DEVILMAN REBORN ~LOST DESTINY~ 作:カナト
自分を縛っている両手両足の尾を引きちぎって地上に降りてデビルマンに変身し、美佐樹を犯そうとしているジンメンに向かう。
背後からは別の尾が無数に迫ってきているが、翼を広げ、羽根を飛ばして応戦する。
「
鋭い羽根は尾を切り裂くが、数が減らない。
切るほどに、その傷口から尾は増殖していく。
不動明の記憶の中で、ジンメンにはこんな能力は持っていなかったはずだ。
この無限増殖、脅威過ぎる。
<やはり、女の汁は美味いなぁ。もう男を受け入れたくてしょうがないようだぜ。こんなに濡らしっちまってよぉ~。えぇ?明人。おまえだけがこんないい女を独り占めするなんて、良くねぇと思わねぇかぁ?>
ジンメンは美佐樹の両胸を揉みしだきながら、彼女の陰部を舐め続けてる。
そして、舌が男の肉棒のような形になる。
<おまえ以外の男の味を、この女の下の口に教えてやるぜぇええ!!>
肉棒の形のをした舌を陰部に擦りつけて入れようとするジンメン。
その時、俺は右腕から3枚の刃を出し、それを振るって飛ばす。
「
3枚の刃はそれぞれ、ジンメンの舌、美佐樹の身体を縛っている尾を切り裂く。
尾から解放された美佐樹を両手で抱きかかえ、俺は天井まで飛んでジンメンを見下ろす。
「これで、心おきなくおまえを殺せるぞ……ジンメン!!」
<それはどうかねぇ……>
美佐樹を取り返されたというのに、余裕な顔が崩れないジンメン。
それに嫌な予感を覚えるのは、俺の勘違いではないはずだ。
背中に美佐樹を背負いながら無数の尾を空中で避けるが、このままでは捕まるのは時間の問題だ。
美佐樹を背負ったままデビルマンの超能力を使えば、彼女を傷つけてしまうかもしれない。
そんな危険を冒すことはできない。
「こうなったら、ジンメン本人を狙うほかないか」
尾が背後から迫ってくる中、俺はまっすぐにジンメンに向かって飛ぶ。
しかし、ジンメンの不気味な顔は変わらない。
「覚悟しろ……ジンメン!!」
<ほぉほぉ、俺に向かってくるか。結構結構……ならば、俺はこうさせてもらおうか!!>
ジンメンは背中の硬い甲羅を俺に向ける。
防御のつもりかと思った。
しかし、甲羅を見て俺は目を見開き、突き出していた拳が寸前で止まってしまった。
「そんな……どう……して…!?」
甲羅には多くの顔が浮かんでいた。
そして、その顔の多くは俺にとっては他人だ。
他人の顔なら、非情になって殴れるはずだった。
しかし、今の俺の目の前にある顔は……。
『…あ……きと……?』
「母……さ…んっ!!」
甲羅の中に母さんの顔があり、俺の名前を呼んだ。
それに対しての一瞬の戸惑いがいけなかった。
尾が追いついてしまい、美佐樹がまた尾に巻き付かれて相手に奪われてしまった。
「美佐樹っ―――――ぐぁあ!!」
美佐樹に気が向いている間に、ジンメンが頭、手、足を甲羅の中にしまって回転しながら体当たりをしてきてそれが直撃してしまう。
そして、ジンメンの手元に再度美佐樹が渡ってしまう。
<ギャハハハハァ、振り出しに戻ったな、デビルマン・ゼロ!!貴様の弱点は知っている。相当研究したんでなぁ。おまえは自身の大切な人間を傷つけられることを拒む。それはつまり、自分ではその人間を傷つける、ましてや殺すことはできないってことだ!!だから、おまえの父親の身体を乗っ取り、母親を食ったのさ!!俺が食った人間の魂は、俺の甲羅の一部となって生き続けるんだからなぁ!!>
俺は両手の拳を震わせ、憎悪を込めてジンメンを睨みつける。
「ジンメン……貴様ぁああ!!俺はっ……これほど誰かを恨んだことはねぇ!!絶対に……殺してやるぅああ」
<それができるならやってみろ!!俺を殺せば、貴様の父親の肉体も滅び、母親の魂は死に絶えるぞぉ!?>
ジンメンの正面を殴ろうとすれば美佐樹の身体を盾にされて寸前で止め、背後から蹴りを入れようとしても母さんの顔を向けられる。
そして、カウンターを喰らう始末だ。
<この分だと、貴様も貴様の女も俺の甲羅のコレクションになりそうだなぁ!?>
ジンメンの甲羅から、俺が攻撃しようとするたびに悲鳴が聞こえてくる。
『殺さないでぇえ!!』
『俺はまだ生きてるんだ!!』
『死にたくない、死にたくない、死にたくない!!』
その声が俺の動揺を誘い、ジンメンへの攻撃をためらわせる。
声の中で、母さんからの怒りの声が聞こえてきた。
『明人、しっかりしなさい!!』
母さんの顔を見ると、何かを覚悟している目をしている。
『私もお父さんも死んだの。だから、美佐樹ちゃんを助けることに専念しなさい!!』
「……母さん……でも、母さんたちは俺のせいで!!」
『そんなことは関係ないわ。……親にとって、一番大切なのは自分たちの子どもなの。そして、その子どもが大切に思っている人も同じよ。……だから、死んだ私のことなんて気にせずに、あなたの大切な人を守り抜きなさい!!……それが、お母さんからあなたへの……最後の願い』
「……くぅっ!!」
母さんの目から涙が流れた。
他の人の顔からは、殺さないでくれという声がまだ聞こえてくる。
それでも、俺は覚悟を決めて甲羅に向かって進む。
「……ジンメン……俺は決めたぞ。もうためらわない……」
ジンメンは俺の声を聴いて察したのか、正面を向いて美佐樹を突き出してくる。
<い、良いのか!?俺が死んでら、おまえの両親は本当に死ぬんだぞ!?この女は助かっても、おまえは人殺しになるんだぞ!?>
奴の脅しとも命乞いともとれる言葉も、もう俺の耳には届かない。
良かった、美佐樹が気を失ってくれていて。
彼女に意識があったら、人質になってしまった自分を責めるかもしれなかったから。
こんな悲しみを背負うのは、俺だけで十分だ。
ジンメンと対面し、周りの無数の尾は全て俺に近づく前に粉砕される。
目の前に居るジンメンへの怒り、そしてこれからすることへの悲しみ。
俺はそれを右腕に集中し、一瞬で甲羅の方に回って母さんの顔を見る。
「さよなら……母さん」
『生きなさい、明人。美佐樹ちゃんを……愛する人を大切にするのよ』
その言葉に頷き、俺は「うぉおおお!!」と雄たけびをあげながら母さんの顔面を右手の拳で貫通させた。
「
甲羅の中に拳は届き、ジンメンは目を見開いてこちらを見る。
<こ…この……人でなし……がっ!!>
「残念だったな、ジンメン。俺は人間じゃない……デビルマンだっ!!」
ジンメンの身体は内側から爆発するように壊れていき、口から血を吐き出す。
そして、そのまま後ろに倒れた。
ジンメンの顔を見ると、その目からは涙が流れていた。
<……アキ……ト……よく……やった……。幸せに……なるん……だ……ぞ……>
それはジンメンが俺に最後に心の傷を残そうとしたのかと最初は思った。
だけど、俺はそれが、死に際のジンメンから意識を取り返した父さんからの一言だったと信じたかった。
父さんは、最後の最後でジンメンに勝ったんだ……。
無数の尾もジンメンが死ぬと灰になって消えていき、俺は変身を解除して床に倒れた美佐樹を抱きかかえる。
すると、俺の目から美佐樹の頬に温かい水滴が流れ落ちた。
「……あれ?」
戦いの最中は、顔を全部覆うフルフェイスの兜をしていたために気づかなかった。
だけど、今ならわかる。
俺は、涙を流しながら戦っていたんだ。
美佐樹の顔を見て、死んだジンメンの甲羅に視線を移す。
「母さん……父さん……俺は誓うよ。必ず美佐樹を守り抜いて見せる。そして……未来を切り開いて見せる」
俺は暗い体育館を出て、満月の光に照らされている外に出る。
そして、美佐樹を両手で抱きかかえてマンションに戻った。
今回の話は親の愛がテーマでしたが、それが伝わったら嬉しいです。
そして、改めて美佐樹を守ると誓う明人。
これが運命の黙示録を破壊し、新たな未来を開くことに繋がるのか。
少なからず、影響していることは確かですね。
……今思ったら、今回の話はずっと美佐樹ちゃんは気を失いながら全裸だったのか。
ヤバいな、永井豪先生の作品の中でも、鬼の方を意識してしまう。