DEVILMAN REBORN ~LOST DESTINY~ 作:カナト
帰宅
デビルマン軍団との接触から半年が経った。
あの日以来、白藤隆一は俺たちの前に姿を現していない。
学校でも、ずっと欠席扱いになっている。
今はどこで何をしているかはわかっていないが、それでも俺たちにとっては良くないことを暗躍しているに違いない。
そして、アモンもまた何時現れるかわからない。
俺はこの期間、2つの脅威に備えるため、そして俺の中の破壊皇ゼロの力を使いこなすためにジュンさんやガーラなどの他の強力な力を持ったデーモンたちに特訓をつけてもらっていながら、罪のない人間を殺す凶悪なデーモンを狩る毎日を過ごしていた。
深夜、了さんからのデーモン狩りの指令をやり遂げ、今の住処であるマンションに戻る。
引っ越してきた当初は驚いたが、この高層マンションには人間の生活に順応しているデーモンだけが住んでいるようだ。
味方とは言えデーモンと同じ空間で生活しているとなると、最初は抵抗感を覚えたが半年も経てば慣れるものだ。
自分の部屋の鍵を開けると、後ろから誰かに声をかけられる。
「内海くん、今帰ったのか?」
「えっ……あぁ、オーガさん、こんばんわ」
人の姿をしているが、俺よりも一回り体が大きく、頭からは2本の角が生えている男が立っていた。
隣に住んでいるオーガというデーモンだ。
ご近所付き合いというわけではないが、仲良くしてもらっている。
この鬼のような見た目とは裏腹に、家庭的で時々分けてもらおう和食は本当に美味く、よく俺の身体の調子を気遣ってくれる。
「人間には気づかれなかったようだが……少し血生臭いな。風呂に入ったら、念入りに身体を洗っておけ」
「はい、そうですね」
軽く会話をして中に入ろうとすると、オーガさんが「あー、思い出した」と手を叩く。
「そう言えば、おまえの部屋に中年の男が来ていたようだぜ?」
「俺の部屋に?……美佐樹やおじさんたち以外には俺の住んでいる場所は教えていないはずなんだけどな……誰だろう」
「さぁな。だが、すれ違った時におまえの名前を呟いていたのは確かだ」
「そうですか……なら、また来るかもしれませんね」
特に気に留めないでいると、オーガさんの表情が曇る。
「その男、気を付けた方が良いかもしれないな。確かに人間の姿で、人間の匂いはしていたが……妙な気色悪さを感じたぜ」
「気色悪さ……ですか」
オーガさんと別れ、部屋に入ってスマホの電源を入れると、美佐樹から何十件もメールと不在着信が着ていたのを確認した。
メールの内容を見て、俺は信じられずに目を見開く。
『内海のおじさんがアメリカから帰ってきたの。マンションの場所、教えておくわね』
父さんが……帰ってきたのか。
途中まではメールに反応しろという内容だったが、最後の内容だけが気になった。
『安心して。明人くんが居なくても、内でおじさんは預かっているから。今日はゆっくり休んでね』
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美佐樹は何度も明人に電話をかけたが、彼は出てくれなかった。
彼女は今、無精ひげを生やした男と自身の父がお酒を飲みながら語っているのを遠くから孝太郎と一緒に眺めていた。
内海純一。
内海明人の父親で、外交官をしている。
とても真面目な人で、
「いやいや、純一。明人くんは本当に良い息子さんだよ。うちの娘たちにも見習わせたいくらいだ」
「それは言い過ぎだと思うが、そう言ってくれて嬉しいよ。俺には……何を考えているのかわからない、得体のしれない息子だからな」
「若い頃なんて、親からしたら子どもは訳が分からない存在だろうさ。私だって、娘と息子は将来どうしたいのかとか、どう考えているのかはわからないからな」
「……そうか」
美佐樹は2人の様子を見て、明人の父親である純一に違和感を覚えていた。
しかし、それがどういうものかは言い表せない。
「な~んか、本当に久しぶりに明人兄ちゃんのお父さんを見たけど、ちょっといつもと違う気がするんだよなぁ」
小声でそんなことを呟く孝太郎に、美佐樹は頷いてしまう。
父と純一の話は続く。
「それで、奥さんとはどうなんだ?」
「……どう、とは?」
「いや、何、いつもは奥さんと一緒に戻ってくるのにっと思ったのさ。ケンカでもしたのか?」
「あぁ……そのことか」
純一は背中を強くかくと、父をじっと見る。
「妻はぁ……向こうで仕事が残っていてな。今回は来れなかったんだよ。だから、俺1人だ」
「そ、そうなのか。大変だなぁ」
その後も父と純一の話は続いたが、美佐樹の中の不穏な感覚は消えることは無かった。
そして、深夜。
美佐樹が自室に戻ろうとすると、階段に居る純一に呼び止められた。
「美佐樹……ちゃん、ちょっと良いかな?」
「え?あ、はい、何ですか?」
「明人は……今、どうしているかな?」
「あ~、その……何度もメールとか電話とかしたんですけど、明人くん全く出てくれないし返信も来ないんですよね。おじさんの方からも連絡したらどうですか?」
苦笑いしながら言えば、純一の目が座る。
そして、一歩ずつ美佐樹に近づいてくる。
その目は虚ろで、舌で自身の口の周りを舐める純一。
「……いやぁ、そうしたいのは山々なんだがねぇ。スマホを妻に壊されてしまってねぇ……女の方を使おうとしても、死に際に壊されてしまったのさ……だから、連絡しようにもその手段がない……」
美佐樹は目を見開き、純一の顔を見る。
それはもはや人間の顔ではなく、亀のような顔面をしていた。
そして、その異形の者の背後からいくつもの悲鳴が聞こえてくる。
『やめて~!!』
『食べないでぇ!!』
『殺さないでくれぇえ!!』
その声の中に、聞き覚えのある声もある。
その声は『逃げて!!』と言っている。
『まさか、ここまで上手くいくとは思わなかったぜ。俺が乗り移った人間と、その人間の身体で食った女がデビルマンの両親にしたのは正解だったな。そして、次はデビルマンに心を奪われた女よ、貴様を使い、内海明人をおびき出させてくれようぞ!!」
美佐樹はその場から逃げることができず、その化け物に肩を掴まれた。
「きゃぁああああ!!!」
新章突入にして、美佐樹ちゃんがいきなりのピンチですねww。