※この作品はR-18です。

DEVILMAN REBORN ~LOST DESTINY~   作:カナト

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抑制の能力

 久しぶり街に戻ると、復興作業が進んでいるようで俺が意識を失った後の崩壊の痕が少しずつ修復されていくのを確認する。

 

 リムジンが拠点であるマンションに戻った後、了さんは美佐樹だけを連れて最上階に上がって行った。

 その時にいい気はしなかったが、運転をしていたサイコジェニーがさりげなく『大丈夫ですよ、今のサタン様はジュンさんにお熱ですから』とニヤニヤした顔で耳打ちしてきたので渋々受け入れた。

 了さんとジュンさんがねぇ……世の中どうなるかわからないもんだ。

 

 注目を集めないように着ているパーカーのフードを被りながら街の中を歩く。

 避難所の中には変える場所を無くした人が集まり、協力しながら衣食住を共にしている。

 復興が進んでいるとはいえ、救われていない人がまだ多いことは避けようのない事実だ。

 扉の前に護衛のデーモンが立っている所から、野生のデーモンが肉を求めて襲撃してくることもあるのだろう。

 

 崩壊したのは建物だけではない。

 ゼロが暴走した時から、大切な人を無くした者が多いはずだ。

 その心の傷も消えずにいることだろう。

 俺はその罪を背負い続けなければならない。

 終わりがよければ良いなんてことは、あるはずが無いんだ。

 

 自責の念に囚われていると、懐かしい声が聞こえてきた。

 

「戻ったと同時に自分が壊した街の観光かよ、明人」

「冬夜……。会ったと同時に皮肉のつもりか?」

 

 苦笑いで返してやると、冬夜は近づいてきては俺の隣に立つ。

 

「久しぶりだな。元気してたか?」

「どうかな、街は御覧のあり様だし、おまえが美佐樹ちゃんと森に身を隠してからも問題が無かったわけじゃなかったから。俺も何度もデーモンと戦ってきたし、人間からの敵意に耐えてきた」

「……俺が居ない間に苦労を掛けたんだな。これからは俺も、その重荷を背負うことになる」

「これ以上十字架を背負うのはどうかと思うけどな。……美佐樹ちゃんとはどうなの?あれから、何か変化はあった?」

「そうだな……」

 

 俺は冬夜に森で美佐樹に全てを話したことを伝えた。

 

「そうなんだ。美佐樹ちゃんは凄いな」

「当然だろ、俺が惚れた女だぜ?」

「そうだな。きっかけが俺とは言え、おまえがデビルマンだってことを受け入れたぐらいだ」

 

 美佐樹のことを話していると、ふと気になったことに話を切り替える。

 

「最近、マジンカイザーの活躍はどうだ?」

「ああ、人類の希望様ね。相も変わらず、悪魔特捜隊と協力して人間を襲うデーモンどもを狩ってるみたいだぜ?」

「そうか…。場合によっては、また奴と戦わなければならないかもしれないんだな」

「勝てるだろ?」

「そんなのはわからないさ。俺は勝利の神じゃない」

 

 兜甲牙……今のおまえには、この世界はどう映る?

 また、デーモンを根絶やしにしているのか?

 それとも、別の目的のために動いているのか…。

 

「特異点……だっけ?俺にはよくわからないけど、できることがあるならサポートするさ。おまえは俺の恩人だからな」

「……恩人?」

 

 見当が付かないので怪訝な顔をすると、冬夜は空を見上げていう。

 

「おまえがあの時呪縛を解いてくれなかったら、今の俺は居ないってことだ」

「そう言う事か……。頼りにしてるさ」

 

 破壊のデビルマンと氷のデビルマンは同じ空を見上げて、それぞれの思いにふけっていた。

 

 特異点……ゼロの力は使えていても、その重大な力は使えているのかどうか。

 

 神と戦う上で、鍵になるのは確かなはずだ。

 

 選択者の力。

 

 了さんの言う運命の日が刻一刻と近づいている。

 

 俺の選択によって、前世界とは違う結末を迎えることができるのだろうか。

 

 

 -----

 

 

 最上階に通され、美佐樹は了と2人になってはテーブルを挟んで向かい合う。

 了は美佐樹を静かに凝視し、すぐに薄く笑みを向けた。

 

「不思議だな……。君と会ったのは数回程度なのに、何度も会っているような気がしてならない」

「それは……。あたしが牧村美樹って人の転生者だからじゃないんですか?」

「その通りかもしれない。明人から話を聞いているのなら、話は早いな」

 

 了は懐から拳銃を取り出し、美佐樹にグリップを向けてはテーブルに置く。

 

「前の世界で、俺は美樹ちゃんを死に追いやった。その責任は取らなければならない。……その銃で俺を撃ってくれ」

「えっ……ちょっと、何言ってるんですか!?」

 

 驚いている美佐樹だが、了は冷静だ。

 

「俺が君を殺した罪は、世界を超えても消えはしない。君と明を殺したのは、他でもない俺だ。君には俺を撃つ権利がある」

「そんなことを言われたって、現に今のあたしは生きてますし。前世のことがどうとか言われても、あたしにはピンと来ないですし……」

「しかし、君個人としては俺に不満がある……違うか?」

「そ、それは……」

 

 違うとは言えない。

 了は明人をデビルマンになるきっかけを作った張本人。

 その後は危険な戦いに巻き込んだ。

 明人は気にしていないと言っても、美佐樹にしてみれば恋人が何時死ぬかもわからない状況にあって文句が無いはずが無い。

 

「正直、あたしには世界がどうとか言われてもわかりません。でも、明人は世界を救うために戦っている。あたしには彼を支える力はありませんし、止めることもできません。だけど……ずっと、あなたに聞きたかったことがあるのは確かです」

「何かな?」

「どうして……明人なんですか?」

 

 そう問う美佐樹の声は震えていた。

 

「明人は……ずっと苦しんできました。あたしは、ずっと彼を見てきたんです。化け物だって罵られて、人から遠ざけられて……。デビルマンになってからは、自分が何者なのかに苦しんでいたし、あたしたちを傷つけるかもしれないことにも悩んでいました……。明人が、どうして苦しみ続けなきゃならないんですか!?」

 

 了は涙目になって訴えてくる美佐樹の怒りを受け止める。

 

「俺は明人に全てを賭けていた。そして、明人の前世に当たる不動明も、彼に世界の命運を託した。それは明人が俺と明の力を受け継ぎながらも、俺たちとは違う考えを持ちながら運命に抗い続けるからだ」

「明人が……受け継いだ?」

「それが特異点の力であり、破壊皇ゼロだ。ゼロはサタンの力と明の心残りが生み出した、運命を壊すために生まれた力だ。選択者の特異点の力は、今までとは違う可能性を切り開く。それは明人にしかできないことなんだ。そして、美佐樹ちゃん……君の先程の言葉を訂正させてもらおう」

 

 美佐樹を指さし、彼女と目と目を合わせる了。

 

「明人から聞いたんだろう?君にも特異点の力は存在する」

「それは聴いてますけど……あたしには何もできませんから」

「抑制者の力の片鱗は見えている。現に君は何度も自身の直面する脅威の夢を見ているはずだ」

「な、何でそれを…!?」

 

 美佐樹は何度も自身が殺される夢を見ている。

 そして、その夢の内容を鮮明に覚えているのだ。

 

「抑制者は強大な能力を持っている。いくつも存在する前世界の経験を通して、未来の脅威を事前に察知することができる。それが君に起こる最悪を防ぐために、俺の親友が君に与えた力だ」

「私の……力……」

 

 未来を知る能力。

 それはあらゆる災厄を事前に見ることができる能力だ。

 

「明人には、夢の内容を話したのか?」

「はい……」

 

 美佐樹は夢の内容を話した。

 

 燃えている建物の中、美佐樹は大勢の人間に囲まれている。

 彼女を『魔女』と呼び、狂気の顔をした男たちが武器を持って迫ってくる。

 美佐樹は彼らに抵抗できず、無残に殺されてしまう。

 

「その前のことは……わからないんだな」

「そうです……けど、おかしいですよね。あたしが見ていたのが未来のことなら、これは明人の見た美樹って人の死に方と一緒ってことになりますし……」

「前世界と同じことが、未来に起こるということか……」

 

 了の中で、何かが引っ掛かっている。

 魔女と言う言葉。

 それは美樹が悪魔だと思われたが故に呼ばれた言葉だ。

 しかし、その原因を作った張本人は了自身のあの誤認を生み出すための報道。

 

 ふと不安に駆られ、窓から外を見る。

 もう夕日が沈みかけており、暗い夜が始まろうとしている。

 

 了は美佐樹を家に帰し、サイコジェニーを呼ぶ。

 

<どうされましたか?サタン様>

「いや、美佐樹ちゃんの話を聞き、嫌な予感がしてならないんだ。何かがおかしい……ミカエルが何をしようとしているのか、俺には―――っ!!」

 

 心臓の鼓動が一瞬だけ強くなり、サタンの力が表に出そうになるのを抑えた。

 

「まさか……この反応は……!?」

 

 了は額から玉の汗を流し、サイコジェニーを見る。

 

「サイコジェニー……全デーモン及びデビルマン護衛部隊に緊急要請だ…。緊急戦闘態勢を取れと!!」

 

 

 -----

 

 

 街の近くに、空から一瞬だけ白い光の柱が地面に刺した。

 

 そこに降りるのは、12枚の翼を広げた大天使。

 

「人間とデーモンとデビルマンの戦争……か。前の世界ではゼノンを使っていたが、この世界では特異点自身の暴走が良い方向に働いたようだな。後は私が終末への背中を押すのみか……兄上ではなく、このミカエルが」

 

 白い分厚い本を開き、内容を確認するミカエル。

 

「これより、終末への序曲を奏でよう……。全ては『神』の意のままに」

 

 指を鳴らせば、その姿は白いタキシードを着た金髪の男の姿になる。

 その男は、了と瓜二つの顔をしていた。

 

 これより、黙示録への分岐点が訪れる。




ミカエルが遂に地上に上陸!!

これより先、着々と皆さんが気になるだろう『あのシーン』に近づいていきます!!
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