DEVILMAN REBORN ~LOST DESTINY~ 作:カナト
空中を飛ぶ鳥型のデーモンに気づかれないように、俺はドーム結界の中に入ることに成功する。
入る時に結界の影響で少し電撃を食らったが、大したことはない。
結界内では、見慣れた街の建物やよく行っていた店も崩壊していた。
道端には、俺が何度も会った人や見知った顔の者の死体が多く転がっていた。
無残に殺されたことを示すように、人間などデーモンにとっては餌や玩具と同じなのだと示すように。
その場に膝をつき、声にならない唸り声を出して拳を握って地面を殴る。
「よくも……よくもぉ……!!外道どもめ、畜生どもめ、おまえたちが人間にしたことに対する報いを、俺がおまえたちに……1匹残らず味あわせてやる!!」
デーモンへの怒りが燃えたぎり、今にも奴らを根絶やしにしたいと心が叫んでいる。
先を進めば、結界の外よりも多くのデーモンに囲まれた。
ちょうど良い。ストレス発散に、今は多くのデーモンを殺したくて仕方がないんだ。
〈マダ男ガ残ッテイタトハナ〉
〈モウ男ハ食ウノモ遊ンデ殺スノモ飽キタゼ……〉
〈仕方ガナイ。女ハ殺サズニ捕ラエロトノ命令ダ。逆ラエバ、我ラガ食ワレル〉
女は捕獲、男は殺す。
一体、何が目的だ?それに、誰の命令なのか……。
そんなことはどうでも良い。
目の前に悪魔が居るなら殺す。
どこかに苦しんでいる人間が居るなら助ける。
それだけだ。物事は単純に、わざわざ複雑に考えなくても良い。
人間としての常識に従えば、俺が間違えるはずがない。
俺の正義が揺らぐはずがない。
我が正義は、人類を脅かす悪を全て殺すことだ。
「マジン……ゴーっ」
魔神の鎧を装着し、愛剣を胸から抜き出して両手で構える。
狂った目をし、人間を殺すという欲求を満たそうとして襲いかかってくる3体のデーモン。
俺は奴らを、カイザーブレードで薙ぎ払うことで横に両断する。
「この正義の障害となる者は……誰だろうと、俺が排除する!!」
雄叫びをあげ、次々と襲いかかってくる畜生どもを切り捨て、拳を貫通させ、蹴りで胴体を粉々にする。
1匹でも多く、1秒でも早く、人類の敵を一掃する。
そして、俺は……。
「俺は……英雄になる。悪魔どもよ……我が栄光のための生贄になるが良いっ!!」
俺はデーモンを殺し続ける、狩り続ける。
この姿を見て、残った人類はこう思うことだろう。
悪魔の脅威を前に、人類に救世主が現れた……と。
悪魔どもを殲滅し、人類にその力を認められた時にこそ……俺は兜の栄光の呪縛から解放される。
爺を……兜十蔵を超えることができるのだ。
デーモンの1団を皆殺しにし、変身を解かずに進み続ける。
悪魔を殺すたびに感じる、自分の正義を執行できる高揚感。
今ならわかる。俺はデーモンを殺すために、この崩壊した世界を救うために今まで退屈な日常を生きてきたんだ。
奴らと戦う力を得て戦うことによって、ようやく生きているという実感を得ている。
俺は人類を脅かす者すべてを破壊する。
俺の理想を邪魔する者すべてを破壊する。
俺のことを否定する者すべてをは破壊する。
それが何者でも……関係ない。
上を見上げると、街のシンボルである電波塔サターンで小規模の爆発が起きたのが見える。
俺の直感が言っている。あそこで何かが起きている。
それならば、俺が行って止める。
今、この街を救えるのは俺だけなのだから。
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電波塔サターンの中では、激しい脱出劇が繰り広げられていた。
さやかは電波塔の中を、人質になった女たちをデーモンたちから助けながら最下層まで降りるのをサポートしている。
しかし、救える者も居れば、救えずにデーモンの餌食になってしまった者も居る。
心に助けられなかったという思いを抱えながらも、弓を引き続けるさやか。
運搬用の大型エレベーターを使い、生存者の半分は下まで行かせることができた。
エレベーターを死守するが、それでも遠距離攻撃をしてくるデーモンの攻撃を防ぐことはできない。
時間と共に、助けられずに死んでいく者が増えていく。
さやか自身も体力の限界を感じてきている。
いくら光子力の力はデーモンに対抗できるとは言っても、使うのは人間である。ましてや女子だ。
無限に戦えるわけではない。
息を切らしながらも敵に集中していると、デーモンの群れをかき分けて進み出る者が1人。
『貴様ら、人間の女1人に何を手こずっている。それでも誇り高きデーモンの戦士か』
身体の上半身は西洋のギリシャの将軍の鎧を着ており、下半身は1匹の虎と一体化している。
その姿を見て、デーモンたちが声をそろえて叫ぶ。
<<<ゴ、ゴーゴン大公!?>>>
ゴーゴン大公の後ろには、右半分が女で紫色に、左半分は男で黒色に染まっており、奇妙なオーラを放つ杖を持っている者が居る。
「あしゅら男爵よ、この者の相手を貴様に任せる。私は将軍への報告に向かう。空よりの知らせで、外からネズミが入りこんだらしいからな」
「「はっ、おまかせを」」
杖をゴーゴン大公に預け、さやかの前に立つ。
「「我が名はあしゅら男爵。貴様の名を問おうか?人間の娘よ」」
女と男の入り混じった声。
そして、左腕の袖から黄色い数本の触手を出すあしゅら男爵。
周りを見れば、さやかとあしゅらに視線が集中している。
『デーモンどもに告げる。この娘が倒れるまで、その後ろの雌どもに危害を与えることは許さん。……さぁ、娘よ、必死に時間稼ぎをするがいい』
そう言い残し、ゴーゴン大公はその場を跳んで去る。
(デーモンたちの動きが止まっているうちに、1人でも多くの人を逃がさないといけない。そのためなら……!!)
さやかは弓を半分に離して2本のレイピアにして構えて走った。
「私の名前は弓さやかよ。……いざ、勝負!!」
甲牙く~ん、1人よがり過ぎだよ~。
さやかちゃん、健気過ぎだよ~。
……足して2で割ったら調度なのに……。
誰か、あの調子に乗ってる救世主(笑)を止めてくれぇ。(そういう風に書いているのは作者本人ですww)