DEVILMAN REBORN ~LOST DESTINY~ 作:カナト
爺ちゃんはもう、身体がボロボロで戦えない。
ミネルバXも、あの2体のデビルマンに勝てるとは思えない。
今、俺が戦うしかないんだ。
戦うための力なら、もう手に入れている。
デビルマン・ダークネスは大剣を両手で持ち、武人のように闘志を研ぎすませる。
「デビルマン・ヘル、こやつの相手はこの私に」
「……好きにするがよい。儂の目的は十蔵を殺すことのみぞ」
ヘルが見据えるのは俺の後ろで重傷を負っている爺ちゃん。
爺ちゃんの傍らには、ミネルバXが警戒態勢を取りながら2体のデビルマンを見ている。
「甲牙さん、こうなってしまってはあの2体の悪魔があなたを狙うのは必然となってしまいました。戦い方はわかっていますか?」
「ああ。不思議な感覚だけど、ずっと前からこれを装着して戦っていたような気分なんだ。だから……勝てる気がしている」
剣を両手で持ち、ダークネスに刃を向ける。
「最初はおまえが相手か?一刀両断してやるぜ」
「ッフン。ほざくがいい、人間風情がっ!!」
俺たちは同時に走りだし、刃を交える。
カイザーの剣とダークネスの大剣が激突した瞬間、周りに大きな衝撃波が走った。
横から薙ぎ払うように剣を振るえば、ダークネスは大剣を下に向けて防ぎ、目からビームを発する。
それを背中の赤いマントで弾き、右手に力を込めて蒼いオーラを放ち一回り大きな腕の形になる。
「ぶっ飛びやがれ……ターボスマッシャーパーンチっ!!」
オーラの拳は回転し、ダークネスの胸部に直撃した。
「ぶへぁ!!な、何だとっ……!?」
口から血を吐きながら壁まで飛ばされるダークネス。
俺はそれに追撃し、口から竜巻を放射する。
「ルストトルネードっ!!」
竜巻がダークネスに直撃しそうになった瞬間、大剣で防ぐがあまりの強さにそれにひびが入り、折れた。
「何!?」
デビルマン・ヘルが左手を前に出して竜巻を受け止めようとするが、手を削って人差し指と中指を失う。
「ほぉ…」
興味深そうに自身の左手を見れば、ヘルは全身から青い炎を放つ。
「貴様のその力、どれほどのものかを測らせてもらおうか!!」
右手を俺に向けて蒼い火炎を放射してくる。
それをマントで防御しようとするが、弾くことができずに押されてしまう。
「地獄の炎に焼かれるがいい。この小童がぁあ!!」
「ふざけんじゃねぇぞ、この爺ぃい!!」
こうなったら、今出せる最強の技を出すしかない。
マントで防ぐことを諦め、俺は胸をのけぞらせて赤い板をヘルに向ける。
胸の赤いV字の板は光出し、広範囲の熱光線を発射した。
「ファイヤー……ブゥラスタァアア!!」
熱光線と蒼い炎が激突する。
赤い熱光線は蒼い炎を押し切り、デビルマン・ヘルの右腕を燃やす。
「何ということじゃ……!?これが……これが光の魔神の力だというのかぁ!?」
ヘルの右腕は無くなり、デビルマン・ダークネスも折れた大剣を杖替わりにして立っているのがやっとのように見える。
ダークネスの肩を左手で掴み、デビルマン・ヘルは俺と爺ちゃん、ミネルバXを睨むように見る。
「今日は飛んだ計算違いじゃったわい。……まさか、魔神の力を人間が持つとは。これはレクス様へ報告が必要じゃな」
蒼い炎を自身の周りに展開し、ヘルは高笑いをする。
「これは面白いことになりそうじゃわい。しばし、その首を預けておこう、兜十蔵、兜甲牙よ!!我々と対を成す光子力の運命に飲まれ、存分に苦しむが良いわ!!ブァハハハハハハハハ」
2人のデビルマンを炎は包み、一瞬で消えていった。
ミネルバXが爺ちゃんを背負い、俺の前に駆け寄る。
「大丈夫でしたか、甲牙さん!?」
「ミネルバ……俺よりも、爺はどうなんだ?」
「博士は……御覧の通り重症で、意識を失っておられます。極めて危険な状況です、早急に治療しなければ」
「……そう……か……」
爺ちゃんは死んではいない。
そう分かっただけでも緊張の糸が切れてしまい、俺は前方に倒れてしまった。
身体がもう動かない。
装着していた鎧が解け、左腕に着けたこともないブレスレットが巻き付いていた。
そのブレスレットを見て、俺の意識は暗闇の中に沈んでいった。
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次に目が覚めた時、最初に見えたのは白い天井だった。
そして、聞きたくもない女の声が耳に入ってきた。
「やっと起きた……呆れた、三日三晩も良く寝れるわね」
「……弓……さやか」
横を見ると、ボーダーのT-シャツにスカート姿の弓さやかが胸の下に腕を組んで立っており、その隣には弟のシローも居た。
「アニキぃ……心配したんだぜ?」
「シロー……悪いな。俺……どうしたんだ?」
「交通事故にあったのよ。あなたの運転していたバイクと大型のトラックが衝突したの。それで、私の家の系列にあるこの病院に連れてこられたわ」
さやかの説明はどう考えても嘘だとしか思えなかった。
俺は確かにデビルマンと呼ばれる存在と戦い、奴らを退けた。
あの恐怖の体験が夢だとはどうしても思えない。
「甲牙くん、顔が怖いわよ?」
「……うっせぇなぁ、ほっとけよ。爺は……どうしたんだ?」
「兜博士は研究中の事故で重傷を負って意識が戻らないのよ。兜家って事故に巻き込まれやすい家系なのかしらね」
「どうだろうな」
顔を逸らしてさやかを見ないようにし、深い溜め息をつく。
そして、机の上に置いてあるブレスレットが視界に入ると、やっぱりあれは夢ではなかったのだと確信が持てた。
「その青黒いブレスレット、趣味悪くない?そんなのを着けててもカッコ悪いわよ」
「……いや、これがカッコいいんだよ。これから……カッコいい俺になるんだ」
ブレスレットを手に取り、赤く丸い円の中に入った『Z』の文字を見る。
「俺はこれから……みんなに認められる英雄になるんだ」
魔神カイザの力を得た兜甲牙。
ここから先、彼の運命はどう流れていくのか。
そして、彼の英雄に対する執着は、本当に世界を救うのだろうか。
予告
次からまた、少しだけ明人編に戻ります