DEVILMAN REBORN ~LOST DESTINY~ 作:カナト
全ての悪魔の力を持つ者が入り乱れて戦っている中、不動ジュンは校内に入ることに成功し、バブックと加藤美佐樹を見つける。
「バブック!?それに、あなたは……加藤美佐樹さんね?」
「はい。あの……あなたは?」
「私は不動ジュン。あなたの恋人である内海明人と同じデビルマンよ。あなたを守るようにある人から言われているのだけど……明人くんはどこ?」
「それが、急にどこかに行ってしまって……何もできないあたしは、このバッタの悪魔さんに守ってもらっていて……ごめんなさい、あたしは足手まといで」
「そんなことはないわ。あなたが生きていてくれる。それだけで私たちの救いになっているの。了にとってもーー」
ジュンが重大なことを呟こうとした途端、その不気味な笑い声はその場に響いた。
<見ツケタゾ、モウ1人ノ特異点!!>
天井から1体の巨大な蜘蛛が現れ、床に降りてくる。
蜘蛛のデーモン、ラズバである。
奴は美佐樹をじっと見据えて動かない。
一番最初に動いたのはバブックだった。
彼はラズバに接近し、その強靭な足で蹴りを繰り出そうとする。
<ジュン、君は加藤美佐樹を連れてこの場を離れろ。この場は俺が引き受ける>
「わかったわ。さぁ、美佐樹さん、こっちに!!」
ジュンが美佐樹の手を引いてその場を逃げようとした瞬間、多くの敵デーモンが群がってくる。
<逃ガシハシナイゾ……>
<ココデ捕エル……>
<特異点……!!>
敵の軍勢に3人囲まれ、四面楚歌となる。
レディーは後ろに居る美佐樹に注意を向けながらも迫ってくるデーモンを退ける。
バブックの鋭い蹴りがラズバの身体を横に真っ二つにしたが、その瞬間に全身が糸状になり、美佐樹の身体全体に巻きついていく。
「きゃぁああ!!」
その時には、レディーは美佐樹から離れすぎていた。
「しまった!……美佐樹さん!!」
<モウ1人ノ特異点ハ頂イタゾ!!コレデ『ミカエル様』ノ命令ヲ完遂スルコトガデキル>
美佐樹を包んだ巨大な球状は影に沈んでいく。
「くっ!!行かせるものかぁあ!!」
レディーがすぐに止めようとするが、周りの下級デーモンの肉の壁がその行く手を塞ぐ。
バブックも加勢するが、それでも数で押されてしまう。
タイムオーバーだ。
美佐樹の身体は完全に、影の中に沈んで行った。
デーモン共の手に落ちてしまったのだ。
これは誰の意図で起きた展開なのか。
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俺とゼノンの戦いは激化していく。
空中戦を繰り広げながら、俺たちの主張は噛み合わない。
「どうして、人間と共存する道を選ぼうとしない!?確かに、人間は地球を汚したかもしれない。この星の先住民であるおまえたちが怒るのも理解できる。だけど!人間は……地球を豊かにもしてきた。そこにも目を向けるべきだ!!」
<それは何のためだ!?自らの種の繁栄のためのはずだ!!そのような利己的な考えしかできない種族は、この先も過ちを繰り返す!!>
「何故、そう言いきれる!?」
両手の拳だけでなく、俺とゼノンは額もぶつけ合ってお互いの目を見る。
ゼノンの目に映るのは闇だ。
内なる自身の闇に縛られている。
それは人間に対する憎悪の塊のように。
<戦争がそれを物語っている!!人が起こす自己満足な争いのために、どれだけの生物が犠牲になっている!?何故、何度も争い合うのだ!?それは、自分のことしか考えない人間と言う種族の特徴だ!!そして、自分たちの都合で同族をも差別するからだ!!同族の人間同士でも分かり合えないというのに何故、異種族の我らデーモンと共に生きるなど言うことができる!?>
「そうじゃない人間も居るからだ!!デーモンは人間の心を持った俺を受け入れてくれた……だけど、悪魔の力を持った俺を受け入れてくれる人間も居るんだよ!!すべての人間が、否定ばかりするわけじゃない!!」
俺はゼノンの目を視線をそらさずにじっと見て言う。
しかし、ゼノンの方が俺から目を逸らして「黙れぇええ」と怒鳴って離れて行く。
<貴様の存在が、貴様の言葉が!!我の心に怒りを抱かせる!!人間も、デビルマンと言う存在も、すべてが憎い!!我らの居場所を奪い、我が物顔でこの星を汚す者たちが憎いのだ!!憎くて憎くて仕方がない!!人類を滅ぼすのが間違っているというのなら、この気持ちのやり場は一体どうすれば良いのだ!?答えろ……人間でも悪魔でもない存在……デビルマン・ゼロよぉおお!!>
ゼノンは自身の頭を抱えて苦痛に歪んだ表情を見せる。
そして、3つの顔全ての目からは涙が流れていた。
これがゼノンの苦しみ。
デーモンの心の叫び。
人間は、この地球に古くから生きていた先住民の怒りを受け止めることができていなかったのか。
ただ、生きるために人間を殺していたのではない。
その中には人間への怒りが、憎悪が含まれていた。
しかし、今の人間を殺したところで、昔の地球に戻るわけではない。
人類を滅ぼしたところで、デーモンたちに残るのは……『虚無』だ。
ゼノンは怒りに身を任せ、憎しみの闇を具現化し、黒いオーラをまとって俺に襲いかかってくる。
<ぐるぁああああああ!!!!!>
苦しんでいる。
もう……憎しみ続けることにも疲れたのだろう。
デーモンたちの負の感情を一身に背負い、ここまでずっと……憎い者と戦うことでしかその気持ちを晴らす手段が無いと信じていたから。
だから、より長く憎しみを晴らすことができるように、怒りをぶつけられるように、この悪魔の王は強敵を求めたのだろう。
俺は怒りと憎しみの権化とかしたゼノンの体当たりを全身で受け止める。
そして、抱きしめるように頭に両腕を回した。
「俺が……その怒りを受け止める。そして……人に伝えるよ、おまえたちの悲しみも」
<……っ!!>
全身から純白のオーラを発し、ゼノンを覆むように巨大な球状にする。
「
<あぁ……あぁぁあ……ぁあああああ!!!>
ゼノンは泣いた。
今まで抱えていた憎しみや怒りに隠していた悲しさ、辛さを表に出すように。
悪魔の王とはいえ、1人の感情を持った個体なのだ。
人間と同じ、生き物なのだ。
<……貴様なら……止められるのかもしれない……。天の定めようとしている…黙示録……の先にある……ーー>
ゼノンの言葉が耳に届こうとした瞬間、空が、空間が割れ、そこから黒い炎が襲い掛かる。
俺はゼノンに掴み離され、そのまま投げ飛ばされる。
「ゼノォオオン!!」
ゼノンの全身を黒い炎が焼き尽くす。
俺は、この炎が誰が生み出す者なのかを知っている。
「茶番は終わりだ……下等なデーモンどもの余興は面白かったぞ」
空間の割れ目から、1人の人間の姿をした男が3つの頭を持つ巨大な犬に乗って現れる。
白髪で細い身体をしており、髑髏のベルトをしている。
「ゼノン……君の問いに真のデビルマンである俺が結論を述べよう。デーモン族が人間と分かり合えるはずがない。そして、デビルマンとも分かり合えるはずがないのだ。だから……この3つの種族の内1つが有無を言わさず、力づくで支配するしかないんだよ。そして、君たちのような下等な2つの種族を支配するのは……俺たちデビルマンだ」
その男のことを、忘れるはずがなかった。
「白藤……隆一っ!!」
「……やぁ、ご苦労だったね……内海明人」
2人のデビルマンは向かい合い、1人は睨みつけ、1人は薄ら笑う。
ゼノンの心の叫びを聞き、デーモンの怒りを受け止める決意を持った明人ですが、そこにそれを嘲笑うかのように表れた白藤隆一。
そして、囚われた美佐樹はどうなってしまうのか。
全くの余談ですが、最近これを書きながら聞いている曲はマンウィズの『When My Devil Rises』とアマゾンズの主題歌3曲と『君の神様になれなかった』と『デビルマンのうた』と『Unripe Hero』をループしております。
最近は曲に飽きてきていて、ダークなものを書けるようなテンションの曲でモチベーションが上がる曲が在ったら感想やメッセージなどで教えてほしいです(笑)