DEVILMAN REBORN ~LOST DESTINY~ 作:カナト
トレーニングルームでのリハビリを終えて病室に戻っていると、ミネルバが部屋の前に立っていた。
目が合うと、無表情で敬礼をされた。
「俺に何か用か、ミネルバ?」
「甲牙さん……。重大なお話があります。お時間、よろしいでしょうか?」
無言で頷き、部屋に入って彼女を通す。
お茶を入れようとしたが、その前に「結構です」と断られた。
「私はお茶をしにここに来たのではありませんから」
「それもそうか。それで?重大な話って何だよ?」
「マジンカイザーについてです。今まで兜博士に止められていましたが、ある事実を伝えなければなりません」
「カイザー?爺が俺に何を隠していたかは知らないけど、そんな深刻な話なのか?」
ミネルバは俺の左手を取り、ブレスレットを凝視する。
「今まで、甲牙さんは魔神カイザの力を安定して行使していました。しかし、この前の最後の戦闘、デビルマン・ゼロとの戦闘において、あなたの身体が性質変化していることが判明しました。それはカイザーの力の酷使が原因だと、博士は考えています」
「性質変化?俺の身体は何とも……」
「……本当にそうでしょうか?」
ミネルバの目が光、俺の身体を頭から足まで赤外線でスキャンする。
すると、彼女の表情が曇った。
「今までのあなたの身体の不調の原因は、やはり魔神の力が関係しています」
「一体、俺の身体に何があるって言うんだ?もったいぶらずに言ってくれよ」
俺が苛立たし気に聞けば、ミネルバは真剣な声音で答えた。
「あなたの身体は、人間じゃなくなっているのです。今は身体が自由に動かないかもしれませんが、身体が変化に順応できるようになれば、嫌でも身体能力の変化に気づくはずです」
確かに、さっきダンベルを持った時、身体に激痛が走ると同時に少し軽く感じた。
重さは10㎏にしていたのに。
ミネルバの言っていたことも納得ができる。
俺の身体は今、魔神の力を増幅させるために変化しているのか。
「それがパワーアップのように聞こえるかもしれませんが、とんでもありません。身体が人間ではなくなっているんですから」
「人間じゃなくなるなら、俺は一体何になるんだ?」
聞かなくてもわかる。
これは確認だ。
もう頭の中で答えは出ており、諦めている。
「悪魔……いいえ、魔神本体でしょうか。どちらにしても、マジンカイザーの力を無理に使えば、徐々にではありますが身体が人外へと変化していることを理解してください。それが表面化するのか、あるいは身体能力の異常だけに収まるのか、それは兜博士にもわからないことですが」
俺は天井を見て、小さく息を吐く。
不思議と動揺も、取り乱すことも無かった。
ただ、事実を静かに受け止める。
そう言えば、昔の人が言っていたか。
大きな力を得る物は、その同等の何かを失うことになると。
「無理な力の使い方をしなければ、カイザーの力を今後も安定して使うことができるでしょう。しかし、ゼロとの戦いのような力の使い方をすれば……」
「魔神に身体を侵食されていく……か。はっ、魔神の能力を使えないなら、カイザーはただの鎧だぜ」
「……そこで、1つ提案があります。兜博士も、私の案に賛成してくれました」
「提案……?」
ミネルバは持っていたタブレットの画面にデータを出し、俺に見せてきた。
「これは…!?」
「それが完成すれば、魔神の侵食を抑えることができるかと」
それは新たなる力。
皇帝が手にする、新たなる武装。
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夜の9時。
さやかが再度病室を訪れると、甲牙はもうベッドに横になって眠っていた。
自分も戦闘で疲れているが、それよりも彼のことが心配で仕方がない。
甲牙の横に立って顔を近づけ、彼の顔を覗き見る。
「また無理して……そんなに、私たちは頼りないの?」
さやかの言葉は、眠っている甲牙には届かない。
彼女の気持ちも、その想いも彼は知らない。
まるで死んだように眠っている甲牙の唇に、自身の唇を重ねようとするさやか。
その瞬間、背後から低い男の声が聞こえてきた。
「その男が、貴様に何を与える?」
「誰!?」
咄嗟のことに背後を見て声をあげてしまう。
そこに居たのは、剣鉄也だ。
「あなたは、さっきの……どうして、ここに!?」
彼はさやかの問いに答えず、静かに彼女に近づいては寝ている甲牙を冷たい目で見下ろす。
「この男は弱い。しかし、その周りの者はこいつを認めている。信頼している。何故だ?」
「……彼は、甲牙くんは弱くなんてないわ。ずっと強い意志を持っている」
さやかが彼の言葉を否定すると、その眼差しはさらに冷たくなった。
「持っていた……であろう。今のこの男の心は折れている。戦う意志を感じない」
「そんなこと、どうしてあなたにわかるのよ?」
「ずっと、この男を見ていたからだ。この男が、魔神の力を手に入れた時からな」
鉄也の目が一瞬赤く輝き、その瞳をさやかに向ける。
「そして、理解した。この男、兜甲牙の強さには仲間の存在が不可欠だ。特に弓さやか、貴様の存在が大きい」
「あなた、一体何を言って……」
「俺は強き者との戦いを望む。強者の血でなければ、俺の傷は塞がらない。屈辱と言う名の傷はな…!!」
目と目が合った瞬間、さやかの身体に異変が起こる。
身体中に電気が走り、倒れて動かなくなる。
(これは……どうして?身体が言う事を聴かない!!)
意識があるにも関わらず、身体が動かないさやか。
彼女を見下ろし、鉄也は不適な笑みを向ける。
「おまえを失った時、兜甲牙はどれほどの怒りを覚えるのか、それが奴にどのような力を与えるのか。見物だな」
そう言うと、鉄也の腰に巻いているベルトが黒く光りだし、彼の姿が異形に変わった。
話の展開が速くてすいません。
次の話で、新展開があります。
さやかをさらわれ、甲牙に起こる変化とは……。