DEVILMAN REBORN ~LOST DESTINY~ 作:カナト
了は共存の園について部下のデーモンや冬夜に調べさせた。
宗教団体は多くの信者が居て成り立つものだが、その中にはデーモンの姿もあったという。
しかし、人間とデーモンが争うことはなく、平和を共に主張しているらしい。
「共存の園には、デビルマンの姿は無いみたいですね。デビルマン軍団の手先ではないようです」
「デビルマン軍団が共存を主張すると思うか?支配した上での管理を共存というのなら、それは皮肉以外の何ものでもない」
「それもそうっすね。……それにしても、どうして俺たちにこのカルト集団の調査を命令したんですか?」
冬夜が不思議そうな表情で聞いてくると、了はデスクに両肘をついて唸る。
「ただの気まぐれさ。共存を主張するのなら、俺たちの協力者になってくれるかもしれない。来るべき運命の日に向けて、仲間が多い方が良いからな」
「運命の日って……了さんが平和路線で事を運ぼうとしているのに、前の世界での出来事が本当に起こるんですか?」
「わからない。しかし、少なくとも俺はもうあんなことをするつもりは無いよ。俺は明人も、美佐樹ちゃんのことも裏切れない。あの2人を守ることが、俺の贖罪だからな」
日に日に近づく、運命の日。
それは前世界で牧村美樹が殺された日である。
この世界で了が起こした虚偽の報道をするつもりはないが、神のシナリオが何か修正を入れないとも限らない。
了はここ最近、細心の注意を払っているのだ。
「俺がサタンである限り、神のシナリオに背いたとしても、それは向こうに筒抜けになるはずだ。その上での対抗策を考えなければならない。それに……」
「それに……なんです?」
冬夜が首を傾げて問うが、了は唸って答えない。
夢の男のことが気になるなんて理由は、他人に話すには幼稚過ぎる。
返答への代わりに、話をそらすために質問をした。
「教団のことはわかった。その長である、黒崎あおいと言う男については、何かわかったことは?」
「え?あ、はい。それについては……どう……言えば良いんですかねぇ」
「どうした?何か不都合なことでもあるのか?」
資料と了の顔を交互に見ては、頬をかく冬夜。
「その……」
<ジュンさんの元交際相手……と言う記録が残っていますが?>
「ブフーッ!!……ジ、ジュンのっ……え!?」
冬夜の代わりに、平然としたいつもの笑みの顔でサイコジェニーが言った。
了は口に含んだコーヒーを吹き出してしまい、露骨に人間らしい反応をしてしまった。
そして、すぐに喉を鳴らして平静を装う。
「そ、そうか、ジュンの元交際相手……。そうか、そうかそうかぁ」
冬夜とサイコジェニーは内緒話をする体制に入っては了を見ながら小声で会話する。
「了さんって、あんなに動揺する人だったっけ?」
<いいえ。ここまで取り乱されたサタン様は初めて見ます。私も内心戸惑っていますよ>
「いや、あんた、笑顔の無表情変わってないやーん」
軽くツッコミを入れる冬夜だが、俯いて思い悩んでいる了を見ては半目になる。
「ぶっちゃけ、人間っぽくなったなぁ。了さん」
<私としては複雑な心境ですが。サタン様も、明人さんに感化されたのかもしれませんね>
「明人に?……どういう意味で?」
<愛を知ったんですよ、愛を。明人さんだって、美佐樹さんに元カレが居たらああなると思いますよ?>
「あ~、なるほどねぇ~。納得納得。そりゃあ、最近ジュンさんと夜一緒に居ること多いもんねぇ~」
ニヤニヤした顔の冬夜にも気づかず、了はぶつぶつと小声で呟く。
「大丈夫だ、ジュンに元カレが居たところで何の問題もない。今は俺がジュンのパートナーだ。お互いを信頼し合っているし、彼女が他の男を見ていた時期があったとしても、それは過去のことだからして……」
露骨に落ち込んでいる了に、冬夜もサイコジェニーも溜め息をついてしまう。
「こりゃ~、重症だねぇ~」
<そうですね~。まさか、サタン様がこのような人間のような一面を見せることになるとは、世の中わからないものです>
「だよねぇ~」
冬夜は黒崎の資料に目を通すと、ある違和感に気づいた。
「なぁ、サイコジェニーさん?」
<何ですか?ニクス>
「……どうして、ここから先の期間は空白なんだろうな?」
黒崎の経歴は、ある時点から空白が続いていた。
その間のことを、冬夜も調べることはできなかった。
(この時……確か、何時だったかジュンさんに聞いたことがあった。あの人がデビルマンになったのは、確か……この5年前)
デビルマンレディーは5年前に誕生した。
そして、黒崎あおいの経歴が抜けているのも……。
「何か関係してそうだよな……これ」
冬夜はジュンに対して、不信感を抱き始めていた。
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不動ジュンは1人で、ある場所に向かっていた。
了や他の者には何も言わず、真剣な表情のまま。
その雰囲気は他を寄せ付けず、鬼気迫るようだった。
足が止まったのは、巨大な施設の前。
その看板には『共存の園』と書かれている。
「彼が……ここに。彼が本物なら、私は……」
正門のインターホンを鳴らそうとすると、その前に大きな門が開いた。
そして、中から1人の正装を着た男が出てくきてはジュンに微笑みかけた。
「あおいっ…!!」
「……久しぶりだね、ジュン」
驚きを隠せないジュンと、冷静に笑顔を見せる黒崎。
2人の邂逅が、波乱を呼ぶ。
了さん、いろいろとキャラ崩壊している件について。
今回のキーはジュンさんが握っている。