※この作品はR-18です。

DEVILMAN REBORN ~LOST DESTINY~   作:カナト

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八稜郭解放戦線 後編

 ダンテが陽動で注意を引きつけている間に、手薄になった牢獄に向かう愛羅とソニア。

 

「アイラ様、この先です!囚われた王権派の戦士たちは、牢獄の中に囚われているのです‼」

 

 ソニアの案内に従いながら、愛羅は走る。

 その道中で監視の兵に道を阻まれるも、それらはソニアとその部下の戦士たちが斬り伏せる。

 

「流石は魔王ダンテ。これほどまでに兵が減っているのも、彼の陽動のおかげですね」

「ですが、彼にばかり負担を背負わせるわけにはいきません。すぐに戦士たちを解放しなければ…‼」

 

 彼女は焦っていた。

 ダンテ1人が今、大勢のムーの兵士たちと戦っている。

 その事実が、愛羅の胸を締め付ける。

 

(早く……早く、彼の下に……ダンテの下に行きたい…。彼1人に、背負わせるわけには…‼)

 

 牢獄の前に到着すれば、ソニアが錠を剣でバリンっと叩き壊す。

 そして、その中に居る者たちに声をかける。

 

「ムーの戦士たちよ、あなた方を助けに来ました‼」

 

 愛羅の声に、戦士たちは反応する。

 

「その姿は……」

「まさか……」

「アイラ…様…?」

 

 ソニアの時と同じで、彼女のことを見ただけで、その存在にアイラ・ムーを感じとる。

 

「そうです、私は愛羅。あなたたちが望んだ存在。共にエルドラドを討ち取るために、この地に参りました」

 

 自身の胸元に手を当て、微笑みを浮かべる愛羅。

 その佇(たたず)まいに、女王としての素質を感じさせる。

 

 そして、そこに押し込められている、希望を失っていた戦士たちの目に光が宿り始める。

 

「この八稜郭を取り戻し、エルドラドと戦うための砦(とりで)とします。みなさんの手を、貸してください‼」

 

 それは彼女からしてみれば、懇願のつもりだった。

 しかし、ムーの民にしてみれば、女王アイラの言葉は絶対。

 

「アイラ様が、この地にお戻りになられた‼正義は我らに在りー‼」

 

 屈強な体格をした戦士が、腕を振り上げて声をあげる。

 それに合わせ、他の戦士たちが「おおぉー‼」と雄叫びをあげる。

 そして、牢獄から出ては床に落ちている剣や弓、槍などの武器を拾い、砦内に散らばっていく。

 

 それを見送りながら、愛羅は表情が曇(くも)る。

 

「私は……最低ですね、ソニア」

「えっ…」

 

 彼女の自分を卑下する言葉に、ソニアは怪訝な顔を浮かべる。

 

「この戦いで、今解放した人たちの何人かは犠牲になるかもしれません。ダンテのために、あの人たちを死地に放ってしまったのです。何て自分勝手な女王なのでしょう……」

「しかし、私も……そして彼らも、あなたのために戦うことができて本望なのです。その覚悟を受け止めるのも、あなたの女王としての務めなのではないでしょうか?」

「・・・」

 

 女王という身分が背負う重責。

 それを今の一連の流れだけで、強く感じとる愛羅。

 

(だとしたら、私はもう……この重責に耐えられる自信がない。今だって、私には……)

 

 彼女が目を閉じれば、その背後に無数の死体があるように思える。

 6000年もの長い間、女王として運命を変えるための戦いに挑み、敗北してきた。

 そのために犠牲になった魂は、きっとこの戦いで消える命よりも多かった。

 

 積み重なった女王としての責任の重さに、彼女の心はもう悲鳴を上げていたのだ。

 

「ごめんなさい……誇り高き、ムーの戦士たちよ」

 

 その後も他の牢獄に居る戦士たちを次々に解放し、八稜郭内で暴動が発生する。

 この場所を占領するのも、時間の問題であった。

 

「これで、我々の目的を果たしたも同然です。これも、アイラ様のおかげです」

「いいえ、私は何もしていない…。これで皆を解放できたのなら、私はもう…‼」

 

 感情が先走り、愛羅は血相を変えて走り出す。

 向かう先は、言うまでもない。

 

 今もなお命掛けの戦いをしている、愛する魔王の下へ。

 

 

 ーーーーー

 

 

 ダダダダダダダダッ‼

 

 カキンっカキンカキンっカキンっカキンっ‼

 

 ゼノントリガーのビーム弾《だん》は、全てアランの展開する3つのシールドによって弾かれていた。

 

「その程度の攻撃で、我が盾を破れると思うなぁ‼」

 

 防御しつつも接近してきては、サーベルの刃先を突き出しては襲いかかる。

 それを紙一重で回避しつつ、背後に回っては背中に向かって銃口を向けては引き金を引く。

 

 カキーンっ‼

 

 しかし、シールドは瞬時にアランの背後に回っては弾丸を防いだ。

 

「我がサーベルは万物を両断し、我がトリニティシールドはあらゆる攻撃を防ぐ‼死角のない、攻守一体の鉄壁の戦法‼貴様ごときが、破れると思うな‼」

 

 奴の周囲を駆けながら、全方位からゼノントリガーを乱射するが、それら全てにシールドが反応しては弾かれる。

 

 アランが操作しているわけじゃない。

 シールドが自動で俺の攻撃に反応し、防いでいるのだ。

 

「確かに、これを崩すのは骨が折れそうだ。壊し甲斐(がい)がある…‼」

 

 ゼノントリガーを前方で交差させるようにして構え、俺はアランを見据えて宣言する。

 

「そのご自慢の鉄壁……打ち砕いてやろう…」

 

 そして、これより始めるのは―――一方的な蹂躙(じゅうりん)だ。

 

「モード・先導者(ヴァンガード) 起動」

 

 兜に黒い髑髏のようなバイザーがかかり、ツインアイが朱に染まる。

 そして、鎧からは灰色の煙が放たれる。

 

 腰を屈んでの重低姿勢から、目標を真っ直ぐに睨みつけては駆け出す。

 灰色の軌跡を描き、瞬時に背後に回っては飛び蹴りを喰らわせる。

 

「無駄だと言うのが、わからんかぁ‼」

 

 シールドが自動的に、アランを守るように蹴りを防いでくるが、そんなことはわかり切った未来であった。

 

「だろうな。だが、これで良い」

 

 一撃では全てが完結するとは思っていない。

 一撃でダメなら二撃、それでダメなら三撃…それでもダメならもっと…‼

 

 全方位から体当たりでの攻撃を仕掛け、シールドは全ての攻撃に対応してくる。

 

「無駄無駄無駄ぁ‼私の鉄壁を、打ち破ることなど不可能だぁ‼トリニティシールドに死角はない‼おまえの攻撃など、全て効かぬわぁ‼」

 

 両手のゼノントリガーの刃を突き出し、それが弾かれた時に手元から離れる。

 

「串刺しの刑だぁー‼」

 

 武器を手放した俺に、アランはサーベルの刃先を顔面に向かって突き出してくる。

 

「この時を待っていた…‼」

 

 頭を横に動かすことでサーベルを回避し、それと同時に右手を左手で掴んでは、宙から落ちるゼノントリガーを掴んだと同時に、その銃口の刃でザクっと切り落とした。

 

「ぎぃぁあああああ‼」

 

 右腕を切り落とされた衝撃から、声をあげて後退するアラン。

 

「ち、父上……ディーン様…‼私はっ…私はあぁ…‼このような所で、死ぬわけには…‼」

 

 目の前の騎士に、どれほどの覚悟と想いがあったのかはわからない。

 しかし、1つだけ確かなことがある。

 それは、この男は俺の敵だということ。

 

「自らが誇る最強の矛と最強の盾……どちらが強いかは、その身を以って確かめろ…‼」

 

 アランのサーベルを左手に持ち、そのまま刃先を突き出す。

 

「トリニティシールドォ‼」

 

 シールドは3枚とも、直列に並んではサーベルを阻む。

 しかし―――。

 

 ザクッザクッザクッ‼

 

 サーベルの刃は、3枚のシールドを容易く貫通してはアランの腹部の前で止まる。

 

「止まった、これで―――」

「終わるわけがないだろ‼」

 

 サーベルに向かって蹴りを叩き込めば、そのまま―――。

 

 ズブリュっ‼

 

「ぐがぶへぁあああっ‼」

 

 奴は目を見開きながら、吐血しては左手でサーベルの刃を掴む。

 

「あ、ありえっ…ない…‼私がっ……父上よりっ、預かった……最強のっ、盾がぁ…‼」

「どれだけ強固な盾であろうと、同じ個所に何度も攻撃を行えば衝撃に弱くなる。おまえは、道具に頼り過ぎだ。その盾はおまえを守るものであったとしても、慢心を与えるためのものではない。最強の道具の使い手が、最強の戦士であるとは限らないということだ」

 

 サーベルを引き抜けば、床に向かって投げ捨てた後に右手に握ったゼノントリガーの銃口を向けて引き金を引いた。

 

「地獄で反省してこい。俺からの宿題だ」

 

 バキューンっ‼

 

 ビーム弾はサーベルで開けた穴を貫通し、項垂れるアランの額に直撃しては倒れた。

 

「父…う…え……」

 

 目からは光が消え、もう動くことはない。

 俺は今、この男の命を奪ったんだ。

 

「……さらばだ。道具に頼り切った、哀れな騎士よ」

 

 変身を解き、俺はその場を後にする。

 

 モード・先導者を起動した時、俺が『先』を見ていたのはアランとシールドの動き。

 アランを守るために、自動で移動するシールド。

 そのシールドの同一箇所に打撃を与え続け、その防御力を削って行った。

 そして、最後に奴の自慢の万物を断つサーベルを使用し、破壊することまで見えていた。

 

 先を見通し、その力を最大限に活用して打ち砕く。

 それが魔王ダンテの戦い方だ。

 

「ダンテ‼」

 

 俺の戦いが終わるのと同時に、名前を呼ぶ愛羅の声が聞こえた。

 遠くから、こちらに向かって走ってくる彼女の姿が見える。

 

「愛羅…‼」

 

 目に涙を浮かべながら、俺の胸に飛び込んでくる愛羅。

 

「良かったっ……あなたが、無事で…」

「それは俺の台詞だ。……約束しただろ?必ず、生きて戻ると」

 

 囚人たちの解放と共に、八稜郭の占領を完了。

 これから、ここがエルドラドと戦うための砦となる。

 

 しかし、今は先の戦いよりも、この作戦の成功に喜びを感じることにした。




ダンテの戦闘スタイルは、基本的に報復法です。

八稜郭での戦いを終え、一時の安らぎを得るダンテたち。
しかし、愛羅には大きな憂いがあったのだった。
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