※この作品はR-18です。

DEVILMAN REBORN ~LOST DESTINY~   作:カナト

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戦う意志

 倒壊した街の中、高速道路上で人間とデーモンの戦いは起きている。

 

 さやかが悪魔特捜隊に合流した時、人間の死体が所々に転がっていた。

 

 頭が転がり、肉片が飛び散り、もがれたような跡がある四肢。

 

 彼女の目の前に居るのは、両手が大鎌になっているカマキリのデーモンと巨大なゴリラのデーモン、そして、その後ろに蟻のデーモンが何十体も居た。

 

 特捜隊は善戦しているが、それでも押されているのは火を見るよりも明らかだ。

 

 さやかは近くに倒れている隊員に声をかけた。

 

「遅れてすいません。被害状況は?」

「死傷者が50名中の……36名。デーモン軍団は……今も戦力が増え続けています。このままでは、押し切られてしまうかもしれません」

「わかりました。私も共に戦います」

 

 

 着ていたコートを脱いでバトルスーツ姿になり、腰にさしていたレイピアを抜いて特攻をかける。

 最前線に立って蟻の雑兵(ぞうひょう)を次々に切り倒していくさやか。

 

「私が前に出て敵の数を減らします。みなさんは援護を!!」

 

 彼女の戦う姿に喚起し、特捜隊は再度武器を握り直して構える。

 

 彼らが持っているのは巨大な照射銃、光子力レーザーガン。

 光子力エンジンが組み込まれており、光を当てるだけでデーモンを消滅させることができる。

 しかし、これは試作段階であり、強度はそれほど高くない。

 見れば、踏みつぶされた照射銃が多く転がっている。

 

 さやかがデーモンの返り血を浴びながら切り裂いていく中、カマキリのデーモンが鎌でレイピアを防いだ。

 

<コレハ良イ。男バカリデ退屈シテイタ所ダ。女ノ柔ラカイ肉ヲ切ラセテモラオウ>

「残念だけど、私はそんなに柔な女じゃないわよ!!」

 

 レイピアで鎌を受け流し、後ろに回って両断しようとする。

 両手を上げたてレイピアを振り下ろそうとした瞬間、ゴリラのデーモンがさやかの腕を掴んで持ち上げた。

 

「嘘!?」

<コノ俺、『コングラー』ヲ無視スルナ>

 

 コングラーはさやかを投げ飛ばし、蟻の群れの方に飛ばす。

 このままでは、彼女は蟻の餌食となる。

 

 そうなる前に空中でレイピアを合体させ、弓の形状にして弦を引き、光子の矢を乱れ撃ちした。

 

「光子力アロー!!」

 

 ドーナツ状に空いた群れの中心に着地し、さやかは回転しながら弓矢を放ち続ける。

 光となって消えていき、減り続けていく蟻の雑兵。

 

 コングラーがさやかを止めに入ろうとしたとき、奴の倍以上の身体をした巨体が間に入った。

 

「オラオラオラ~!!遅れて飛び出て即参上!!ボスボロット様が相手になるぜ~!!」

 

 ボスのうるさい声が響き、さやかが半目で舌打ちをする。

 

「ちょっと、遅いじゃないのよ、ボス!!」

「しょうがないじゃない!ボロットの調整に時間がかかったのよ~!!」

「遅れた分、しっかり働きなさいよね」

「おう!このゴリラ擬きは俺に任せとけ!!俺様の雄姿に惚れるなよ!!」

 

 ボスボロットがコングラーと戦っている間に、さやかに迫るカマキリのデーモン。

 

<コノ『サイザール』ガ相手ダトイウコトヲ忘レタカ?>

「しつこい男は嫌いなんだけど?」

<私ハ女ダ!!>

「カマキリの性別なんてわかんないわよ!!」

 

 弓からレイピアに分離し、鎌の刃を受け止める。

 

 雑兵の数が激変した今、この場の勝敗を決めるのはそれぞれの主力の一戦。

 

 さやかとサイザール、ボスボロットとコングラー。

 

 そう、誰もが思った。

 

 しかし、次の瞬間、2体の悪魔の身体が同時に一刀両断された。

 

<<ギャアアアアアア>>

 

 悲鳴をあげながら倒れるサイザールとコングラー。

 

「え……?」

「な、何が起きたんだわさ…」

 

 突然の出来事に、状況を察することができないさやかとボス。

 

 蟻の群れが次々と消滅していく。

 光によってではなく、蒼い斬撃によって。

 

「……やはり、下級悪魔ではこの程度……か」

 

 灰色のロングコートを着た、赤毛のオールバックの男だった。

 彼の手には黒い鞘と漆黒の刀を持っていた。

 そして、その腰には漆黒のベルトを巻いている。

 

 さやかは男に歩み寄り、警戒しながらも話しかけた。

 

「あの……あなたは、一体……」

 

 男は髪をかき上げ、冷たい目をさやかに向けた。

 

 そして、こう名乗った。

 

「剣鉄也だ」

 

 

 彼が名乗ると同時に、霧が発生して急激に濃くなった。

 

 そして、霧が晴れると、その姿はもう無かった。

 

 -----

 

 

 さやかが出撃し、リハビリをしていた時のことだった。

 俺が激痛に耐えながらダンベルを持ち上げていると、爺がトレーニングルームに着てはこちらに歩み寄ってきた。

 

「身体は回復しておるようじゃな」

 

 爺を無視し、リハビリに集中する。

 

「聴いておるのか、甲牙」

「あんたが、そんなことを言うためだけに俺の所に来るはずがねぇだろ。用件があるなら、さっさと言え」

「気が立っておるようじゃな。迷いが見える」

「っ……。天才科学者様は、そんなことまでお見通しなのかよ」

「そうではない。おまえは、儂の孫じゃからな」

 

 孫…その言葉が、俺を苛立たせる。

 

「何が孫だよ……ふざけるなっ!!」

 

 ダンベルを地面に投げつけ、怒りを込めた目を爺に向ける。

 

「俺やシローのことを、本心で1度でも孫だなんて思ったことがあったのかよ!?そんな心が、あんたにあったのか!?」

「心など必要ない。おまえは兜のDNAを引き継いでおる。その事実があれば、おのずと考えておることなどわかる。手に取るようにな」

「俺はあんたのコピーじゃない。俺の考えは俺だけのものだ!!」

 

 俺の怒りを受けても、それは爺には届かない。

 

「そう思っておるのは、おまえだけじゃ」

「何でもわかると思っているのも、あんただけだ!!」

「では、おまえが何に迷いを感じておるのか、言い当ててやろうか?」

 

 爺は俺の目を真っ直ぐに見下ろした。

 

「怖くなったのだろう、戦うことが」

「……」

 

 否定できなかった。

 俺は戦いを恐れている。

 いや、戦う自分を恐れているんだ。

 

 俺は歪んだ正義に狂い、ただ悪魔を殺すだけだった。

 人間からすれば、それは救世主に見えただろう。

 だけど、悪魔からすれば、俺はただの破壊者だ。

 

 誰も救えない。

 救おうとしていない。

 全ての救済は結果論だ。

 

 全ては、思い描く英雄になるためだった。

 

 俺は1度、戦いの中で人間の命を殺めようとした。

 悪魔を殺し、人間を救うと決めたはずなのに。

 

 その理由に疑念を持つようになった俺が、戦うことができるのか。

 

 カイザーの鎧を纏えば、また破壊の本能に飲まれてしまうのではないか。

 

 そして、戦いのことを考えると、いつもデビルマン・ゼロの存在が頭をよぎる。

 

「俺は……あいつのようになれる気がしない」

「あいつとは?」

「デビルマン・ゼロだ。あいつは強い。あいつの拳には、確かな覚悟がこもっていた。その一撃一撃が重く、それを受ける度に思ったんだ。俺は、この戦士には勝てないって」

「それは、その時におまえにはなく、ゼロには在ったものの差であろうな」

「……わかるのか?」

「わかる、儂は天才じゃからな。そして、儂が今も持っているものだからだ」

 

 もったいぶるように言う爺に、さらに苛立ってしまう。

 

「何だよ、それ?」

「それは儂が言うよりも、自分で見つけるべきものじゃ。それが見つかるまで、おまえに戦うことは不可能じゃろうな」

 

 爺は言いたいことを言い終えて満足したのか、ドアに向かって歩き出した。

 

「戦う意志が無いのであれば、自身の殻に籠っているが良い。今のおまえに、マジンカイザーとして戦う資格はない」

 

 厳しく言い放つ爺を覇気のない目で見送り、左腕に付けているブレスレッドを見つめた。

 

「戦う意志……俺には無く、ゼロには在ったもの……」

 

 わからない。

 

 だけど、1つだけわかることがある。

 

 それはおそらく、カイザーに変身できた時も、本当の意味では手にしていなかったものなんだ。

 




剣哲也が出ましたけど、あまり深く考えないことをお勧めします。
というか、考えちゃダメです。

甲牙くんに関しては、なおも迷走中。
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