DEVILMAN REBORN ~LOST DESTINY~ 作:カナト
爺ちゃんの作り出したロボット、エネルガーZとアイアンZ。
デビルマンと名乗った悪魔たち。
2つは向かいあい、そしてデビルマン・ダークネスと2つのロボットが走り出し、2つのロボットの左右の拳とダークネスの大剣が激突した。
天才科学者である爺ちゃんの作りだしたロボットなんだ。
強いに決まっているという期待をしていた。
だから、自分の目が信じられなかった。
デビルマン・ダークネスの大剣は、激突したと同時にエネルガーZは左腕が、アイアンZは右腕が破損してしまった。
「脆いものだな、人間の科学技術とは」
大剣の勢いは止まらずに襲いかかるが、2体のロボットはそれに反応することはできず、胴体を浅く斬られて吹き飛ばされる。
「エネルガー!!アイアン!!」
爺ちゃんが叫ぶが、ロボットの動作は鈍い。
斬られた部分から回路がむき出しになり、稲妻が走っている。
デビルマン・ダークネスとデビルマン・ヘルは無傷。
実力の差は圧倒的だ。
それでも、爺ちゃんは諦めずに2人の敵から視線をそらさない。
「エネルガー、ブレストファイヤー!!アイアン、サンダーブラストじゃ!!」
エネルガーZは胸部の赤い板をダークネスに向けて熱光線を放ち、アイアンZは頭をヘルに向けて両耳に当たる部分にあるコイルから雷を轟かせて放つ。
その2つの強力な攻撃は2人のデビルマンに直撃し、爆発で煙を発生させる。
「……貴様の力はこの程度か?兜十蔵」
「やはり、所詮は人間の力量はこの程度。我々デビルマンには遠く及ばん」
大剣の風圧で煙が晴れる。
デビルマン・ヘル、デビルマン・ダークネス、それぞれ無傷。
天才科学者、兜十蔵のデーモンへの対抗策が通用しない。
ダークネスは大剣を横に振るって斬撃波を飛ばし、一瞬でエネルガーZとアイアンZを上下に両断する。
爺ちゃんは2つのロボットの残骸を見下ろし、溜め息をついて着ていた白衣を脱ぐ。
「……やれやれ、実力を測る小手調べにもならんかったわい」
爺ちゃんが纏っているのは緑色の軽量アーマー。
それも、機械のそれじゃない。
デビルマン・ヘルはそれを見ては目を細める。
「おまえも悪魔の力に手を染めたか」
「貴様のように魂を売ったわけではないわい。プロトタイプとはいえ、貴様らを相手にするには十分じゃ」
「ほぉ……何のことかはわからんが、面白くなりそうじゃのぉ。……ダークネス、そこの男と女を殺しておけ」
ヘルの命令に、ダークネスは「承知」と返してこちらに重たい足を動かして近づいてくる。
当然のことだが、俺たちの存在は気づかれていた。
逃げようとするのが正解だった。
しかし、この場の殺意の満ち溢れた雰囲気がそれを許さなかった。
足が一歩も動かなかったんだ。
人間には恐怖という感情がある。
それが俺の生存本能を上回ってしまった。
「甲牙さん、あなたは逃げてください。私が1分……いいえ、1秒でも長く時間を稼ぎます」
「ミネルバ!?」
「私は機械ですので、修理すれば身体は元に戻ります。しかし、甲牙さんは人間です。1度致命傷を負えば絶命してしまいます。……私は博士の意志に背くことはできません。あなたの命を守らなければならないのです」
俺の前に出て、ミネルバはデビルマン・ダークネスと相対する。
ミネルバXは自分の存在を賭けて俺を生き延びさせようとしている。
だけど、足が動かない。
「甲牙さん……早く!!」
ミネルバXの必死の叫びで緊張が少し和らぎ、俺は「うぉおお!!」と雄たけびをあげながら奥に逃げる。
俺は無力だ。
何がヒーローになろうとしただよ。
何が英雄になりたいだよ。
こんな危機を前にして、怖がっているような奴がなれるわけがない。
守られているだけで、べそをかいて逃げている俺には。
何もできない俺には。
逃げながら、後ろ振り向いて戦っている2人を見る。
爺ちゃんはデビルマン・ヘルと格闘戦を繰り広げ、ミネルバXは光の翼を広げて距離を取り、遠距離からビーム攻撃でダークネスを牽制している。
2人とも、俺のために戦っている。
こんな俺を守るために。
「ハッハッハッハ!!こんなものかぁ?兜十蔵よぉ。それでも儂と肩を並べていた希代の天才かぁ!?」
爺ちゃんはデビルマン・ヘルに吹き飛ばされ、後ろのブラックボックスに衝突する。
その時、ブラックボックスにひびが入った。
俺は爺ちゃんに駆け寄り、両手で抱える。
「爺ちゃん!?」
「……うぅ……何をしておる……足を……止めるんじゃあない……甲牙。逃げるんじゃ……おまえ……だけでもっ……!!」
こんな時に……俺の心配なんてしてんじゃねぇよ、クソ爺。
どうして、こんな状況で……俺のこと、所有物とか言っていた人でなしのくせにっ!!
逃げる気力がなくなって両膝をつき、拳を握って地面を殴る。
「畜生っ!!どうして、俺には何の力もねぇんだよ!?頼むっ……誰でも良い……あのクソ悪魔どもを倒せるなら、神の力でも、奴らのような悪魔の力でも……何でも良い!!」
天に届くように、地の底から這い出るような声で叫ぶ。
「俺に……力をくれぇえええ!!!」
そう叫んだ瞬間、俺の背後にあったブラックボックスのひびから黄金の光が漏れだす。
ミネルバXが目を見開いて呟く。
「そんな……いくら光子力エネルギーを供給しても起動しなかったのに、兜甲牙の声に答えたというの!?」
俺の頭の中に、勇ましさを感じる男の声が流れ込んでくる。
『汝、力を欲するか』
「……何だ?この声……!?」
『しかし、貴様の求める力……神、悪魔では真の脅威には太刀打ちできまい』
「それなら、どうすれば良いんだよ!?」
声は俺の焦りとは真逆に冷静で、そして問いに対してこう返してきた。
『私の力はゼウスを超え、ハーデスを討つための力。神をも超え、悪魔を滅するための力である。……それを受け入れる覚悟が、汝にはあるか?』
覚悟……?
それが必要なら、どんな覚悟だって今の俺にならできる。
「覚悟ならある。……だから、おまえの力を貸せっ!!」
『良かろう。汝、兜甲牙に我……魔神カイザの力を授けよう。……叫べ、この言葉を!!』
俺の頭の中に、その言葉が流れてくる。
ブラックボックスからの黄金の光に身体が包まれる。
そして、叫んだ。
「マジン……ゴー!!!」
光子が物体になり、俺の身体に装着されていく。
全身を纏う鎧は青黒く、王冠のような兜をしていて目は黄色、胸の中央には赤く翼を広げたような形の板とZマーク。
そして、背中には赤いマントを広げている。
その姿は、デビルマンとは違い、悪魔のような禍々しさはなく神々しさを放っていた。
デビルマン・ヘルが、俺の姿を指さして震えている。
「そ、その姿はっ……!!兜十蔵の孫よ……貴様は……一体!?」
その問いに答える前に、デビルマン・ダークネスがミネルバXを振り切って大剣を俺に振るってくる。
それを右手だけで受け止め、そのまま投げ飛ばす。
「何っ……!?」
ダークネスは空中で一回転して着地して俺を睨みつける。
2人の悪魔を見据え、静かに深呼吸をする。
不思議だ。
さっきはあんなに怖かったのに、今は落ち着いている。
「俺は……ただの人間だ。おまえたちのように悪魔の力はない。だけど、おまえたちを滅するための力を手に入れた。覚悟しろ……俺はおまえたちデビルマンやデーモンを滅ぼし、人類を守る者だ。……そして、この名を聞いて恐怖しろ!!」
胸の中央にある紅のZマーク部分から長剣を出して構える。
「俺の名は……マジンカイザーだ!!」
マジンガーZじゃなくて、その上のマジンカイザーを出しました。
見た目はマジンサーガの方の部分も取り入れています。
そして、甲牙くんがとんでもない宣言をしちゃってることに気づいてるでしょうか?
これが、今後の明人くんとどう交錯していくのかなぁ……。