DEVILMAN REBORN ~LOST DESTINY~ 作:カナト
リザーデを殺してからと言うもの、デビルマンとしての仕事が続いている。
1日も了さんからのデーモンの情報が来ない日はない。
デーモンの中で徐々に俺の存在が知られてきていることが、デーモン事件の多発の原因だと了さんは言っていた。
この日も夜にデビルマンとしての仕事が終わったので、了さんに車で家まで送ってもらっていた。
「アキト、最近のデーモンに関する事件をどう見る?」
「いきなりですね。……何て言うか、デーモンは女ばかりを襲っているのを感じますね」
さっき倒した蜂のようなデーモンも、女の服や下着を剥いて犯していた。
尻尾の針を女性の陰部に刺し、上下に身体を動かして。
そこを俺が、蹴りを貫通させてデーモンを即死させたのだ。
「デーモンは、女に引かれる傾向にでもあるんですかね?」
「基本、デーモンは人間のことを自分たちの食料としか思っていない。男だったらすぐに食われるだろう。しかし、女の場合はパターンが異なる。デーモンは復活してからと言うもの、女の場合は強姦してから殺す習性にあるようだ。まるで、孕ませることを目的としていたが、母体が合わないから殺したのかと思うほどに」
「デーモンと人間の間に子供ってできるんですか?」
「どうかな……デーモン同士で性欲は存在するものの、デーモンと人間の間にあるのかはわからない。……デビルマンと人間の間には存在するようだがな」
運転している了さんの表情から、また前の世界のことを思い出しているのだと察しがついた。
そして、俺が察していることに了さんも気づいたのだろう。
彼はさりげなく話を始めた。
「不動明には、愛しく思っていた女性が居た。名前は牧村美樹。明は人類のためにデーモン族と戦ったが、一番大事にしていたのは美樹ちゃんだった。しかし、彼女の存在は明の中で大きかった。大きすぎた。そして、人間は……いや、この私、サタンは愚かだった。私は今で言うメディアを使い、人間たちに嘘の情報を流して情報操作をした」
サタンは、人間たちを自滅させるためにメディアを通じて『デーモンは人間に簡単に取りつくことができる』と伝え、人類の恐怖と疑心暗鬼をあおるために不動明がアモンと合体するときの映像を流したらしい。
それが牧村家への疑心感を周りの人間に抱かせてしまい、その家族を全員殺してしまったのだそうだ。
無論、牧村美樹も例外ではない。
皮肉なことに不動明の最愛の女性は、彼が守ろうとした人類に滅ぼされてしまったのだ。
そして、それが黙示録へのきっかけとなったそうだ。
「そんなことがあったんですね…」
「あぁ、結果的に私が彼女を殺してしまったのだ。明が本当に守りたかった者を、私が人間を利用して奪ってしまった。そして、明は自分と同じデビルマンだけを救うことに決め……私が率いるデーモン軍団と戦ったのだ」
デビルマンだと言うことが知られてしまったことと言うよりは、牧村美樹を失ったことによりアルマゲドンは始まったということか。
「了さん……あなたは」
「安心しろ。俺はもうあんなことはしない。はっきり言おう、俺はもう人類に対して何の感情も抱いていない。今の俺の目的は、おまえと共に決められた結末を変えること。それ以外にはない」
「人類の敵だって言われないだけ良かったですよ」
「あくまでこの世界の俺は君の味方であり、その意志を尊重する。君が守りたいと思う者に手を出すつもりはない」
「そうですか……それは本当に良かったです」
俺は安堵の息をつくと、了さんに笑顔を向ける。
「もしも俺で同じ事をしたなら、俺は何の容赦もなくあなたを真っ先に殺しに行きますから。俺は美佐紀を守るためなら、何だってしますからね」
俺の笑顔に、了さんは運転しながら顔を青ざめる。
(アキト、俺は時々君が恐くなるよ。明の転生者である君が、何時かその牙で俺の喉元を噛みちぎってくるのではないかとね。しかし、私がどうなろうとも、私にはやらなければならないことがあるのだ)
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了さんは俺を加藤の家まで送り届けてくれた。
「了さん、わざわざ送ってくれてありがとうございました」
「なぁに問題ないさ。それよりも用心しろよ?デーモンは既に、君の正体に気づいているかもしれない」
「……わかりました」
俺は返事をし、了さんを見送って加藤の家に戻った。
すると、玄関に美佐紀が出てきたんだ。
俺は彼女を見て目を見開いた。
「明人くん、おかえりなさい」
「あ、ああ……ただいま。美佐紀、おまえ…髪、切ったのか?」
今の彼女は伸びていた黒髪を肩でそろえられていた。
美佐紀は横髪を人差し指でいじると、恥ずかしそうな表情をする。
「思いきって冒険しちゃった。どう?似合う?」
「に、似合うと思う……けど」
何だ、このデジャビュは。
この髪型の美佐紀を見ると、何か既視感を覚えてしょうがない。
これは、もしかして不動明の記憶…?
頭の中に映像が流れてくる。
燃えている家、人間の大衆、奴らが持っている黒い槍には人体の一部が刺さっている。
その中でも、1つの生首に視点が集中する。
〈美樹…うわぁあああ!!!〉
この瞬間、心が砕け散るような感覚を覚えた。
似ている、瓜二つだ。
加藤美佐紀は、牧村美樹だったのだ。
俺がそうだったように、美佐紀は…牧村美樹の転生者だったのか?
たまらず焦りを覚え、無意識に美佐紀を抱き締めた。
「キャッ……もうどうしたの、明人くん?」
「悪い…少しだけ、このままで……。おじさんたちは?」
「忘れちゃった?コウちゃんを連れてご近所さんと遊園地と温泉に行くから、今日から2、3日は……あたしたち2人だけよ」
美佐紀は目を閉じて顔を俺に向かって上に動かす。
たまらず、彼女の唇に吸い付いた。
おじさんたちが居るときは家族として、幼なじみとして接しているが、2人きりの時は恋人同士であり、美佐紀は俺に甘えてくる。
俺も、彼女がそうしてくれるのは嬉しい。
抱きしめ合った、キスも交わした。
しかし、それ以上の関係も求めているのだ。
だが、美佐紀の気持ちも尊重しなければ、俺はただの獣だ。
家にあがってリビングに行けば、ソファーに座って美佐紀の肩を抱いて自分の方に寄せる。
すると、彼女は俺の胸に手を添えて顔を見てくる。
「本当にどうしたの?今日の明人くん、ちょっと積極的よ?」
「……俺が積極的だと、変か?」
「そんなことはないわよ。むしろ、嬉しいわ。…明人くん、もっとキスしたいの。良い?」
「あぁ……俺もしたい」
俺は美佐紀の両肩を掴み、唇を重ねる。
「んっ……んむ…んちゅ……んっ」
美佐紀は俺の首の後ろに両腕を回してきて、何度も俺の唇を吸ってくる。
それに対して、俺は彼女の口の中に舌を入れてみた。
「んむっ!……はむっ…クチュ……レロッ、んっちゅ」
美佐紀は俺の舌に自身の舌を絡めてきた。
1つ段階を越えたキスをすると、俺はソファーに彼女をキスしながら押し倒した。
そして、右手で彼女の大きな胸を服越しに触ってみる。
すると、美佐紀は身体をビクッと震わせてからぎゅっと強く抱きしめてきた。
「んぁ!…明人くん…っ!!」
「わ、悪い!……嫌だったか?」
俺が不安な表情をして聞けば、美佐紀は頬を赤く染めて首を横に振った。
「やっぱり、明人くんもクールそうに見えて男の子なのね。あたしの身体を求めてくれてる……それがとても…嬉しい」
「なら……」
再度美佐紀の左胸を触ろうとすると、彼女に腕を優しく掴まれる。
「待って。……いやってわけじゃないのよ?ただ、お風呂に入ってからにさせて?」
「えっ…」
「女の子として一生に1度の経験なんだもん。最高の状態であなたを、あたしの中に迎えたいの」
「美佐紀……」
美佐紀はそう言って俺から離れるとソファーを立ち「待っててね」と言って投げキッスをし、そのまま風呂場に向かっていった。
美佐紀と……今日…ついに!?
俺の中のデーモンとは別の獣は、今にも暴れだしそうだった。
次の話で、デビルマンを知るものならほとんどの人が知っているあのデーモンが登場します。
美佐紀ちゃんが風呂に入る……うん、わかるはず。