DEVILMAN REBORN ~LOST DESTINY~ 作:カナト
『甲牙、おまえバカだろ!?』と言う展開になっておりますww
光子力研究所にて、病室で俺はまだ身体が万全ではないさやかの看病をしていた。
ベッドの上で横になっているさやかの身体の至る所に、あしゅら男爵の電撃によってできた火傷を隠すための包帯が巻かれている。
「何もあなたが私の面倒を見なくても良いんじゃない?甲牙くんにはやらなければならないことがあるんだから」
「そうも言ってられないのさ。前の戦いでカイザの力を使い過ぎた。デーモンと戦うために変身するだけでも、相当の体力を持っていかれる。さやかと同じで、俺だって今はリハビリ状態なんだ」
「……前から聞きたかったんだけど、マジンカイザーの力の負担ってそんなに大きいの?」
さやかが俺がマジンカイザーだと知ったのは、白カラスが現れる前の話。確か、夏休みの期間だったか。
その話はおいおいするとして、さやかの質問に頷いて肯定する。
「この力は本当に絶大だ。マジンカイザーになれば、敵が居ないと言っても過言じゃない。だけど、その分身体に来る負担は尋常じゃない。限界を超えた訓練をしないと、3分も持たない。かといって、今の俺が変身しても10分が限界だろうけどな」
「そうなの……今、デーモンの襲撃を受けたら、戦えるのはミネルバさんとボスたちだけなのね」
「ああ。白カラスも何故か3日間も活動を停止しているしな。嵐の前の静けさのようで気味が悪いぜ」
スマホやテレビのLIVE中継で白カラスの様子を全世界が監視しているが、オーラの殻に籠ったまま一向に姿を現さない白カラス。
殻に銃火器で攻撃した所で傷1つ付かない。
しかし、カイザのパワーならあるいは……。
「一刻も早く回復して、白カラスとデーモンどもを殲滅しないとな」
力を持った者の使命感に取り憑かれていると、さやかは心配した表情をする。
「……正しい、のよね?私たち。兜博士の言う通りに、悪魔を倒すことが」
「正しいに決まっているだろ。悪魔は人間を殺してきた。なら、俺たちの敵だ。人類の敵だ。悪魔を倒す俺たちに、正義があるんだ」
揺るがない信念を元にそう言うが、それでも彼女の表情は晴れない。
「この世界を崩壊させたのは悪魔たちだ。それを根絶しなければ、真の平和なんてやってこない。そんなのは決まりきってることだろ」
「それは、兜博士がそう思っているから?」
「爺は関係ねぇよ。……悪魔を全て殺した時、俺は初めてあのクソ爺を超えることができるんだ」
「お爺様を超えるためだけに戦うの?」
「……そんなわけあるか。俺は人間を救う英雄になる。その延長線上に爺という壁があるだけだ」
さやかの額に濡れタオルを当て、椅子に座ろうとしたその時、部屋の外が騒がしいことに気づいた。
「外……うるさいな。ちょっと見て来るよ」
「ええ。行ってらっしゃい」
病室を出て周りを見れば、研究員たちが何かを囲むように広間に集まっているのが見えたので行ってみる。
ドーナツ状に囲まれており、その中心には爺と金髪で白いスーツを着た男と黒いスーツを着た黒髪で長髪の女が居た。
雰囲気は険悪だ。
爺……兜十蔵を見て、金髪の男が軽く頭を下げる。
「初めまして、兜十蔵博士。この度は面会の機会をいただき、感謝しいたします。私は飛鳥了と申します。隣に居るのは、私の助手です」
「不動ジュンと申します」
飛鳥了?……聞いたことがある。確か、考古学の分野で有名な研究者だ。
そんな男が、爺に一体何の用だ?
それに……何か異様なオーラを感じる。
人間を超えた力も。
それは隣に居る女も一緒だ。
この2人、普通じゃない感じがする。
「ふむ……君があの飛鳥くんか。君の考古学の論文にはワシも関心しているよ。今の研究にも役立たせてもらっている。題材が題材だけにな」
「兜博士に目をかけられているとは光栄です。1度、対悪魔の研究をしてらっしゃるあなたと是非とも話をさせていただきたいと考えておりました」
「ワシもじゃ。これからの世界を生きるためにも、いつかは君と意見を交換してみたいと思っていた。奥の部屋まで案内しよう」
爺は2人を睨みつければ、他の者を散らせて一緒に奥の部屋に進んでいく。
俺も後ろから、気づかれないように付いて行く。
あの爺が会ったこともない学者の名前を覚えているなんて、よっぽどのことだ。
この研究所の人たちの名前と顔が一致したことが1度もないくらいだぞ。
「さぁ、中に入りなさい」
「失礼します」
2人は爺の研究室に入って行った。
ここから先に入ることはできないが、それでも聞き耳を立てて会話を聞いてみる。
大丈夫だ、部屋の中の声は聞こえる。
最初に聞こえてきたのは、爺の声だ。
「飛鳥くん。それでワシに話とはどう言ったものかな?」
「はい。……本題に入る前に、確認したいことがあります。博士は、あの世界を崩壊させた物、白カラスへの対抗策は既に考えてらっしゃいますか?」
「うむ。ワシは光子力が悪魔に対抗できる手段であることを発見し、それはあの白カラスにも通ずると思っている。対抗策としては孫の装着する鎧、マジンカイザーが鍵となる」
「マジンカイザー?」
「絶大な力を持った魔神の力を宿した鎧じゃ。今までに多くのデーモンを孫の甲牙は狩っておる。全てのデーモンを殲滅するのは時間の問題じゃろうな」
「……そうですか。ですが、本当に人間だけの力で、あの白カラスを止めることができますか?」
「止める?君は何を言っているのかね。ワシはあの白カラスをも狩ってみせるぞ」
しばしの間、沈黙が流れる。
そして、飛鳥了の重々しい声が聞こえた。
「あの白カラスの中に、私の……いいえ、私たちの大切な仲間が居るのです。名前は内海明人。彼には会いたいと思う恋人がいる。帰るべき場所がある。彼を必要としている友人、そして仲間が居ます。彼を助けたい。そのためには、殺す以外の方法を探さなければなりません」
「その少年は一体……いいや、違うな。君は一体、何者じゃ?君の目から、並々ならぬ覚悟を感じるな」
「私は……人間ではないのです。堕天使ルシファー、デーモンからは敬意をこめて大魔神サタンと呼ばれております」
了の告白を聞き、兜博士は眉をひそめる。
「サタン……じゃと?では、悪魔の長ということか?」
「今はその立場も軽薄になっていますよ。驚かないんですね……信じてくれるんですか?」
「ワシは天才じゃからな。異常なことにも対処できるのだ。……しかし、その内海明人という少年はどうなのだ?悪魔の力を宿しているのかね?」
「はい、その通りです。ですが、悪魔の力を宿しながらも人間の心を保ったまま戦う存在なのです。我々は、彼のような者をデビルマンと呼んでいます。あの白カラスの正体は、デビルマン・ゼロ……内海明人が暴走した姿なのです」
デビルマン……だと!?
今まで悪魔と戦ううちに、何度もその名を聞いたことがある。
そして、奴らは何度も俺たちの前に立ちふさがってくるんだ。
それなら……デビルマンの仲間だと言うなら、この男は……!!
俺はドアを勢いよく開け、その場に居る飛鳥了を睨みつける。
「デビルマン……それが白カラスの正体か?それならば、尚更生かしておくわけにはいかねぇな」
「君が……甲牙くんだね?マジンカイザーの力を使う少年」
「サタンに名を覚えてもらえてるとは光栄だな……なんて言うと思ったか!?悪魔の長なら、あんたも俺の抹殺対象だ!!」
「甲牙、落ち着くんじゃ!!今はことを構えるべきじゃ―――」
「黙ってろ、爺!!悪魔の長なら、今ここで殺さないとっ……!!」
変身アイテムであるカイザーブレスレットは腕に着けてある。
構えて変身しようとすれば、隣に居た不動ジュンに床に押さえつけられる。
嘗めるな、変身していなくても俺の力は抑えつけられるようなもんじゃねぇぜ!!
すぐに振りほどいて背負い投げをし、サタンを見る。
「白カラス……いや、デビルマン・ゼロだったか?あれを救うだと?ふざけるな!!?誰がこんな世界にした!?原因は奴自身だ!!それなら、内海明人……そいつの死を持って、世界を壊した罪を償ってもらう!!」
「あれは明人のせいじゃない。彼を殺せば、この世界は終わるぞ!?」
「終わらねぇよ。この世界にはマジンカイザー、この俺が居る!!人類は俺が守る。そして、悪魔は全て狩らなきゃいけないんだ!!」
爺は俺を止めようとしたが、老いぼれの力では10秒も持たない。
サタンに近づこうとすれば、その前に不動ジュンが全身からオーラを放って異形の姿に変わる。
「了!あの人の言っていた通りだわ。今は引くしかない!!」
「……全く、あいつはこういう時の対処法をどうして教えてくれなかったんだ!?」
不動ジュンが天井を突き破り、サタンを背負って空に逃げて行った。
すぐにマジンカイザーに変身して追いかけようとするが、その前に爺に止められた。
「甲牙!!おまえと言う奴は……今は止めておくのだ。重要な情報がわかった以上、これを考慮しなければならない。今はサタンよりも、白カラス……デビルマン・ゼロへの対策が最優先だ」
「……そうだな。今はこんな状況になった元凶を……俺の手で殺すんだ」
俺の怒りの矛先は既に、殻に籠ったカラスにしか向いていない。
デビルマン・ゼロ。その引きこもった殻から抜き出して、必ず……!!
まぁ、甲牙くんのこれまでのことを考えたら、いきなり悪魔に協力しろって言われてOKを言うはずはない。
……さてさて、どうなることやら。