DEVILMAN REBORN ~LOST DESTINY~ 作:カナト
しかし、設定はオリジナルです、はい。
バイオレンスジャックは、自身の根底にある願いを見透かされ、白藤の気迫に一歩下がってしまう。
「おまえが俺の当時の心を読んだことは理解した。しかし、今の俺は違う!!この世界を救うために行動している」
「では、何をもって世界は救われたことになるのかを教えてほしいものだ」
世界が救われたことになる基準。
それを決めるのは、そこに居るただ1人ではない。
ジャックの言葉が詰まると、白藤は嬉々として話し始める。
「世界には、常に勝者と敗者が存在する。平等などありえない。おまえだって、前世界では人類を生かすためにデーモンを殺してきたじゃないか。俺の組織したデビルマン軍団とて、思想は同じ……いや、それ以上のことを成そうとしている。世界は、デビルマンによって管理されるべきなのさ!!」
「誰かが管理しなければならないという考えが間違いだ!!人間もデーモンも、そしてデビルマンとて、手を取り合って生きることができるはずだ!!」
「そんな机上の空論を、不動明が口にするのか!?」
白藤の背後で漆黒の炎が燃え上がり、そこから1人の人間の女が姿を現す。
「……そんな……何故……君が!?」
ジャックは目の前に居る女性の存在を受け入れることができなかった。
本来、彼の前に現れるべき者ではないからだ。
その加藤美佐樹にそっくりな顔立ちをした全裸の女は、ジャックに一歩ずつ歩み寄る。
「俺とおまえの意見は平行線だ。俺の言葉では、おまえを納得させることはできないだろう。しかし、彼女の言葉ならば通じるだろう。何せ、おまえの存在のせいで死ぬことになった、牧村美樹の言葉ならばなぁ!!」
「っ……!?」
2度と会うことが叶わない女だと思っていた。
しかし、ここは地獄!!
死した魂が集まる場所。
そして、白藤隆一は闇の帝王にして冥王、ハーデスの力を宿している。
死した魂を操るのは造作もない。
しかし、それはある前提を除けばの話だ。
『明くん……』
「美樹……」
美樹は両手を広げ、笑顔で彼に近づく。
ジャックは美樹と対面し、彼女のことを抱きしめる。
「本当に……美樹なのか?」
『ええ、あたしは美樹よ。あなたの愛した、牧村美樹なのよ』
「……そうか。そうなんだな…」
ジャックは彼女を離したくないという一心で強く抱きしめる。
そして、その目には涙を浮かべていた。
「俺は、あの時不幸を持ち込んでしまった。おじさんを、おばさんを、タレちゃんを……そして、他でもない君を死なせてしまった。……俺が、君を殺したんだ……!!」
ジャックの姿が、大型な巨大な男から青年の者に変わっていく。
『違うわ、あたしを殺したのは人間よ?ねぇ、明くん。あたしを殺した人間を守るというの?デーモンだって、あたしたちを苦しめたわ。あたしは明くんがデビルマンでも、受け入れることができた。だけど、全ての人間がそうできるわけじゃない』
「それは俺が一番よくわかっている」
『そうでしょ?受け入れられなかったことで、あなたは辛い思いをした。だから、デビルマンが人を導かなければならないと思うの。明くんなら、あたしの言っていること……わかるでしょ?』
「……」
沈黙を貫き、ジャックは突然美樹の首を片手で掴んだ。
『んぐっ!!あがっ……あぁ!!明っ…!?』
「美樹……俺は君に謝りたかった。そして、もう1度罪を犯す。……白藤隆一……こんなものに、俺が惑わされると思ったか?いや、違うな。おまえは俺に気づかせたかったのだろう…『何かを』!!これは、美樹ではなぁあい!!」
美樹の首をへし折れば、彼女は狂った目をしては『クヒヒヒヒヒヒ』っと笑って消えていった。
それを見て、白藤は高らかに笑いながらジャックに歩み寄った。
「ブラボォオ!!良いねぇ、流石はバイオレンスジャックだ!!精神的に落とすつもりだったのに、参った参ったぁ」
「貴様っ…!!」
「大切な女を殺した気分はどんな感じだい!?さぁ、感想を聞かせてくれよ!?」
ジャックの涙の後には、黒い線が浮かび上がる。
それは、彼が悪魔の姿に変わろうとしている兆しである。
憤怒の表情を見ては、白藤は満足げな笑みを浮かべる。
「デビルマン。思えば、不思議な話だとは思わなかったか?」
「……何のことだ?」
「ネタ晴らしをしよう。君は1度、サタンによって記憶を改ざんされている。君は飛鳥了と言う存在と親友の間柄だったが、そんな記録はどこにも無い。サタンはわざわざ、君を選んだんだ。遠くない未来に、デビルマンを生み出すために」
「俺が……了に選ばれた……だと!?」
驚愕を浮かべるジャックに、さらに衝撃の事実を突きつける。
「いや、言葉が悪かったな。おまえを選んだのは、サタンではない。不動明がデビルマンとなる未来を作ったのが、神なのさ!!バイオレンスジャック……おまえが悪魔の力を得るのは必然だった。何故ならば、おまえは神によって生み出された、運命の駒だったのだからなぁ!!」
ジャックは目を見開き、言葉が出なかった。
しかし、すぐにその事実を拒絶する。
「何をバカな!!俺が神の駒だと!?そんなはずはない!!俺は俺自身の意志で動いていた!!」
「そう思っているのは、自分だけさ。生きとし生ける者は皆、神の手の上で舞っている」
「俺は神の奴隷ではない!!」
「それでは、おまえは何故、デビルマン軍団を神の軍団だと認識した?」
「っ……!?」
言葉に詰まってしまい、何も言えない。
「正解だったんだよ、おまえの言った言葉は。そう、デビルマン軍団は神の軍団……言わば、神の代行者だ。そして、おまえはデビルマンが生き残るために戦った。悪魔に裁きを下すという名目で。しかし、その時にはもうおまえの役割は終わっていたんだよ」
「……どういうことだ!?」
「神は人類を滅ぼそうとしていた。しかし、その時の神はサタンとの戦いの傷が癒えず、方法を捜していた。そこでサタンを利用しようとした神は、人間をも利用して共倒れを狙った。その中で、不動明という存在を作り出し、サタンの計画の敵対者と設定した。そのために、悪魔の力を使えるようにしたのさ。そして、数多くのデーモンの策略を利用し、あの運命の日を迎えるようにした」
飛鳥了のメディアを使った全国放送だ。
案の定、世界は混乱を極め、人間は自滅していった。
「そして、最後の仕上げはアルマゲドン!!神の軍団であるデビルマンと、神への反逆者であるデーモンの最終決戦!!あれがあったからこそ、2つの勢力は滅亡した。そう、サタンと不動明、2つの存在が世界を滅亡させたんだよ!!」
狂気の笑みを浮かべながら、白藤は嬉々として語る。
語り終えた後、彼は無表情になってジャックを見る。
「しかし、この世界のおまえは不協和音の1つだ。内海明人もおまえも、俺を不快にさせる……!!」
白藤の全身が黒い炎で燃え滾り、腰にベルトが出現する。
「デビルっ…!!」
ベルトを操作して異形の鎧を装着すれば、デビルマン・レクスの姿となる。
「この時を待っていたぞ……バイオレンスジャック。いや、不動明!!今ここで、おまえを潰してやろう!!」
その鬼気迫る怒気を前に、ジャックは鋭い目付きを向ける。
彼はそれに覚えがあった。
そして、納得した。
彼の正体を理解した。
「そうか……おまえは……。では、俺の全身全霊を持って相手をしてやろう。闇の帝王の力を持つ者よ!!」
両手を前で交差させ、全身に意識を集中させる。
そして、彼が全力で答えるための雄叫びをあげた。
「デエェェビィイイル!!!!」
ジャックの身体が光出し、その姿が異形へと変わる。
身体はジャックの時と体型は同じだが、頭はコウモリの羽を広げた姿のようであり、狼の顔をしている。
これが、世界で最初のデビルマンの姿。
「流石は精神体と言っても不動明だ。別世界のアモンの力を隠し持っていたのか!?」
「おまえとて、自分の正体がその姿から出ているぞ」
「……ほう?俺の正体?果たして、それがおまえにはわかるのか!?」
デビルマンは目を閉じ、先ほどからの白藤の言動を思い出す。
全て、不動明であった自分にしかわからないことだった。
しかし、自分でも気づいていなかった部分にも気づいていた。
深層心理の奥まで見透かし、自分のことを理解する者。
目をゆっくりと開け、デビルマンは白藤を指さした。
「おまえは……いや、おまえも、不動明なのだ」
不動明は、神の駒として生まれた。
それにしても、白藤が不動明?
さてさて、どういう事なんでしょうね?