DEVILMAN REBORN ~LOST DESTINY~ 作:カナト
その純白の怪物は姿を現すと、周りの物をその白と黒の光線で破壊しつくし、人も建物も悪魔の力を持った者たちも破壊していく。
例外はない。その目に映る全てが破壊の対象となっているのだ。
全ての者の視界一面に、燃える物が映る。
ファアアアアアア!!!
怪物は光線を発しながら、悲しそうに鳴き続ける。
その光景を見ている者の中には、怪物を止めようと空を飛んで近づく者も居た。
「街への被害をこれ以上広げるなぁ!」
<今、ここで食い止めろぉ!!>
デビルマンとデーモンが接近しようとする。
その時、怪物の翼から黒い羽根が抜けて彼らを襲う。
羽根が彼らに触れた瞬間、球状に黒く爆発して圧縮し、それに巻き込まれた部分が消滅して落下してく。
羽根は怪物の防御の役割も果たしているのだ。
不動ジュン……デビルマン・レディーは遠く空を飛ぶ怪物を見据える。
「もしかして、あれが了の危惧していたことだと言うの?ゼロの力の暴走……あんなことになるだなんて」
近くに居た鈴谷冬夜……デビルマン・ニクスが再変身してマスクの下で冷や汗をかきながら生成した氷の壁で光線の被害を最小限に防いでいる。
「まさか、あれが明人って言うんじゃないですよね?もう原型留めてないっすよ」
「その『まさか』よ。しかも、あれを止める手段は……今は無いわ」
「それって、今最悪な状況じゃないですか!?」
「元から状況は最悪よ!!」
レディーは八つ当たりみたいに言いながら、屋上に意識を向ける。
(止める方法があるとすれば……その鍵を握るのは、あの娘しか居ない)
黒い翼を広げ、レディーは屋上に向かおうとしていた。
あそこには美佐樹が居て、まだ生きているはずだと思ったから。
今にも飛び立とうとした瞬間、光線が屋上に放たれる。
その時、空から小さな紅い光が屋上に落下した。
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純白の怪物を見上げ、美佐樹は目を見開く。
あれは一体何なのか?そんなことにはもう気づいている。
内海明人、彼女の恋人が異形になった姿だ。
美佐樹はその場で力が抜けてしまい、立つことができなかった。
「あれが……明人……?」
「そう……みたいだな。これは想定外だったよ。特異点の力が暴走するなんてね」
白藤が近づいてきて、美佐樹の身体が固まってしまう。
しかし、彼の様子がおかしい。
息を切らしており、裸のままなのだ。
デビルマンに変身していない。
デビルマン・ゴッドが近づいてきて、上空の怪物を警戒しながら白藤に声をかける。
「レクス、何をしている!?変身して、ゼロの力を支配するんじゃなかったのか!?」
「……予定変更だ。加藤美佐樹を回収し、地獄に戻る。想定外のことが起き過ぎているんだよ」
怪物を睨みつけた後、ケルベロスにまたがって美佐樹を見る白藤。
「俺と共に来い、加藤美佐樹。そうすれば、この場は助けてあげるよ」
「誰があんたなんかと!!」
「そういうだろうとは思っていた。俺に身体を弄ばれながらも揺るがないその反抗的な目。それは今は怪物と化したあの男への愛がまだ残っているからかな?」
「明人は怪物じゃないわ!!」
「なら!あの姿を見て、君はあれを何と呼ぶんだ!?あれはもはや、デビルマンでもなければデーモンでもない。あれは……化け物だ」
その言葉を聞いて、美佐樹の表情は険しくなる。
何度も聞いてきたから、見てきたから。
並外れた身体能力のせいで、ずっとそう呼ばれている明人を。
明人の悲しそうな顔を。
「あんたが……あんたみたいな悪魔が、明人を化け物なんて呼ばないで!!」
「……気に入らないな。ゴッド、その女を連れて来るんだ」
「アイアイサー」
ゴッドが全裸の美佐樹に近づこうとすれば、上から光線が降り注ぐ。
それが美佐樹に直撃しそうになった瞬間———赤い光の球が軌道を逸らした。
光線はそのままゴッドに直撃する。
「ぐぅああ!!」
吹き飛んだゴッドを無視し、白藤はじっと赤い球を見る。
「また、あなたか……俺の邪魔をするのは」
紅い球は美佐樹の前に降り立ち、紅の鎧の勇者になる。
そして、ケルベロスに乗っている白藤を顔を向ける。
「この娘をおまえに渡すわけにはいかないんだよ……レクス」
「勇者……アモン」
アモンは美佐樹を見ると、片膝をついて彼女と向き合う。
「加藤美佐樹……だな?」
美佐樹はアモンの姿を見ても恐れ抱かず、彼のマスクをじっと見る。
「そうですけど……あなたは……明人の味方ですか?」
「ッフ、そこで自分ではなく、奴の味方かと聞くか。……今はどちらでもないと言っておこう。だが、俺と来るなら奴を止め、本来の姿で会わせる機会を作ることを約束しよう」
美佐樹は今、2択を迫られている。
非力ゆえに、どちらかと共に行かなければならない。
だが、彼女に迷いは無かった。
「……本当に、明人を元に戻してくれますか?」
「俺に戻す力は無い。俺にできるのは、内海明人を元に戻すきっかけを作ることだけだ。それでも、来るか?」
「えぇ!!」
美佐樹が力強く頷けば、アモンは彼女を庇うように立って白藤たちと対面する。
「……だ、そうだ。おまえたちとは行かないらしいぜ」
「そうはいかない。俺たちの理想のために、その女の存在は必要なんだ」
アモンと白藤の視線はぶつかり合い、どちらからともなく動き出した。
「奪う!!」
「渡さない!!」
アモンは美佐樹を両手で抱えて紅の翼を広げて飛び立ち、白藤はケルベロスに指示を出して3つの頭から火炎を放射させる。
その火炎をかわしながら飛行し、その場を離れるアモン。
「待って!明人を元に戻すってっ……!!」
「今すぐは無理だ。あの状態の奴を止めるためには、役者が不足している」
「役者…?」
「今はここから無事に逃げ切ることだけを祈っていろ、
美佐樹はアモンの焦るような声に驚きながら、必死に彼にしがみついた。
後ろを見ると、白藤たちが追ってくることはなかった。
そして、その後は見えなくなるまで、ずっと恋人の異形の姿を見つめていた。
アモンの言い間違いはタイプミスではありません。
これがどういう意味なのか、分かるのは大分先ですね。
しばらくは明人の視点で書けないのが地味に辛い……けど、次の視点は……。