※この作品はR-18です。

DEVILMAN REBORN ~LOST DESTINY~   作:カナト

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説得

 今は使われていない廃墟の工場。

 その中に居るのは2人の男女。

 1人は両手を柱で縛られて不機嫌な表情をしており、もう1人は机の上に足を組んで座っては無表情で目を閉じている。

 

「私を連れ出して、何をするつもり?」

「貴様をどうこうするつもりは毛頭ない。俺はただ、戦士として本来の魔神に挑みたいだけだ」

 

 冷静に願望を言う剣鉄也からは、感情があるようには見えなかった。

 ただ純粋に戦いを望み、そのために手段は選ばない。

 そんな彼に、さやかは嫌悪感を覚えた。

 

「何のために甲牙くんと戦うの!?彼はもう、前のゼロとの戦闘で十分に戦った。これ以上、甲牙くんを――」

「貴様の意見はどうでも良い。俺はただ、強者との戦いを望むだけだ。己が高みに達するためにな」

 

 鉄也は左手に持っていた刀を鞘から抜き、刀身を凝視する。

 

「力こそが真理。弱き者に価値はない」

「強いとか弱いとか、そんなことで価値を決めるのは間違ってる」

「どうだろうな。今の世界を見れば、1つの言葉に辿りつく。弱肉強食。悪魔と人間が、生存競争を生き抜くために血で血を洗いあっている。強き者が生き残り、弱き者が滅ぶだけだ」

「……そう言うあなたは、どっちなの?」

 

 さやかは見た、鉄也の姿が異形に変わる瞬間を。

 あれは今まで戦ってきたどのデーモンとも違うオーラを放っていた。

 まさに対極。

 今までのデーモンが獣の本能を荒ぶらせていたのであれば、鉄也はどこまでも冷たく、深い闇を感じさせた。

 

 鉄也の口角が上がると、彼の影が大きく伸びてはその異形の形になった。

 

「どっちなんだろうな……俺は」

 

 刀を鞘に戻せば、鉄也の周りに暴風が起こった。

 そして、物陰から数十体のデーモンが風圧に押し出されて姿を現した。

 

「デーモン!?」

「女の匂いに吊られてきたか」

 

 鉄也は静かに机から降り、そのままデーモンの群れを見据える。

 奴らの視線の先は、身動きが取れないさやかに集中する。

 

「その娘をおまえたちにやるわけにはいかん。下劣な獣欲を向けるのであれば、他に当たると良い。そうでなければ、俺がおまえたちを殺す」

 

 鉄也が忠告するが、デーモンはゆっくりと2人に歩みよってくる。

 彼の言葉を聴く気はなく、ただ衝動に任せてさやかを見ては汚くよだれを垂らす。

 それを冷静に見れば、鉄也は刀の柄を握り、デーモンの群れに突撃しながら抜刀する。

 

 すれ違いざまに、5体の虫型のデーモンの身体が微塵になった。

 

 鞘に刃をゆっくりと戻し、残りのデーモンに目を向ける。

 

「雑魚が……。死の覚悟はできたか?」

 

 鉄也の冷たい瞳が、赤く光った。

 

 その後1分もしない内に、さやかの目の前にデーモンの肉片が散らばった床が血に染まっていた。

 

 剣鉄也は返り血を浴びながらも、終始無表情に雑魚の命を奪い取っていた。

 

「わかっているぞ。貴様は来る……そして、俺と戦う。さぁ、早く来い……マジンカイザーっ…!!」

 

 

 -----

 

 

「危険です、甲牙さん!!その身体ではっ…!!」

 

 案の定、ミネルバには止められた。

 俺はさやかを助けに行く決意を固めた後、例の物をもらいに研究室に向かった。

 爺が居なかったから彼女に事情を話すが、当然納得はしてくれない。

 

「魔神化が進行することはわかってる。それでも、俺はさやかを助けに行く」

「甲牙さんだけでは危険です。ボスさんたちや悪魔特捜隊を招集して……」

「あいつらはデーモンの襲撃に備えておいた方が良い。今動けるのは、俺しかいないから」

「それなら、私がマジンガーを使って助けに行きます。甲牙さんは、ここに居てください。無理をしたら、人間に戻れない可能性だってあるんですよ!?」

「ここで無理をしなかったら、俺はもう2度と戦う勇気が持てないんだ!!」

 

 大声で言ってミネルバを黙らせる。

 拳を握り、大きく深呼吸をする。

 

「俺はデビルマンに負けたあの日から、自分の中の戦う理由が見えなくなってしまった。おまけに、身体が魔神なるかもしれないって言われて動揺もした。それでも、俺は誰かを……さやかを救うためなら、身体のことなんてどうでも良いって思ったんだ。ここで戦わなかったら、俺は自分の心に嘘をつくことになる。そんなことは、例え死んでもしたくない」

 

 ミネルバは一瞬目を見開き、小さく溜め息をついては1つのアタッシュケースを俺に渡してきた。

 

「例の武装の試作機です。これなら、完璧にとは言いませんが、多少は魔神化の進行を止めることができるはずです」

「ミネルバ……ありがとう」

「甲牙さんが頑固なのは知っています。止めても無駄なのはわかっていました。でも、心配していることは理解してほしかったのです」

「わかってるよ。いつも、心配かけて悪いな」

「私よりも、さやかさんの方が何倍もあなたのことを気にかけていますよ?」

「それも……わかってる。助け出したら、ちゃんと謝るよ」

「謝罪よりも、もっと言わなければならないことが在るのではないですか?」

「……それは、考えとく」

 

 ミネルバには見透かされてるのか。

 でも、今の俺にはその言葉を伝える資格はない。

 言うかどうかは、助け出した後に考える。

 

「それなら、俺は行くよ。カイザースクランダーの発信準備を頼む」

「了解しました。甲牙さん、くれぐれもお気をつけて」

「ああ。必ず、さやかと一緒に帰ってくる」

 

 

 




次回、甲牙と鉄也が邂逅する。
甲牙は魔神の力を制御できるのか、そして鉄也の正体とは……!!
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