DEVILMAN REBORN ~LOST DESTINY~ 作:カナト
倒壊した街の中、高速道路上で人間とデーモンの戦いは起きている。
さやかが悪魔特捜隊に合流した時、人間の死体が所々に転がっていた。
頭が転がり、肉片が飛び散り、もがれたような跡がある四肢。
彼女の目の前に居るのは、両手が大鎌になっているカマキリのデーモンと巨大なゴリラのデーモン、そして、その後ろに蟻のデーモンが何十体も居た。
特捜隊は善戦しているが、それでも押されているのは火を見るよりも明らかだ。
さやかは近くに倒れている隊員に声をかけた。
「遅れてすいません。被害状況は?」
「死傷者が50名中の……36名。デーモン軍団は……今も戦力が増え続けています。このままでは、押し切られてしまうかもしれません」
「わかりました。私も共に戦います」
着ていたコートを脱いでバトルスーツ姿になり、腰にさしていたレイピアを抜いて特攻をかける。
最前線に立って蟻の
「私が前に出て敵の数を減らします。みなさんは援護を!!」
彼女の戦う姿に喚起し、特捜隊は再度武器を握り直して構える。
彼らが持っているのは巨大な照射銃、光子力レーザーガン。
光子力エンジンが組み込まれており、光を当てるだけでデーモンを消滅させることができる。
しかし、これは試作段階であり、強度はそれほど高くない。
見れば、踏みつぶされた照射銃が多く転がっている。
さやかがデーモンの返り血を浴びながら切り裂いていく中、カマキリのデーモンが鎌でレイピアを防いだ。
<コレハ良イ。男バカリデ退屈シテイタ所ダ。女ノ柔ラカイ肉ヲ切ラセテモラオウ>
「残念だけど、私はそんなに柔な女じゃないわよ!!」
レイピアで鎌を受け流し、後ろに回って両断しようとする。
両手を上げたてレイピアを振り下ろそうとした瞬間、ゴリラのデーモンがさやかの腕を掴んで持ち上げた。
「嘘!?」
<コノ俺、『コングラー』ヲ無視スルナ>
コングラーはさやかを投げ飛ばし、蟻の群れの方に飛ばす。
このままでは、彼女は蟻の餌食となる。
そうなる前に空中でレイピアを合体させ、弓の形状にして弦を引き、光子の矢を乱れ撃ちした。
「光子力アロー!!」
ドーナツ状に空いた群れの中心に着地し、さやかは回転しながら弓矢を放ち続ける。
光となって消えていき、減り続けていく蟻の雑兵。
コングラーがさやかを止めに入ろうとしたとき、奴の倍以上の身体をした巨体が間に入った。
「オラオラオラ~!!遅れて飛び出て即参上!!ボスボロット様が相手になるぜ~!!」
ボスのうるさい声が響き、さやかが半目で舌打ちをする。
「ちょっと、遅いじゃないのよ、ボス!!」
「しょうがないじゃない!ボロットの調整に時間がかかったのよ~!!」
「遅れた分、しっかり働きなさいよね」
「おう!このゴリラ擬きは俺に任せとけ!!俺様の雄姿に惚れるなよ!!」
ボスボロットがコングラーと戦っている間に、さやかに迫るカマキリのデーモン。
<コノ『サイザール』ガ相手ダトイウコトヲ忘レタカ?>
「しつこい男は嫌いなんだけど?」
<私ハ女ダ!!>
「カマキリの性別なんてわかんないわよ!!」
弓からレイピアに分離し、鎌の刃を受け止める。
雑兵の数が激変した今、この場の勝敗を決めるのはそれぞれの主力の一戦。
さやかとサイザール、ボスボロットとコングラー。
そう、誰もが思った。
しかし、次の瞬間、2体の悪魔の身体が同時に一刀両断された。
<<ギャアアアアアア>>
悲鳴をあげながら倒れるサイザールとコングラー。
「え……?」
「な、何が起きたんだわさ…」
突然の出来事に、状況を察することができないさやかとボス。
蟻の群れが次々と消滅していく。
光によってではなく、蒼い斬撃によって。
「……やはり、下級悪魔ではこの程度……か」
灰色のロングコートを着た、赤毛のオールバックの男だった。
彼の手には黒い鞘と漆黒の刀を持っていた。
そして、その腰には漆黒のベルトを巻いている。
さやかは男に歩み寄り、警戒しながらも話しかけた。
「あの……あなたは、一体……」
男は髪をかき上げ、冷たい目をさやかに向けた。
そして、こう名乗った。
「剣鉄也だ」
彼が名乗ると同時に、霧が発生して急激に濃くなった。
そして、霧が晴れると、その姿はもう無かった。
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さやかが出撃し、リハビリをしていた時のことだった。
俺が激痛に耐えながらダンベルを持ち上げていると、爺がトレーニングルームに着てはこちらに歩み寄ってきた。
「身体は回復しておるようじゃな」
爺を無視し、リハビリに集中する。
「聴いておるのか、甲牙」
「あんたが、そんなことを言うためだけに俺の所に来るはずがねぇだろ。用件があるなら、さっさと言え」
「気が立っておるようじゃな。迷いが見える」
「っ……。天才科学者様は、そんなことまでお見通しなのかよ」
「そうではない。おまえは、儂の孫じゃからな」
孫…その言葉が、俺を苛立たせる。
「何が孫だよ……ふざけるなっ!!」
ダンベルを地面に投げつけ、怒りを込めた目を爺に向ける。
「俺やシローのことを、本心で1度でも孫だなんて思ったことがあったのかよ!?そんな心が、あんたにあったのか!?」
「心など必要ない。おまえは兜のDNAを引き継いでおる。その事実があれば、おのずと考えておることなどわかる。手に取るようにな」
「俺はあんたのコピーじゃない。俺の考えは俺だけのものだ!!」
俺の怒りを受けても、それは爺には届かない。
「そう思っておるのは、おまえだけじゃ」
「何でもわかると思っているのも、あんただけだ!!」
「では、おまえが何に迷いを感じておるのか、言い当ててやろうか?」
爺は俺の目を真っ直ぐに見下ろした。
「怖くなったのだろう、戦うことが」
「……」
否定できなかった。
俺は戦いを恐れている。
いや、戦う自分を恐れているんだ。
俺は歪んだ正義に狂い、ただ悪魔を殺すだけだった。
人間からすれば、それは救世主に見えただろう。
だけど、悪魔からすれば、俺はただの破壊者だ。
誰も救えない。
救おうとしていない。
全ての救済は結果論だ。
全ては、思い描く英雄になるためだった。
俺は1度、戦いの中で人間の命を殺めようとした。
悪魔を殺し、人間を救うと決めたはずなのに。
その理由に疑念を持つようになった俺が、戦うことができるのか。
カイザーの鎧を纏えば、また破壊の本能に飲まれてしまうのではないか。
そして、戦いのことを考えると、いつもデビルマン・ゼロの存在が頭をよぎる。
「俺は……あいつのようになれる気がしない」
「あいつとは?」
「デビルマン・ゼロだ。あいつは強い。あいつの拳には、確かな覚悟がこもっていた。その一撃一撃が重く、それを受ける度に思ったんだ。俺は、この戦士には勝てないって」
「それは、その時におまえにはなく、ゼロには在ったものの差であろうな」
「……わかるのか?」
「わかる、儂は天才じゃからな。そして、儂が今も持っているものだからだ」
もったいぶるように言う爺に、さらに苛立ってしまう。
「何だよ、それ?」
「それは儂が言うよりも、自分で見つけるべきものじゃ。それが見つかるまで、おまえに戦うことは不可能じゃろうな」
爺は言いたいことを言い終えて満足したのか、ドアに向かって歩き出した。
「戦う意志が無いのであれば、自身の殻に籠っているが良い。今のおまえに、マジンカイザーとして戦う資格はない」
厳しく言い放つ爺を覇気のない目で見送り、左腕に付けているブレスレッドを見つめた。
「戦う意志……俺には無く、ゼロには在ったもの……」
わからない。
だけど、1つだけわかることがある。
それはおそらく、カイザーに変身できた時も、本当の意味では手にしていなかったものなんだ。
剣哲也が出ましたけど、あまり深く考えないことをお勧めします。
というか、考えちゃダメです。
甲牙くんに関しては、なおも迷走中。