DEVILMAN REBORN ~LOST DESTINY~ 作:カナト
アルマゲドンの後、神々によって新世界が生まれようとしていた瞬間。
1人の悪魔人間の魂が2つに分かれた。
白き魂と黒い魂。
その黒い魂が覚えているのは、世界に裏切られたということ。
守るべき者たちに裏切られ、愛する者を奪われた憎悪と喪失感。
これから先、何のために戦うのかがわからなくなった。
そんな時、無理やり戦う理由をこじつけた。
悪魔の力を持つ者たちを救わなくてはならない。
人間のためでもなく、悪魔のためでもない。
地上は悪魔のためでも、人間のためにあるわけでもない。
悪魔は、衝動に駆られて暴れるだけだ。
人間は、愚かであり自分たち以外の優占種を排除しようとする。
世界は導かれなければならない。
悪魔の力を持ちながらも、正しき人間の心を持った者たちによって。
そして、この世界を作り直す。
もう2度と、誰かの大切な何かが奪われない世界に。
それができるのは、サタンではない。
魂は叫ぶ、自身の存在理由を。
もし再度、生を受けることができるのであれば、自分は世界に救済を与えると。
そのためならば、どのような試練にも打ち勝つと。
その時、黒き魂に眩しいほどの黄金の光が照らされた。
現れたのは、人の形をした『何か』
それは魂に告げる。
『あなたに、世界の命運を託しましょう』
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デビルマンと対面するデビルマン・レクスの表情は、フルフェイスのマスクに隠れていてわからない。
レクスは肩を震わせ、頭を押さえながら高らかに笑いだす。
「アッハハハハハっ!!流石にヒントを与えすぎたかぁ……。そう、俺はもう1人のおまえだよ、不動明。だからこそ、おまえが許せないんだよ…!!」
右手に地獄の業火をまとい、手をデビルマンにかざした。
「
漆黒の火炎が向かってくる中、デビルマンは左手で手刀の構えを取り、迫ってくる炎を風圧で一刀両断した。
「……デビルチョップ」
冷静に呟くデビルマンにたじろいだ動きを見せるレクスだが、すぐに両手の拳に獄炎をまとって彼に突撃をかける。
「はぁあああ!!!」
両手でラッシュをかけるレクスの拳を、腕を組んで全て受けるデビルマン。
その表情が苦痛で歪むわけではなく、無表情を貫き通す。
「おまえは何のために戦う?白藤隆一」
「世界を救済するためだ!!人間でもデーモンでもなく、選ばれし存在であるデビルマンが管理してこそ、世界は平和になるんだ!!」
「……それは戯言だな」
デビルマンが気迫でレクスを吹き飛ばし、マスクの下で怒りの顔を浮かべる白藤。
「俺はおまえとは違う!!腰抜けの偽物である、おまえとはなぁあ!!」
全身から獄炎を放出するデビルマン・レクス。
その炎は白藤の全身に巻き付き、巨大な炎の生命体に変わる。
「闇の帝王の姿かっ…!?」
「否っ!!これだけで終わると思うな!!」
火の色が紅蓮になっていく。
炎は両手と両足を成し、炎のマントをまとう。
「デビルマン・レクス……インフェルノ・モードだ!!」
全長を超える巨大な紅い炎の悪魔を見上げ、デビルマンは組んでいた腕を解いて背中から巨大なコウモリの翼を広げた。
臨戦態勢の構えを取って跳躍し、レクスの頭上から落下する速度に合わせて超高速の蹴りを繰り出す。
「デビルキックっ!!」
レクスが左手をかざせば、紅蓮の炎の壁が出現してそれを防ぐ。
「っ!?」
「その程度の攻撃など、効かんわぁ!!」
蹴りを弾かれ、空中で体制を整えようとするデビルマン。
しかし、レクスの炎はそれを許さない。
炎の形状が無数の鎖に変わり、デビルマンを追跡する。
「おまえは不動明ではない!!俺こそが本物だ!!」
「本物と偽物か……おまえには、そう見えるのか?もう1人の不動明よ!」
炎の鎖が全方位から迫り、首や両手、両足を縛る。
レクスはそれで捕獲したと思っていた。
しかし、デビルマンの身体が光だし、全身から光線を発した。
「デビルビーム!!!」
鎖を光線で砕き、レクスの頭に迫ろうとするデビルマン。
その拳と、それを防ぐ炎の壁が激突する。
デビルマンと炎の悪魔の視線が合う。
「俺は忘れない……美樹を失った時の絶望を、人間を見限った瞬間を!!美樹を奪った人間を何故、おまえは助けようとする!?美樹を失うきっかけを作ったデーモンを、何故裁こうとしない!?全ての元凶であるサタンを……何故、許したぁあああ!?」
地獄の炎が、レクスの怒りによって増幅される。
炎は城を貫通させ、地獄の空が見える。
「力だ……圧倒的な力が必要なのだ。この世界を救うために……サタンを超えるためにっ…!!美樹を……また奪われないために!!」
「力だけでは何も救えない。何も得ることはできない!!それを何故、俺でありながら理解しようとしない!?」
「この世界は……デビルマンが支配しなければならない……。そうでなければ、またあの結末になってしまう!!おまえでも……内海明人でもない……。サタンから救わなければならない……この世界をぉおお!!!」
炎が巨大な手に変わり、デビルマンを掴む。
「んぐっ!!」
「世界を救うのは、おまえたち偽物ではない……神の軍団である、我々デビルマンだぁああ!!」
青い炎が、デビルマンの力を吸収していく。
(っ!!こ、このままではっ……!!)
闇の帝王の圧倒的な力の前に、デビルマンは抵抗できなかった。
彼は強く目を瞑り、左手に持ったジャックナイフに残った力を籠める。
そして、渾身の力を注ぎこんだナイフを時空の狭間を開いて投げ捨てた。
「無駄な足掻きを!!おまえが何をしようとも、この俺に吸収される運命は変わらないと言うのに!!」
「俺が変えるのは、俺の運命ではないっ…!!既に……俺は……居ない存在だ。だからこそ、未来に託す!!過去の愚かな存在であった自分から、愛する者たちのために未来を掴み取ろうとする者たちに、俺の夢を託すのさ!!」
力が抜けながらも、強い覚悟を込めた瞳は力を増していく。
それを見ても、憎しみの塊は何も感じない。
「……くだらん……。消えろ、偽物っ!!」
力を全て吸収し、デビルマンは光となって消えていった。
光の粒子が、レクスの周りに散乱する。
(すまない、了。今の俺では、ここまでらしい……。しかし、俺は知っている。未来は既に、
浮かびあがるのは、彼の幼馴染に容姿の似た少女。
(過去の未練を残した亡霊は……あるべき場所に戻るだけだ)
孤独に。
ただ、静かに。
美樹を失ったあの日から、孤独と静寂を感じていた。
(俺は孤独で良い。……ただ、孤独に……)
彼の思念体が地獄の空に上がっていく。
デビルマン……不動明の魂はどこに向かっていくのか。
その時、天から1つの白い光が城の中に差し込んだ。
そこから、人の形をした光の虚像が降りて、明の思念を抱きしめた。
『やっと……会えたね。おかえり』
その声が聞こえた瞬間、思念の目から涙が零れた。
「……ああ、ただいま……」
白い光の中に、明の思念が溶けていく。
彼を導くのは、もう会えないと思っていた存在だった。
白藤は人間の姿に戻る。
その髪は白から黒になり、身体が少し大きくなっている。
彼の周囲に、強く黒いオーラがにじみ出てくる。
「手に入れたぞ……。偽物め……さっさと俺に力を与えれば良いものを。しかし!!これで!!不動明を超えたのだ、俺は!!!」
肩を震わせ、ククククッと不適な笑みをする。
「さぁ、これからが始まりだ!!このデビルマン・レクスが、世界を救済する!!」
憎しみの魂は、圧倒的な力を手に入れた。
2つの魂を持つ者たちは、引かれ合う。
1人は、憎しみと後悔を糧に世界を救おうとする闇の帝王。
1人は、愛する者を守るために戦う破壊の皇帝。
この先の運命を壊す者は、いかに……。
これでジャック編は終了です。
この日より、悪夢が始まる。
時系列で言えば、ジャックとレクスの戦いは明人が救われた少し後くらいですね。
不動明(前世界の主人公)の夢は、内海明人(今の世界の主人公)に託された。
要するに、世代交代擬きをさせたかった(/いや、できてないできてない!!)。
次は飛鳥了編です。
サタンが一皮むける話です……多分!!
エロは多め……多分!!