※この作品はR-18です。

DEVILMAN REBORN ~LOST DESTINY~   作:カナト

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学園内総攻撃4

 ラズバを探し、俺たちは冬夜の手を借りながら進み続ける。

 道を塞ぐように襲い掛かってくる洗脳された者たちを払いのけながら、俺は彼らの頭から伸びている細い糸に気づいた。

 

「今の糸は……もしかして」

「何?何か気づいたことでもあるのか?」

「ちょっと待ってくれ……」

 

 蜘蛛のデーモン、名前はラズバ。

 俺はこの悪魔の記憶を持っている。

 走りながら思い出そうとしていおり、不動明の記憶から引きずり出した。

 確か、蜘蛛を頭に寄生させて洗脳させていた。

 それなら、ラズバを見つけ出す方法はあるかもしれない。

 

 1度足を止めて倒れている男子生徒の頭を透視すると、小さな蜘蛛が見えた。そして、そこから伸びている一本の細い糸も。そして、それは他の生徒の頭からも出ている。

 

「なぁ、こんな所で止まってたらまた群がってくるぜ?」

「ラズバを見つける方法が見つかったんだ。おまえの凍らせる力が役に立つ」

「はぁ?……どういう意味?」

 

 冬夜は首を傾げたが、俺の言ったことを実行してくれた。

 生徒の頭を触り、凍らせていく。

 すると、冷気で糸が浮かび上がり、それを摘まんで今度は氷らせる。

 導火線のように糸を氷らせていけば、他の生徒の糸とも繋がっており瞬時に氷って行くのを追いかける。

 

「まさか、操り方が人形のようだったとはな。あとはこれをたどれば良いだけか。……ラズバは俺に任せて、おまえは美佐樹ちゃんと一緒に」

<見ツケタゾ、デビルマン・ゼロ>

 

 廊下全体に声が響き、牛の頭をした巨大な悪魔が屋上から降りてくる。

 その悪魔を見て、最初に覚えたのは違和感だった。

 ここに、この悪魔が存在するはずがない。あってはならないと言う感覚。

 

 そして、この記憶は……。

 

「どうして……おまえが……ここに居るんだ、ウラヴァ!?」

 

 不動明の記憶の中で、この巨大な悪魔と地獄で戦った経験が浮かび上がる。

 そして、同時にこの世界に居てはいけない者だと言うことを察した。

 

 ウラヴァは俺と美佐樹を見ると、歯を見せるように笑う。

 

<ソウカ……ソノ女モ居タノダナ。……もう1人の特異点よ>

 

 その言葉を聞き、俺は耳を疑った。

 

「もう1人の……特異点……だと!?」

 

 確認を取ろうとした時には、冬夜……デビルマン・二クスが氷柱を生成して全方位から飛ばす。

 

「集中氷柱(クロスアイシクル)!!」

 

 全ての氷柱がウラヴァに直撃して氷漬けにし、冷気の霧が発生する。

 そして、冬夜は俺たちに顔を向ける。

 

「悪いが予定変更だ。俺がこいつを食い止める。おまえたちは不動ジュンと合流しろ」

「冬夜、おまえも……!!」

「無茶を言うもんじゃあねぇぜ。こいつから逃げながらおまえたちを守るよりも、倒した方が良いに決まっている。……おまえは希望だってサタン様は言っていた。ここでおまえを失うわけにはいかないんだよ!!わかったらさっさと行け!!」

 

 ウラヴァを閉じ込めている氷にひびが入る。割れるのは時間の問題だ。

 冬夜の決意を無駄にしないために、俺は歯を噛みしめながら美佐樹の手を引いて走った。

 

「明人!?」

「今はこうするしかない。俺たちが居ても足手まといなんだ!!」

 

 

 ニクスは俺を見送り、砕けた氷から出てくるウラヴァを見据える。

 

<愚カナ。貴様程度ガ我ヲ止メラレルト思ッテイルノカ?>

「止める?バカなことを言ってるんじゃないぜ。」

 

 

 自分の無力さが歯がゆい。

 しかし、今はそう思っても状況は変わらない。

 校内を逃げていると、窓から2体のデーモンが侵入してきては戦いだす。

 2体の内の1体、バッタの頭をしたデーモンが俺を一瞬見ては目の前に居る敵の頭部を蹴り落とした。

 

<こんな所に居たのか、内海くん!>

「バブックさん、どうしてここに!?救援はニクスやジュンさん、そして雲野って人だけじゃないんですか!?」

<サタン様の命令で、デーモンも君を助けに来ていたのさ。しかし、こんなに乱戦状態になるとは思わなかった。君はどうして、変身していないんだ?>

「俺は……」

 

 事情を説明すれば、バブックさんは外のグラウンドと言う名の戦場を見る。

 血で血を洗うような戦いがいたる所で繰り広げられ、敵も味方も倒れて行く。

 悪魔同士の戦いは衝動と殺意、覚悟が強い者が勝つ。

 醜いが、その醜さの中に悲しさを覚える。

 

「これが……悪魔の戦いなのね…。とても……可哀想」

 

 美佐樹の一言が胸に刺さり、糸が巻きついたベルトを見ると自分の無力さを恨めしく思う。

 今の俺は無力だ。変身できなければ、何もできない。

 それでも、1人でこの問題を解決できなければ、この先の脅威なんて乗り越えられるはずがない。

 

 ジュンさんと合流している余裕なんて……あるわけないだろ。

 

「バブックさん、美佐樹を頼みます」

<この子を?君はどうするんだ!?>

「自分の問題は自分で解決する。誰かの手を借りてるだけじゃダメなんだよ」

<待て、内海くん!!>

 

 バブックさんの静止も聞かず、俺は氷っている蜘蛛の糸をたどって走りだす。

 その時に一瞬だけ美佐樹のことを見れば、心配するような顔をしていたが彼女は何も言わなかった。

 

 美佐樹が特異点……どうなっているんだ、この世界は。

 

 

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 糸を追っていると段々、一か所に多くの糸が集まっているのが確認できる。

 場所は3階の屋上への階段前。

 壁に張り付いている巨大な蜘蛛。凍っていて身動きが取れないらしい。

 

「……見つけたぞ、ラズバ」

<デ、デビルマン・ゼロ!?何故……俺ノ居場所ガ!?>

 

 ラズバの驚きは無視し、頭を鷲掴みにする。

 

「俺のベルトに巻いている糸を解け。さもなくば、おまえをここで殺す」

<ソ、ソンナコトヲスレバ、俺ガ『スラムキング』様ニ殺サレッチマウヨ!!>

「ここで死ぬのと、死ぬ猶予が伸びるかの違いだろ。さっさとしーー」

 

 ラズバを脅して糸を解かせようとした途端、背後から長い日本刀が飛んできて奴の背中に刺さる。

 

「やはり、ここまで来たか。デビルマン・ゼロよ、貴様と見えることを楽しみにしていた」

「……おまえは?」

 

 階段から全身に甲冑を装着している巨大な男が下りてくる。

 その姿を見れば、軽く頭痛が起こる。

 俺はこの男を知っている。そして、先程のウラヴァと同じくこの世界に存在することがあってはならない者だとわかる。

 

「我が名はスラムキング。あるお方の命により、貴様を捕えさせてもらう」

「させるかよ。おまえはここで……倒す!!」

 

 ラズバの姿が糸のようになって消える。

 

<スラムキング様、私ハモウ1人ノ特異点ヲ……!!>

「ああ、それがあの方の意志ならば、その命に従うがいい。しかし、内海明人の糸は外せ」

<シ、シカシ、ソレデハ『ミカエル』様ノ命二逆ラウコトニナリマスゾ!?>

「我が捕えればよいのだ。……それとも、貴様はこのスラムキングが負けるとでも言うのか?」

<……仰セノ通リニ>

 

 ラズバが影の中に消えると同時にベルトの糸が消え、変身可能になる。

 

「さぁ!!全力の戦いを期待するぞ。我に真の力を使わせてみせよ」

 

 影から長刀を取り出して構えるスラムキング。

 俺もベルトに手をかけ、倒さなければならない敵を見据える。

 

「人を巻き込んだことを……ここを戦場にしたことを……この俺が後悔させてやるよ。デビルっ!!」

 

 純白の鎧を装着したデビルマン・ゼロと、黒い甲冑を装着しているスラムキングが対面する。

 

 この戦いの先に待つものを、この場に居る誰も知らない。

 これが黙示録の引き金に指を引っかけていることにも気づかない。

 




激化する学園内での悪魔戦争。

デビルマン・ゼロとスラムキングの戦いの中で、戦いを楽しむ甲冑の武士。

そして、スラムキングの真の姿が……。
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