DEVILMAN REBORN ~LOST DESTINY~ 作:カナト
地獄に生を受ける者が居るのは、本来は世界の理に反する。
本来は死した者の魂であるバイオレンスジャックが居るべき場所であり、今だに命を宿している者が居て良い場所ではない。
しかし、白藤隆一率いるデビルマン軍団は生を受けたまま現世と地獄を行き来している。
これも闇の帝王の力がデビルマン・レクスに渡った影響なのか。
デビルマン・ゴッドはジャックの力に恐怖を感じながら、自分たちのアジトに彼を案内する。
そこは地獄の中で最も高い岩石の山であり、そこには黒い洋風の城が立っていた。
「これは……」
『あそこでレクスがおまえを待っている。今のおまえで、レクスに勝てるとは思えないけどな』
「……俺は戦いに来たのではない、確かめに来たのだ。俺自身のことをな」
ジャックの中に残っている大きな疑問と言う名の不安要素。
それを解決しないことには、彼が本当の敵と戦うことはできない。
(デビルマン軍団は俺が前世界で作り出した組織だ。人間の心を持ったまま悪魔の力を手に入れた者を集め、組織的に動くようになったデーモンの動きに対応するために。人類を守るために作りだした俺の組織の名をかたり、白藤隆一はデビルマン至上主義の世界を作ろうとしている。何故、奴はそんなことを……)
城の中に入れば、悪魔の鎧を装着した者たちとすれ違うが、ジャックを一瞥するだけで危害を加えようとはせず、近づこうともしなかった。
デビルマンたちは気づいているのだ。
今の自分たちでは、バイオレンスジャックに勝つことはできないと言う事を。
あるいは、王の命令で通すように言われているのか。
ゴッドの足が大きな扉の前で止まり、緊張が走る。
『ここから先に、レクスは居る。1人で通すように言われている』
「……わかった。ここまで通してくれたことには感謝しよう」
高くそびえる両開きの扉を力を入れて押し開けば、1人の男が人間の姿のまま骨でできた玉座に座っていた。
その男は白い髪をしており、ジャックとは対照的に細い体格をしている。
ジャックは彼に歩みより、声をかける。
「おまえが、白藤隆一だな?」
「ああ。お初にお目にかかる、バイオレンスジャック。いやぁ、感動的だな。こうして会えることを光栄に思うよ」
白藤は不適な笑みを浮かべ、ジャックの今の姿を観察するように見る。
「その姿は、おまえが記憶を無くして現世をさまよっていた時のものだな。崩壊からの再生を成し遂げた世界だ。おまえがサタンを止めることができた、希少な救われた世界の1つ。クククッ、ならば、その姿で居るのは願掛けと言ったところかな?」
「そう思いたいのであれば、好きにするが良い。しかし、やはり、わからない。おまえは一体、何者だ?何故、俺のことを知っている?前世界のことまで……」
ジャックの問いに答えず、白藤は玉座から立ち上がって指を鳴らす。
すると、彼の周りにスクリーンに映し出される映像が流れる。
それは現世の地獄絵図。
ジャックが直に目撃し、止めることができなかった悲劇。
人間同士が互いを悪魔だと罵り合い、殺し合う。
死んだ者が悪魔であり、生きた者が人間だと主張する。
そんな世界で、バイオレンスジャックは多くの大切な者を失った。
最愛の女性すらも。
そして、映像が映すのはその女性が人間たちに殺される場面だ。
『違う……私はっ……私は魔女じゃないっ!!……明くんっ……明くぅうううんっ!!いやぁああああ!!!』
最後まで自分が人間であると主張し、彼女が愛する男の名を呼びながら惨殺されていく。
ジャックは目を逸らして目蓋を閉じる。
「……何故、こんなものを見せる!?」
「わからないか?俺はおまえの謎の答えとなるヒントを与えてるんだぜ?もう1度見ろ!!そして、思い出せ!!おまえは、牧村美樹を殺された時に何を思ったんだぁ!?」
悪魔特捜隊の本部を襲撃し、人間は悪魔に憑依されていなくても悪魔になるのだと知った。
牧村夫妻を助けることもできず、人間は守るに値しないのではないかと絶望しそうになった時、ジャックの脳裏に浮かんだのは美樹の存在だった。
美樹が居る限り、自分は悪魔にはならない。
彼女のために、デビルマンとして戦うと決めた。
しかし、美樹は人間の手によって殺されてしまった。
あの時、底のない暗闇に引きずられるような感覚が走った。
そして、ジャックは完全なる悪魔とかしたのだ。
「あの時感じたのは、身体が引きちぎれるような怒りだった。そして、そこから俺はデビルマンとデーモンの生存競争に意識を集中させた」
「そうだ。そして、頭の片隅でこう考えていたはずだ。『死にたい』と」
「……何?」
ジャックが目を細めると、白藤はもう1度指を鳴らして映像をアルマゲドンの光景に変える。
「デビルマンとデーモンの最終決戦。そこを、おまえは死に場所に定めた。守る者も、生きる理由もないおまえは、ずっと生から解放されたかったんだろ?だから、自分を殺せる敵であるサタンに無謀な戦いを挑んだ」
「何を言っている!?」
「デビルマンとかデーモンとか、もうどうでも良かったんだろ?ただ、生きようとしている自分の大義名分がそれだった。どの道、あの最終決戦が終わった後は死ぬつもりだったんだろ?サタンでダメなら、その上の神にも挑むつもりだった」
「何の話をしている!?」
淡々と話す白藤と、焦りを覚えるバイオレンスジャック。
白藤はジャックに指をさす。
「俺は不動明の全てを知る者だということだ」
その衝撃的な一言は、バイオレンスジャックの謎に割れ目を入れた。
あくまでも、これはオリジナルの話であり、永井先生の設定はわかりませんので!!(激マンは読んでる)
次回、白藤の真実とデビルマンの存在意義が明かされる。