DEVILMAN REBORN ~LOST DESTINY~ 作:カナト
俺と白藤は互いに視線をそらさず、お互いに目の奥にある心理を覗こうとするように凝視する。
「……あんた、今俺を見て同じって言ったか?」
「そう、君だ。内海明人……おそらく、君は俺と同じものを持っている」
「そんなことを言われても、持っていない可能性だってあるだろ」
「いやいや、持っていないはずがない。知ってるかな?……俺たちのように悪魔の力を持った存在同士は、引かれ合うんだ。だから、これと同じ……または似たようなもの、持ってるだろ」
白藤は制服の前を開き、腰の周りに巻いているベルトを見せる。
それは漆黒の鉄のようなものでできており中央には髑髏の紋章が、紫色のラインが入っている。
俺のベルトとは違う色使いだが、形は似ている。
「やっぱり……おまえも……!!」
「そうそう、そういう反応が欲しかったんだよ。テンプレみたいな驚きかたでさ」
白藤は満面の笑みを浮かべ、そのまま右手でベルトの髑髏の口を開いて一回転させて口を閉じさせる。
「変……身……デビルっ」
掛け声をあげれば、白藤の身体を黒い炎で燃え、それを払う動作をすれば、彼は全身に漆黒の鎧を纏っていた。
頭部の兜は黒い王冠を被った狼の顔をしており、両肩には青色の小さなマントが付いている。
その姿を見て、俺は声を上げずにはいられなかった。
「おまえ、どうしてこんな所で変身を!?」
「え?だって、百聞は一見に如かずって言うだろ。それに、俺の姿を見て驚いて怖がる姿とか見てて面白いんだぜ?」
「そういう話をしてるんじゃねぇよ!!周りに無駄な恐怖をあおるんじゃねぇって言ってんだ!!」
「うわぁ~、君ってそういうことを言っちゃう人?真面目だねぇ。……こんな面白い力を手に入れたんだから、楽しまなきゃ損だろ。周りを気にして存分に遊べないなんて……俺は嫌だね」
「ふざけるな!!」
俺は走りながら前を開いてベルトを出し、中央の円を一回転させて奥に押し込んで変身する。
「デビルっ!!」
身体が白く発光して純白の鎧を纏い、デビルマンになって白藤の両肩を掴む。
「今すぐに変身を解け!!無駄な混乱を生むんじゃない!!」
「どうして俺が、君の命令を聞かなきゃいけないの!?」
白藤は俺の腹部に膝蹴りを入れ、その瞬間に腕が離れて距離を取られる。
「こんな面白い能力を持ったのに、可哀想に周りのことを気にして自分のことをひた隠しにする。そんな生き方、息苦しくない?」
「……それでも、誰かが怯えて、誰かに殺されるんじゃないかって疑心暗鬼になる世界になるよりは……マシだ!!」
もう言葉が通じる奴じゃないことはわかった。
こいつが転校してきた理由も、こいつの目的もわからない。
だけど、この白藤隆一という男を放っておいたら駄目だということはわかる。
白藤は俺の言葉を聞いて、バカにするように腹を抱えて笑う。
「アハハハハッ、おっかしい~。疑心暗鬼?殺されるかもしれない?上等だよ。俺には関係ないね。俺は俺のやりたいようにやる。誰が生きて、誰が死のうが別にどうでも良い」
「おまぇええ!!」
白藤は屋上から飛び降り、両肩のマントを紫色のコウモリのような翼に変えて飛び、俺もベルトを操作して黒い翼を広げて追いかける。
その姿を見られ、地上に居る生徒や教師からは悲鳴の声があがる。
「キャアー!!」
「な、何だ、あれ!?」
「化け物だー!!」
下の様子を見て、白藤は飛びながら笑う。
「見なよ、俺たちを見て恐怖を感じている。俺たちの人知を超えた力を直感して、恐怖におののいているんだよ!!どうだ!?こんなに面白いことはないだろ!?」
「それのどこが面白いんだよ!!それは自分を孤独にするだけだ!!辛くなるだけなんだ!!」
「孤独!?良いじゃないか!!誰にも縛られずに、自分の自由にやりたいことができるんだから!!」
俺は白藤に追いつき、腰に両腕を回して捕らえ、そのまま落下する。
上空から地面に衝突したため、周囲に軽く地響きが起こり、落ちた街中の道路にひびが入った。
昼だったがために、人通りは多い。
当然、俺たちの姿と状況を見れば悲鳴が飛び交う。
「はぁ……はぁ……おまえは……一体何なんだ!?何が目的で俺に近づいた!?」
白藤のことが理解できず、立ち上がってそう叫ぶ。
すると、白藤も立ち上がってヒヒヒヒヒっと笑う。
「俺は……君と同じデビルマンだよ。デビルマン・レクス。君は俺と同じ選ばれた人間だ。デーモンでもなければ人間でもない。有能な者はデビルマンになり、下等な者はデーモンに落ちる。そう、俺たちは運命に選ばれた強者だ!!デビルマンという存在はもっと評価されるべきだ。デーモンからも、人間からも恐れられ、2つの種族を意のままに支配できる存在!!しかし、俺たちは数が少ない。力は強くても、数の利には敵わないこともある。……だから、同じデビルマンである君を……俺の同士に迎え入れたかった」
目の前に居る狼顔の王は、俺に手を差し出してくる。
「さぁ、この手を取れ。デビルマンはデビルマンでなければ存在を理解できない。君は俺と来るべきなんだ、内海明人」
その手を見て、その言葉を聞いて、俺は棒立ちになってしまう。
デビルマンになったことで、人もデーモンも苦しめる存在になった者もいるということが受け入れられなかった。
不動明の記憶の中では、デビルマンは人間を守るためにデーモンと戦っていた。
何かを守るために戦い続けたのが、デビルマンだった。
それが……こんな思想を持つ者が現れるなんて……!!
立ち尽くしていると、白藤が俺の肩に触れようとする。
「何も考えるな。全て、俺の意のままに動けばそれで良いんだ……」
その声が聞こえた瞬間、「そんな男の言う事に耳を傾けたらダメよ!!」という女の声が聞こえ、黒い影が白藤に飛び蹴りを喰らわせる。
「んぐっ!!……相も変わらず乱暴だなぁ、あなたは」
「あなたこそ、まだ変な思想に取りつかれているようね」
黒い影は変身したジュンさんだった。
そして、ジュンさんは後ろに居る俺を見る。
「大丈夫?明人くん。この男の言う事に惑わされないで」
「ジュンさん……白藤のことを知ってるんですか?」
彼女は頷き、白藤に鋭い目を向ける。
「白藤龍一……あの男は、持ってはいけない力を持ってデビルマンになってしまった子よ。そして、私たちの探している敵の手がかりを握っているわ」
「敵の手がかり……?」
白藤はクククッと笑い、マントを翻して自身の周りに血のように赤い炎を展開する。
それを見て、ジュンさんは額から汗を流して苦い表情をする。
「闇の帝王ハデスを吸収して手にした……地獄の力!!彼こそが、地獄からの脅威なのよ!!」
闇の帝王ときたら、あの作品が出てきますよね。
さてさて……どうしたものか。