DEVILMAN REBORN ~LOST DESTINY~ 作:カナト
目覚めた先は、いつかの白い空間だった。
俺の目の前には、4つの顔を持つ魔王の姿が映っている。
《ダンテよ》
前世の俺…ゼノンが語り掛けてくる。
《おまえは今より、真の意味で己の力で戦うことになる。我もまた、おまえの一部となろう》
「ゼノン……」
今まで、悪魔の鎧として俺を支えてくれていたのは、この時のためだったのだと理解した。
俺が本当の意味で、自らの力を使う決意を固めるまで。
「ありがとう、ゼノン。俺はもう、大丈夫だ。俺の目指す王とは……その答えは、視えたから。ここから先は、自分の足で前に進む。先を進み、導く者として」
自身の胸の中心から、紺碧の輝きが放たれているのがわかる。
《おまえは進め、自らの求めた王としての道を……。共生の未来を》
前世の俺の無念は、今の俺が叶える。
その王としての在り方もまた、受け継いでいく。
過ちは、繰り返さない。
「俺はダンテ…。その意味を、今、理解したよ」
ゼノンの身体が光となっては粒子状になり、銃口に刃が付いた2丁拳銃に変化する。
「ここから先は……俺の王道だ‼」
俺はその銃を目の前に向けて引き金を引けば、空間は砕け散った。
ーーーーー
光が収まり、灰色の竜人の鎧がボロボロボロっと砕けては地面に欠片が落ちていく。
「ゼノン……。俺は俺の足で、王を目指す。共生の未来を築き、その先へと導く者になるために…‼」
そして、パリーンっ!と朽ち果てた鎧がパージされては、新たな姿を露わにする。
「な、何だ…‼その姿はぁ!?」
姿が変化し、灰色の竜人から頭部に
その胸には、翼を広げた髑髏のような紋章を
「ダンテ……デビルマン・ダンテ。これが俺の求めた、王としての本来の力だ」
我が真名を語りながら、俺は悠然と立ち尽くす。
「見てくれが変わったから、何だと言うのだぁ!?何を棒立ちになっている!?さっさと片付けろ、貴様ぁー‼」
ヴァルバの号令に合わせ、ケダモノの集団が襲いかかってくる。
しかし、今度は先程と同じようにはいかない。
膝を曲げては大きく
そして、直線状に居る愛羅に向かって言う。
「必ず助ける……1分だけ待っていてくれ」
その語り掛けに、愛羅は目を見開いていた。
多勢に無勢。
数の上では向こうが有利だろう。
しかし、俺はもうそんなことに脅威は感じない。
「ここで出会った不幸を呪え。さぁ、どこをぶち抜かれたい?5秒以内に答えれば、リクエストに応えてやる」
手に持つ2丁拳銃…ゼノントリガーを向けながら挑発する。
「何っ…‼この野郎ー‼」
襲いかかってくるケダモノたちを、軽い身のこなしで回避し続けながらドーナツ状に囲んできた奴らの中央に立つ。
「残念。時間切れだ…‼」
紺色のビームを銃口から放ち、ケダモノたちの身体を貫通していく。
「ぎぃぁああああああ‼」
「ぎゃばふぉおおおお‼」
頭部、胸部、腕、足と貫通させては戦闘不能にさせ、死体の山を形成する。
「魔王自らが、地獄に送ってやるんだ。光栄に思うが良い」
強気な物言いをしつつ、蹂躙する姿にヴァラバは身体を震わせながら愛羅から離れ、背中を向けて逃げていく。
「あ、あんな化け物に敵うはずがねぇ‼逃げろっ…逃げろぉー‼」
遺跡の影響で悪魔の力を得ようとも、目の前に居る魔王には勝てないと、狂気に沈んでいた本能が悟ったようだ。
そして、アジトの奥にあった檻を開いては巨大な悪魔を解き放つ。
「た、頼む、助けてくれぇ‼あの怪物をやっつけてくれ‼おまえなら勝てる‼多くの悪魔が合体した、おまえならぁ‼」
顔はライオン、腕はカマキリ、下半身はサイの超獣‼
キメラとも呼べるその悪魔は、檻から出ては「グアアアァ‼」と咆哮をあげる。
蛮族たちを返り討ちにしては、愛羅を拘束から解放する。
「ダンテ……ありがとう。でも、私…‼」
「話は後で良い。今はこの状況を打破することだけを考えよう」
キメラが迫り、俺と愛羅を見ては敵意を露わにする。
「こ、こんな化け物が、まだ隠されていたなんて…‼それに、ヴァラバが逃げるわ‼」
目の前のキメラも、ヴァラバも脅威に感じては愛羅は後者の方を追いかける。
「ダンテ、あなたはその化け物を‼私はヴァラバを‼」
彼女は逃げるヴァラバを追いかけていき、俺はキメラと向き合う。
愛羅のことだ、何か考えがあるのだろう。
そうであるならば、俺は彼女を信じて目の前のキメラと戦うのみ。
「了解した。すぐに追いつく…‼」
ゼノントリガーを構え、臨戦態勢に入る。
あまり、時間はかけていられない。
今こそ、この力を解放する‼
「モード・ヴァンガード起動…‼」
その言葉と共に、頭部に黒いバイザーがかかってはモノアイが朱く染まる。
それと同時に、全身から灰色の煙を放つ。
右手を前に出し、前屈みの姿勢になっては、突撃を仕掛ける。
《ギィリァアアアアア‼》
咆哮をあげながら、キメラは口から火炎弾を放ってくるが、それは直撃する前に紙一重で回避して接近する。
「おまえはずっと、その力を恐れられて囚われていたのだろう。その身には、少なからず同情してやる。しかし…‼」
接近すれば、両手の鎌を大振りで振り下ろしてきたがゼノントリガーを胸部に戻しては腕の関節部を掴んで止める。
それはバイザー越しに観ている景色によるものだった。
俺の視線の先には、キメラの次の動きが残像のように広がっていた。
デビルマン・ダンテ モード・
その力は相手の魂の動きを見通し、その『先』を見る能力だ。
「経験が少なすぎる。そのような攻撃が、通用するはずがない。おまえは、俺には勝てない」
そして、関節部を掴まれれば、成す術もなくブチっと引き抜かれては両腕から血しぶきが舞う。
《びぎゃぁあああああ‼‼‼》
痛みを知らぬが故に、この痛みによって隙が生じる。
「これで、終わりだ‼」
スパァーン‼
掴んだ鎌を左右に振るい、キメラを頭部を切り落とした。
もはや、断末魔の声を出す猶予もなく、首と胴体が離れてはバタンッと事切れたのだった。
これが、魔王ダンテとしての戦い方。
まさしく、闇の中で無慈悲に敵の命を奪う者。
魔王の名を持つに相応しい。
ーーーーー
愛羅が向かった先で、ヴァラバは追い詰められていた。
「まさか、1人で追いかけてくるとはな……」
一糸まとわぬ全裸のまま、彼女はその身1つで彼を追いかけた。
武器もない愛羅に、ヴァラバが恐怖を感じることはない。
「あなたは、野放しにはできない……。狂気に呑まれたケダモノを、これ以上好きにはさせない…‼」
確かな敵意を目から放ちながら、愛羅は自身の豊満な胸元に手を当てる。
「ヴァラバ……。あなたは先程、私の前にムー人の戦士たちの亡骸を見せつけた。彼らの無念、ここで晴らします‼」
彼女は凛とした態度で、目の前でワニの悪魔へと変貌するケダモノと向き合う。
「戯言を抜かすなぁ‼あの魔王が居なければ、おまえも無力な女であろう‼さっきまで、涙を流していた娘が偉そうにぃ‼」
ヴァラバは自身の手に持つ槍を構え、愛羅にその刃先を向ける。
しかし、それに対して彼女は動揺する素振りすら見せない。
「おまえに、何ができるぅ!?今度こそ、おまえを犯した上で殺し、ダンテに消えない傷を与えてやろうかぁ‼」
そう言って迫るヴァラバに、愛羅は両手を前で交差させては胸元に
円形の中に描かれた日輪、中央に十字が刻まれたマークが。
「私に戦うための力はありません。私にできるのは、2つの道を示すことだけ…‼」
そして、両手を横に薙ぎ払う動作をしては、動きに合わせてぷるんっと揺れる胸元の紋章がヴァラバに向かっていった。
「アイラ・ムー・ゲベート‼」
そのムーの紋章がヴァラバに届いた瞬間、その身体の動きが止まる。
「な、何…‼」
これは悪魔の力ではない。
そして、人間の力でもない。
彼女が受け継いだ、女王としての力。
「武藤愛羅が命じます。選びなさい、ヴァラバ!私たちに協力し、エルドラドからムー人を解放するか。あるいは、この場で死ぬか!」
示された道は、2つに1つ。
しかし、ヴァラバは自身の置かれている状況を理解できていなかった。
「何をバカなことをぉ‼おまえは俺に、殺される…べ…き…‼」
それは彼女への敵意の表れ。
自動的に、後者を選んだことを意味する。
槍の穂先を掴んでは、自らの腹部に向ける。
「な、何だ、これはぁ…‼や、やめろ…‼何をした、女ぁー‼」
愛羅を睨みつける目は、憎しみに満ちている。
それを彼女は、臆することなく受け止める。
「それが、あなたの選んだ道です。受け入れなさい、己の罪を」
彼女の女王の力に抗うことはできず、ズブリュっと腹部に槍が突き刺さっては自らの身体を貫通させる。
「ぎぃぁあああああああああああああああ‼‼‼」
野獣王と自称した男にとっては、あまりにも呆気ない最後だった。
王と名乗ったとしても、本当の女王の力を持つ者にはかなわなかった。
無論、それは紺碧の魔王に対しても、同様の結末が待っていたことだろう。
ヴァラバの亡骸を見下ろし、愛羅は目を閉じては黙とうを捧げた。
「さようなら……哀れな野獣の王よ」
彼女が哀悼の意を表していると、「愛羅」と名前を呼んでは待ち人は姿を現した。
「ダンテ……」
魔王と呼ばれる者と、ムーの女王としての宿命を持つ者。
2人は今、本当の意味で向き合おうとしていた。
ダンテの覚醒イベント兼、愛羅の隠された能力のお披露目イベントでした‼
ダンテの戦闘、元ネタを知っている人はニヤニヤが止まらないと思います。