DEVILMAN REBORN ~LOST DESTINY~ 作:カナト
ダンテが陽動で注意を引きつけている間に、手薄になった牢獄に向かう愛羅とソニア。
「アイラ様、この先です!囚われた王権派の戦士たちは、牢獄の中に囚われているのです‼」
ソニアの案内に従いながら、愛羅は走る。
その道中で監視の兵に道を阻まれるも、それらはソニアとその部下の戦士たちが斬り伏せる。
「流石は魔王ダンテ。これほどまでに兵が減っているのも、彼の陽動のおかげですね」
「ですが、彼にばかり負担を背負わせるわけにはいきません。すぐに戦士たちを解放しなければ…‼」
彼女は焦っていた。
ダンテ1人が今、大勢のムーの兵士たちと戦っている。
その事実が、愛羅の胸を締め付ける。
(早く……早く、彼の下に……ダンテの下に行きたい…。彼1人に、背負わせるわけには…‼)
牢獄の前に到着すれば、ソニアが錠を剣でバリンっと叩き壊す。
そして、その中に居る者たちに声をかける。
「ムーの戦士たちよ、あなた方を助けに来ました‼」
愛羅の声に、戦士たちは反応する。
「その姿は……」
「まさか……」
「アイラ…様…?」
ソニアの時と同じで、彼女のことを見ただけで、その存在にアイラ・ムーを感じとる。
「そうです、私は愛羅。あなたたちが望んだ存在。共にエルドラドを討ち取るために、この地に参りました」
自身の胸元に手を当て、微笑みを浮かべる愛羅。
その
そして、そこに押し込められている、希望を失っていた戦士たちの目に光が宿り始める。
「この八稜郭を取り戻し、エルドラドと戦うための
それは彼女からしてみれば、懇願のつもりだった。
しかし、ムーの民にしてみれば、女王アイラの言葉は絶対。
「アイラ様が、この地にお戻りになられた‼正義は我らに在りー‼」
屈強な体格をした戦士が、腕を振り上げて声をあげる。
それに合わせ、他の戦士たちが「おおぉー‼」と雄叫びをあげる。
そして、牢獄から出ては床に落ちている剣や弓、槍などの武器を拾い、砦内に散らばっていく。
それを見送りながら、愛羅は表情が
「私は……最低ですね、ソニア」
「えっ…」
彼女の自分を卑下する言葉に、ソニアは怪訝な顔を浮かべる。
「この戦いで、今解放した人たちの何人かは犠牲になるかもしれません。ダンテのために、あの人たちを死地に放ってしまったのです。何て自分勝手な女王なのでしょう……」
「しかし、私も……そして彼らも、あなたのために戦うことができて本望なのです。その覚悟を受け止めるのも、あなたの女王としての務めなのではないでしょうか?」
「・・・」
女王という身分が背負う重責。
それを今の一連の流れだけで、強く感じとる愛羅。
(だとしたら、私はもう……この重責に耐えられる自信がない。今だって、私には……)
彼女が目を閉じれば、その背後に無数の死体があるように思える。
6000年もの長い間、女王として運命を変えるための戦いに挑み、敗北してきた。
そのために犠牲になった魂は、きっとこの戦いで消える命よりも多かった。
積み重なった女王としての責任の重さに、彼女の心はもう悲鳴を上げていたのだ。
「ごめんなさい……誇り高き、ムーの戦士たちよ」
その後も他の牢獄に居る戦士たちを次々に解放し、八稜郭内で暴動が発生する。
この場所を占領するのも、時間の問題であった。
「これで、我々の目的を果たしたも同然です。これも、アイラ様のおかげです」
「いいえ、私は何もしていない…。これで皆を解放できたのなら、私はもう…‼」
感情が先走り、愛羅は血相を変えて走り出す。
向かう先は、言うまでもない。
今もなお命掛けの戦いをしている、愛する魔王の下へ。
ーーーーー
ダダダダダダダダッ‼
カキンっカキンカキンっカキンっカキンっ‼
ゼノントリガーのビーム弾《だん》は、全てアランの展開する3つのシールドによって弾かれていた。
「その程度の攻撃で、我が盾を破れると思うなぁ‼」
防御しつつも接近してきては、サーベルの刃先を突き出しては襲いかかる。
それを紙一重で回避しつつ、背後に回っては背中に向かって銃口を向けては引き金を引く。
カキーンっ‼
しかし、シールドは瞬時にアランの背後に回っては弾丸を防いだ。
「我がサーベルは万物を両断し、我がトリニティシールドはあらゆる攻撃を防ぐ‼死角のない、攻守一体の鉄壁の戦法‼貴様ごときが、破れると思うな‼」
奴の周囲を駆けながら、全方位からゼノントリガーを乱射するが、それら全てにシールドが反応しては弾かれる。
アランが操作しているわけじゃない。
シールドが自動で俺の攻撃に反応し、防いでいるのだ。
「確かに、これを崩すのは骨が折れそうだ。壊し
ゼノントリガーを前方で交差させるようにして構え、俺はアランを見据えて宣言する。
「そのご自慢の鉄壁……打ち砕いてやろう…」
そして、これより始めるのは―――一方的な
「モード・
兜に黒い髑髏のようなバイザーがかかり、ツインアイが朱に染まる。
そして、鎧からは灰色の煙が放たれる。
腰を屈んでの重低姿勢から、目標を真っ直ぐに睨みつけては駆け出す。
灰色の軌跡を描き、瞬時に背後に回っては飛び蹴りを喰らわせる。
「無駄だと言うのが、わからんかぁ‼」
シールドが自動的に、アランを守るように蹴りを防いでくるが、そんなことはわかり切った未来であった。
「だろうな。だが、これで良い」
一撃では全てが完結するとは思っていない。
一撃でダメなら二撃、それでダメなら三撃…それでもダメならもっと…‼
全方位から体当たりでの攻撃を仕掛け、シールドは全ての攻撃に対応してくる。
「無駄無駄無駄ぁ‼私の鉄壁を、打ち破ることなど不可能だぁ‼トリニティシールドに死角はない‼おまえの攻撃など、全て効かぬわぁ‼」
両手のゼノントリガーの刃を突き出し、それが弾かれた時に手元から離れる。
「串刺しの刑だぁー‼」
武器を手放した俺に、アランはサーベルの刃先を顔面に向かって突き出してくる。
「この時を待っていた…‼」
頭を横に動かすことでサーベルを回避し、それと同時に右手を左手で掴んでは、宙から落ちるゼノントリガーを掴んだと同時に、その銃口の刃でザクっと切り落とした。
「ぎぃぁあああああ‼」
右腕を切り落とされた衝撃から、声をあげて後退するアラン。
「ち、父上……ディーン様…‼私はっ…私はあぁ…‼このような所で、死ぬわけには…‼」
目の前の騎士に、どれほどの覚悟と想いがあったのかはわからない。
しかし、1つだけ確かなことがある。
それは、この男は俺の敵だということ。
「自らが誇る最強の矛と最強の盾……どちらが強いかは、その身を以って確かめろ…‼」
アランのサーベルを左手に持ち、そのまま刃先を突き出す。
「トリニティシールドォ‼」
シールドは3枚とも、直列に並んではサーベルを阻む。
しかし―――。
ザクッザクッザクッ‼
サーベルの刃は、3枚のシールドを容易く貫通してはアランの腹部の前で止まる。
「止まった、これで―――」
「終わるわけがないだろ‼」
サーベルに向かって蹴りを叩き込めば、そのまま―――。
ズブリュっ‼
「ぐがぶへぁあああっ‼」
奴は目を見開きながら、吐血しては左手でサーベルの刃を掴む。
「あ、ありえっ…ない…‼私がっ……父上よりっ、預かった……最強のっ、盾がぁ…‼」
「どれだけ強固な盾であろうと、同じ個所に何度も攻撃を行えば衝撃に弱くなる。おまえは、道具に頼り過ぎだ。その盾はおまえを守るものであったとしても、慢心を与えるためのものではない。最強の道具の使い手が、最強の戦士であるとは限らないということだ」
サーベルを引き抜けば、床に向かって投げ捨てた後に右手に握ったゼノントリガーの銃口を向けて引き金を引いた。
「地獄で反省してこい。俺からの宿題だ」
バキューンっ‼
ビーム弾はサーベルで開けた穴を貫通し、項垂れるアランの額に直撃しては倒れた。
「父…う…え……」
目からは光が消え、もう動くことはない。
俺は今、この男の命を奪ったんだ。
「……さらばだ。道具に頼り切った、哀れな騎士よ」
変身を解き、俺はその場を後にする。
モード・先導者を起動した時、俺が『先』を見ていたのはアランとシールドの動き。
アランを守るために、自動で移動するシールド。
そのシールドの同一箇所に打撃を与え続け、その防御力を削って行った。
そして、最後に奴の自慢の万物を断つサーベルを使用し、破壊することまで見えていた。
先を見通し、その力を最大限に活用して打ち砕く。
それが魔王ダンテの戦い方だ。
「ダンテ‼」
俺の戦いが終わるのと同時に、名前を呼ぶ愛羅の声が聞こえた。
遠くから、こちらに向かって走ってくる彼女の姿が見える。
「愛羅…‼」
目に涙を浮かべながら、俺の胸に飛び込んでくる愛羅。
「良かったっ……あなたが、無事で…」
「それは俺の台詞だ。……約束しただろ?必ず、生きて戻ると」
囚人たちの解放と共に、八稜郭の占領を完了。
これから、ここがエルドラドと戦うための砦となる。
しかし、今は先の戦いよりも、この作戦の成功に喜びを感じることにした。
ダンテの戦闘スタイルは、基本的に報復法です。
八稜郭での戦いを終え、一時の安らぎを得るダンテたち。
しかし、愛羅には大きな憂いがあったのだった。