DEVILMAN REBORN ~LOST DESTINY~ 作:カナト
ジンメン戦の翌日の正午。
マンションの自分の部屋で、俺は寝ずにずっとベッドで寝ている美佐樹のことを見ていた。
嫌な夢でうなされているようには見えなかったが、それでも心配で目が離せなかったのだ。
朝の6時くらいに美佐樹は目が覚めると、彼女はすぐに俺が居ることを認識してこっちを見る。
「明人…?」
「あぁ……おはよう、美佐樹」
身体を起こして周りを見て、美佐樹はここが加藤の家ではないことにまず気づいた。
そして、次に自分が裸Y-シャツ状態で寝ていたことにも。
「え!?あたし、どうしてこんな格好で!?」
「……まぁ、いろいろあったからな」
「い、いろいろって……」
詳しく話すわけにはいかない。
母さんと父さんが死んだことは……俺が殺してしまったことは、絶対に言ってはならないことだ。
「そう言えば……さ。父さん、昨日の深夜に俺と会って、今日の朝の飛行機でアメリカに帰ったよ」
「お、おじさんがっ!?じゃあ……あれは夢だったのね」
美佐樹は納得したような安堵の息をつき、そのままベッドから立ち上がろうとするとふらついて俺にもたれかかる。
「ご、ごめっ――あんっ!…あ、明人?」
俺は美佐樹を抱きしめた。
それも強く、離したくないという一心で。
「あのさ、美佐樹。ちょっとバカなこと、聞いていいか?」
「……何?」
「俺が居なくなったら……悲しんでくれるか?」
俺にはもう、家族は居ない。
自分の手で殺してしまった。
これでもう、美佐樹や加藤の家族、了さん、ジュンさん、鈴谷や他の支えになってくれている人やデーモンが居なければ、俺にはもう何もない。
今ならわかる。
不動明……前世の俺が、どうして牧村美樹さんが惨殺されたことで全ての希望を失ってしまったのかが。
守るべきものが、自分のせいで死んでしまった。
その自責の念と後悔、虚無感、悲しみが明を絶望の底に陥れたんだ。
美佐樹は深い溜め息をつき、俺に真剣な目を向ける。
「悲しいわよ、当たり前じゃない。……でも、その前に怒る」
「お、怒る?――って、おい!?」
美佐樹は俺をベッドに押し倒し、逃がさないというように両手を顔の横につけて自身の顔を目の前まで近づける。
「怒って当然でしょ。……絶対にあたしから離れないって言っていたのに、それを裏切られるんだから」
「……俺と居たらこの先、危険な目に合うかもしれないんだぜ?俺は例え約束を破っても、それで恨まれても…美佐樹を失うくらいなら―――――んっ……ちゅ、はむ……んっちゅ」
これ以上聞きたくないという意思を表すように、美佐樹に口を唇で塞がれた。
舌を絡まれ、大きな両胸を押し付けられるくらいに密着されてしまう。
そして、口を離されて唾液の糸を引けば、美佐樹は目を閉じて俺の額に自身の額を当ててくる。
「居なくなるなんて言わないで。あたしはどれだけ苦しい思いをしても良い、辛い思いをしてもかまわない。それでも……明人が側に居てくれないとダメなの。あたしは……あなたが居ない世界で生きていくなんて、耐えられないの」
「美佐樹……」
俺も同じ気持ちだ。
美佐樹が居ない世界を生きるなんて耐えられない。
……こういう気持ちだったのかな。
本当に大切だと気付いた時にはもう遅かった。
愛する女の生首を抱きしめながら、もう戻らない過去に後悔しながら、不動明は人類ではなくデビルマンが生き残るために戦い続けて……サタンとの最終決戦で命を失った。
意識を失う間際の感情は、今の内海明人……俺にも伝わってきた。
サタンへの復讐心があると同時に、自暴自棄の感情もあったのだ。
もう死にたいと願っていたのかもしれない。
もしかしたら、自身を殺せるのはサタンだけだと思ったから、彼は最終決戦を挑んだのかもしれない。
描きたかった未来があった。
掴みたかった理想があった。
愛する人と共に生きる世界を、不動明は夢見ていた。
しかし、それは叶わなかった。
美佐樹を太股の上に座らせて対面し、もう1度唇を重ねながら彼女の着ているY-シャツのボタンに手をかける。
俺の頭の中は、大切な恋人に自分が側に居るということを、獣になって刻み付けることしか考えつかなくなっていた。
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昨日、デビルマン・ゼロとジンメンの激闘があった廃小学校の体育館。
そこに今、白衣を着た研究者や自衛隊の者たちがジンメンの死体を囲んでいる。
その中で、腰を斜めに曲げている天辺剥げの白衣の老人が前に出て死体の甲羅を触る。
「うんうん。これだけ強靭な甲羅ならば、儂の研究している例の物の開発も進みそうじゃわい」
「……しかし、国民には極秘のプロジェクトとは言え、これはあまりにも危険すぎるのではないでしょうか?博士」
博士と呼ばれた老人は左目が潰れており、鼻の下に大きな髭が生えている。
周りの研究者たちも、自衛隊のリーダーもその老人には頭が上がらない。
自他ともに認める天才科学者であり、今はデーモン研究の第一人者。
そして、対デーモンのための武器の開発責任者でもある。
「ほ~……これは防御力を上げるために言い素材じゃ。これで超合金の強度も増すことじゃろう。デーモンの攻撃にも十分に耐えられるはず」
自衛隊のリーダーは咳払いをし、デーモンの死体に集中している博士に声をかける。
「兜博士、これは我々人類の希望を開発を促進するものなのですか?」
兜博士は、フッフッフともったいぶるように笑う。
「あれの開発のために、儂はおまえたちにデーモンを捕らえさせたのじゃ。そして、デーモンに対抗するための研究はもう完成しておる。……今までの人間の常識を超える、この兜十蔵の傑作!!悪魔の力を利用し、神にもっとも近い力を与える。……名づけるのなら、魔神かのぉ」
兜十蔵ときたら、もう『あの主人公』とか『あのヒロイン』とか、誰もが恐れる『あれ』が出てくることになりますよね。
そして、重大な予告。
もうそろそろ……というか、31話から少しの間、明人から視点が交代します。