※この作品はR-18です。

DEVILMAN REBORN ~LOST DESTINY~   作:カナト

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魂の記憶

 八稜郭内にある寝室に向かっていた時のことだ。

 月明かりが差し込む廊下を歩いていると、俺は背後に不吉な影を感じて振り返る。

 

「……誰だ?」

 

 問いかければ、その先に現れたのは黒いローブに見包んだ者。

 フードで顔を隠していることから、誰なのかはわからない。

 

「魔王ダンテ」

 

 その声は女性のものであり、フードの下に映る口角が上がっている。

 

「私はあるお方から、あなたを暗闇の底に突き落とすために|遣〈つか》わされし者」

「あるお方?……何者だ」

 

 敵意を向けて睨みつければ、ローブを脱ぎ捨ててはその姿を露(あら)わにする。

 

 それは蝙蝠の翼を広げた姿であり、両手の羽根を広げるとそこには無数の目が合った。

 

「何!?」

 

 その目が妖しく光り輝けば、俺を照らすと同時に呑み込まれた。

 

 

 ーーーーー

 

 

 気づいた時、俺は燃え盛る砦の中に居た。

 

 そこは八稜郭の中であり、炎に熱さを感じない。

 

「何だ、これは…!?」

 

 周りに転がるのは、数多の死体。

 デーモンと人間のもの、双方の戦士が倒れている。

 

〈グォオオオオオオオオオオオオオオオ‼〉

 

 耳に届いたのは、大きな雄叫び。

 それが近くから聞こえたのがわかる。

 

 声の主を捜しながら、俺は引き寄せられるように走っていた。

 そこは王の間。

 そして、そこには2人の男女が居た。

 

 1人はアイラ・ムー。

 そして、彼女は男を見て身体を震わせる。

 

「アイラ・ムー」

 

 アイラのことを呼ぶ男は、貴族のような服を着ていて目元をマスクで隠している

 

「何度繰り返そうとも、何も変わりはしない。おまえは、私の手で殺される運命だ」

 

 その両手にはサーベルが握られており、刃は血で染まっている。

 彼女は言葉を返さず、ただジッと強い意志で睨みつける。

 

「……私がここで死んでも、あなたの想い通りにはなりません」

 

 彼女の覚悟に応えるように、王の間の壁をドガーンっと巨大な拳によって崩された。

 その拳を引いた先には、巨大な悪魔……いや、漆黒の翼竜の姿が映る。

 

 あれはまさか……魔王としての姿の俺か!?

 

〈アイラ……〉

 

 翼竜は彼女の名を呼び、掌に乗せて王の間から引き出す。

 

「あ(・)の(・)小(・)僧(・)|……フッ、面白い」

 

 仮面の男は、その姿を天使態に換えては巨大化する。

 

「認めよう。おまえは魔王だ、悪魔の王‼その力、我に見せてみろ、ダ(・)ン(・)テ(・)‼」

 

 ダンテ…!?

 今、奴はあの翼竜をダンテと呼んだのか!?

 

〈アイラ…必ズ…守ルゥ…‼〉

 

 魔王と呼ばれし翼竜と、白い翼を広げた大天使との戦い。

 その2つが衝突しようとした時、視界は強い光に染まっていき、俺の意識も薄れて行った。

 

 

 ーーーーー

 

 

 周りが黒い空間に変わる。

 

「い、今のは…‼」

 

 衝撃的な光景が、頭に刻み込まれる。

 

 あれが……あの姿は、俺が魔王としての力を暴走させた時のものだ。

 だけど、あんな記憶はない。

 それに、あの仮面の男…いや、天使と戦ったことも。

 

「ダンテ」

 

 

 この空間に、もう1人居る。

 そして、その声のする方に目を向ければ、そこには全裸の愛羅が立っていた。

 

「さぁ、いらっしゃい……私のダンテ」

 

 微笑みながら、軽く両手を広げて迎えようとする愛羅。

 

「愛羅…愛羅ぁ‼」

 

 混乱する頭を振り払い、彼女に向かって一目散に駆け出しては抱きしめる。

 

「愛羅……良かった。おまえが無事なら、それで良い…‼俺には、おまえが居てくれれば…‼」

 

 しかし、抱きしめた時に違和感に気づく。

 彼女の身体は冷たく、生気を感じなかった。

 

「何とも情けない魔王だ」

 

 自分を侮辱する言葉に、肩をビクッと震わせて反応する。

 そして、振り返った先には、先程の仮面の男が立っていた。

 

「おまえは……誰だ?いや、俺は…知っている。おまえが、何者なのか…‼」

 

 いつだったか、夢の中に出てきた存在だ。

 その時、この男は愛羅のことを殺していた。

 

 そして、ズキーンっと頭に強い衝撃が走る。

 

『おまえが神の使者だと言うのなら、俺は悪魔に……いや、魔王になってでも、おまえを止めてやる‼アイラの運命は、俺が変える‼』

 

 存在しない記憶。

 しかし、確かに頭に……いや、魂に刻まれた記憶だった。

 

 俺は1度……いや、何度もこの天使と戦ったことがある。

 そして、その結果はいつも……。

 

「おまえは……マンセマット‼」

 

 何度もアイラ・ムーの命を狙い、奪ってきた存在。

 俺はその度に戦いを挑むも、何もできなかった。

 

 だからこそ、求めたんだ。

 運命を覆すほどの力を。

 

 神の運命に抗う力を。

 

「小僧……今度も何も変わらない。神の意志は、特異点などという異物を許さない」

 

 仮面の男…マンセマット。

 先導者の特異点を葬るために、何度世界が繰り返されようとも現れる存在。

 

 繰り返される輪廻の中で、俺はこの男とぶつかり合う宿命だった。

 

「今度こそ、おまえから愛羅を守ってみせる」

「その言葉、何度もおまえは繰り返す。そして、それを成すことなく消滅する。魔王として目覚めようとも、それは変わらない。現実を受け入れろ」

 

 運命を変えるという魔王に、それは不可能だと大天使は指さす。

 

「守れていないではないか、この世界でも」

 

 マンセマットが指さしたのは、俺がずっと抱きしめていた愛羅だ。

 その顔を見れば、目を見開いたまま顔が白くなっていた。

 それだけじゃない。

 

 俺の腕の中で、血塗れになっていた。

 

「これはっ…そんなっ…‼愛羅ぁあああああああ‼」

 

 名を叫ぼうとも、彼女は反応を示さない。

 

 何も変わらないのか?

 俺は何度も、失わなければいけないのか?

 

 嫌だ…。

 

 嫌だ…嫌だ…‼

 

 嫌だ嫌だ嫌だ‼

 

「うぉおおおおおおおおおおおおおおお‼‼‼」

 

 この現実を変える力が欲しい。

 もっと……もっと…‼

 

 俺に力を…‼

 

 魂が漆黒に染まり、覇気が空間を呑み込んでいく。

 

「魔王ダンテ」

 

 マンセマットの身体にノイズが入っては、俺を仮面越しに睨みつけてくる。

 

「運命は変わらない。おまえも、愛羅も、必ず私が排除する」

 

 宣戦布告した後、仮面の大天使は姿を消した。

 

 しかし、俺の力は、欲望は、留まることを知らなかった。

 

 

 ーーーーー

 

 

 ダンテは廊下にて気を失い、うつ伏せに倒れている。

 その前に居る蝙蝠(こうもり)のデーモン…キーラは、ダンテが夢の中で何を見ているのかを知らない。

 

 しかし、悪夢を見ていることだけは理解できる。

 キーラの能力はナイトメア。

 翼に着いた目を見た者の意識を奪い、悪夢を見せることができる能力だ。

 

 彼女の役割は足止めであり、ガジロウが愛羅を手に入れるまでの時間稼ぎだ。

 

 しかし、彼が目の前で倒れたことで、欲が芽生え始める。

 

「魔王ダンテ……あなたの力、私がもらい受ける…‼」

 

 魔王と呼ばれる男の力に魅せられた。

 だからこそ、その力を求めるのは必然だった。

 

 デーモンの姿から人間に戻れば、全裸のまま彼に歩み寄っては仰向けにさせる。

 そして、その服を剥ぎ取ってはダンテを丸裸にしては、その下半身に目が行く。

 

 魔王の男根は、勃起していない状態でも亀頭が露わになっていた。

 陰茎の長さも太さも、並みの男の一物を凌駕(りょうが)していた。

 

「フッフッフ。あの時のアイラ様のよがりようも当然ね。こんな立派なもので貫かれたら、理性なんて保てるはずがないわ……」

 

 肉棒を握っては、シコシコと扱いて悦を与えるキーラ。

 

「彼女だけ、こ(・)れ(・)を味わえるなんてズルい。だぁかぁらぁ、私もつまみ食いさせてもらうわ…‼」

 

 ダンテの上に跨り、開脚しては膣口に亀頭を擦りつける。

 しかし、その時―――。

 

 ピカーンっとダンテの目が開眼した。

 そして、その目は赤く光る。

 

「ぐぅううう…‼るぁあああああああああああああ‼‼‼」

 

 一瞬の出来事だった。

 ダンテの身体から漆黒のオーラが放出されては、それが巨大な翼竜へと姿を変える。

 

「こ、これはっ…‼ぎゃあああああああああ‼」

 

 オーラの翼竜は、その大きな手でキーラを掴んでは締め上げる。

 

 翼竜の姿は、八稜郭内全域から見えるほどの巨体となる。

 

「こ、これは……魔王!?」

「まさか、あれが…!?」

「本当の、魔王ダンテの姿か…‼」

 

 漆黒の翼竜と化(か)したダンテの姿に、魔王の民たちは驚愕の表情を浮かべる。

 

「騒々しい‼一体、何があったと言うのだ!?」

 

 ガラン将軍が現場に現れ、翼竜を見ては額から汗が流れる。

 

「よもや、このような力を未だに秘めていたとは…‼」

 

 悪魔の力を手に入れた者たちすらも、その姿を見ては恐怖に飲まれていた。

 ダンテは立ち上がるが、その挙動は虚ろであった。

 腰は丸くなっており、前屈みの姿勢で歩きだす。

 

 オーラの翼竜の手には、未だにキーラが握られている。

 

「あれは……キーラか!?」

「キーラを離しやがれー‼」

 

 悪魔の力を持つ者たちは、一斉にデーモンの姿へと変えてダンテに襲いかかる。

 彼らにとって、これは仲間を危険から救うための免罪符。

 このまま、魔王を数の力で倒そうとする算段だった。

 

 しかし、それを翼竜はキーラの足を掴んで振り回しては風圧を発生させて吹き飛ばす。

 

「ぎぁふぉ‼ぶべっ‼がばぁ‼」

 

 まるでキーラの身体を、棒切れのようにして。

 そして、勢い余っては彼女の身体を地面に叩きつけ、砦の壁へと叩きつける。

 

「無暗に近づくでない‼あの娘が死ぬぞ‼」

 

 ガランが檄(げき)を飛ばす中で、魔王の民たちは呆然と立ち尽くすしかなかった。

 

 これが、魔王としての残虐性なのか。

 いつもの彼の姿からは想像できないほどに、彼の暴虐な部分が露わになっている。

 

《グォオオオオオオオオオオオオオオオ‼‼‼》

 

 悪魔の力を持とうと、魔王には勝てないことを見せつける。

 そして、吹き飛んだデーモンたちは、敵意を向けて魔王を睨みつける。

 

「め、迷惑なんだよ、おまえぇ‼」

「突然現れて、勝手に俺たちの身体を変えやがってぇ‼俺たちが手に入れた力を、自分のために使って何が悪い‼」

 

 彼らの化けの皮が剥がれ、反抗的な態度を取る。

 翼竜の口からは、「ハアアァ」と吐息が漏れては自身に敵対する意志を見せる者たちを見下ろす。

 

 そして、彼らに手を伸ばしては1体のゴリラのようなデーモンを掴み上げる。

 

「や、やめろ…‼離せぇー‼離せよぉー‼」

 

 悲鳴をあげるデーモンの身体を口に運んでは、翼竜は―――バキッと噛みくだいた。

 

 バキッバキッバキッバキ。

 

 デーモンの生肉を、咀嚼(そしゃく)する音が響く。

 そして、その肉をゴクンっと呑み込んでは喉元を過ぎたところで霧散(むさん)した。

 

 魔王は自身に反旗を翻した者を許さない。

 悪魔であろうと、その身を喰らって己の血肉へと変える。

 

 その光景を前に、全ての者が愕然(がくぜん)とした。

 

 勝てない。

 悪魔の力を持とうとも、目の前の巨大な魔王に勝てるはずがない。

 

 地上を歩くダンテは、目を輝かせながら反乱分子に迫る。

 

 彼を止めることができる存在が居るとすれば、1人しか居なかった。

 

「ダンテ、止まってください‼」

 

 その声が聞こえた瞬間、魔王は足を止めた。

 

「あ…い…ら…」

 

 彼女の声が耳に届き、横に目を向ける。

 

 そこには、息を切らした全裸の愛羅が立っていた。

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