DEVILMAN REBORN ~LOST DESTINY~ 作:カナト
捕獲されてからの5日間、弓さやかは電波塔サターンの内部の少し広い部屋に監禁され、他の女性同様にデーモンたちに管理された生活を送っていた。
食事は1日2食、朝と夜のみ。肉を主とした物が出される。
頑なに食べようとしない物は、無理やりデーモンたちに食べさせられた。
強制的にでも、飢え死にをさせないようにしていると感じられる。
一体何のためなのかは、想像もできないが。
1日に1度、この女性の中から1人が呼び出されて連れて行かれ、そのまま戻ってこない。
何をされているのか、もしくはさせられているのかを、さやかは想像したくもなかった。
この部屋の中に閉じ込められているのは、街の中で純白の怪物による災害を生き残った女性だけ。
その数は500人弱といったところだ。
「私たち、一体何時までこんな所に居なければいけないのかしら……」
「何時までって……あの化け物に呼ばれるか、死ぬまで居ることになるとしか考えられないじゃない。もう……終わりよ」
「夫も息子も殺されて……もう、何もかもお終いよ……」
辺りは全て、この5日間の中で絶望一色に染まっており、誰もが生きる気力を無くしている。
そんな中、さやかの目だけが生気を残していた。
(誰を呼び出すのかは、無作為に選ばれているのか、それとも何かの条件に従っているのかはわからない。だけど、悪魔の行動パターンはもう理解できた。今度悪魔が……デーモン族がこの部屋に入ってきた時が、この人たちを救うチャンスとなる)
さやかが制服の上のボタンを2個外せば、その下から黒い光沢が光を反射する。
そして、その1時間後、食事の時間になったようで何10体ものデーモンが部屋に入ってきた。
<飯ノ時間ダ……女ドモヨ、サッサト食ベロォ……>
デーモンたちは巨大な肉の塊が乗った大きな皿を回していき、女たちに押し付けていく。
さやかにも渡され、それは生肉に近く、とても食べられるものではない。
しかし、生き残るためには、これから起こす脱出劇のためには体力を付けなければならない。
覚悟を決め、さやかは手掴みでその肉を噛みちぎって飲み込んだ。
何の肉なのかはわからない。しかし、食べなければ生き残れない。
そして、食べ終わると彼女は重むろに立ち上がり、開いているドアに向かって歩いていく。
当然のことだが、近くに居たデーモンが立ち塞がった。
その姿は巨大なザリガニだ。
<何ダ、女……何処ニ行コウトシテイル?>
「外に出るのよ。ここに居るのは退屈過ぎるわ」
<ソレハ許サレナイ。戻レ、サモナケレバ……壊レルマデ犯シテヤロウカ>
「そんなこと、あなたにできるとは思えないんだけど。だって、見るからに弱そうだし」
露骨に挑発すれば、ザリガニのデーモンはその両手のハサミを使ってさやかの制服の胸倉を挟む。
<殺サレナイト思ッテ調子ニ乗ルナヨ?オマエハココデ……公開レイプダァアア!!>
制服をバラバラに破り、下着も破って全裸にしようとしたザリガニのデーモン。
しかし、制服を破ったと同時にさやかが顔面を殴って壁まで吹っ飛ばしてめり込ませた。
その光景にその場に居た人間もデーモンも動きが静止する。
さやかの姿は、肌の露出が多い……と言うより、その大きな胸や股間などの大事な所を網状のボンテージで隠しているだけでほぼ裸同然の姿であり、四肢に黒く長い手袋やロングブーツのような物を身に着けている。
周りから見れば、ただの変態と思うかもしれないが、それは違う。
これはマジンカイザーのデータを解析して兜十蔵が開発した、さやか専用のバトルスーツである。
バトルスーツを着用することによって、弓さやかのステータスは10倍以上に跳ね上がっており、下級デーモンなら相手にならない。
<ナ、何ダ、アノ女ハ!?『ザニーガ』ハッ……!!>
1体のデーモンが後ろの壁を見れば、全身から血を吹き出して動かなくなっている。
人間の成せる技ではない。
<ワンパンチ……デ……ダトっ!?>
さやかは周りのデーモンを見回し、腰に付いている2本のレイピアを取り出せば、柄の部分を合体させ、光子力で構成された弦を引いて人に当たらないように乱れ撃ちをした。
「光子力アロー!!」
光の矢が刺さり、次々と倒れていくデーモンたち。
しかし、騒ぎを大きくし過ぎたようで、次々と他のデーモンが部屋の中に流れ込んでくる。
カチューシャ型のインカムから、声が聞こえてくる。
『さやかくん……さやかくん、聴こえるかね?』
「兜博士……はい、聴こえています。通信が来たと言う事は、やっと彼が甲牙くんが来てくれたんですね?」
『発信機の情報からして、もう結界付近に居ることは間違いない。君はできる限り、スーツの力で結界内のデーモン族をできる限り減らすのじゃ』
「了解しました。できる限り敵を減らし、人質となっている女性は―――」
『人質はどうでも良い。いくら犠牲を出しても構わん。デーモン族を排除せよ』
「えっ……そんな!?」
『命令は以上じゃ』
通信が途切れ、さやかは歯を噛みしめる。
「本当に、兜家の血の人って自分のことしか考えないんだから……!!」
弓を引きながら出口に向かって走り、デーモンの数を減らして人質を先導する。
「生きてここから出たいなら、私についてきてください!!私ができる限りサポートします!!」
弓さやかの独断で、人質の女性たちとの脱出劇が始まった。
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さやかが戦闘を開始したのと同じ時間。
ボスたち3人は下水道を進み続け、奥の方に溜まっている廃棄されたロボットの残骸を見つけた。
「こ、これは……もしかしたら、神様も俺たちをまだ見捨ててないってことかもしれねえな」
ボスは残骸の中から丸い巨大な頭部を持ってそう呟く。
それを聞いて、ヌチャとムケは嫌な予感しかしなかった。
「ボ、ボシュ~?もしかして……とんでもないことを考えてましぇんかぁ?」
恐る恐るヌチャが聴けば、ボスはニヒッと歯を見せて笑う。
ムケが汗をダラダラ流しながら悪い予感がしてならない。
「ま、まさかぁ……」
「そう、そのまさかだ。このボロボロのロボットたちの部品を使って、俺たちであの化け物どもに勝てる!グレートでスーパーなロボットを作るんだよぉ~ん!!」
拳を握って両手を挙げて叫ぶボスに、ヌチャとムケは悲鳴をあげてこう叫んだ。
「「そんな無茶なぁ~~~!!!」」
2人が嘆いていると、彼らの後ろから聴いたことがない女性の声が聞こえてきた。
「あれ……あなたたちは確か……」
さやかのバトルスーツの格好は……うん、真マジンガーZEROを読んだことがある人ならイメージは共通のはず。
うん、あのエロい格好です。
そして、ボスたちもとんでもないことをやろうとしてるなぁ……。