DEVILMAN REBORN ~LOST DESTINY~ 作:カナト
外の光景を見て驚きを隠せず、俺は冬夜に視線を送る。
「あの男は……一体」
「雲野通、デビルマン・ライデス。俺たちと同じ、デーモン族にもデビルマン軍団にも属さない戦士だ」
勝手な考えで、俺と冬夜、ジュンさん以外のデビルマンはすべて白藤に飲まれているものと思っていた。
だけど、まだ、ここに……。
「雲野通……どこであの男と会ったんだ?」
「山岳地帯の小屋。デビルマンになったのは2か月前くらいだって言ってた」
「2か月だと?たったそれだけで……あんな戦士が」
「控えめに言っても強いぜ。特に、人間を襲うデーモンに対する憎しみは強い……」
窓の向こうで戦うデビルマン・ライデスは、静かに闘志を燃やし、スタイリッシュなクナイさばきで洗脳された人間を傷つけずにデーモンのみを消滅させている。
その動きの鮮やかさ、強さに目を引かれてしまう。
言うなれば、戦闘のプロとも言える存在だろう。
「彼以外にもデビルマン軍団に属していないデビルマンは存在する。戦闘は雲野たちに任せて、俺たちはおまえのベルトを使用可能にできるようにしなければならないな」
「雲野たち……?彼の他にもデビルマンが?」
「ああ、不動ジュンも来ている。今、この学園はデーモンと俺たちサタン派の戦争の初戦の場となっているってことさ」
「戦争……」
悪魔の力を持つ者の戦争。
しかし、ここには……。
「美佐樹を……巻き込むことになるのか」
俺たちの話を聞いていた美佐樹は、不安そうな表情を浮かべながらも取り乱さずに状況を受け入れている。
冷静とは言えないが、現実逃避をするようには見えない。
美佐樹は俺の思いを察したのだろう、手の握って頷いてくる。
「大丈夫。あたしはどんなことが起きても、明人から離れないから」
「……わかった」
ここで謝ったり、罪悪感を感じるのは覚悟を決めてくれた美佐樹に対して失礼だ。
俺は決めたんだ、何が何でも守りぬくと。
「2人ともお熱い所申し訳ないんだけどさ。ここも長くは持たないみたいだぜ?」
冬夜がドアを指さすと、何度もぶつかってくる音とゾンビのような呻き声が聞こえてくる。
このまま、ここに籠城しても時間稼ぎにしかならないか。
「明人が変身できない今、ちゃんと戦えるのは俺だけ。眼前の敵は俺が蹴散らす。明人、おまえは美佐樹ちゃんを守ることだけに集中しろ」
「わかってる。……信じるぞ、冬夜」
「ああ、任せろ」
ベルトに手をかけて「デビルっ」と呟けば、冬夜の身体は黄色い鎧を装着する。
敵だった時は忌々しかったその姿が、今は頼もしく感じる。
「ベルトに巻きついているその糸は、おそらく本体を殺せば消える。デーモンの名前はわかるか?」
「確か……ラズバだ」
「なら、そのラズバを探し出して殺すしかないな」
バリケードを取り除き、冬夜はドアを開けた。
洗脳された生徒や教師が雪崩のように押し寄せてくると予想したが、その前に冬夜が前方に虹色のシールドを展開する。
「オーロラ・バリア」
人の波はバリアにぶつかると同時に反射で後ろに吹っ飛び、そのまま動かなくなる。
「……死んでないよな?」
「気絶しているだけさ。オーロラ・バリアには力をそのまま跳ね返す力しかない。とりあえず、外は他の人に任せて、こっちはこっちの目的を遂行しよう。……行くか」
「ああ、よろしく頼む」
冬夜を先頭に俺と美佐樹は先を進む。
今、他の場所でみんなが戦っているのに無力な自分に苛立ちは隠せないが、今はベルトを使えるようにするのが先決だ。
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不動ジュンは学園に入り、変身して現れるデーモンに共に来た者たちと応戦している。
「こんなに集団的に動くデーモンの動きは初めて見るわ。みんな、気をつけて」
<気をつけろって言っても、戦わなきゃ死ぬことには変わりはねぇだろ!!>
本来の姿に戻ったオーガは、そう言いながら下級デーモン2体の頭を両手で握りつぶす。
彼の姿は巨体な身体で頭から鬼の角が生えており、虎のような模様をしている。
その両腕を振るえば、敵は吹き飛ばされるか上半身が削られるしかない。
<ニクスは既に内海明人の元に到着しているか。それだけが気がかりだな>
「えぇ……了の悪い予感が当たってしまった今、これ以上最悪な状況にならないように早急に事態を収束させるしかない」
ジュンやオーガの他にも、後ろで味方のデーモンとデビルマンが敵のデーモン軍団に応戦する。
これはもはや、学園と言う敷地内だけで繰り広げられる小さな戦争。
ジュンが両手と両足の爪で固まって襲ってくるデーモンを蹴散らしていると、背後からカマキリのデーモンが背中を斬り裂く。
「ぐぁあ!!」
<隙ダラケダゾ、デビルマン・レディー!!コノ『デスサイガー』ガソノ命ヲ頂イタっ!!>
デスサイガーが両腕の鎌を大振りにあげれば、胴体を大きな槍のようなもので貫かれる。
<無事か、レディー。前に出過ぎだ>
「カイム!?」
そこには巨大な身体をした四足歩行のデーモン、カイムが居た。
彼の武器は前方に着いたその大きな角。それに貫かれて生き残った者は未だかつて居ない。
<突破口は俺が開く。あなたは俺の後ろからついてきてくれ。ゼロと合流するんだろ?>
「そのつもりよ。頼むわ」
<任せろ!!>
カイムはデーモン軍団に突撃をかけ、前に居る下級デーモンに紫電を食らわせがらその角で串刺しにしていく。
<カイムに続け!!この勢いに任せて、一気に敵を減らすぜ!!>
オーガの声に皆、雄たけびをあげて士気が高まる。
勢いは確実にこちらがあるのは言うまでもない。
しかし、ジュンは戦いながら胸騒ぎがはれなかった。
何か、このままでは終わらないという予感がしてならないのだ。
1つの学園で起こる悪魔を持った者たちの小さな戦争。
この程度のことならば、サタンが危惧するようなことはない。
しかし、サタンの半身であるジュンには彼の不安感が伝わってくる。
了は今日、2時間前に至急戦士を集めて学園に向かえと言った。
何度も世界を繰り返しているサタンが焦りを覚えるほどの自体が、この程度で終わるはずがないのだ。
それなら、ここから先に何が起こる?
「何か……予期しないことが起こる気がしてならない。そして、この気持ち悪さ。……何かに踊らされているような、この感覚は一体……」
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学園の屋上では、スラムキングが下を見下しながら戦況を観察していた。
「よもや、悪魔人間とデーモンが手を組むとはな。これは面白くなりそうだ」
<スラムキング様、内海明人ヲ変身不可能ニスルコトニ成功イタシマシタ>
ラズバがスラムキングの影から現れれば、彼は長い日本刀を抜いて部下に向ける。
<ヒ、ヒェエエエ!?スラムキング様、一体何ヲサレルノデスカ!?>
「俺は強者との戦いを望むと言った。デビルマン・ゼロ、内海明人は数々のデーモンを打ち取った猛者と聞く。奴を無力化しては戦いにもならん!!貴様は俺の楽しみを奪ったのだ!!」
<オ、オ待チクダサイ!!コレハーー>
「聞く耳持たん!!ここで死ぬが良い!!」
スラムキングがラズバに刀を振り降ろそうとした途端、彼の頭の中に声が流れた。
『お待ちなさい、スラムキング』
「!?……この声は」
刀は寸前で止まり、その余波でラズバは吹き飛ぶ。
それも気にせず、スラムキングは片膝を立てて誰も居ない所に膝まずく。
「ミカエル様、いかようにしてあの愚者を殺すことをお止めになったのですか?」
『ラズバに命令を下したのは私です。今回の作戦は、私に思うところあってのこと。彼の行いは許してあげてください』
「それならば、仰せのとおりに。して、思うところ……とは?」
『デビルマン・ゼロ、内海明人のことです。彼は今や、サタンと同等の力を持った我々の脅威と言えるかもしれません。……いや、もしや、それ以上かもしれない』
ミカエルは1度言葉を区切り、不敵な笑いをする。
「何が可笑しいのですか?」
『いいえ。ただ、私もあの裏切り者と同じ思考になっているのかと思ってね。まさか、あのサタンも思うまい。奴の大事な駒が、私の思うように動き……神の描いた
スラムキングとのテレパシーを切り、ミカエルは別空間から天使とは思えない悪魔のような表情でこう呟く。
「さぁ、破壊の皇帝よ。絶望に堕ち、すべてを衝動のままに破壊せよ」
ミカエルの目的とはいかなるものなのか。そして、この学園内での戦争の行方は!?
まだまだ続きます。