※この作品はR-18です。

DEVILMAN REBORN ~LOST DESTINY~   作:カナト

227 / 244
鎮める者は

 愛羅がガジロウを退けた後のことだった。

 砦内が揺れ、窓の向こうを見た愛羅の目に映ったのは、いつか魔戒島で見たダンテの暴走した姿。

 

 あの時、彼は自身の無力感からその身に秘めた力を抑えこむことができなかった。

 そして、デビルマン・ゼロとマジンカイザーの存在が、暴走したダンテを止めてくれた。

 

 しかし、今はあの時と同じ奇跡は起こりえない。

 

 暴走するダンテを止めることができる存在が居るとすれば、それは1人だけだった。

 

 一糸まとわぬ姿のまま、愛羅はダンテの下に駆け付ける。

 

 そして、彼の名前を呼べば、オーラの翼竜の足下に居る本体は腰を丸めたまま、愛羅の方に顔を向けた。

 

「あ…い…ら」

 

 彼女のことを認識すれば、ダンテはそちらの方に向きを変える。

 

「ダンテ……私はここです。自分を、見失わないで」

 

 両手を広げ、彼に歩み寄る愛羅。

 

「離れてください、アイラ様‼」

「近づいたら……殺されるぅ‼」

 

 女王アイラを慕うデーモンどもが、彼女に離れるように声をかける。

 しかし、愛羅はその声を無視して、笑みを浮かべたままダンテの前まで歩を進めた。

 

 魔王ダンテが震える手を伸ばしては、その手を指を絡めながら握る。

 

「もう、大丈夫ですよ、ダンテ。私が、あなたの側に居ますから」

 

 その言葉が耳に届いたのか、ダンテの険しかった表情が安らいでいく。

 そして、巨大な翼竜のオーラは彼とダンテを包むように左右の翼手で囲む。

 

「あなたが求めるものが私なら、喜んで差し上げます。愛羅はあなたのものなんですから」

 

 ダンテを頭を抱きしめ、自身の乳房に埋める愛羅。

 顔に広がる柔らかさと温もりを覚えながら、張りつめていた心が緩んでいく。

 そして、全身から力が抜けるような感覚に浸りながら、眠りについた。

 

 すると、巨大な翼竜のオーラも粒子となって消えた。

 

「愛羅様‼」

 

 ソニアが駆け寄り、膝をついてはダンテを抱きかかえる愛羅を見る。

 

「魔王ダンテは、その……」

「大丈夫。今は眠っているだけです。何があったのかは、わかりませんが……」

 

 今は子どものように眠っている彼だが、その力を暴走させたことから只事ではない何かがあったのだと察しがつく。

 そして、先程のガジロウの襲撃や、魔王に向けるデーモンの敵意。

 

 愛羅はここに来て、すぐに頭を働かせた。

 

「ソニア、魔王ダンテが力を行使した時に、彼に牙を剥(む)いた者は居ましたか?」

「は、はい…。あの者たちが」

 

 ソニアが指をさした先には、眠る魔王を見て怯える数人のデーモンの姿があった。

 

「彼らを捕らえ、牢獄に連行しなさい。あの者たちは、魔王ダンテに反抗しようとした罪人です」

 

 罪人と言う言葉に、彼女を慕うデーモンたちは目を見開いた。

 

「どういうことですか、アイラ様!?」

「私たちはあなたのために、魔王と戦おうとしたんですよ!?」

 

 あくまでも女王アイラを信仰し、彼女のために反旗を翻したと理由を着けようとする者たちに、愛羅は冷たい目で返した。

 

「あなたたちの求める女王アイラ・ムーは、もう居ません。私は魔王ダンテの女。その事実を受け入れられないのであれば、妄信に浸ったまま死になさい‼」

 

 彼女は許せなかった。

 自分を理由に、ダンテが傷つくかもしれなかった事実が。

 彼が進む王の道の前に、自らの存在が故に障害が生じたことが。

 

 だからこそ、切り捨てることを選んだ。

 もう女王アイラという偶像に縋(すが)る者は、もはや害悪でしかないのだ。

 

「この者たちを連行しろ」

 

 ソニアの指示により、デーモンたちは牢獄に連行された。

 慕っていた女王アイラの転生者に死を命じられ、生気を失ったのだ。

 

 そして、愛羅はダンテと共に、その場を後にした。

 

 

 ーーーーー

 

 

 寝室にダンテを運んでベッドに横にさせれば、愛羅は自らも腰をかけては彼の手を握る。

 

「ダンテ……」

 

 呼びかけても、反応はない。

 ただ眠っているだけのようではあるが、死んでいるようにも見える。

 

 その頬に触れれば、苦しそうな表情をしているのがわかる。

 

(一体、あなたの身に何があったと言うの…?)

 

 心の中で問いかけようとも、答えは返って来ない。

 

 そして、しばらくするとダンテの目がゆっくりと開いた。

 

「……ここは…?」

 

 小さな声で呟けば、それを聞いた愛羅は「ダンテ‼」と名前を呼んで身体を起こした。

 声のする方に顔を向ければ、そこには心配する表情の彼女が居る。

 

「愛羅……。俺は一体…?」

「魔王の力を、暴走させていました。魔戒島の時のように、身体そのものが変わったものではありませんでしたが……」

 

 愛羅の説明を聞き、ダンテは頭を押さえながらゆっくりと起き上がる。

 そして、思い出すのはデーモンの襲撃にあったこと。

 

「そうだ、コウモリのようなデーモンが、俺を襲ってきて…‼」

「ダンテに反旗を翻した者たちは、全員監獄送りにしてあります。悪魔の力を手に入れたことで、自惚(うぬぼ)れてしまったようです。未だに、女王アイラへの信仰が邪魔をして……ごめんなさい」

 

 自らへの信仰によって、要らぬ反乱を産んだことに責任を感じる愛羅。

 しかし、それに対してダンテは首を横に振った。

 

「愛羅は悪くない。これは、俺がまだ皆に王として認められていないことが原因だ……」

 

 魔王の民は、悪魔の身体に変化してきている。

 しかし、それがダンテへの忠誠心に直結しているわけではない。

 むしろ、力を手に入れたことで、魔王への反抗の意志が増幅しているように思える。

 

 自身の手を見て、一瞬だけ悪魔の手に変化したような錯覚があった。

 

「魔王であるはずなのに、この身体に宿る力を制御できていない。今の俺は、まだ形だけの王でしかない」

 

 憂う表情の彼の手を、愛羅は手に取った。

 

「共に歩みます。あなたが、あなたの目指す王と成れるその時まで。それが、私の望みですから」

「愛羅……ありがとう」

 

 彼女の手を握り返せば、身体全体がドクンっと鼓動を刻むかのように振動した。

 そして、自らの欲望の対象である愛羅をじっと見つめる。

 

「ダンテ…?」

 

 怪訝な顔を浮かべて名前を呼べば、ダンテは彼女を自らの方に引いては抱きしめる。

 

「……温かい」

 

 耳元で、彼は小さく呟く。

 

「愛羅……すまない」

「えっ……どうして、ダンテが謝るの?」

 

 急に謝られ、戸惑いを隠せない愛羅。

 

「俺はこれまで、愛羅を守ることができなかった。何度、生まれ変わっても、おまえを死なせてしまっていた……」

 

 その言葉に、彼女は全てを察しては全身を震わせた。

 

「どう…して…?」

 

 震える声で、愛羅はそう問いかけていた。

 それが意味することは、1つしかなかった。

 

 彼女は気づいていたのだ。

 いや、6000年も転生を繰り返してきたことから、その輪廻の中での出会いから気づかないはずが無かった。

 

 ダンテの存在が、愛羅にとってどう言うものであるのかを。

 

「全て、思い出したんだ。俺は愛羅と同じように、運命の輪廻を繰り返していたことを。そして、何度もおまえのことを愛し、守ろうと戦い、そして敗(やぶ)れてきたことを」

 

 愛羅だけが記憶していた、転生と敗北の歴史。

 それをダンテも記憶として残していたことに、彼女は驚きを隠せなかった。

 

 そして、感情が高ぶっては目に涙を浮かべ、頬から流れ落ちる。

 

「私は……この苦しみを抱えるのは、私1人で良いと思っていた…。それなのに、あなたまで…‼」

 

 感情が入り乱れ、乳房が潰れんほどにダンテを強く抱きしめる愛羅。

 それを彼は優しく受け止め、目を閉じる。

 

「やっと、わかったんだ。俺がこの世界に現れた理由が。きっと、俺は愛羅を守るために、おまえを愛するためにこの世界に来たんだ。今度こそ運命に勝って、愛羅を幸せにするために」

 

 己の生きる意味を、本当の意味で理解した魔王。

 その目に宿る決意は、今までの曖昧なものとは違う。

 

「今まで何度も負け続けてきたような男だが……俺を信じてくれるか?」

「……そんなこと、今更聞くまでもないわ」

 

 愛羅は目を閉じながら、彼の胸に顔を埋める。

 

「もう私を守るために、あなたを1人で戦わせたりはしない…‼私1人でも、あなただけでも、運命には勝てない……。だから、共に戦わせて……あなたと今度こそ、未来を切り開くために」

 

 彼女が顔を上げれば、ダンテは顔を近づけて唇を重ねた。

 そして、彼の欲望の象徴が愛羅を求め、ムクムクムクッと膨張して反り立つ。

 

「愛羅……。情けないが、俺は今、物凄く不安なんだ。また、おまえが俺の手から離れてしまうんじゃないかって……」

 

 気持ちを吐露すれば、彼女は不安そうな表情をする魔王の頬に触れる。

 

「王たる者、簡単に情けない顔をしてはいけませんよ……って言いたいところですが、今日だけは特別に許します。私も同じですから……愛するあなたが、また私の前から消えないか……不安で胸が締め付けられそう」

 

 そう言っては、股を開いてはダンテの上に跨る愛羅。

 

「だから、この心の穴を、ダンテの愛で埋めてください♡」

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。