※この作品はR-18です。

DEVILMAN REBORN ~LOST DESTINY~   作:カナト

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黄金の魔王

 ー30分前ー

 

 愛羅は遺跡の前に到着し、馬を降りては中に入る。

 進んだ先は遺跡の中央にある、翼竜の石碑(せきひ)。

 

「あなたですか?私を呼んだのは……」

 

 声をかければ、その目が黄色く光る石碑。

 そして、彼女を照らせば頭に語り掛けてくる。

 

『愛羅よ。おまえは魔王のために、その身を捧げる覚悟はあるか?』

 

 何の前触れも説明もなく、石碑は覚悟を問いかける。

 それに対して、彼女は即答する。

 

「あります‼私の命も、運命も、彼と共にある‼だからこそ、私はダンテの力になりたい‼そのための力が、あなたにあるのなら…‼」

 

 両手を広げ、身を捧げる意志を示す。

 

「私にその力を‼彼の下で、共に戦うための力を望みます‼」

 

 もう、守られるだけの女王ではない。

 彼女が望むのは、魔王を支えるための力。

 愛羅はもう、嫌なのだ。

 愛する魔王の背中を送り出すだけの、非力な自分が許せない。

 だからこそ、目の前にある力を求める。

 

『武藤愛羅よ、おまえは魔王が認めし隷属の存在。この契約を成した時、その命は魔王と共にあり、かの者が死した時、おまえの命も消えるだろう。それでも、魔王と共にあることを望むか?』

 

 玉座は試す、愛羅の覚悟を。

 魔王の『力』を託すに足る、存在であるかを。

 それに対して、彼女は強い眼差しと共に応えた。

 

「例え向かう先が地獄であったとしても、私はダンテと共に歩む‼愛する彼と共に死ねるなら、この命も惜しくはない‼」

 

 ここまでの問答にじれったさを感じ、愛羅は声を荒げる。

 

「私の魔王が戦ってるのよ‼彼のために、さっさと力を寄越(よこ)しなさい‼これで間に合わなかったら、あなたのせいよ!?」

 

 もはや責任転嫁のような言い方をしつつも、それが気に入ったのか翼竜は『フッ』と笑う。

 

『良かろう。おまえに我が力を託そう……。玉座である我は、真の王の力を解放するための鍵。魔王ダンテ、その眠れる力を目覚めさせるもの』

 

 翼竜の石碑が振動し、その外皮にヒビが入る。

 そして、石がボロボロと砕けては落ちていき、鋼鉄の身体を解き放つ。

 

『我が名を呼べ、愛羅よ。さすれば、おまえと魔王に力を与えよう‼』

 

 愛羅は鋼鉄の翼竜の名を、高らかと呼んだ。

 

「我が魔王のために、起動せよ‼ロードスローネ‼」

 

 その名が翼竜に届き、目が黄色に光る。

 そして、その肩に愛羅を伸せては翼をはためかせて飛翔する。

 

『共に行こうぞ‼我らが王の下へー‼』

 

 

 ーーーーー

 

 

「ロード…スローネ…?」

 

 あの翼竜の石碑の中に、この鋼鉄の翼竜が居たというのか。

 そして、これを操っているのは愛羅の思念。

 

 ロードスローネは、ガイストテレスの周囲を飛行しながら様子を伺う。

 

「ダンテ、このロードスローネはあなたと共にあることで、あなた自身の力を解放できる。そして、私はそのための鍵……。あなたは私と共に戦うことで、まだガラン将軍に勝てる可能性がある‼」

 

 愛羅が繋いでくれた、勝利の可能性。

 それを手繰(たぐ)り寄(よ)せるために、俺は決断する。

 

「わかった……。共に戦おう、愛羅。本当の戦いは、ここからだ…‼」

 

 ガイストテレスを睨みつけながら、再戦を宣言する。

 ロードスローネの操縦席は頭頂部であり、愛羅はそこに戻る。

 そして、俺は鋼鉄の翼竜の腹部にある玉座に腰を下ろす。

 

「ダンテ、こちらの準備はできています‼」

 

 玉座から、この力の使い方が頭に流れ込んでくる。

 

「ロードスローネ……フュージョンライズ‼」

 

 そのコードに反応し、ロードスローネの形状が変わる。

 翼竜から、蝙蝠(こうもり)のような翼を広げた人型の魔王の姿へと。

 

 黄金の装甲の全身に、漆黒のラインが入っており、ツインアイは黄色から紅に染まる。

 翼竜の頭部は胸部に移動し、その頭部には王冠を被った悪魔の頭部が出現する。

 全身の形は魔王を冠する者を体現するかのように刺々(とげとげ)しいものになっている。

 そう、この姿をする俺の名は―――。

 

「デビルマン・ダンテ オーバーロード‼」

 

 漆黒の翼竜から、黄金の魔王へ。

 その全身から放つ覇気は、地上に居るものを敵味方とわず目を引きつけた。

 

 

 ーーーーー

 

 

 ガランはガイストテレス内部より、外の様子を確認する。

 

「よもや、あのような姿に化けるとは……面白い‼」

 

 偃月刀を振るい、外のダインスレイブ隊に命令を下す。

 

「ダインスレイブ隊!目標は黄金の魔王1人‼禁忌の力を以て、魔王に引導を渡してやれ‼」

 

 その号令に合わせ、ダインスレイブの第2波はダンテに向かって放たれた。

 

 ズビューンっ‼

 ズビューンっ‼

 ズビューンっ‼

 

 一斉に禁忌の矢が、黄金の魔王に向かって放たれた。

 

 しかし―――

 

 

 ーーーーー

 

 

「ダンテ、ダインスレイブが接近しています‼回避行動を‼」

 

 愛羅からの指示に、俺は「その必要は無い」と言って返す。

 そして、翼の中に仕舞っている長身のショットガンを取り出しては、それを横に薙ぎながら連射する。

 

 バキュンっバキュンっバキュンっバキューンっ‼

 

 放たれた魔弾は、禁断の矢に接触しては共に消滅する。

 しかし、残り2つの矢を討ち漏らしては、ショットガンの形状を変えて対応する。

 

 銃身を柄とし、グリップから黒いエネルギーの刃を生成しては大鎌(おおがま)となり、孤(こ)を描いて振り回す。

 

「スローネ・サイズ」

 

 大釜をシャキーンっ!と横に振るえば、次元を切り裂いては亜空間に吸い込まれる2本のダインスレイブ。

 禁忌の力を以てしても、魔王の身体には傷1つ付けることはできなかったのだ。

 

「おまえたちの使った力だ。その身を以って、味わうが良い‼」

 

 そして、もう1度次元を切り裂いては、今吸収されたダインスレイブがそのままガイストテレスに向かって飛んでいく。

 

 ドバーンっ‼バーンっ‼

 

 それはエンジン部分に直撃した様で、移動要塞は降下していく。

 その下にある八稜郭を潰さんとする勢いだが、そんなことは許さない。

 

「ガイストテレスのシステムに侵入しました。このまま、八稜郭から離していきます」

 

 俺が直接戦いながら、愛羅はサポートに徹する。

 彼女の操作で、ガイストテレスは八稜郭から離れながら地上に落下した。

 多少の地響きはあったが、それでも被害は最小限に抑えられた。

 

 移動要塞は陥落した。

 しかし、それでこの戦いが終わったわけじゃない。

 

 俺たちはガイストテレスの内部に侵入し、再度ガランの居る司令室に向かう。

 

 警告を示すアラートが鳴り響きながらも、将軍はその場から離れていなかった。

 

「貴様のことだ、このまま終わらせる気がないとは思っていたぞ、ダンテよ」

「ガラン……」

 

 俺は奴と対面し、臨戦態勢に入る。

 

「確かに俺1人では、おまえには勝てなかった……」

 

 自らを魔王と呼びながら、俺は将軍と呼ばれる存在に勝てなかった。

 しかし、それは俺が1人で戦っていたからだ。

 

「だけど、今の俺は1人じゃない‼1人ではおまえに勝てないのなら、俺たちは2人で……おまえを倒す‼」

 

 ロードスローネのコクピットから、愛羅もガランを睨みつける。

 俺たち2人の強い眼差しに、将軍と呼ばれる男は歯を見せて笑みを浮かべる。

 

「良かろう‼おまえたちの覚悟‼欲望‼王としての意地‼その全てを、この我にぶつけてみせい‼」

 

 そこに敗戦の将としての浅(あさ)ましさは無かった。

 この男にとっては、自らが死ぬまでが戦いなのだ。

 自らの命が尽きるその時まで、戦いの中に身を置くことが最高の悦び。

 

「この一撃で、終わらせる…‼」

 

 両手に紺碧のオーラを集中させ、手刀の構えをとっては✕字に交差させて放つ。

 

「デビルロード・クルセイダー‼」

 

 X字の斬撃はガランに向かって行き、それを将軍は偃月刀で真正面から受け止める。

 

「うぐぬぅっ‼がはぁああああああああああああああっ‼‼‼」

 

 1度は粘ろうとするが、それでも魔王の技の威力には敵わずに後ろに吹き飛ばされるガラン。

 

「見事っ…‼良き戦いであったぞ……魔王ダンテよぉおおおおおおお‼‼‼」

 

 その屈強な身体は壁に激突しては、白金の鎧が粉々に砕け散った。

 

「流石は、ガラン将軍……。これでも、死なないのか」

 

 屈強な戦士の生命力に恐れを抱きながらも、俺はその身体を見下ろす。

 

「ダンテ…」

 

 愛羅の憂うような声に、俺も1つの答えを示す。

 ロードスローネとの合体を解除し、1人のデビルマンと翼竜になって分離しては、さらに変身を解除してガランに歩み寄る。

 

「ガラン将軍…」

 

 声をかければ、奴は膝をつきながらも身体を起こして俺を見上げてくる。

 

「どうだ、ダンテよ?おまえは今、敵将を討ち取ったのだ。戦いの愉悦、味わうことはできたか?」

 

 こんな姿になろうとも、奴から戦いへの意欲は消えない。

 

「敗戦の将が辿るのは、ただ1つ。我は武人として、このままおまえの手で死ぬことを望む……」

 

 そう言っては、床に胡坐をかきながら背筋を伸ばすガラン。

 

「本当に、それで良いのか?」

「ダンテ、おまえは我に勝ったのだ。そして、勝者が敗者にできる最大の手向(たむ)けは、その手で敗者の命を終わらせることよ……」

 

 奴は目を閉じ、俺に討ちとられることを望んでいる。

 

「さぁ、我が首をかき斬ってみせよ‼そして、我が首を民に見せることで、勝利のカチドキを上げるのだ‼それこそが、勝者の証としれ‼」

「ガラン将軍……」

 

 先程まで、俺はこの男を1人の敵として見ていた。

 しかし、敗北した後で見方が変わった。

 

 俺はこの男を、まだ死なせたくないと思ってしまっている。

 

「さっさとやれい‼この老骨に、これ以上恥をかかせるな‼」

 

 死の覚悟を決めた将軍に、俺ができることは1つだけ。

 しかし、そうだとしても……。

 

「いいえ、ガラン将軍。あなたには、生き恥をかいていただきます」

 

 ロードスローネから降りた愛羅が、こちらに歩み寄ってはガラン将軍に声をかける。

 

「女王アイラ……」

「その名はもう、返上致しました。今の私は武藤愛羅。魔王ダンテの側で仕える、ただの女です」

 

 自身の胸元に手を当てながら訂正しては、ガランを見下ろす。

 

「私たちは、エルドラドと戦うための力を求めています。そして、あなたには戦うための力がある。そして、多くの兵を惹き付けるだけの影響力がある。それは私たちが求める、戦うための力に他なりません」

 

 愛羅としても、結論は同じだったらしい。

 ガラン将軍は、ここで死なせるには惜しい存在だ。

 

「この敗者となった老骨に、そこまでの力を求めるか……」

 

 ガランは不敵な笑みを浮かべては、俺と愛羅を交互に見る。

 

「愛羅よ、おまえに頼みがある」

 

 彼女を見上げては、頭を下げるガラン将軍。

 

「我は戦に生き、戦に死ぬことを望んだ男。今の我は1度戦士として死を迎えねば、次に進むことができぬ不器用な男よ。我が息子、アランを討ち取った男に降(くだ)るためには、それほどのケジメを着けねばならんのだ」

 

 アランのことは関係ないと言いつつも、軍門に降るという話になれば話は別になるのだろう。

 だからこそ、ガランは愛羅に懇願する。

 

「おまえの女王の力で、我を従わせよ。そうすれば、我の中の憂いも消えるであろう」

「ガラン将軍、それは…‼」

「そうでなければ、おまえたちはこの老骨の力を手に入れることはできんぞ?覚悟を示せ。この老骨を、己が道を貫く礎(いしずえ)とする覚悟をなぁ‼」

 

 自らの意志ではなく、女王の力に従うことで自らの死と結びつける。

 エルドラドの将軍としてではなく、魔王ダンテの将軍として生まれ変わるために。

 

「……わかりました」

 

 愛羅も覚悟を決め、胸元にムーの紋章を浮かばせる。

 そして、両手を交差させては横に薙ぎ、ぷるんっと乳房を揺らしながら紋章をガランに向かって飛ばした。

 

「アイラ・ムー・ゲベート‼」

 

 紋章を受けたガランは、目を見開いては身体を硬直させる。

 

「豪勇(ごうゆう)の戦士、ガラン将軍。あなたには、これから魔王ダンテの配下として、共に彼の王道を進むことを命じます。そして、願わくば……彼に多くの教示を、授けてあげてください」

「……承知した」

 

 ガランは俺の前に膝を付いては、首(こうべ)を垂れる。

 

「魔王ダンテよ、この老骨の命……お主に託そうぞ」

「……その命、しかと受け取った」

 

 忠誠の儀を終えた後、俺たちは崩壊するガイストテレスから脱出する。

 ガラン将軍という、新たな力と共に。

 

 これにて、八稜郭防衛戦は終了したのだった。




ここに来て、デビルマン・ダンテになってからやっと技名を叫んだダンテ。
今まで技名が無かったのは、真の力を解放していなかったからですね。

デビルマン・ダンテ オーバーロード。
この力は本当に、本来のダンテの魔王としての力を解放した形態になります。

自らを苦しめたガラン将軍を配下に加えるほどの器の広さ。
求めるものは、戦うための力。
その力を認めたからこその決断です。
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