DEVILMAN REBORN ~LOST DESTINY~ 作:カナト
場所はガイストテレス内部。
その司令部では、玉座に座るガラン将軍が地上を見下ろしていた。
「時は満ちたようだな」
彼の
ガランの求める戦いの時は、
「王を志す者よ……。足掻くが良い、自らの道を切り開くために」
格納庫では、全身を鋼鉄の鎧に包んだ戦士たちが今か今かと戦いの時を待つ。
将軍からの号令を待っているのだ。
「全部隊に告げよ。八稜郭を奪還し、女王アイラを捕らえよとなぁ‼」
その命令が広がり、ガイストテレスより戦士たちは地上に降下していく。
これより始まるは、将軍と呼ばれる男との戦い。
魔王ダンテの、王としての器が試される一戦となる。
ーーーーー
地上より、魔王の民たちは降下してくる鋼鉄の兵士を見上げる。
ムー人のみが使用できる鎧『サイコギア』に身を包んでは臨戦態勢に入る。
「皆の者!構えよ‼」
愛羅の号令に合わせ空に向かって銃を向ける戦士たち。
そして、「撃てー‼」という掛け声によって一斉に連射する。
ダダダダダダダダダッ‼
至る所から銃声が響き、地上に迫るガラン兵たちを撃ち落としていく。
しかし、それによって討ち漏らす者も出てきており、地上への侵入を許せば、そこに鬼のような2本の角を生やした深紅の鎧が現れては、その両腕部に装備されたシールドからブレードを展開しては敵の胸を貫く。
「地上に降下した敵は、ソニア隊が引き受ける‼弾幕を張り続けろ‼」
その鎧に身を包んでいたのはソニアであり、両手のブレードを構えては降下してくるガラン兵を次々になぎ倒していく。
彼女が
戦乙女の鎧『グリムゲルデ』
サイコギアを発展させた、一流の戦士にのみ装着することを許された鎧だ。
「このまま、兵を無駄に投下してくるだけ…?そうだとしたら、単純すぎる」
司令室にて、愛羅は自身の顎を触りながら目尻を鋭く吊り上げる。
この3日間で、ガランの戦い方を彼女は研究していた。
豪快な戦術を好むのかと思えば、その裏で違う戦術を練っている。
表面上の戦いに集中していては、決して勝つことができない相手だ。
「愛羅様!ガイストテレスより展開される布陣が‼」
情報収集をしているオペレーターより声があがり、空の状況を確認する。
すると、ガラン兵たちの持つ巨大なバリスタのような装備を見て、彼女は目を見開く。
「あれは……ダインスレイブ!?」
それはムー人のオーバーテクノロジーによる産物の1つ。
その威力は絶大であり、封印されていた武器だった。
しかし、それが解放されている状況に、魔王の民たちは冷や汗が流れた。
ーーーーー
ガランは地上の戦況を見極め、禁断の力を使用することを決めた。
魔王ダンテの力は未知数であり、将軍としての地位を最大限に活かした戦法の1つであった。
「雑魚どもに手を焼いている余裕はない。八稜郭に傷をつけても構わん。
玉座から立ち上がり、右手を横に払う動作で号令を出す。
「ダインスレイブ隊、放てぇ‼」
その指示によって、空に展開された布陣から禁忌の矢は放たれた。
ズビューンっ‼
ズビューンっ‼
ズビューンっ‼
矢は流星のように、地上へと降り注いだ。
ーーーーー
地上に降り注ぐ禁忌の矢は、無慈悲に八稜郭に降り注ぐ。
「ぐぉおおお‼」
「ぎぃぁあああ‼」
「ガラン将ぐぅうううんっ‼」
その矢に選別はなく、魔王の民のみならず、ガラン兵にも命中する。
そして、その威力によって八稜郭内部にも甚大な被害が生まれる。
「ダインスレイブ、着弾‼八稜郭のシステムにもダメージが‼」
「修理と復旧を急げ‼この一撃だけで終わるとは思えない‼部隊を
固まっていては、ダインスレイブの
部隊を散らすことで対抗する。
八稜郭の上空に迫るガイストテレス。
空域を支配され、八稜郭は防戦一方となる。
しかし、それは今だけの話―――。
「愛羅、こちらの準備は整った」
八稜郭の屋上より、司令室に通信を繋げる者が1人。
この俺、ダンテだ。
既にデビルマンへの変身は遂げており、紺碧の魔王の鎧を装着している。
「今の攻撃……八稜郭はあと何度耐えられる?」
頭上のガイストテレスを見上げながら、戦況を確認する。
「あと2回……それ以上は、もう…‼」
「わかった。それまでに……この戦いを終わらせる」
漆黒の翼を広げ、ガイストテレスに向かって特攻をかける。
「ダンテ‼」
結局は、こういう手段を取るしかない。
魔王1人に、命と責任の負担を背負わせることになってしまう。
その現実に、歯痒い想いをする愛羅。
「結局、私たちは……彼に頼ることしかできない…‼」
空を飛ぶ手段は、八稜郭にはない。
攻めて、彼を援護する方法さえあれば…‼
ないものねだりをする愛羅の脳内に、声が響く。
『愛羅よ』
その声は、昨日に彼女を別の空間に誘った存在と同じ。
(この声は…‼あなたなの!?)
魔王の『力』と名乗る、翼竜の存在が思い出される。
『我が下に来い、愛羅よ。我の力が、目覚める時が来る。そのための鍵を、我が下に……』
翼竜の声に、彼女は必至になって答える。
「鍵…!?あなたは私に、何を求めるの!?私はどうすれば、ダンテの力に…‼」
答えを求めても、声はもう返ってこない。
向かうべき場所は、もうわかっている。
「愛羅様‼敵はダインスレイブの第2波を装填しているもよう‼ご指示を‼」
戦況の報告を受け、奥歯を噛みしめながら震える愛羅。
「八稜郭全体に、バリアを展開しなさい‼侵入してきたガラン兵は、ソニアたちに任せるのです‼」
あくまでも、最大の脅威はダインスレイブ。
それを防ぐことを優先し、雑兵は地上の部隊に任せる。
「馬を出してください。私には今から、向かわなければならない場所があります!」
「こ、ここから離れるんですか!?」
戸惑う声に対して、愛羅は喝を入れる。
「勝利のためです‼あの遺跡に……ダンテのための『力』があるんです‼」
愛羅の指示に、魔王の民たちはすぐに馬を用意させる。
護衛に戦力を割くわけにもいかず、彼女は1人で遺跡に向かう。
(待ってて、ダンテ…‼あなたをもう、1人で戦わせはしない‼)
ーーーーー
ガイストテレスに突撃した俺は、その内部に侵入してはガラン兵たちを蹴散らしては先に進む。
時間は残されておらず、長期戦になることは避けなければならない。
2丁のゼノントリガーで対応しながら、その足は司令室へと向かっていた。
そして、目的地についてはドアをダンっ!と蹴り開けては左右に銃口を向けつつ前を見る。
「よもや、単身で我が前に迫るとは……見事。それが王を志す者の覚悟か、魔王ダンテよ」
目の前に居る巨漢の将軍に、俺はマスク越しに息を飲む。
「ガラン‼」
ガラン将軍は、俺を見ては椅子の隣に置いてある
それには、柄の部分から
そして、その身に鬼人のような
「この時を待っておったぞ。貴様とならば、
将軍と呼ばれる存在との一騎打ち。
周りには
「魔王ダンテ」
「ガラン将軍」
俺たちは互いに、目の前の敵の名を呼ぶ。
そして、同時に掛け声をあげた。
「「勝負ぅ‼」」
前方にゼノントリガーの銃口を向け、ダダダダダダダダダダダダダダッ‼と連射する。
しかし、その攻撃を全て、ガランは仁王立ちのまま鎧でカキンっカキンカキンっカキンと
アランの時のトリニティシールドのような強度の防御力が、鎧そのものに宿っているのか…‼
「鉛玉などで、我が身を傷つけられると思ぉてか?」
奴が偃月刀を横に一振りしただけで、強い風圧が迫っては踏ん張るために足が止まる。
そして、その隙を見逃さずにガシンっガシンっと床を踏みしめながら迫っては突き出す。
「この一撃、どう
ゼノントリガーを交差させ、刃を受け止めようとするが、その突進力に圧されては身体が壁まで突き飛ばされる。
「ぐはあぁああっ‼」
もはや、防御など不可能な一撃だった。
「この一太刀を耐えられんとは、情けない…。それで魔王を名乗るとは、片腹痛い‼」
偃月刀の柄をトンっと床につけながら、俺の次の行動に備えるガラン。
経験の差か?
それとも、力の差か?
俺の前にそびえる、将軍という壁があまりにも高い。
「今の一撃だけで、俺を
腰を丸めながらも、ゼノントリガーを構え直してガランを睨みつける。
生半可な攻撃では、この男には通じない。
銃弾が通じないのであれば、手段は1つしかない。
「魔王ダンテよ、おまえは我には勝てん。それが、おまえの
運命。
その言葉を聞き、不快感を覚える。
「おまえは我に敗北し、その命を終える。そして、おまえを失った女王アイラの運命もまた、決まっておる」
ガランはマスクの下で、フッと笑う。
「女王アイラ、あの娘は美しい……。アランを失った穴を埋めるための
ドクンっ‼
奴の口にした言葉に、心臓が跳ね上がるような感覚に襲われる。
「愛羅にっ……」
ゼノントリガーを合体させ、銃口から長い柄を伸ばしては
「愛羅にっ…‼手を出すなぁー‼」
斧を振り回せば、それを偃月刀で止められる。
ガキーンッ‼
「ぐぬっ‼……クックック、それほどにあの娘が大事か?そうであれば、我から守ってみせよ。おまえの、魔王の力でなぁあっ‼」
魔王の斧と、将軍の偃月刀が何度もぶつかり合う。
「運命が気に入らんと言うのであれば、己が力で切り開いてみせよ‼変えられぬ
「言われなくてもぉ‼」
感情に飲まれながら、力が増幅していくのがわかる。
しかし、縦横無尽に斧を振るおうとも、それでもガラン将軍への命には届かない。
「魔王を名乗るのであれば、その身に宿る力で道を切り開いてみせよぉ‼でなければ、おまえの命も、女王アイラも、我が手に堕ちるのみぞぉ!?」
「そんなこと、させるわけないだろぉが‼」
ガランは手加減など一切せず、俺をジワジワと追い詰めてくる。
そして、壁まで押し切られては、偃月刀の刃が上下に割れて俺の首筋を挟む。
「ぐがっ‼」
斧を手放し、刃を掴んで引き剥がそうとするが、その前に全身に稲妻が走った。
「うがぁああああああああああああああ‼‼‼」
魔王の鎧を貫通し、俺の身体にも電流が走る。
そして、そのまま巨大なガラス窓の方に放り投げてはパリーンっ‼と割れながらガイストテレスから追い出される。
こんな……バカな…‼
翼を広げようとしても、力が入らなかった。
ガラン将軍……。
その力に、魔王ダンテは太刀打ちできなかった。
地上に落下しながらも、後悔ばかりが思い浮かぶ。
俺には、魔王としての死角が無かったのか……。
俺がもっと、この力を使いこなせていれば…‼
魔王の鎧を装着したまま落下していれば、下から「グオオオォォー‼‼‼」と獣のような咆哮が聞こえてくる。
この…声は…!?
地上の方を見れば、何かがこちらに近づいているのがわかる。
それは巨大な鋼鉄の翼竜。
いつか、俺の中の魔王が暴走した時のような姿をしていた。
そして、その翼竜は両腕をはためかせながら、俺に迫ってはその大きな両手で身体を包んでくれる。
そして、翼竜の頭上より降りてきては、両手の上に着地する女が1人。
「ダンテ‼大丈夫ですか!?」
ありえないと、最初は思った。
しかし、現実として、彼女は俺の目の前に居た。
「あい…ら…?」
この翼竜と共に、俺にとっての勝利の女神が迎えに来てくれたんだ。
何気にダンテ、初めての敗北‼
しかし、これで終わりではない‼