、ドアが開いて女が大声をあげる。
「おーい、内海明人ぉー、起きろー」
聞こえていないふりをして寝返りをうつと、シーツをめくられた。
「起きろって言ってるでしょ!耳がおかしくなったのかしら」
「……うっせぇなぁ、一々」
「うるさいとは何ですか。さっさと起きて、学校に行く準備をしなさい」
「はいはい、わかりましたよ美佐樹さん」
「はいは1回。お母さんが朝ごはんをもう用意して待ってるんだから早くしなさいよね」
溜め息をついて部屋を出た制服を着ている女は加藤美佐樹。
俺と同じ高校2年で、黒いサラサラの肩よりも少し長いセミロングをポニーテールにしており、出る所は出て、引き締まっている所は引き締まっているプロポーションで、顔も整っているので周りからは美少女と呼ばれている。
その分、一緒に生活している俺は嫉妬の目を向けられている。
迷惑な話だ。
まだ眠いが俺も制服に着替えて1階に降り、テーブルに着いている3人に挨拶する。
「おはようございます、おじさん、おばさん。おはよう、孝ちゃん」
3人に「おはよう」と返されると、俺もテーブルに着いて朝食を口の中に入れながら話をする。
「最近、この辺りで未成年の行方不明者が増えてるんですって。物騒よねぇ……」
「最近は夜を出歩く若者が増えているからな。美佐樹、孝太郎、そして明人くん、ちゃんと寄り道せずに帰ってくるんだぞ?」
「はーい」
「へいへい」
「わかってますよ、おじさん。心配しないでください」
「真面目に返事をしたのは明人くんだけ……か。我が子たちながら、ちゃんとしてほしいものだ」
おじさんが唸っていると、孝太郎がテレビをつける。
すると、ニュースが入っていた。
『昨日、マンションの一室でバラバラになった女性の遺体が発見されました。その死体は切られたのではなく千切られたような跡があるということで、警察は厳重な装備をして調査する所存です。付近の方は外出するときは細心の注意を払いましょう』
失踪の次はバラバラ死体……物騒を通り越して気持ち悪いな。
俺は朝食を口の中に全て突っ込んで噛んで飲み込んだ。
「ごちそうさまでした。じゃあ、時間も時間なので俺はもう行きますね」
「えっ……ちょっとまって、あたしも行くから!」
美佐樹も全部口に入れてミルクで流し込み、カバンを持った。
「こらっ美佐樹、お行儀が悪いわよ」
「気を付けまーす」
全然反省の色が見せずにそう言い、美佐樹は俺と一緒に玄関を出て学校に向かった。
「おまえ、もうちょっと清楚にできないのかよ?身体以外は女に見えないんだけど」
「うっわ、セクハラ引くわぁ。お主は一匹狼が過ぎますぞ?もっと周りと交流しなさいな」
「余計なお世話だ。俺は1人が好きなんだよ」
「じゃあ、あたしに清楚を求めるのも余計なお世話」
そう返されれば何も言えず、「悪かったよ」と言う他無かった。
他愛ない話をしていると、俺の前を数人の柄の悪い男たちが阻む。
「よぉ、内海。また巨乳のガールフレンドを連れて登校か?羨ましいねぇ」
こいつらは学校の不良たちで、俺が何度倒してもケンカを売ってくるから困っている。
「こりないなぁ、おまえらも。俺のことはほっといてくれって何度も言ってるだろうに」
1人のリーダー格の奴が「やっちまぇええ!!」と時代遅れの叫びをし、それに合わせて俺に不良たちは襲いかかってくる。
美佐紀の前に立ち、俺は拳を握った。
3分後、全ての不良を地面の上にひれ伏させた。
「あちゃ~、これは酷い」
「俺に挑んだこいつらの自業自得だ。こっちは正当防衛を主張できる」
美佐樹は同情するような目を向けたが、俺は気にせずに足を学校に進める。
その時、後ろから不良の振り絞るような声が聞こえてきた。
「この……化け物が…!!」
それに対しても無反応で通す。
化け物なんて、何度となく言われてきたさ。
今に始まったことじゃない。
美佐樹は俺のことを心配したのか、手を握って早歩きをしてその場を離れた。
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学校が終われば、美佐樹を待たずに校内を出る。
一緒に居るところをあまり見られたくないのだ。
余計な怒りは向けられない方が良いに決まっている。
ニュースは見てたし、美佐樹も注意して早く帰るだろうし、1人で帰っても問題はないはずだ。
コンビニで週刊雑誌を買ってから帰路を歩けば、鈍痛の頭痛がまたきたので少し止まる。
昔から頭痛持ちで、目の前の物が何重にもなってしまう。
「まったく……何で帰ろうとしている時に……」
隣にあった石の壁に手を置いて目を閉じると、頭の中に何かの声が響いた。
〈エモノダァ……ニクノニオイガスルゾ……〉
何だ、この声……聞き覚えがあるような……だけど、どこで……。
声に集中していると、足が動いてしまう。
行きたくもないのに、勝手にだ。
まるで、声の主に引き寄せられるように。
「俺の体なのに……そうじゃないみたいだ」
足を止めることができず、着いた場所はもう使われていない小学校。
靴を履いたまま中に入れば、何かに誘導されるように奥の教室に向かっていき、近づくにつれて何かのクチャクチャという粗食音が聞こえてくる。
この先に進みたくないと思っても身体が引き換えそうとしてくれない、足が止まってくれない。
「はぁ……はぁ…」
きっと、犬か猫が小動物を食べてるだけだ。
だから、何も怖がる必要はない。
なのに、心臓の鼓動がバクバクと速くなり、喉が渇いてくる。
緊張し過ぎて、呼吸するのを忘れてしまいそうだ。
教室の前に来て、中を覗いてみる。
すると、教室の中に居たのは――猫だった。
猫がネズミを食べているだけだ。
「ふぅ……やっぱりか。そうだ、それ以外にあり得ないだろ。悪魔が人間を食ってるわけじゃあるまい――え?」
俺は今、何を口走った?
悪魔が……人間を、食う?
何で、そんなことを言ったんだ?
わからない。
けど、そう俺の口が開いた。
「……俺は……どうしたんだ、俺は!?」
悪魔……こんな言葉を真剣に呟いたのは生まれて初めてだ。
生まれて初めてのはずだ。
でも、頭の中に奇妙な感覚がある。
本当に悪魔が居たかのような感覚が。
「ありえねぇ……頭がどうかしてしまったのか、俺は?」
猫だとわかれば緊張も解け、すぐに使われていない学校を出ようとした。
校門を出る前に後ろを見て確認すれば、何も変なところはない。
「本当……疲れてただけだよな」
悪魔なんてこの世に居るはずがない。
俺は聖書とか宗教は信じないんだ。
帰路に戻ろうとすると、校門の前に1つの車が止まった。
赤い色の高級車だ。
そして、中から白いコートを着ていて白髪でサングラスをかけた男性が出てきて、校舎と俺を交互に見た。
「……君は?どうしてここに居るんだい?」
「お、俺……ですか?」
「そう、君だ。ここには俺と君しか居ない」
指をさされて言われれば、一応名乗っておいた。
「俺は内海明人、高校2年生。ここに居るのは……ただの暇潰しですよ」
「暇潰し……そうか。そして、アキト……。わかった、理解した。君では無さそうだな」
「……あの、何の話ですか?」
自分だけで納得している男に対して納得がいかなかったので聞いてみると、男は「これは失礼した」とコートの懐から名刺を取り出して俺に見せてきた。
「俺は考古学者でね。名前は飛鳥了。君より10年は長く生きているが、了と読んでくれて構わないよ。アキトくん」
そう言って笑った了の目は、奥が笑っていなかった。
それにしても、了って……偶然なのか?
俺が時々見る同じ夢の中で、この名前を俺は呼んでいた。
一体……この現象は何なんだ!?
校舎の中から、2人をじっと見ている。
〈……マダ、オレノソンザイヲ、シラレルワケニハイカナイ。……ニンゲン、オマエハオレガクウゾ〉
俺がこの何かの標的になってしまったことを、俺はこの時気づかずにいた。
いきなり展開が早いですが、ごめんなさい