DEVILMAN REBORN ~LOST DESTINY~ 作:カナト
街の警報が鳴り響いた時、この俺、兜甲牙は行動を開始していた。
「何じゃ、こりゃ!?デビルマン軍団の野郎、自分たちで決戦の日を決めて置いて、結局はこれかよ‼」
アジトから1歩外に出れば、どこからともなく空間が裂け、中から腰にベルトを巻いたデーモン族が多く出てくる。
鎧の形状をしていないということは、人間の肉体でデーモンの力に振り回されているということだ。
「暴走デビルマン!?畜生‼また、胸糞悪い想いさせやがって…‼」
街には暴走デビルマンの被害が少なからず出ており、民間人にも被害が。
研究は進めているが、未だに暴走デビルマンを止める手段は討伐以外にはない。
ここで躊躇している場合じゃない。
左腕のブレスレットを空に向かって突き出し、叫ぶ。
「マジン・ゴー‼」
青い光を放ちながら、魔神の鎧を装着する。
風船を持った幼女に襲いかかろうとする、鷹の翼を広げた虎のデーモン。
その爪が届く前に、タックルで突撃を仕掛ける。
「てめぇ‼子どもを襲おうとするんじゃねぇー‼ダイナマイトタックル‼」
右肩で突き放し、そのまま両目でデーモンを視界に捉えて光線を放つ。
「許してくれっ…‼光子力ビーム‼」
黄色の光線は虎のデーモンに直撃し、そのまま光の中に消滅する。
「マ、マジンカイザぁ~‼」
幼女が涙を流しながら抱き着いてくるのを受け止め、頭を優しく撫でる。
「恐かったな。もう大丈夫だぜ」
辺りを見渡せば、重傷者やもう息をしていない者も居る。
さっきまで、平和だった街並みは崩れようとしていた。
この惨劇を起こした犯人は、何があっても許さねぇ…‼
「甲牙さん‼」
自身の名を呼ぶ声が聞こえ、空を見上げればミネルバXが降りてくる。
「光子力研究所から、応援に駆けつけました。状況はどうなっていますか?」
「それが、俺も何が何だか……。突然、暴走したデビルマンが現れたんだ。そして、街はこのありさまで」
何も無い場所から、突然姿を現しての敵襲。
いくら外側に厳重な警戒態勢を
「さやかさんもアルテミスAで合流することになっています。今は私たちだけで、この場を……」
「ミネルバはこの子をシェルターに。俺1人だけでも、大丈夫だ」
幼女をミネルバに預け、ゲートから続々と現れるデビルマン軍団と対峙する。
「甲牙さん、すぐに戻ります!」
エナジーウイングを広げ、ミネルバが飛び立つのを見届けた後、顔のスロットを開いて竜巻を放つ。
「ルストトルネード‼」
竜巻によって直線状のデビルマンは一掃するが、すぐに新手が出てくる。
「何なんだよ、こいつら!キリがねぇぜ」
押し返せど、波のように押し寄せてくる軍勢。
これを突破されるのは、時間の問題だ。
「オーロラ・ガトリング‼」
後方から暴走デビルマン軍団に向けて、無数の
「これは…‼」
「救世主様だけに、良い格好をさせるつもりはないよ。マジンカイザー」
隣に降り立つのは、氷のデビルマンの姿。
「おまえは、デビルマン・ニクス!?」
そして、彼の後ろにもデビルアーマーを装着した戦士の部隊が並び立つ。
そこにはデビルマン・レディーの姿もある。
「悪魔との共闘も、慣れれば心強いもんだな。行くぜ、遅れんなよー‼」
俺を先頭に突撃を仕掛け、デビルマン軍団の猛攻を食い止める。
「ターボスマッシャーパーンチっ‼」
両手の拳を前方に向け、光子力の拳を回転させながら放って暴走デビルマンの身体に風穴を開ける。
「間違えて俺たちに当てるなよ、救世主様!」
「そうならねぇように、上手く立ち回ってくれ‼こうも混戦状態だと、見分けがつきにくい‼」
デビルマン部隊と暴走デビルマン軍団の戦いの中で、俺自身も細心の注意を払いながら技を繰り出している。
その中で、部隊を指揮するジュンさんが声をかけてくる。
「マジンカイザー!私たちが敵を食い止めるわ!あなたは、あの黒いゲートをどうにかして!」
「はぁ!?どうにかって……。そうだな、一か八かで仕掛けてみるか!」
背中からカイザースクランダーを展開し、飛翔してはゲートに突撃を仕掛ける。
「ぞろぞろ、ぞろぞろとゴキブリみたいに出てきやがって!これ以上、てめぇらの好きにはさせねぇー‼」
ニクスやレディーを始めとしたデビルマンたちが、敵を食い止めては一直線にゲートまでの道を開けてくれている。
バーナーを出力最大にし、加速しながらゲートに向かう。
「うぉおおおおおおおおお‼」
ゲートに辿りついた所で、中に胸部熱線プレートを向けてエネルギーを集める。
「これでも喰らえぇ‼ファイヤーブラスター‼」
光子力を灼熱の炎に変え、高熱線をゲートの中に放つ。
ゲート内に潜んでいた暴走デビルマン軍団の断末魔が響き渡り、鳴りやむ頃にはゲートが閉じていった。
「はぁ…はぁ……へっ、ぶちかましてやったぜ」
「襲撃はあのゲートを中心に起きていたみたいね。被害状況は……少なくはないけれど」
ジュンさんが辺りを見渡せば、崩れた建物や肉塊となった人々の遺体を見ては痛ましい現状に哀愁を感じさせる。
「あの空間の裂け目、誰があんなものを作ったんだ?デビルマン軍団には、あんなものまで作れる存在が居るって言うのかよ」
これまでに経験したことがない襲撃に、俺はこれからの戦いに不安が拭えなかった。
永遠とも思われた襲撃は止まったが、これで全てが終わったわけではなかった。
突然、マンションを中心に黄金のオーラが街全体に広がるのが見える。
「何だ、こいつは…!?」
この現象を感じ取り、頭の中にカイザの声が響く。
『この覇気は……まさか、神の力か!?』
「神っ……神だってぇ!?」
ここに来て、俺は今の襲撃の意味を咄嗟に理解した。
「まさか、今のは……俺たちをここに集めるための陽動だったのか」
すぐにでもオーラの根源の下に向かおうとする俺に、通信が入る。
『マジンカイザー、応答してください。マジンカイザー!』
「誰だ、この忙しい時にぃ!?」
通信元を確認したところ、それは光子力研究所からだった。
通信相手が、弓教授に代わる。
『甲牙くん、すまない!光子力研究所が襲撃を受けている‼今、さやかがイチナナ式の部隊を指揮しつつ、アルテミスAで交戦中だ‼』
「そっちにも!?まさか、暴走デビルマンが…!?」
予測を口にすれば、それに対して『いや……』と声が漏れる。
『敵は1人……たった1人だ。そして、その姿はマジンカイザーに酷似している。圧倒的な力だ。さやかもいつまで耐えられるかわからん』
マジンカイザーと似た姿の戦士。
それを聞いて、俺とカイザは1人の宿敵を連想した。
「まさか……サーガ!?」
ーーーーー
黄金の空間の中で、美佐樹の身体は浮遊してはゆっくりと床に足先から床に着地した。
空間が切り替わったことに驚きは無かった。
夢の中に居るような感覚と言った方が、良いだろうか。
そして、空間全体に響き渡る声が耳に届く。
『女神の器よ。我が声に応えるのだ』
男性の老人のような、威厳を感じさせる声。
それが聞こえると共に、その姿を露わにする。
目の前にある姿は巨大な顔であり、彼女の全長の数十倍はある。
「あなたが……神?」
全身に緊張が走りながらも、美佐樹はそれに問いかける。
『我は神にして、神に在らぬ存在。神のシナリオによって、主である神の意志を模造した存在。女神の器よ、我が力を受け入れるのだ。さすれば、その望みは果たされん』
神のシナリオに刻まれた神の意志……
その存在に畏怖を感じながらも、美佐樹は逃げずに言葉を返す。
「あたしの望み…?あたしは、神の力なんて欲しくない。女神になんて、なりたくはない‼」
その身に宿る力が故に、彼女の運命は大きく歪められた。
抑制者の特異点……その先にある女神の器としての運命。
それは前世界の牧村美樹の時より、神のシナリオは彼女を削除しようとするほどであった。
全ては神の支配を盤石のものとし、黙示録による輪廻を繰り返すため。
それほどまでに、創世の女神という存在は神の脅威とだったのだ。
しかし、ここに来て神のシナリオは異なる世界を導きだそうとする。
白藤隆一という、新たなる創世の種の資格を持つ者によって。
『我は亡き神の意志により、この世界を観測していた。悪魔、人間、天使。その運命の輪廻を繰り返す中で、この世界は既に神の定めた運命から逸れた。特異点と呼ばれる存在によって』
明人、美佐樹、アモン、甲牙、ダンテ。
特異点の存在は、神の定めた運命を覆すために世界が生み出した。
そして、神のシナリオはそれに対抗するために、修正者をあてがった。
特異点と修正者の戦いによって、神の定めた運命を崩壊しつつあったのだ。
『なればこそ、我らは世界を新たに創世するのだ。失われた運命を、復元させるために』
模造神の導き出した結論。
それは創世による復元。
『創世を果たすのだ、女神よ。そして、望みを果たすのだ。悪魔も天使も無い、人間のみの世界。それが成された時、全ては原初に戻り、安寧がもたらされるであろう』
悪魔と天使を消し、人間のみの世界を創世すること。
それは白藤隆一の望む世界とは異なるが、これが神の意志によるものなのだろう。
「その安寧って、誰のための平和?誰のための世界!?結局は、神様が世界を支配したいってだけでしょ!?」
『浅はかなり。我は世界を、黙示録の輪廻から解放しようとしているのだ。もう天使と悪魔の戦いに巻き込まれることはなく、黙示録の未来に至ることも無い。人間の世界を築くことができるのだ。我はその世界において、平和を維持するための調律者となるのだ』
調律者、それは言い方を変えてはいるがやはり、神の思考は1つの結論に至る。
「それって、やっぱりあなたが支配するってことでしょ!?神じゃないと言いながら、あなたが新しく神になろうとしているだけじゃない‼」
『それが我が導き出した結論なのだ。この世界において、もはや天使も悪魔も必要ない。この世界の崩壊は止められん。創世を果たさねば、待っているのは破滅のみ。この結末を変えることができるのは、女神による創世のみ』
その言葉を最後に、巨大な顔が粒子状になっては美佐樹の周囲に充満しては空間が切り替わる。
そこはいつか見た宇宙空間と同じく、巨大な大樹と光の球体、精子のような星々が漂っている。
『女神として創世を果たせ。それが、この世界の意志なのだ‼』
大樹からは根が伸び、その彼女の四肢や首、腹部に巻き付いて行く。
「いやっ…いやぁああああああっ‼」
拘束されながら、美佐樹は大樹の中に吸収されていった。
そして、大樹は振動すると黄金のオーラを展開する。
今、模造神は女神の肉体を利用し、創世を果たさんとしていた。