DEVILMAN REBORN ~LOST DESTINY~ 作:カナト
後ろを振り向かず、ただ前に向かって走りながら地下に進み続ける。
後ろからは何度も何かが爆発するような声が聞こえてくる。
それを聞くたびに、足を速く動かす。
頭痛はまだ残っているが、それを気にしていたら足が遅くなり、了さんが時間を稼いでくれているのにそれが無駄になる。
息を切らしながらも走り続けていると、目の前に大きな扉が見えていた。
片方には大天使が、もう片方には黒いデビルマンが腕を組ながら立ちふさがっているように見える。
それを見ると、頭痛と共に頭の中に声が流れてくる。
『『おまえは何を望む?』』
その声は二重になっており、それぞれ声が別人だ。
『おまえは人類を守るために戦うのか?』
『それとも、デーモン族を根絶やしにするために戦うのか?』
前者は黒いデビルマンの方から、後者は白い大天使から聞こえてくる。
人間を守るか……デーモンを根絶やしにするか……。
『貴様がここから先に進むという事は、運命に関わる選択をしていくということだ』
『人間を越える力は、貴様に苦痛と苦悩を与えるだろう。その選択の先をそれを受け入れる覚悟があるのだな?』
俺は2つの絵に気圧されそうになったが、足を一歩ずつ前に進めて扉に両手を置く。
「俺には今、難しいことを考えている余裕はない。だけど、背負う覚悟ならある!!この先、俺が人間で無くなったとしても……俺が守りたい者を守ることができるなら、俺は……悪魔にでも何でもなる!!」
腕に力を入れて扉を押し開ければ、中から白と黒が入り交じった光が中から漏れてきて俺を包む。
そして、その中に一歩踏み込めば光は収まり、部屋の中が見えるようになった。
部屋の右半分は黒に染まっており、左半分は白に染まっていた。
そして、中央にはベルトの形をした化石が。
「これは……」
この化石と俺の身体の中の何かが共鳴しているのがわかる。
近づくにつれて、俺の心臓の鼓動に合わせて化石がガクガクっと動く。
「俺は今、力が欲しい。もしも……俺の覚悟を少しでも認めてくれるのなら……力を…よこせ!!」
ガシッと化石を掴めば、石のような表面がひび割れしていき、パリンッと弾け、メタリックなカラーに白と黒のラインが入り、中央の少し大きな円の中に半分ずつ白と黒の半円のマークが入ったベルトになった。
頭の中に使い方が流れてきた。
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「んぐっ!!」
了はショットガンでの応戦も虚しく、赤い悪魔に首を絞められる。
『苦しいか、サタン。やっとだ……やっと貴様を殺すことができる。この時を……俺はずっと待ち望んでいた!!』
「グガッ!……俺は愚かだった……そして、無力だった……!!何度廻ろうとも、奴らは運命を修正して最悪の結末に向かわせる……。この運命の輪廻を、俺は……!!」
『貴様の後悔など知らん!!貴様によるこの屈辱……この怨み!!晴らさずにいられようかぁああ!!』
赤い悪魔が首を絞めている手と逆の手で拳を握れば、赤く発光する。
『サタン!!貴様は……ここで殺されるのだ!!この勇者――』
「……間に合ったようだな……」
首を締められながらも安堵の笑みをし、暗闇の向こうから近づいてくる者を見る。
赤い悪魔も了から目を離し、暗闇を見る。
カッカッカッと靴音をたてながら、俺は暗闇から2人に姿を現した。
「俺は…戦う……。相手がデーモンだろうと……何だろうと…。戦って……戦い抜いて……俺が守りたい者を守って見せる!!」
俺は腰に巻いたベルトの中央の出っ張っている円を右手で掴み、縦に入っているラインを白を上にするように横に回して中に押し込む。
すると、俺の腕や顔の血管が浮き出てきて、目が赤くなる。
「はぁぁあ……デビルっ!!」
掛け声をあげれば、俺の体が一瞬白い光に包まれ、次の瞬間には変身が完了した。
体が一回りほど大きくなり、全身を純白で所々に黒いラインが入った鎧に覆われ、頭は翼を広げたカラスのようなフルフェイスのマスクを被っている。
了さんは俺の姿を見て目を見開き、赤い悪魔も俺を見て体が固まった。
(これも運命の歪みが生み出した、内海明人に対する答えなのか。この圧倒的な存在感……魔将軍クラスを超えている!!)
赤い悪魔は了さんを手から離し、俺に体を向ける。
『貴様……何者だ?』
「……おまえと同じ化け物さ。さぁ、戦おうぜ。悪魔と悪魔が接触した時、それは戦いの合図だ!!」
両手で拳を握り、悪魔に対して構える。
すると、悪魔は爪を尖らせて両手で鷲掴みにするようなポーズをし、俺を威嚇する。
『良いだろう。今の腑抜けたサタンよりは楽しめそうだ。この俺に倒される資格があるかどうか、確かめさせてもらうぞ!!』
悪魔が俺に前屈みになって頭で突撃してこれば、それを両手で押さえる。
しかし、力は悪魔の方が上であり、そのまま後ろに押されて壁に激突してしまう。
「ぐぁ!……クソっ!!」
そのまま頭を固定し、悪魔の腹部に膝蹴りをする。
しかし、悪魔は何でもないように顔をあげる。
『その程度か?』
「まだだ!!」
頭から両手を離して膝を曲げて悪魔に蹴りを入れれば、前に向かって飛んでいく。
そして、間髪入れずに距離を詰め、悪魔の胴体や顔面のマスクにラッシュ攻撃をしかける。
「ゴラゴラゴラゴラゴラゴラゴラゴラゴラっ!!」
しかし、悪魔は仁王立ちで立ったまま倒れない。
効いていないのか!?
右拳を悪魔に左手で鷲掴みにされて止められてしまう。
『ガッカリだな。でしゃばった割には、この俺に痛みという痛みを与えられていない。良いか?殴るとは……こうするのだ!!』
悪魔は右手で拳を握り、俺の頭部を力強く殴ってきた。
「ガァアァア!!」
その威力は俺の体を壁まで飛ばし、めり込んでしまうほどだ。
圧倒的過ぎる。
これが、デーモンの力なのか!?
『この俺に戦いを挑んだことを後悔しろ。そして、後悔したまま……死んでいけ!!』
悪魔は俺の胴体や頭、腕、足に連続でラッシュを繰り出す。
「がはっ!!ぐふっ!!あぐっ!!ぶっ!!あがっ!!」
『どうだ、痛いか、苦しいか!?これが俺と貴様の力の差だ!!』
鎧の防御で致命傷にはなっていないが、殴られる度に痛みは感じる。
俺は……デビルマンになったんじゃないのか?
力が足りない。
圧倒的に足りない。
力が……!!
<おまえはまだ、デビルマンとしての力を使っていない>
!?……何だ、今の声は!?
とても懐かしく感じる、この声は。
……俺の、声…?
<デビルマンには超能力がある。それを生かした技がある。それを使わない限り、おまえはデビルマンの力を発揮したとは言えない。そして発揮できなければ、下級のデーモンならともかく、奴には勝てない!使い方はわかっているはずだ。意識を集中するのだ!!>
「うぅぉおおおお!!!」
雄叫びをあげれば、全身から覇気を放って悪魔を吹き飛ばすが、途中で踏み止まられる。
『…何だ?何をした!?』
悪魔の問いには答えず、俺は無心になって意識を集中させる。
すると、俺の頭の中に力の使い方の情報が流れてきた。
「そうか……そうすれば」
ベルトの中央のマークを押して突出させれば、横に入っているラインを左斜めに動かしてもう1度押し込む。
そして、両手に意識を集中させると、白いガントレットの腕から縦に黒い3枚の刃が出てきた。
「……来いよ、デーモン!!戦いはまだ、終わっていない!!」
『ククククッ、よく吠えた!!この一撃で、終わらせてやる!!』
悪魔は両手を前に出して少し大きな赤いエネルギー球を作ると、それを俺に向かって放った。
俺はそれに真っ正面から突っ込んでいき、左腕の刃で――。
「クラッシャースラッシュ(破壊者の斬撃)!!」
と叫びながらエネルギー球を切り裂き、悪魔に接近して右腕の刃で切りつけた。
その瞬間、悪魔の赤い鎧にバキッとヒビが入る音が聞こえた。
悪魔は俺から離れるようにヒビが入った腹部を押さえて数歩下がり、俺を見てクククッと笑い出す。
俺のつけた傷からは、赤い血が少しずつ流れてくる。
『グハハハハっ!!良いぞ、貴様は面白い!!こうなるから戦いは止められない!!』
悪魔は俺に背中を向けると、了さんを見る。
『サタン、貴様は必ず殺す。しかし、その前にあの小僧と戦うことが楽しみになった。貴様は小僧の後だ』
そう言って、悪魔は次に俺を見る。
『貴様、名は何という?』
「……デビルマン、内海明人だ」
『アキト、人間にしては良い名だ。貴様は今日は殺さないでおいてやろう。もっと強くなった貴様と闘いたくなった』
悪魔の背中から、赤い翼が生える。
ここから脱出するつもりだ。
『覚えておくぞ、デビルマン!これからの地獄に生き残ることができれば、また合間見えようぞ!!』
「待てよ……あんたは……あんたの名前は…何だ!?」
俺の中には、戦っている間もこの悪魔に対して奇妙な感覚があった。
それを言い表すことはできないが、違和感がぬぐえない。
悪魔は翼を羽ばたかせると、飛ぶ前に言った。
「俺の名はアモン。勇者アモンと呼ばれている。この名、決して忘れるでないぞ。そして、もっともっと強くなるのだ。この俺に殺されるためにな!!」
アモンは上に向かって飛んでいくと、天井を拳で突き破り、そのまま地上まで行ってしまった。
彼が開けた穴からは、月の光が入ってくる。
ベルトのマークのラインを縦に直すと、変身が解除されて人間の姿に戻る。
「アモン……勇者アモン。俺は、おまえを越えてみせるぞ!!」
アモンの見た目は『デビルマン アモン黙示録』の姿に似ていて、それを鎧にした感じです。
そして、明人のデビルマン状態の見た目は、原作デビルマンの不動明の頭をコウモリからカラスに変えたもので、全身は白い鎧に覆われています。
少なからず、デザインに関してはサーガの影響受けてます。