DEVILMAN REBORN ~LOST DESTINY~ 作:カナト
内海明人たちが戦場を去った後、俺の元にミネルバXが来てくれた。
俺が倒れているのを見て驚いていたが、それに対する反応は薄かったかもしれない。
今、頭の中が驚くほど真っ白で、ずっと張っていた気が嘘のように抜けていったんだ。
『甲牙さん、大丈夫ですか?白カラスの反応が消えましたが?』
「……俺たちの呼ぶ白カラスはもう居ない。あいつは……デビルマン・ゼロは、自分の居るべき場所に帰って行ったよ」
言っていることが理解不能と言う顔をしているが、俺だけが理解していればそれでいいか。
デビルマン・ゼロは悪ではなかった。
いや、悪魔の力を宿しているからと言って、全てが悪なわけではないのだ。
俺が殺してきた者の中には、無抵抗な者、仲間を守ろうとして挑んできた者、俺を説得しようとした者も居た。
それを俺は、悪魔だからと言う理由だけで殺してきたんだ。
俺も……悪魔にとっては人間と同じことをしていたんだな。
不思議とあの男の言葉が頭や身体、心に拒絶せずに伝わってきた。
だけど、俺の中の正義を壊してくれなければ、そのことを受け入れることはできなかっただろう。
「間違っていたんだな……俺は」
身体中が痛むが何とか起き上がり、生き残っている仲間の元に戻る。
これから、デビルマン・ゼロの脅威が去った後、世界はどうなっていくのかは俺にはわからない。
それでも、俺にできることを精いっぱいしよう。
爺の負い目なんて関係なく、俺もただ、大切な人たちを守るために。
それが、本当の意味で英雄になるために必要な信念だと思うから。
マジンカイザーの戦いは、またここから始まるんだ。
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デーモン軍団と人間たちの戦いは、佳境を迎えていた。
飛鳥了は今ある全総力を持って人間たちを足止めし、美佐樹が救うための時間稼ぎをしていた。
「まだか……このままでは、どちらかに死傷者が出てしまうぞ」
デーモンやデビルマンたちは、人間を傷つけずに防御に徹していた。
人間の光子力を使った兵器もゼロの力によって無力化されているが、それでも普通の銃火器は使えている。
均衡状態も、そろそろ限界に近づいている。
了が諦めかけたその時、その声は聞こえてきた。
<皆の者よ!!私の声が聞こえる者は、かの者を見よ!!>
ガーラの声が響き、戦場に居る全てのデーモン、人間、デビルマンが空を飛ぶ魔将軍の指さす方を見る。
その先に居る者は疲れ切った身体を美佐樹に支えてもらいながら、無理やり動かし、片腕を挙げた。
「みんな……ありがとう。俺は……内海明人は、戻ってきたぞぉお!!!」
俺の声を聴いた悪魔の力を宿す者たちは、一瞬の静寂の後に大きな歓声を上げた。
「遅すぎるぜ、明人よぉ!!どんだけ心配かけんだよ、おまえは!!」
<全くだぜ。しょうがねぇ奴だ!>
「良かった……本当に良かったわ、明人!」
冬夜やオーガさん、ジュンさんの声が聞こえる。
人間たちは状況を察することはできないが、俺の登場によって喜びの歓声をあげている悪魔たちを見て士気が低下する。
そして、俺たちに怯えたような目を向けて撤退していった。
みんなは去る者は追わず、俺の元に集まって声をかけてくれる。
その時、俺はここに居ても良いのだと思えた。
俺の居場所は……ここにあるんだ。
円を描くように囲まれながら、その中から了さんが来てくれた。
「アキト……無事で何よりだ」
「了さん……今、戻りました」
「ああ。ここに居る皆、君のことを待っていたんだ。……何か、言うべきことがあるんじゃないかな?」
了さんに促されるように、みんなのことを見る。
姿は違えど、俺にとっては人間と変わらずに誰かのために戦えて、誰かを思うことができる。
そのことに気づいた時から、どれだけの時間が経っただろうか。
人間にとっては醜く、恐怖の象徴となるような存在だとしても、彼らはこんな俺を受け入れてくれている。
だから、この言葉を言う事ができるんだ。
「みんな……ただいま」
ぎこちない笑顔だったかもしれない。それでも、自分なりに精いっぱい笑った。
そして、それをデーモンもデビルマンも関係なく、みんなが受け入れてくれた。
だからだろうか、安心感で緊張の糸が切れたように身体が重くなる。
「あ、明人?……ねぇ、明人!?」
隣に居る美佐樹の声が、段々と遠くなる。
そして、俺の意識はスローモーションのように世界を捕らえて抜けて行った。
その時、久しぶりに眠るという体験をした気がしたんだ。
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人間とデーモン。
デビルマン・ゼロとマジンカイザーの戦いを天界から見下ろし、大天使ミカエルは目を細める。
<まさか、あの状態から復活するとはな……デビルマン・ゼロ、内海明人。特異点の力とは恐ろしいものだ……>
彼らを見ながら、前の世界を観察するミカエル。
その手には分厚い本が持たれており、それのあるページを開いた。
牧村美樹が惨殺され、不動明が生きることに絶望した光景を映したページだ。
<やはり、神のご意志を遂行するためには……消えてもらわなければならないな。あの娘には>
ミカエルは不適な笑みを浮かべ、目の前で片膝をついて首を垂れている天使たちを見る。
<さぁ……我々が下界に降りる日も、そう遠くではなさそうだ。首を洗って待っているが良い、特異点どもよ。そして……
1つの戦いが終結し、それぞれの勢力は嵐の後の束の間の安らぎを得る。
しかし、彼らの真の敵が、黙っているとは思えない。
……と、新しい戦いを予感させていますが、今回の明人暴走編?で大分精神的に削られたので、しばらくは小休止の意味で2人をイチャイチャさせたり、間の話を書こうと思っています!!