DEVILMAN REBORN ~LOST DESTINY~ 作:カナト
地獄を支配する者、闇の帝王ハデス。
不動明の記憶の中に、かすかに残っている存在だ。
死後の世界、明は牧村美樹を生き返らせるためにハデスに戦いを挑み、そして……。
その後の記憶はないが、接触していることは間違いない。
そして、その力は絶大だということはわかる。
そのハデスの力を、目の前に居るデビルマンが手にしたってことは、白藤の思想からして最悪な組み合わせだ。
白藤は力を見せびらかすように、悲鳴をあげて逃げ回る人間を黒い炎で燃やす。
彼らの断末魔の声を聴き、高らかに笑うデビルマン・レクス。
その姿はもはや、デーモン以上の残忍さを露わにしている。
「アハハハハハッ!!あ~、肉が地獄の業火に焼かれる良~い匂いだぁ」
「白藤!!意味もなく人を殺すな!!」
「意味ならあるさ。地球のゴミ掃除。人間なんて、この世界でもっとも不要な存在なのだから」
今の言葉に怒りを覚えて走り出し、俺はジュンさんの「待て!!」という言葉も聞かずに白藤に拳を叩きこもうとする。
しかし、拳は黒炎の壁に阻まれてしまう。
「この炎の前には何者も抗うことはできない。絶対的な神の力の前に、デーモンの力が通用すると思うな」
レクスは俺の拳に人差し指で軽く触れると、俺は後ろに一瞬で吹き飛び、デパートの窓ガラスを割って奥の壁に埋まってしまう。
何て力だ。
今のは攻撃ですらなかったはずだ。
それなのに、この状況は異常だ。
これが、闇の帝王の……地獄を司る神の力。
それでも、例えただのデーモンの力であろうと……相手が神の力を持とうとも、戦わなくてはならない。
黒い翼を広げ、俺はすぐにデパートを出て再度レクスに突撃しようとする。
しかし、その時にはもう、デビルマンレディーとデビルマン・レクスの戦闘は始まっていた。
目で追うことはできるが、2人の間に入ることができない。
それほどまでの激戦なのだ。
レディーは翼を広げて光速に近い速さで移動し続け、レクスと格闘戦を繰り広げている。
黒い炎がレディーの速さに追いつかず、自身で防御するほかないようだ。
レディーが拳を叩きこもうとすれば、レクスが左手で受け止めて捕らえるが、彼女は身体をひねって回しげりを頭に打ち込んでその反動で離させる。
頭を押さえ、レクスはふらつきながら後ろに下がる。
「流石にあなたは強いなぁ。流石はサタンの半身」
「いくつか前の世界では……ね」
お互いに殺意をむき出しにし、レディーは睨みつけ、レクスは見下ろすように顎を突き出す。
今の言葉から、白藤はジュンさんの秘密を知っていることがわかる。
そして、サタン……了さんのことも。
「あなたの目的は、デビルマンだけの世界を作ることなのかしら。それとも、人間とデーモン、どちらも絶滅させること?」
「……さぁ、どっちでしょうねぇ」
どちらも恐ろしい選択肢だ。
こいつは、危険すぎる。
「どうやってハデスの力を取り込むことができたの!?デビルマン・レクス、白藤龍一。あなたは、一体何者なの!?」
「……何者?そうだねぇ……」
白藤はレディーの後ろに居る俺を見る。
その目は、俺に怨念を向けているようなものだった。
「俺は内海明人と同じデビルマンさ。……そう、同じ……ね」
そして、俺とレディーの周りを黒い業火が囲む。
「こ、これは……!?」
「サタンは必ず俺の理想の障害となる。その力を持つ者は全員……殺さなければならないんだよ。内海明人、君も俺の同志にならないのならば、潰させてもらおう」
「白藤!!」
翼をはためかせて上に逃げようとすれば、黒炎が鎖のようになり俺を追いかけて両手両足が縛られ、業火の熱さに苦しむ。
「ぐぅぁあああ!!!」
「どうだ、苦しいか!?神に逆らうとは、そういう事だ!!」
鎖は何本も俺に巻き付き、灼熱の業火で焼かれていく身体。
レクスが指を鳴らせば、俺の全身を黒い炎が燃やす。
デビルマンの鎧は意味をなさず、皮膚が焦げる。
これが神の操りし地獄の炎。
苦しみの先に終わりが見当たらず、永遠と思える痛みが襲う。
これが、デーモンと神の力の差。
この差を埋めることは……俺にはできないのか!?
レディーは黒炎を受けるのも構わずに、レクスに突っ込もうとするが、奴が指を鳴らせば巨大な黒い影が出現し、彼女をその大きな前足だけで地面に抑えつける。
それは巨大な黒い3頭の首を持つ犬。
その姿を見れば、誰もがその名前を口にする。
「あぐぁあああ!!……地獄の番犬……ケルベロス!?」
レクスはケルベロスの中央の頭の上に立ち、俺とレディーを見る。
「俺はこの神の力で世界を変える。その邪魔は誰にもさせん!!」
ケルベロスを俺の目の前に近づけ、レクスは右手で首を絞めてくる。
「……もう1度だけ選択肢を与えてやる。ここで死にたくなければ、俺に従え。全てのデビルマンを導くことができるのは、このデビルマン・レクスただ1人だ!!」
俺は口が開かず、声が出ない。
このままでは、俺もジュンさんも殺される。
どうすれば良い?
どうすれば、この男に勝てる!?
力が欲しい……神の力に抗う力が。
俺に……もっと……。
『……その選択に、迷いはないか?』
何だ……こんな状況で幻聴か?
頭の中に、声が流れ込んでくる。
『答えよ、貴様は……力を手にする覚悟があるか?』
次は違う声が聞こえてくる……。
確か、これは……俺がデビルマンになる時に聞こえた、あの黒いデビルマンと白い天使の壁画の声。
『今一度問おう。おまえは人類を守るために戦うのか?』
『それとも、デーモン族を根絶やしにするために戦うのか?』
『『おまえは何を望む?』』
俺は……人類を守るためとか、デーモンを根絶やしにするとか、そんなことのために戦っているわけじゃない。
ただ、俺は大切な者を守り、人間とデーモン、そしてデビルマンが争わずにすむ世界を望む!!
それを実現するための力が欲しい。
「俺に……寄こせ。……神の理不尽に抗う…………力をぉおお!!!」
声を荒げて叫べば、鎧がこれまでになく白く発光し、その中には黒い光も混じっている。
レクスはあまりの眩しさに俺から手を放し、ケルベロスを引かせる。
『その望み』
『聞き届けた』
『『この破壊皇ゼロが!!』』
光は静まり、俺の鎧の形状が変わる。
純白の鎧に黒い線が入っており、両腕は少し長くなり、手の爪は鋭い。
胸部には漆黒の翼が両側に広がっており、翼は一回り大きく、形状がギザギザとした刃のようになっている。
ベルトの中央のマークは、白と黒が螺旋状になっている。
ジュンさんとレクスは、俺の姿を見て目を見開く。
「……何だ?その……その異形な姿は!?」
俺は右腕に意識を集中し、十字に4枚の刃を出して回転させる。
そして、その回転から生まれる風で周りの黒炎を消しとばす。
「
黒炎を消し、宙に浮いたままレクスを凝視する。
「俺は、おまえと同じデビルマンだ。……デビルマン・ゼロ。おまえの思想を破壊する者だ!!」
デビルマン・ゼロ。やっとこの名前を出すことができました。
今回の話はバージョンアップというか、本来の明人のデビルマンとしての姿を出すための話でした。
破壊皇ゼロ。
彼はデーモンなのか、それとも……。
やっと話が中央に入っていきます。
そして、次の話では、久しぶりにキーパーソンが現れる予定です。